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第2章 冒険者編 ~シャルモンの街~
扇に異変が起こりました
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シャルモンの街に帰ってきた。
数日しか居なかったけれど、もうこの街は帰ってくるべき街として私の中では認識されているようだ。
ロランと一緒に宿を取るために、三日月亭の女将さんのところへ向かえば、両手を上げて喜んでくれた。
「お嬢ちゃん!戻ってきてくれたんだねぇ~!嬉しいよ!」
「‥‥俺もいるんだが‥‥」
「なんだ、ロランもいるの。見えなかったわよ」
なんて言う軽口を叩き合っていた。仲が良いんだろう。
私も女将さんに、セリーと呼んで下さい、と言ったら抱きしめられた。
「‥‥何やってるんだ‥‥」
「セリーちゃんが可愛くて仕方ない」
ロランは呆れた目でこちらを見ている。女将さんが喜んでくれたから良かったの‥‥かな?
部屋の鍵を貰い向かおうとすると、コトン、と腰に付いていた扇が床に落ちてしまった。
それに気づいた女将さんがすぐに拾ってくれる。
「あら、扇じゃないか。少し重そうだけど、セリーちゃんの武器かい?」
「はいそうです」
そう私が答えると、横からロランが女将さんに話しかける。
「おっさんから貰ったやつだよ」
「おっさんは、もしかしてオーバンの事かい?」
「そうそう」
女将さんは扇と、私の手のグローブを交互に見て目を見開いた。
「もしかして、扇とグローブをあの店で買ったのかい?」
「そうだ。しかも初心者割だとか言って安くしてくれてる」
なぜか私ではなくロランが答える。
「まあ!セリーちゃん、あの頑固親父に気に入られたのね!」
頑固親父‥‥おじ様の事だとしばらくして気づく私。
その間にも、ロランと女将さんはおじ様の話で盛り上がっていた。
ぼーっと二人を見ていると、いつの間にか目の前に女将さんがいた。
「ねえ、セリーちゃん。もし良ければ、扇を開いて見ても良いかい?」
確か中身は柄も何もない扇だったはず。面白い物でも無いとは思うのだが‥‥
不思議そうな顔をしていることに気づいたロランが教えてくれる。
「女将さんは根っからの武器マニアでさ。珍しい武器があると、おっさんに見せてもらっているらしいぞ」
「扇なんて見たこと無かったからねぇ。興味があってさ」
そう言うことなら納得だ。肯定する。
「ありがとう!じゃあちょっと見せて貰うね~」
扇を女将さんが広げる。やはり真っ白いだけだ。
そう思っていた私は、次の女将さんの言葉で固まった。
「あら、綺麗な扇だね。紫の模様と赤の模様が描かれているね」
その言葉に私とロランは顔を見合わせた。
今、ロランと私は三日月亭の借りた一室にいる。
目の前にはおじ様から購入した扇を広げて。
「セリー、こんな柄あったか?」
「‥‥記憶ではありません」
「だよな」
扇の左半分には、紫と赤の模様が描かれていた。
その模様はなんとなく、アウラウネの蔓のようにも見える。
「しょうがない。後でおっさんの所に行ってみるか」
それが良いと思う。きっとおじ様なら何か知っている気がする。
「じゃあ、ギルド長から手紙も預かっていることだし。俺は一旦ギルドに向かうが‥‥セリーはどうする?」
「行きます。そのままおじ様の所へ行こうかと思います」
そう言うと、ロランは頷いてくれた。
「流石にまだ街を一人で歩かせられないからな。行くか」
最後は余計だ、と思いつつも何も言えない私だった。
ギルドに手紙を渡した後、私たちはおじ様の武器屋に向かった。
やはり入り組んでいる。いつの間にかどこにいるのか分からなくなってしまった。
歩いている時に、せめて一人で街中が歩けるようになりたい‥‥
と呟いたら、まあ、頑張れよ。と言われた。完全に出来ないと思っているに違いない。
少しすると見覚えのある看板と家が見えてきた。おじ様の武器屋だ。
「おっさん、いるか?」
入り口に誰もいなかったようなので、声をかけたようだ。
店の奥の暖簾から、おじ様の声がする。
「おう、ロランじゃないか。なんかあったか?」
声はするが、こちらに来ない。手を離せないようだ。
「ちょっと見て欲しいのがあってな」
「分かった。すぐ行くから待っとれ」
奥からカーン、と音がした。何か作っているのだろうか。
後で聞いたら、おじ様は武器も作っているらしい。先程の音は武器を作る音だ、と教えてもらった。
置いてある武器を見ていると、おじ様が暖簾から顔を出していた。
「おう、ロランと嬢ちゃんか。待ってもらってすまんかった。で、どうしたんだ?」
私はおじ様から買った扇を渡す。
「おじ様、扇面の部分を見ていただけないでしょうか?」
以前来た時には喋らなかった私が喋った事に驚いたのだろう。おじ様は私を凝視している。
そろそろ見てもらえないかな、と困りかけていた時、ロランが助け舟を出してくれた。
「おっさん、セリーからおじ様って呼ばれて、喜んでる場合じゃないっての」
その声で我に返ったようだ。おじ様は慌てて扇を開いて扇面を見る。
やはり扇面の左側には、蔓のような文様が描かれている。見間違いではなさそうだ。
そしておじ様が声を上げる。
「なんだコレは。渡した時はこんな模様は無かったぞ?」
どうやら、おじ様の時もこの模様は無かったようです。この模様は何なのでしょうか?
数日しか居なかったけれど、もうこの街は帰ってくるべき街として私の中では認識されているようだ。
ロランと一緒に宿を取るために、三日月亭の女将さんのところへ向かえば、両手を上げて喜んでくれた。
「お嬢ちゃん!戻ってきてくれたんだねぇ~!嬉しいよ!」
「‥‥俺もいるんだが‥‥」
「なんだ、ロランもいるの。見えなかったわよ」
なんて言う軽口を叩き合っていた。仲が良いんだろう。
私も女将さんに、セリーと呼んで下さい、と言ったら抱きしめられた。
「‥‥何やってるんだ‥‥」
「セリーちゃんが可愛くて仕方ない」
ロランは呆れた目でこちらを見ている。女将さんが喜んでくれたから良かったの‥‥かな?
部屋の鍵を貰い向かおうとすると、コトン、と腰に付いていた扇が床に落ちてしまった。
それに気づいた女将さんがすぐに拾ってくれる。
「あら、扇じゃないか。少し重そうだけど、セリーちゃんの武器かい?」
「はいそうです」
そう私が答えると、横からロランが女将さんに話しかける。
「おっさんから貰ったやつだよ」
「おっさんは、もしかしてオーバンの事かい?」
「そうそう」
女将さんは扇と、私の手のグローブを交互に見て目を見開いた。
「もしかして、扇とグローブをあの店で買ったのかい?」
「そうだ。しかも初心者割だとか言って安くしてくれてる」
なぜか私ではなくロランが答える。
「まあ!セリーちゃん、あの頑固親父に気に入られたのね!」
頑固親父‥‥おじ様の事だとしばらくして気づく私。
その間にも、ロランと女将さんはおじ様の話で盛り上がっていた。
ぼーっと二人を見ていると、いつの間にか目の前に女将さんがいた。
「ねえ、セリーちゃん。もし良ければ、扇を開いて見ても良いかい?」
確か中身は柄も何もない扇だったはず。面白い物でも無いとは思うのだが‥‥
不思議そうな顔をしていることに気づいたロランが教えてくれる。
「女将さんは根っからの武器マニアでさ。珍しい武器があると、おっさんに見せてもらっているらしいぞ」
「扇なんて見たこと無かったからねぇ。興味があってさ」
そう言うことなら納得だ。肯定する。
「ありがとう!じゃあちょっと見せて貰うね~」
扇を女将さんが広げる。やはり真っ白いだけだ。
そう思っていた私は、次の女将さんの言葉で固まった。
「あら、綺麗な扇だね。紫の模様と赤の模様が描かれているね」
その言葉に私とロランは顔を見合わせた。
今、ロランと私は三日月亭の借りた一室にいる。
目の前にはおじ様から購入した扇を広げて。
「セリー、こんな柄あったか?」
「‥‥記憶ではありません」
「だよな」
扇の左半分には、紫と赤の模様が描かれていた。
その模様はなんとなく、アウラウネの蔓のようにも見える。
「しょうがない。後でおっさんの所に行ってみるか」
それが良いと思う。きっとおじ様なら何か知っている気がする。
「じゃあ、ギルド長から手紙も預かっていることだし。俺は一旦ギルドに向かうが‥‥セリーはどうする?」
「行きます。そのままおじ様の所へ行こうかと思います」
そう言うと、ロランは頷いてくれた。
「流石にまだ街を一人で歩かせられないからな。行くか」
最後は余計だ、と思いつつも何も言えない私だった。
ギルドに手紙を渡した後、私たちはおじ様の武器屋に向かった。
やはり入り組んでいる。いつの間にかどこにいるのか分からなくなってしまった。
歩いている時に、せめて一人で街中が歩けるようになりたい‥‥
と呟いたら、まあ、頑張れよ。と言われた。完全に出来ないと思っているに違いない。
少しすると見覚えのある看板と家が見えてきた。おじ様の武器屋だ。
「おっさん、いるか?」
入り口に誰もいなかったようなので、声をかけたようだ。
店の奥の暖簾から、おじ様の声がする。
「おう、ロランじゃないか。なんかあったか?」
声はするが、こちらに来ない。手を離せないようだ。
「ちょっと見て欲しいのがあってな」
「分かった。すぐ行くから待っとれ」
奥からカーン、と音がした。何か作っているのだろうか。
後で聞いたら、おじ様は武器も作っているらしい。先程の音は武器を作る音だ、と教えてもらった。
置いてある武器を見ていると、おじ様が暖簾から顔を出していた。
「おう、ロランと嬢ちゃんか。待ってもらってすまんかった。で、どうしたんだ?」
私はおじ様から買った扇を渡す。
「おじ様、扇面の部分を見ていただけないでしょうか?」
以前来た時には喋らなかった私が喋った事に驚いたのだろう。おじ様は私を凝視している。
そろそろ見てもらえないかな、と困りかけていた時、ロランが助け舟を出してくれた。
「おっさん、セリーからおじ様って呼ばれて、喜んでる場合じゃないっての」
その声で我に返ったようだ。おじ様は慌てて扇を開いて扇面を見る。
やはり扇面の左側には、蔓のような文様が描かれている。見間違いではなさそうだ。
そしておじ様が声を上げる。
「なんだコレは。渡した時はこんな模様は無かったぞ?」
どうやら、おじ様の時もこの模様は無かったようです。この模様は何なのでしょうか?
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