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第2章 冒険者編 ~シャルモンの街~
様子がおかしいです
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まず、防御魔法と言いながら防音魔法も展開した理由。それは、これから話す話が聞かれるとマズイからである。ロランにはいきなり押し入った事を謝罪し、私は今日のことについて話し始めた。私が考えていたことである。
最初に私はワイルドボアの話をした。ロランは中位か上位種ではないか、と戦闘中声をかけたが、あれは正真正銘普通のワイルドボアだ。ただし、特殊な例だと思われる。
あのワイルドボアは魔の森の奥地からこの村まで降りてきた種と思われる。魔の森の奥地は、メール村近くよりも強い魔物が多く、ワイルドボアでも普通の種と比べると1段階、もしくは2段階強い。魔種と呼ばれている。
「あの速さと魔力があったから、中位種かとも思ったが‥‥魔の森の種か」
ロランは知らなかったらしい。何度かこの領には兄と来ているらしいが、基本は魔の森の浅瀬での依頼が多く、そこまで魔の森の魔物と戦ったことがないらしい。
確かに、魔種は主に私たち家族と、騎士が討伐していたことを思い出す。
「でも、魔種がここに出てくるのか?」
「いえ、今まで一度もなかったかと思います」
なんだかんだお父様やお母様の仕事は色々と話に聞いていた。魔の森で進化を遂げた種が村付近に出ていたなどと聞いたことがない。そんな話があれば、多分両親が騎士を送り込んでいただろう。そう考えれば、この村の依頼を私たちが受けていてよかったのかもしれない。
「なるほど‥‥ちなみにその事を村長の前で言わなかった理由は?」
確かに私がこの事を知っているならば、話した方がよかったのかもしれない。けれども、話せない理由ももちろんあった。
「それは次の話に関わります。2点目が、あのワイルドボアたちは操られている可能性があります」
「‥‥なんだと?」
普段魔力を使っている際には、目に見えないオーラが人や魔物の周りにうっすらとまとわりついている。
例えばロランが何か風魔法を使えば緑色のオーラに包まれるし、私のように防御魔法が属する無属性魔法を使うと黄色になるし、光魔法は白色のオーラに包まれる。
ちなみにそのオーラは、自分で魔法を使った時だけではなく、誰かに魔法を掛けられた場合も色が変わるらしい。例えば私がロランの剣に火魔法をまとわせたら、ロランのオーラも火=赤色になる。だが、その効果が消えるとオーラも戻る。
「魔種のワイルドボアは普通種よりも速さと力が向上しているだけであり、魔力はありません。ですが、オーラの色は違いました」
何も魔力を使っていないときは、オーラは勿論見えない。
「オーラの色でセリーは判別するのか?」
「ええ、昔から私には見えていました。うっすらとですが」
これはあとでロランから聞いたが、滅多にない特殊な能力らしい。
世間には、「人が保有する魔力量がわかる能力」「相手の保有属性を判断する能力」など、特殊能力を持つ人も多い。私もそのうちの一人で「魔力の色で使用した魔法がわかる能力」を持っている。なので正確に言うと、私が勝手に言っている色は、私から見えてそう見えるだけなのだ。火なら赤色だし、闇なら黒とね。
だが今回は違う。世にバレたら問題になるものだ。
「今回は‥‥紫です」
「紫?」
「‥‥‥禁忌魔法と呼ばれるものです」
禁忌魔法ーー精神操作や魅了などの、人間の道徳に反する行為をする魔法の事である。
世間一般には知られていないこの魔法は、首都にある王宮の図書館の内部にある閲覧禁止場所に蔵書が保管されている。
禁忌魔法には適性がなく、無属性魔法と同じように使えるため蔵書はお蔵入りとなっている。
当然ながら、魔物はそれに当てはまらない。
「禁忌魔法だと?昔アドが少し話していたが詳しくは知らん‥‥だが使える者はいないはずだ」
「人間ではいません」
「もしかして魔物か?」
正確に言うと、魔種の中でも上位種の魔物である。しかも‥‥
「予想ではワイルドボアは精神操作の魔法を掛けられているかと思います」
「精神操作‥‥聞いただけでやばそうな名前だな」
相手の精神を支配してしまう魔法である。人間が禁忌魔法と呼ぶのも頷ける。とにかく前進、とでも命令されていたと思う。第二陣のワイルドボアが最後に逃げ出したのは、何かの拍子で精神支配が解けた可能性もある。支配した相手が解いた可能性もあるが、そこはなんとも言えない。
「だが、俺に話すなら何か対策はあるのだろ?」
精神魔法だけの対策なら光魔法でどうにかできる。だが、いかにせん情報が足りない。
「ロランの〝追跡魔法〟によります。その結果でまた考える予定です」
「分かった。今の様子を見ると、まだ逃した奴らは山道を走って行ってるようだ。何かあれば連絡する」
風による追跡は自然の風を利用するので、偽装しやすく見つかりにくい方法だ。実は無属性魔法にも追跡魔法はあるのだが、自身の魔力を相手に纏わせて行う魔法なので、魔力に敏感な魔物や上位種、そして私のような能力を持つ者には追跡魔法だとバレてしまう可能性が高い。
それがロランにお願いした理由だ。
今の所は探索魔法を利用しても広範囲に強い魔物の気配は見つからなかった。そしてロランとともに村長たちに報告後、村全体に防御魔法を掛けている。だから外部からの攻撃は問題ないだろう。
何事もないことを願いつつ、二人とも部屋で休むことにしたのだった。
最初に私はワイルドボアの話をした。ロランは中位か上位種ではないか、と戦闘中声をかけたが、あれは正真正銘普通のワイルドボアだ。ただし、特殊な例だと思われる。
あのワイルドボアは魔の森の奥地からこの村まで降りてきた種と思われる。魔の森の奥地は、メール村近くよりも強い魔物が多く、ワイルドボアでも普通の種と比べると1段階、もしくは2段階強い。魔種と呼ばれている。
「あの速さと魔力があったから、中位種かとも思ったが‥‥魔の森の種か」
ロランは知らなかったらしい。何度かこの領には兄と来ているらしいが、基本は魔の森の浅瀬での依頼が多く、そこまで魔の森の魔物と戦ったことがないらしい。
確かに、魔種は主に私たち家族と、騎士が討伐していたことを思い出す。
「でも、魔種がここに出てくるのか?」
「いえ、今まで一度もなかったかと思います」
なんだかんだお父様やお母様の仕事は色々と話に聞いていた。魔の森で進化を遂げた種が村付近に出ていたなどと聞いたことがない。そんな話があれば、多分両親が騎士を送り込んでいただろう。そう考えれば、この村の依頼を私たちが受けていてよかったのかもしれない。
「なるほど‥‥ちなみにその事を村長の前で言わなかった理由は?」
確かに私がこの事を知っているならば、話した方がよかったのかもしれない。けれども、話せない理由ももちろんあった。
「それは次の話に関わります。2点目が、あのワイルドボアたちは操られている可能性があります」
「‥‥なんだと?」
普段魔力を使っている際には、目に見えないオーラが人や魔物の周りにうっすらとまとわりついている。
例えばロランが何か風魔法を使えば緑色のオーラに包まれるし、私のように防御魔法が属する無属性魔法を使うと黄色になるし、光魔法は白色のオーラに包まれる。
ちなみにそのオーラは、自分で魔法を使った時だけではなく、誰かに魔法を掛けられた場合も色が変わるらしい。例えば私がロランの剣に火魔法をまとわせたら、ロランのオーラも火=赤色になる。だが、その効果が消えるとオーラも戻る。
「魔種のワイルドボアは普通種よりも速さと力が向上しているだけであり、魔力はありません。ですが、オーラの色は違いました」
何も魔力を使っていないときは、オーラは勿論見えない。
「オーラの色でセリーは判別するのか?」
「ええ、昔から私には見えていました。うっすらとですが」
これはあとでロランから聞いたが、滅多にない特殊な能力らしい。
世間には、「人が保有する魔力量がわかる能力」「相手の保有属性を判断する能力」など、特殊能力を持つ人も多い。私もそのうちの一人で「魔力の色で使用した魔法がわかる能力」を持っている。なので正確に言うと、私が勝手に言っている色は、私から見えてそう見えるだけなのだ。火なら赤色だし、闇なら黒とね。
だが今回は違う。世にバレたら問題になるものだ。
「今回は‥‥紫です」
「紫?」
「‥‥‥禁忌魔法と呼ばれるものです」
禁忌魔法ーー精神操作や魅了などの、人間の道徳に反する行為をする魔法の事である。
世間一般には知られていないこの魔法は、首都にある王宮の図書館の内部にある閲覧禁止場所に蔵書が保管されている。
禁忌魔法には適性がなく、無属性魔法と同じように使えるため蔵書はお蔵入りとなっている。
当然ながら、魔物はそれに当てはまらない。
「禁忌魔法だと?昔アドが少し話していたが詳しくは知らん‥‥だが使える者はいないはずだ」
「人間ではいません」
「もしかして魔物か?」
正確に言うと、魔種の中でも上位種の魔物である。しかも‥‥
「予想ではワイルドボアは精神操作の魔法を掛けられているかと思います」
「精神操作‥‥聞いただけでやばそうな名前だな」
相手の精神を支配してしまう魔法である。人間が禁忌魔法と呼ぶのも頷ける。とにかく前進、とでも命令されていたと思う。第二陣のワイルドボアが最後に逃げ出したのは、何かの拍子で精神支配が解けた可能性もある。支配した相手が解いた可能性もあるが、そこはなんとも言えない。
「だが、俺に話すなら何か対策はあるのだろ?」
精神魔法だけの対策なら光魔法でどうにかできる。だが、いかにせん情報が足りない。
「ロランの〝追跡魔法〟によります。その結果でまた考える予定です」
「分かった。今の様子を見ると、まだ逃した奴らは山道を走って行ってるようだ。何かあれば連絡する」
風による追跡は自然の風を利用するので、偽装しやすく見つかりにくい方法だ。実は無属性魔法にも追跡魔法はあるのだが、自身の魔力を相手に纏わせて行う魔法なので、魔力に敏感な魔物や上位種、そして私のような能力を持つ者には追跡魔法だとバレてしまう可能性が高い。
それがロランにお願いした理由だ。
今の所は探索魔法を利用しても広範囲に強い魔物の気配は見つからなかった。そしてロランとともに村長たちに報告後、村全体に防御魔法を掛けている。だから外部からの攻撃は問題ないだろう。
何事もないことを願いつつ、二人とも部屋で休むことにしたのだった。
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