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第2章 冒険者編 ~シャルモンの街~
決着がつきました
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「何が起こった?」
光に包まれた私たちを見逃すまい、とアウラウネは目を凝らしている。
だが、光が収まった瞬間に二人の姿はない。
「あの人間たちはどこだ?」
「‥‥ここだ」
「身体拘束」
アウラウネが振り向こうとした瞬間に、ロランが下半身の蔓を切りつける。
それと同時に私は拘束魔法をアウラウネ対象に発動する。
詠唱をするのは、もちろん。確実に拘束するためだ。
「ロラン、お前は女を倒せ!」
ロランが精神操作にまだ掛かっていると勘違いしているアウラウネは、ロランに命令する。
しかし、いくら言っても時間が経っても命令を実行しないロランに気が付いたようだ。
「まさか女‥‥精神操作の魔法を解いたのか!?」
アウラウネはやっと今の状況に気づいたらしい。そして自分が追い詰められていることにも。
「そんな、どうやって」
「お前が知る必要はない」
そうロランが発した瞬間、風魔法でアウラウネの首が宙に飛んだ。
地面に落ちた顔は、〝驚愕の表情〟と言う言葉が当てはまる。
アウラウネは絶命する瞬間、負けたことに気づいたのだ。
そして二人は無言のまま、しばらくはアウラウネ の残骸と向き合っていた。
どれくらい経ったのだろうか。太陽はまだ燦々と降り注いでいる。
静かな森の中、二人は無言だった。その空気を破るために先に動いたのは、私だった。
「ロラン‥‥無事で、良かった‥‥」
ロランの後ろ姿に話しかける。
それと同時に緊張が途切れたからか、ふらっと土の上に倒れてしまった。
「セリー‥‥」
ロランは私を土の上から起こしてくれる。だがその顔には苦悶の表情が。
操られていたとはいえ、私に刃を向けたことが許せないのだろう。
だって、ロランは優しいから。表情で考えていることは何となく分かる。
何かを言おうとするロランを遮り、私は立ち上がり、彼の両腕を掴みながら話し続ける。
「あの魔法は私も防げなかった。辛い思いをさせて、ごめんなさい‥‥でも本当に、本当にロランが無事で良かった」
「‥‥怒ってないのか?」
「怒るはずないじゃない!むしろ助けられなくてごめんなさい‥‥」
言い切った後、ふと私の頰に冷たいものが伝う。ああ、涙だ、と気づくには時間がかかった。
ロランは私の言葉を聞いても表情を変えることはなかったが、ポケットからハンカチを取り出し、涙を拭ってくれる。
そして拭い終わったと思ったら、私の身体は大きく暖かいものに包まれる。
何が起こったのか分からなかったが、上から声が聞こえて抱きしめられたことに気づく。
「守れなくてごめん、セリー。救ってくれて助かった。ありがとう」
その優しい声に安心して、また涙が溢れてくる。
ロランはそんな私に気づいているのか、壊れ物を扱うかのように頭も撫でてくれた。
私も手持ち無沙汰だった手を、彼の広く逞しい背中に伸ばす。
それから私たちは樹々に見守られながら、しばらくの間抱きしめあった。
どれくらい経ったのだろうか、私の体感からすれば長く感じたが、太陽の位置を見るとそうでもないらしい。
落ち着いた私たちは、アウラウネの残骸をどうするか話し合っていた。
さっきの事が無かったようになっているのは、残念だ。でも思い出すと恥ずかしいからいいのかもしれない。
アウラウネをちらっと見ると、キラッと光るものがあった。
「セリー、どうした?」
私がそばに行って拾うと、魔石が2つ落ちていた。
一つはアウラウネのもの、もう一つは‥‥与えられたもの。
「与えられた魔石の方が、でかいな」
近くで飲み込むところを見ていたロランが言うには、小さい方がアウラウネのものらしい。
「これは危ないので、私が収納しておきます」
「悪い。助かる‥‥しかしなー、アウラウネはどうする?」
ここに置いていくわけにもいかない。持っていくしかない‥‥かな?
「一緒に持って行きましょう」
「‥‥やっぱりそれが一番か。本当にすまない」
「いいえ、慣れてますから大丈夫です」
「慣れてる」と聞いて首をひねっているあろうロランを尻目に、私はアウラウネを収納する。
昔、お兄様がまだ旅立つ前に、二人と騎士でアウラウネを討伐したことがある。
その時も一番大きい収納魔法だからと、私が持っていったのをふと思い出した。
その事でふふふ、と思い出し笑いをしたのがロランに見られたらしい。
ロランは不思議そうな顔でこちらを見ていた。
「どうした?」
「いえ、昔お兄様と騎士の皆さんでアウラウネを討伐した事があるのですが、その時のことを思い出しました」
そう答えるとロランは、納得したような表情になった。
「アドと、ね。その話、興味あるな。聞かせてくれないか?」
「分かりました。帰りに話しますね」
そうして私たちのワイルドボア討伐ーーならぬアウラウネ討伐は、私たちの勝利で幕を閉じたのだった。
光に包まれた私たちを見逃すまい、とアウラウネは目を凝らしている。
だが、光が収まった瞬間に二人の姿はない。
「あの人間たちはどこだ?」
「‥‥ここだ」
「身体拘束」
アウラウネが振り向こうとした瞬間に、ロランが下半身の蔓を切りつける。
それと同時に私は拘束魔法をアウラウネ対象に発動する。
詠唱をするのは、もちろん。確実に拘束するためだ。
「ロラン、お前は女を倒せ!」
ロランが精神操作にまだ掛かっていると勘違いしているアウラウネは、ロランに命令する。
しかし、いくら言っても時間が経っても命令を実行しないロランに気が付いたようだ。
「まさか女‥‥精神操作の魔法を解いたのか!?」
アウラウネはやっと今の状況に気づいたらしい。そして自分が追い詰められていることにも。
「そんな、どうやって」
「お前が知る必要はない」
そうロランが発した瞬間、風魔法でアウラウネの首が宙に飛んだ。
地面に落ちた顔は、〝驚愕の表情〟と言う言葉が当てはまる。
アウラウネは絶命する瞬間、負けたことに気づいたのだ。
そして二人は無言のまま、しばらくはアウラウネ の残骸と向き合っていた。
どれくらい経ったのだろうか。太陽はまだ燦々と降り注いでいる。
静かな森の中、二人は無言だった。その空気を破るために先に動いたのは、私だった。
「ロラン‥‥無事で、良かった‥‥」
ロランの後ろ姿に話しかける。
それと同時に緊張が途切れたからか、ふらっと土の上に倒れてしまった。
「セリー‥‥」
ロランは私を土の上から起こしてくれる。だがその顔には苦悶の表情が。
操られていたとはいえ、私に刃を向けたことが許せないのだろう。
だって、ロランは優しいから。表情で考えていることは何となく分かる。
何かを言おうとするロランを遮り、私は立ち上がり、彼の両腕を掴みながら話し続ける。
「あの魔法は私も防げなかった。辛い思いをさせて、ごめんなさい‥‥でも本当に、本当にロランが無事で良かった」
「‥‥怒ってないのか?」
「怒るはずないじゃない!むしろ助けられなくてごめんなさい‥‥」
言い切った後、ふと私の頰に冷たいものが伝う。ああ、涙だ、と気づくには時間がかかった。
ロランは私の言葉を聞いても表情を変えることはなかったが、ポケットからハンカチを取り出し、涙を拭ってくれる。
そして拭い終わったと思ったら、私の身体は大きく暖かいものに包まれる。
何が起こったのか分からなかったが、上から声が聞こえて抱きしめられたことに気づく。
「守れなくてごめん、セリー。救ってくれて助かった。ありがとう」
その優しい声に安心して、また涙が溢れてくる。
ロランはそんな私に気づいているのか、壊れ物を扱うかのように頭も撫でてくれた。
私も手持ち無沙汰だった手を、彼の広く逞しい背中に伸ばす。
それから私たちは樹々に見守られながら、しばらくの間抱きしめあった。
どれくらい経ったのだろうか、私の体感からすれば長く感じたが、太陽の位置を見るとそうでもないらしい。
落ち着いた私たちは、アウラウネの残骸をどうするか話し合っていた。
さっきの事が無かったようになっているのは、残念だ。でも思い出すと恥ずかしいからいいのかもしれない。
アウラウネをちらっと見ると、キラッと光るものがあった。
「セリー、どうした?」
私がそばに行って拾うと、魔石が2つ落ちていた。
一つはアウラウネのもの、もう一つは‥‥与えられたもの。
「与えられた魔石の方が、でかいな」
近くで飲み込むところを見ていたロランが言うには、小さい方がアウラウネのものらしい。
「これは危ないので、私が収納しておきます」
「悪い。助かる‥‥しかしなー、アウラウネはどうする?」
ここに置いていくわけにもいかない。持っていくしかない‥‥かな?
「一緒に持って行きましょう」
「‥‥やっぱりそれが一番か。本当にすまない」
「いいえ、慣れてますから大丈夫です」
「慣れてる」と聞いて首をひねっているあろうロランを尻目に、私はアウラウネを収納する。
昔、お兄様がまだ旅立つ前に、二人と騎士でアウラウネを討伐したことがある。
その時も一番大きい収納魔法だからと、私が持っていったのをふと思い出した。
その事でふふふ、と思い出し笑いをしたのがロランに見られたらしい。
ロランは不思議そうな顔でこちらを見ていた。
「どうした?」
「いえ、昔お兄様と騎士の皆さんでアウラウネを討伐した事があるのですが、その時のことを思い出しました」
そう答えるとロランは、納得したような表情になった。
「アドと、ね。その話、興味あるな。聞かせてくれないか?」
「分かりました。帰りに話しますね」
そうして私たちのワイルドボア討伐ーーならぬアウラウネ討伐は、私たちの勝利で幕を閉じたのだった。
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