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第4話 お嬢様特製ハンバーグと私
しおりを挟む「退屈ですわ…」
この家の家主であるしおりさんが、何やら慌ただしく朝から外出していて未だに帰ってらっしゃらない。
1日グータラ眠っているよりマシですけど、期限が迫らないと行動しないのはあの人の悪い癖です。
おかげでせっかくのお休みなのに、まい子がお留守番をすることになりました。
「お留守番くらい完璧にこなせますけど、退屈です!」
思わず大きな声を出してしまうと、一緒にお腹の虫も鳴いてしまった。しおりさん、いつ帰ってくる予定なんでしょう?
そうだ!今日は特別にまい子がご飯を作って差し上げましょう!
しおりさん、驚きますわよ~!
「今日のメニューは…ハンバーグです!」
○材料(1~2人前)
・牛豚合い挽き肉(300g)
・塩コショウ(お好み)
・薄力粉(大さじ2)
・サラダ油(大さじ1)
・ケチャップ(お好み)
○作り方
ハンバーグにひき肉を使うのは知っています。常識です!
パックを開けたらお肉に塩コショウをします。下味が大事としおりさんが言ってましたわ。
…お肉に小麦粉を付けて焼くと美味しいとしおりさんが言ってましたわね。ふりかけておきましょう。
フライパンに油をしいて温めます。
そこにお肉を入れます!気合いですわ!
いつになったら焼けるのでしょう?ご本でも読んで待ちます
バチバチ音がして怖いですわ!ひっくり返します!
…崩れてしまいました。触れば触るほどボロボロになっていきます。
油が跳ねて怖いので蓋しておきます。
ケチャップは最後でいいです。おそらく。
「ただいま~。え、お嬢なにしてんの?」
「あの…ハンバーグを作っていたのですが…」
続きが言えなかった。本当は上手に作って自慢したかったのに、こんなの絶対笑われてしまう。
そんなことも知らず、しおりさんは呑気な顔でフライパンの蓋を開ける。
「わー!美味しそう!お嬢、料理上手じゃん!」
バタバタと食事の準備を始めるしおりさん。まだご飯も食べていないのに、デザートの話までしている。
「あの…笑わないんですか?」
「笑う?何がよ」
この人、本当にわかってないのでしょうか。
「私の…ハンバーグ!全然上手く出来なかったのに笑わないんですか!」
「上手だし美味しそうだから笑わないよ?ほら、早く食べよ」
キョトンとした顔をしながら席に着いてしまった。その能天気な顔になんだかやっと、ほっとできた気がした。
私が作ったハンバーグは崩れているし、ふわふわしていなかった。でも、お肉の味がしっかりして、よく言えば歯ごたえがあって悪くはなかった。
しおりさんは美味しい美味しいと言いながら食べてくれた。
「お嬢、頑張って作ってくれてありがとう!」
「いえ。しおりさん、いつもご飯を作ってくださってありがとうございます」
しおりさんは目を見開くとガハハと笑った。なにがおかしいのでしょう。今日は予測できないことばかり起きる。
「今度さ、まーるくてふわふわのハンバーグの作り方、教えてあげるからね」
しおりさんがやけに楽しみそうに言うので、付き合って差しあげることにした。
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