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第3章 帝都へ
仲直り
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対立する伯爵はこれで捕まえることができるだろう。
だが、私はそれ以上に頭を悩ませている。
お兄様とアンナさんが地下から出ると、残りは私とロランだけだ。
ロランは一言も喋らず、下を向いている。
私は恐る恐る、ロランの元へ歩みを進めて行った。
「なあ、セリー」
足音に気づいたのだろう、3歩ほど私が歩いたくらいで声がかけられる。
「俺は、そんなに頼りなかったか?」
きっと1人で囮になった事を言っているのだろう‥‥
ロランには止められそうだったので、私はロランに言わないでこの囮役を実行のだ。
「違います。それはありません」
「じゃあ、何で教えてくれなかった?」
「‥‥モンテーニュ家の事でしたから‥‥ロランを巻き込むのは‥‥」
貴族の家の事だ。しかも対立していた家。
私であればどうにでもできるが、もし今回ロランを人質に取られたら、私にはどうにもできなかった。
だから、巻き込まないように隠していたのだ。
「分かっている。分かっているんだが‥‥すまない。1人にさせてくれ」
ロランは背を向けて扉に向かって歩いていく。
私も、少し距離を取りながらロランの後を付いて行ったのだった。
翌日、ロランは昼まで起きて来なかった。
外で1人で食事を終える。こんなに寂しい食事は久しぶりだった。
部屋に戻るためにロランの部屋の前を通ると、部屋の中から「くそっ」と声がした。
声をかけようと思ったが、何を話せば良いか自信がなくて私はそのまま部屋に戻る。
次の日。ロランは一日中外に出ていたらしい。
足音が聞こえたのは、夜遅くなってからだ。
会いたい気持ちが強かったが、私はロランに感情をぶつけられるのが怖くて行くことができない。
「自分勝手だったな」
そう、思わず言葉が出てきた。そして納得した。
パーティーメンバーと言いながら、今回1人で解決しようとしていた。
ロランを信頼していない、と私が示していたようなものだ。
それがどれだけ残酷なものか、私が受ける側ならどう思うのか‥‥そこまで考えてはいなかった。
今もロランの感情を受け入れることができるか、不安で。自分が可愛いからだろう。
迷惑をかけない、そう決意したのは誰だったのか‥‥。
考えれば考えるほど、落ち込む私の元に、扉を叩く音が聞こえた。
「セリー、今大丈夫か?」
「‥‥はい」
「入るぞ」
扉を開けたロランの手には、トレイがある。その上には料理と飲み物が置かれていた。
「宿の人から聞いたが。昼も夜も食べてないんだって?」
そういえば忘れていた。考えれば考えるほど、どつぼにハマっていた。
ずっと、朝から水以外飲んでいないことに気づく。
「先に食べてくれ」
渡されたパンをムシャムシャと食べる。食べ終わると、サラダ、スープ、メインなど色々渡してくれる。
一生懸命食べている私を、ロランは優しく見守ってくれていた。
「セリー、ごめんな」
2個目のパンを食べている時、そう言われて止まった。
「俺のことを考えてくれての決断だろう?アドからの手紙を読んで、改めて自分の愚かさにも気づけた」
パンを一生懸命飲み込んだ。違う。
「違います‥‥私が、ロランに、迷惑をかけちゃいけないと思って‥‥でも、でも、結局迷惑をかけちゃって‥‥謝るのは、私の方なのに‥‥」
言いたいことが纏まらない。でも彼はそんな私に微笑んでくれる。
「良いんだ。無事だったら。結果論だけど、今こうして一緒にいれて‥‥本当に良かった」
声が優しい。怒っても良いと思うのに、なんでこんなに優しいんだろう。
「あの後アドが来て、怒られたんだよ。〝ロランはセリーを泣かしたいの?〟って満面の笑みでさ」
いや、信頼を裏切られたら怒っても良いと思う‥‥お兄様‥‥
「その言葉と一緒にアドから手紙を渡されてさ、権力の怖さを教えられた。それで納得したよ」
「ロラン‥‥」
「だけどな、セリー。もう1人で何かするのは止めてくれ。早く俺も一緒に戦えるくらいの力と権力をつけるからさ」
言葉に詰まった私は思いっきり首を縦に振った。
私もロランとパーティーの間は、1人で行動はしない。
「ありがとう、セリー」
こうして私たちは、仲直りしたのだった。
だが、私はそれ以上に頭を悩ませている。
お兄様とアンナさんが地下から出ると、残りは私とロランだけだ。
ロランは一言も喋らず、下を向いている。
私は恐る恐る、ロランの元へ歩みを進めて行った。
「なあ、セリー」
足音に気づいたのだろう、3歩ほど私が歩いたくらいで声がかけられる。
「俺は、そんなに頼りなかったか?」
きっと1人で囮になった事を言っているのだろう‥‥
ロランには止められそうだったので、私はロランに言わないでこの囮役を実行のだ。
「違います。それはありません」
「じゃあ、何で教えてくれなかった?」
「‥‥モンテーニュ家の事でしたから‥‥ロランを巻き込むのは‥‥」
貴族の家の事だ。しかも対立していた家。
私であればどうにでもできるが、もし今回ロランを人質に取られたら、私にはどうにもできなかった。
だから、巻き込まないように隠していたのだ。
「分かっている。分かっているんだが‥‥すまない。1人にさせてくれ」
ロランは背を向けて扉に向かって歩いていく。
私も、少し距離を取りながらロランの後を付いて行ったのだった。
翌日、ロランは昼まで起きて来なかった。
外で1人で食事を終える。こんなに寂しい食事は久しぶりだった。
部屋に戻るためにロランの部屋の前を通ると、部屋の中から「くそっ」と声がした。
声をかけようと思ったが、何を話せば良いか自信がなくて私はそのまま部屋に戻る。
次の日。ロランは一日中外に出ていたらしい。
足音が聞こえたのは、夜遅くなってからだ。
会いたい気持ちが強かったが、私はロランに感情をぶつけられるのが怖くて行くことができない。
「自分勝手だったな」
そう、思わず言葉が出てきた。そして納得した。
パーティーメンバーと言いながら、今回1人で解決しようとしていた。
ロランを信頼していない、と私が示していたようなものだ。
それがどれだけ残酷なものか、私が受ける側ならどう思うのか‥‥そこまで考えてはいなかった。
今もロランの感情を受け入れることができるか、不安で。自分が可愛いからだろう。
迷惑をかけない、そう決意したのは誰だったのか‥‥。
考えれば考えるほど、落ち込む私の元に、扉を叩く音が聞こえた。
「セリー、今大丈夫か?」
「‥‥はい」
「入るぞ」
扉を開けたロランの手には、トレイがある。その上には料理と飲み物が置かれていた。
「宿の人から聞いたが。昼も夜も食べてないんだって?」
そういえば忘れていた。考えれば考えるほど、どつぼにハマっていた。
ずっと、朝から水以外飲んでいないことに気づく。
「先に食べてくれ」
渡されたパンをムシャムシャと食べる。食べ終わると、サラダ、スープ、メインなど色々渡してくれる。
一生懸命食べている私を、ロランは優しく見守ってくれていた。
「セリー、ごめんな」
2個目のパンを食べている時、そう言われて止まった。
「俺のことを考えてくれての決断だろう?アドからの手紙を読んで、改めて自分の愚かさにも気づけた」
パンを一生懸命飲み込んだ。違う。
「違います‥‥私が、ロランに、迷惑をかけちゃいけないと思って‥‥でも、でも、結局迷惑をかけちゃって‥‥謝るのは、私の方なのに‥‥」
言いたいことが纏まらない。でも彼はそんな私に微笑んでくれる。
「良いんだ。無事だったら。結果論だけど、今こうして一緒にいれて‥‥本当に良かった」
声が優しい。怒っても良いと思うのに、なんでこんなに優しいんだろう。
「あの後アドが来て、怒られたんだよ。〝ロランはセリーを泣かしたいの?〟って満面の笑みでさ」
いや、信頼を裏切られたら怒っても良いと思う‥‥お兄様‥‥
「その言葉と一緒にアドから手紙を渡されてさ、権力の怖さを教えられた。それで納得したよ」
「ロラン‥‥」
「だけどな、セリー。もう1人で何かするのは止めてくれ。早く俺も一緒に戦えるくらいの力と権力をつけるからさ」
言葉に詰まった私は思いっきり首を縦に振った。
私もロランとパーティーの間は、1人で行動はしない。
「ありがとう、セリー」
こうして私たちは、仲直りしたのだった。
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