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第3章 帝都へ
気持ちの整理
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その時、私の時間は止まった。
何と答えれば良いか分からない。言葉の答えが見つからない。
どうすれば良いか悩む私に、アンナが声をかけてくる。
「あ、答えたくないなら良いのよ?急にごめんね」
私が黙ったので焦ったのだろう、謝罪のポーズを取っているアンナさん。
以前より心は軽くなったが、まだ悶々とした気持ちは残っていた。
そんな思いでいる事をロランに言うことを躊躇っていた。
アンナさんは数日間旅をして、私を気にかけてくれている事も知っている。
もしかしたら答えを教えてくれるかもしれない、と思い口を開く。
「いえ、なんて言葉にすれば良いのか‥‥分からないのです」
正直に答えて下を向いてしまう。呆れるだろうか。戸惑うだろうか。
だが、その後何の言葉もアンナさんからは聞くことができなかった。
不思議に思って顔をあげると、アンナさんが考え込んでいた。
顔をあげた私ににっこり笑いかける。
「そっか、それじゃあ答えようがないよね!」
と予想外すぎる言葉に、口が塞がらない。
そう言い放ったアンナさんは再度考え込む。
「うーんと、じゃあ。私の質問に答えてね?」
「はい」
「質問1。ロランってどんな存在?」
うーん、私を助けてくれるお兄様?
「お兄様みたいな存在です」
「質問2。家族はお父さんとお母さんと‥‥」
「お兄様がいます」
「ありがと。お兄さん達家族のことは好き?」
強いお母様、心配してくれるお父様。色々と教えてくれるお兄様。みんな好きだ。
「はい、好きです」
「質問3。じゃあセリーのお兄さんに対しての好き、とロランに対しての好きって同じ?」
‥‥どう言うことだろう。好きは好きで一緒なのではないだろうか。
困惑の表情をアンナさんに向けていると、気づいてくれたようだ。
「言い換えようか。例えばセリーのお兄さんが、セリー以外の女の人と手を繋いで歩いていたらどう思う?」
‥‥仲のいい女性がいるんだな、くらいかな。
「そうですね、お兄様に彼女ができて嬉しいと思います」
「じゃあ、ロランがセリー以外の女の人と手を繋いで歩いていたらどう思う?」
頭を硬い物でぶつけられたような気がした。
ロランと目の前にいるアンナさんが手を繋いで歩いているところを想像する。
‥‥すごく悲しくて。すごく苦しい気がする。
「まあ、答えは聞かなくても表情で分かるよ。それが好きだって気持ちなんじゃないかな」
「‥‥好きですか?」
「そう。家族に対しての好き、じゃなくて異性に対しての恋愛感情ね」
その言葉で今までの複雑な気持ちが理解できてきた気がする。
「そっか、それだと申し訳ない事したかな?」
「‥‥え?」
「ほら、私は道中ずっとロランと喋ってたでしょ?嫌じゃなかった?」
嫌じゃないとは言えなかった。最初に感じてたあの思い、それが思い出される。
言葉が見つからなかった私を察してくれたのか、アンナさんはこう言ってくれた。
「嫌だな、って思ってたら、それは嫉妬だと思う」
「嫉妬‥‥」
「人間誰でもそう言う感情を持ってるよ。好きな人の側にいたい。近くにいたい。他の女性と喋らないでほしい‥‥ってね」
アンナさんは私に語りかけてくれた。
嫉妬、この言葉で全てが片付いたような気がする。そっか、嫉妬してたんだ。
「私もね、セリーちゃんみたいに悩んだ事があるから、何となく分かったの。私の中ではロランとセリーちゃんは依頼人。その根底が崩れることはないよ。安心してね?」
「‥‥ありがとうございます。勝手に嫉妬してごめんなさい」
「あ、やっぱりそうだったのね!ダラムの町までの道中、暗かったから‥‥ロランもセリーちゃんのこと、心配してたよ?何も言わなかったけど」
そっか、私は二人に心配されていたんだ。その事実に心が痛む。
「けど明日からは大丈夫でしょ?」
「‥‥はい。大丈夫です」
「良かった!まだ長い道のりだけど、よろしくね!」
いきなり目の前に出された手のひらに戸惑ったが、私はその手を握り返したのだった。
何と答えれば良いか分からない。言葉の答えが見つからない。
どうすれば良いか悩む私に、アンナが声をかけてくる。
「あ、答えたくないなら良いのよ?急にごめんね」
私が黙ったので焦ったのだろう、謝罪のポーズを取っているアンナさん。
以前より心は軽くなったが、まだ悶々とした気持ちは残っていた。
そんな思いでいる事をロランに言うことを躊躇っていた。
アンナさんは数日間旅をして、私を気にかけてくれている事も知っている。
もしかしたら答えを教えてくれるかもしれない、と思い口を開く。
「いえ、なんて言葉にすれば良いのか‥‥分からないのです」
正直に答えて下を向いてしまう。呆れるだろうか。戸惑うだろうか。
だが、その後何の言葉もアンナさんからは聞くことができなかった。
不思議に思って顔をあげると、アンナさんが考え込んでいた。
顔をあげた私ににっこり笑いかける。
「そっか、それじゃあ答えようがないよね!」
と予想外すぎる言葉に、口が塞がらない。
そう言い放ったアンナさんは再度考え込む。
「うーんと、じゃあ。私の質問に答えてね?」
「はい」
「質問1。ロランってどんな存在?」
うーん、私を助けてくれるお兄様?
「お兄様みたいな存在です」
「質問2。家族はお父さんとお母さんと‥‥」
「お兄様がいます」
「ありがと。お兄さん達家族のことは好き?」
強いお母様、心配してくれるお父様。色々と教えてくれるお兄様。みんな好きだ。
「はい、好きです」
「質問3。じゃあセリーのお兄さんに対しての好き、とロランに対しての好きって同じ?」
‥‥どう言うことだろう。好きは好きで一緒なのではないだろうか。
困惑の表情をアンナさんに向けていると、気づいてくれたようだ。
「言い換えようか。例えばセリーのお兄さんが、セリー以外の女の人と手を繋いで歩いていたらどう思う?」
‥‥仲のいい女性がいるんだな、くらいかな。
「そうですね、お兄様に彼女ができて嬉しいと思います」
「じゃあ、ロランがセリー以外の女の人と手を繋いで歩いていたらどう思う?」
頭を硬い物でぶつけられたような気がした。
ロランと目の前にいるアンナさんが手を繋いで歩いているところを想像する。
‥‥すごく悲しくて。すごく苦しい気がする。
「まあ、答えは聞かなくても表情で分かるよ。それが好きだって気持ちなんじゃないかな」
「‥‥好きですか?」
「そう。家族に対しての好き、じゃなくて異性に対しての恋愛感情ね」
その言葉で今までの複雑な気持ちが理解できてきた気がする。
「そっか、それだと申し訳ない事したかな?」
「‥‥え?」
「ほら、私は道中ずっとロランと喋ってたでしょ?嫌じゃなかった?」
嫌じゃないとは言えなかった。最初に感じてたあの思い、それが思い出される。
言葉が見つからなかった私を察してくれたのか、アンナさんはこう言ってくれた。
「嫌だな、って思ってたら、それは嫉妬だと思う」
「嫉妬‥‥」
「人間誰でもそう言う感情を持ってるよ。好きな人の側にいたい。近くにいたい。他の女性と喋らないでほしい‥‥ってね」
アンナさんは私に語りかけてくれた。
嫉妬、この言葉で全てが片付いたような気がする。そっか、嫉妬してたんだ。
「私もね、セリーちゃんみたいに悩んだ事があるから、何となく分かったの。私の中ではロランとセリーちゃんは依頼人。その根底が崩れることはないよ。安心してね?」
「‥‥ありがとうございます。勝手に嫉妬してごめんなさい」
「あ、やっぱりそうだったのね!ダラムの町までの道中、暗かったから‥‥ロランもセリーちゃんのこと、心配してたよ?何も言わなかったけど」
そっか、私は二人に心配されていたんだ。その事実に心が痛む。
「けど明日からは大丈夫でしょ?」
「‥‥はい。大丈夫です」
「良かった!まだ長い道のりだけど、よろしくね!」
いきなり目の前に出された手のひらに戸惑ったが、私はその手を握り返したのだった。
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