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第2章 冒険者編 ~シャルモンの街~
村に戻ってきました
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「おお!ロランさん、セリーさん。ご無事でしたか!」
メール村の入り口で、村長さんが私たちに声をかけてくれた。
時間もそろそろ夕方に差し掛かる所だったので、どうも私たちを心配してくれていたらしい。
私たちがお礼を伝えると、どこからか「ぐーっ」という音が聞こえた。
横から聞こえたからロランだろうか、見ると少し耳が赤くなっている。
「す、すいません。昼が少なかったからお腹がすいたみたいで‥‥」
そうだ、村周りをした関係で昼は軽くしか食べていない。
そう思うと、私のお腹もすいてきた気がす「くーっ」
‥‥穴があったら入りたい。お腹が返事をしなくてもいいじゃない。
村長さんもロランも気を利かせてくれて、私のお腹の音は聞こえなかったように振舞ってくれる。
なんと、村長さんの家で夕食を振舞ってもらえるとの事で、私たちはそのままお邪魔したのだった。
所変わって、村長さんのお宅。
沢山の料理に囲まれながら、私は勧められた料理を片っ端から食べていた。
円型のテーブルに、村長さん、ロラン、私、息子さんの奥さん、息子さん、村長の奥さんの順で座っている。
村長の奥さんが料理を出してくれて、息子さんの奥さんが私とロランに料理を取り分けてくれていた。
「何から何まで、すみません」
ロランがお皿を受け取ると、全員に向けて頭を下げる。
「お料理、とても美味しいです。ありがとうございます」
私もロランを見習って、頭を下げた。
「いえいえ、こちらは助けて頂きましたから。これくらい、させてください」
そう村長さんの奥さんは笑って言ってくれた。本当に料理が美味しい。
ロランは麦で作ったエールを村長さんと飲んでいる。
私は桃から作られたジュースをもらった。何となくだけど、疲れが取れた気がする。
そんな和気藹々とした夕食になったのだった。
夕食後。
私たちは村長さんに呼び出され、前と同じ場所に案内された。
そして、真剣な顔で私たちに話し始める。
「実は本日、早馬で伝令がございました。私たちの村の近くの森から、強い魔力を感じた者がいると」
そう言えば、うちの騎士にそう言う体質の者がいた気がする。
強い魔力を感じ取る事ができる人‥‥確か偵察部隊にいたはずだ。
「何でも、最近シャルモンの街近くの森で、ゴブリンメイジが発見されたらしく、モンテーニュ辺境伯様とギルド長が相談して、偵察部隊を送ったようなのです」
あ、私が倒したゴブリンメイジの件がもう伝わっているのか。仕事が早い。
「そのため、明日ギルド長がこの村に来られるらしいです。その時に、紅玉のメンバーにも話を聞きたいとのことでした」
「わざわざありがとうございます。けれども、料理前に伝えていただければ、良かったのですが」
その通りだ。別にご飯までご馳走にならなくても良かったのに。
そう思っていると、笑いながら村長さんが答えてくれる。
「いえいえ、あれは本当に感謝の気持ちですから。美味しく食べて頂いて、家内も嬉しそうでした」
やっぱりこの村長さんには叶わないな、と私は思った。
翌日。
私たちは早朝に村長さんのお宅にお邪魔していた。
なんと、昨日聞いてた時刻よりも早くギルド長が着いたらしい。
そのため、目の前にはギルド長、横にはロランが座っている。
するとなぜか私が部屋に防音魔法を掛けるようにギルド長から頼まれた。
「ほぅ、惚れ惚れするような防音魔法ですね」
とじっくり見られたので、少し恥ずかしい。
「私の足ならもっと早かったのに、護衛が必要だからって馬を使わされたんだよ」
口を尖らせて話し始めるギルド長。呆れるロラン。
「流石にギルド長を一人で向かわせられませんって」
「だけどさ‥‥まあ、いいか。ここまで来れたわけだし。で、昨日確認してどうだったの?」
そう聞かれてロランは顔をこちらに向けてくる。私は縦に頷く。
その姿を見たギルド長は少し驚いたような顔をしていた。
「セリーくんがロランくんに懐いてる‥‥」
「それよりもギルド長。昨日伝令が言ってた強大な魔力のことですが‥‥」
素早く遮られたので、その話は諦めたらしい。
「確か二人は昨日探索したんでしょ?何か見つかった?」
「‥‥アウラウネです」
ロランの言葉にその場の空気が固まった。
「あ、アウラウネ‥‥だって?」
「はい。しかも人語を話しました」
それ以外にも、ワイルドボアを禁忌魔法(精神系)で操っていたこと、魔石を取り込んで進化したことも話す。
一旦話が区切られると、ギルド長は額に手を当てて後ろに倒れこんだ。
「嘘でしょ。それこの村だけじゃなくて、モンテーニュ領の危機だったってことかぁ。しかもそれを二人で倒したんでしょ?危ないことするね、君たち」
「実際俺も精神操作の魔法にかかりました」
その言葉を聞いてギルド長の目が見開いた。
「何だって!?大丈夫だったのかい?!」
「セリーのお陰で、解除して貰いました。朝もセリーに様子を見て貰いましたが、問題なさそうです」
今もオーラを確認しているが、紫色のオーラはどこにもない。大丈夫と言えるだろう。
「はぁ、本当にセリーくんとロランくんがいてくれて良かったよ。あとは何かあるかい?」
むしろ話はここからだ。
メール村の入り口で、村長さんが私たちに声をかけてくれた。
時間もそろそろ夕方に差し掛かる所だったので、どうも私たちを心配してくれていたらしい。
私たちがお礼を伝えると、どこからか「ぐーっ」という音が聞こえた。
横から聞こえたからロランだろうか、見ると少し耳が赤くなっている。
「す、すいません。昼が少なかったからお腹がすいたみたいで‥‥」
そうだ、村周りをした関係で昼は軽くしか食べていない。
そう思うと、私のお腹もすいてきた気がす「くーっ」
‥‥穴があったら入りたい。お腹が返事をしなくてもいいじゃない。
村長さんもロランも気を利かせてくれて、私のお腹の音は聞こえなかったように振舞ってくれる。
なんと、村長さんの家で夕食を振舞ってもらえるとの事で、私たちはそのままお邪魔したのだった。
所変わって、村長さんのお宅。
沢山の料理に囲まれながら、私は勧められた料理を片っ端から食べていた。
円型のテーブルに、村長さん、ロラン、私、息子さんの奥さん、息子さん、村長の奥さんの順で座っている。
村長の奥さんが料理を出してくれて、息子さんの奥さんが私とロランに料理を取り分けてくれていた。
「何から何まで、すみません」
ロランがお皿を受け取ると、全員に向けて頭を下げる。
「お料理、とても美味しいです。ありがとうございます」
私もロランを見習って、頭を下げた。
「いえいえ、こちらは助けて頂きましたから。これくらい、させてください」
そう村長さんの奥さんは笑って言ってくれた。本当に料理が美味しい。
ロランは麦で作ったエールを村長さんと飲んでいる。
私は桃から作られたジュースをもらった。何となくだけど、疲れが取れた気がする。
そんな和気藹々とした夕食になったのだった。
夕食後。
私たちは村長さんに呼び出され、前と同じ場所に案内された。
そして、真剣な顔で私たちに話し始める。
「実は本日、早馬で伝令がございました。私たちの村の近くの森から、強い魔力を感じた者がいると」
そう言えば、うちの騎士にそう言う体質の者がいた気がする。
強い魔力を感じ取る事ができる人‥‥確か偵察部隊にいたはずだ。
「何でも、最近シャルモンの街近くの森で、ゴブリンメイジが発見されたらしく、モンテーニュ辺境伯様とギルド長が相談して、偵察部隊を送ったようなのです」
あ、私が倒したゴブリンメイジの件がもう伝わっているのか。仕事が早い。
「そのため、明日ギルド長がこの村に来られるらしいです。その時に、紅玉のメンバーにも話を聞きたいとのことでした」
「わざわざありがとうございます。けれども、料理前に伝えていただければ、良かったのですが」
その通りだ。別にご飯までご馳走にならなくても良かったのに。
そう思っていると、笑いながら村長さんが答えてくれる。
「いえいえ、あれは本当に感謝の気持ちですから。美味しく食べて頂いて、家内も嬉しそうでした」
やっぱりこの村長さんには叶わないな、と私は思った。
翌日。
私たちは早朝に村長さんのお宅にお邪魔していた。
なんと、昨日聞いてた時刻よりも早くギルド長が着いたらしい。
そのため、目の前にはギルド長、横にはロランが座っている。
するとなぜか私が部屋に防音魔法を掛けるようにギルド長から頼まれた。
「ほぅ、惚れ惚れするような防音魔法ですね」
とじっくり見られたので、少し恥ずかしい。
「私の足ならもっと早かったのに、護衛が必要だからって馬を使わされたんだよ」
口を尖らせて話し始めるギルド長。呆れるロラン。
「流石にギルド長を一人で向かわせられませんって」
「だけどさ‥‥まあ、いいか。ここまで来れたわけだし。で、昨日確認してどうだったの?」
そう聞かれてロランは顔をこちらに向けてくる。私は縦に頷く。
その姿を見たギルド長は少し驚いたような顔をしていた。
「セリーくんがロランくんに懐いてる‥‥」
「それよりもギルド長。昨日伝令が言ってた強大な魔力のことですが‥‥」
素早く遮られたので、その話は諦めたらしい。
「確か二人は昨日探索したんでしょ?何か見つかった?」
「‥‥アウラウネです」
ロランの言葉にその場の空気が固まった。
「あ、アウラウネ‥‥だって?」
「はい。しかも人語を話しました」
それ以外にも、ワイルドボアを禁忌魔法(精神系)で操っていたこと、魔石を取り込んで進化したことも話す。
一旦話が区切られると、ギルド長は額に手を当てて後ろに倒れこんだ。
「嘘でしょ。それこの村だけじゃなくて、モンテーニュ領の危機だったってことかぁ。しかもそれを二人で倒したんでしょ?危ないことするね、君たち」
「実際俺も精神操作の魔法にかかりました」
その言葉を聞いてギルド長の目が見開いた。
「何だって!?大丈夫だったのかい?!」
「セリーのお陰で、解除して貰いました。朝もセリーに様子を見て貰いましたが、問題なさそうです」
今もオーラを確認しているが、紫色のオーラはどこにもない。大丈夫と言えるだろう。
「はぁ、本当にセリーくんとロランくんがいてくれて良かったよ。あとは何かあるかい?」
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