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第1章 旅立ち編 〜冒険者になろう〜
依頼を手伝ってくれるらしいです
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「嬢さん‥‥いや、その前に自己紹介するべきだったな、すまん。俺はロラン。冒険者をしている」
「ロラン‥‥さん、改めて助けて頂きありがとうございます。私はセリーと申します」
私も自己紹介をしていない事に気づく。
最初があの状況だった事と、私が半泣き状態だったこともあったので、仕方ないと思う。
本当にロランさんが良い人で良かった。
「セリーか、よろしくな。俺は呼び捨てでいいぞ?さん付けなんて、こそばゆいだけだしな」
「え‥‥ですが‥‥」
「良いから良いから!その代わり俺もセリーって呼ぶから」
ロランさーー、ロランが言うのなら、そう呼べば良いのかもしれない。
彼も私のことをセリー、と呼び捨てで呼ぶのならおあいこだし。
そう考えていると、ロランがウエストポーチ辺りをごそごそと探していた。
「一応身分証明書のカードだ。ほれ」
先程チラリと見えた物だろう。やはり金色のカードのようだ。
そう言えば、ギルドから貰った紙に記載されていた気がする。
駆け出しの私は白いカードになるが、級が上がるごとによって色が変わることがあるらしい、と。
ロランのカードにはA級と書かれていた。
「A級、凄いですね」
昨日お兄様の冒険者イロハを思い出した時に、初対面の人にはまず褒めておけば良いよ、と言う言葉があったので、実践をしてみる。
するとロランは目を丸くしたが、すぐに微笑みながら私に返答する。
「いや、セリーの方が凄いだろ。清浄の魔法をぽんぽん使えるなんてさ」
そんなに凄いことなのかな?と思うのだが、どう言葉を返すべきかがわからない。
黙っていると、何を勘違いしたのかロランが焦って話し始めた。
「あ、悪い。詮索するつもりはなかったんだが‥‥」
「いえ、大丈夫です‥‥」
「そ、そうか‥‥?」
私からすれば、清浄魔法など幼少期から当たり前にできていた魔法だ。
だから凄い、と言われて実感が無かっただけ、なんだけれども。
そう言えばお兄様も、無闇矢鱈に情報開示をしてはいけない、とも言っていた。
この事を伝えるのが良い事なのかのかどうかが分からない、どうするべきか悩んでいたが
彼も彼で、こめかみに手を当てている。何かを悩んでいるようだ。
少し間をおいてたが、ロランは何かを決心したのか、私の方に顔を向け
「なあ、もしセリーが良ければの話なんだが‥‥一緒に依頼をこなしてみるか?」
彼は真剣な目で私に問いかけてきた。
「あ、別に嫌だったら良いぞ?無理強いはしないからな?」
慌てふためくロランを他所に、私は彼の提案を真摯に受け止める。
ロランは私を助けてくれたし、私の問題点を示してくれた。
それに、その後の粗相にも愚痴を言う事なく優しくしてくれた。
一番大きかったのは、ギルドカードを見せてくれた事だけど。
考えた末、私はお願いする事にした。
「本当に良いのか?」
とまた聞かれたけれど、お願いします。と答えておいた。
朝早くギルドに行ったこともあって、昼前にはロランと一緒に依頼へと出発することができた。
そして先程はグスグス泣いていたので気づかなかったが、シートの周りには防音魔法がかけられていた。
綺麗な層の防音魔法だ。魔力操作をしっかり訓練しているのだろう。
魔力操作が上手くなければ魔法で作成した層の厚みがバラバラになってしまい、中で声が反響したり、ふとした拍子に層に穴が開いてしまう事もある。
流石A級の冒険者ね、と思いつつ、回復草のありそうな草原と森林の境目辺りに向かう。
休憩に使っていた大木が見えなくなり、森林地帯がくっきりと見えてきたところで、ロランが私の前に手を出した。
ロランは静かに腰を屈め、近くにある大岩を指差しそこに向かう。そして二人で身を隠す。
「あそこに1体ゴブリンがいる。セリー、倒せるか?」
ゴブリンは魔物の中でも弱いモンスターでF級やE級の冒険者がよく倒す魔物らしい。
だが、集団で行動することが多いので、ギルドでは新人が倒す場合、複数で倒す事を推奨している‥‥と後でロランから聞いた。
大岩からちらっと覗くと、100Mほど先にゴブリンが棍棒を持って歩いていた。
こちらにはまだ気づいていないようだ。
珍しい。ロランの言うように1体だけだ。迷子になったのだろうか?
周りには私たち以外魔物も人もいないようだったので、ロランには小声でできます、と返しておく。
‥‥これだったら、初級魔法の火球辺りで倒せば良いでしょう。念の為周りに火が付かないように、火球の軌道上に防御魔法もかけておけば問題ないはず。
頭の中で魔法陣を思い浮かべると、私の目の前には思い浮かべた2種類の魔法陣が浮かぶ。
一つは赤色の魔法陣ーー火球、そしてもう一つは黄色の魔法陣ーー防御魔法
隣でロランが、「なっ、な、な‥‥」と呆然としている。何故だろうか?
その魔法陣の真ん中を指で触れる。
そうすれば、すぐに魔法が展開されると言う仕組みだ。
防御魔法をゴブリンの頭の後ろ、火球の軌道上に設置し火球を展開。
私の火球は指先程度の大きさに圧縮されており、人には出せない速さで一直線に突き進む。
お父様曰く、指から光が出ているみたいだね、凄いよセリーヌ!なんて言われたことがある。
今回のゴブリンも、私が魔法を使用した1秒後に頭に穴が空き、その場に倒れた。
周りに誰もいない事を確認し、ロランと二人でゴブリンの元に向かう。
ゴブリンは完全に死亡。こめかみにある1cmほどの火球による穴は私の予想通り貫通している。
もう少し上を狙ったのだが、少し狙いが外れてしまった。精進しなければ。
そんな私の決意を知らないロランは、なんとも間抜けそうな顔で私の顔を見る。
「おいおい、マジかよ‥‥」
彼のそのつぶやきは、精進しなければ!という決意を固めていた私の耳には届いていなかったのだった。
「ロラン‥‥さん、改めて助けて頂きありがとうございます。私はセリーと申します」
私も自己紹介をしていない事に気づく。
最初があの状況だった事と、私が半泣き状態だったこともあったので、仕方ないと思う。
本当にロランさんが良い人で良かった。
「セリーか、よろしくな。俺は呼び捨てでいいぞ?さん付けなんて、こそばゆいだけだしな」
「え‥‥ですが‥‥」
「良いから良いから!その代わり俺もセリーって呼ぶから」
ロランさーー、ロランが言うのなら、そう呼べば良いのかもしれない。
彼も私のことをセリー、と呼び捨てで呼ぶのならおあいこだし。
そう考えていると、ロランがウエストポーチ辺りをごそごそと探していた。
「一応身分証明書のカードだ。ほれ」
先程チラリと見えた物だろう。やはり金色のカードのようだ。
そう言えば、ギルドから貰った紙に記載されていた気がする。
駆け出しの私は白いカードになるが、級が上がるごとによって色が変わることがあるらしい、と。
ロランのカードにはA級と書かれていた。
「A級、凄いですね」
昨日お兄様の冒険者イロハを思い出した時に、初対面の人にはまず褒めておけば良いよ、と言う言葉があったので、実践をしてみる。
するとロランは目を丸くしたが、すぐに微笑みながら私に返答する。
「いや、セリーの方が凄いだろ。清浄の魔法をぽんぽん使えるなんてさ」
そんなに凄いことなのかな?と思うのだが、どう言葉を返すべきかがわからない。
黙っていると、何を勘違いしたのかロランが焦って話し始めた。
「あ、悪い。詮索するつもりはなかったんだが‥‥」
「いえ、大丈夫です‥‥」
「そ、そうか‥‥?」
私からすれば、清浄魔法など幼少期から当たり前にできていた魔法だ。
だから凄い、と言われて実感が無かっただけ、なんだけれども。
そう言えばお兄様も、無闇矢鱈に情報開示をしてはいけない、とも言っていた。
この事を伝えるのが良い事なのかのかどうかが分からない、どうするべきか悩んでいたが
彼も彼で、こめかみに手を当てている。何かを悩んでいるようだ。
少し間をおいてたが、ロランは何かを決心したのか、私の方に顔を向け
「なあ、もしセリーが良ければの話なんだが‥‥一緒に依頼をこなしてみるか?」
彼は真剣な目で私に問いかけてきた。
「あ、別に嫌だったら良いぞ?無理強いはしないからな?」
慌てふためくロランを他所に、私は彼の提案を真摯に受け止める。
ロランは私を助けてくれたし、私の問題点を示してくれた。
それに、その後の粗相にも愚痴を言う事なく優しくしてくれた。
一番大きかったのは、ギルドカードを見せてくれた事だけど。
考えた末、私はお願いする事にした。
「本当に良いのか?」
とまた聞かれたけれど、お願いします。と答えておいた。
朝早くギルドに行ったこともあって、昼前にはロランと一緒に依頼へと出発することができた。
そして先程はグスグス泣いていたので気づかなかったが、シートの周りには防音魔法がかけられていた。
綺麗な層の防音魔法だ。魔力操作をしっかり訓練しているのだろう。
魔力操作が上手くなければ魔法で作成した層の厚みがバラバラになってしまい、中で声が反響したり、ふとした拍子に層に穴が開いてしまう事もある。
流石A級の冒険者ね、と思いつつ、回復草のありそうな草原と森林の境目辺りに向かう。
休憩に使っていた大木が見えなくなり、森林地帯がくっきりと見えてきたところで、ロランが私の前に手を出した。
ロランは静かに腰を屈め、近くにある大岩を指差しそこに向かう。そして二人で身を隠す。
「あそこに1体ゴブリンがいる。セリー、倒せるか?」
ゴブリンは魔物の中でも弱いモンスターでF級やE級の冒険者がよく倒す魔物らしい。
だが、集団で行動することが多いので、ギルドでは新人が倒す場合、複数で倒す事を推奨している‥‥と後でロランから聞いた。
大岩からちらっと覗くと、100Mほど先にゴブリンが棍棒を持って歩いていた。
こちらにはまだ気づいていないようだ。
珍しい。ロランの言うように1体だけだ。迷子になったのだろうか?
周りには私たち以外魔物も人もいないようだったので、ロランには小声でできます、と返しておく。
‥‥これだったら、初級魔法の火球辺りで倒せば良いでしょう。念の為周りに火が付かないように、火球の軌道上に防御魔法もかけておけば問題ないはず。
頭の中で魔法陣を思い浮かべると、私の目の前には思い浮かべた2種類の魔法陣が浮かぶ。
一つは赤色の魔法陣ーー火球、そしてもう一つは黄色の魔法陣ーー防御魔法
隣でロランが、「なっ、な、な‥‥」と呆然としている。何故だろうか?
その魔法陣の真ん中を指で触れる。
そうすれば、すぐに魔法が展開されると言う仕組みだ。
防御魔法をゴブリンの頭の後ろ、火球の軌道上に設置し火球を展開。
私の火球は指先程度の大きさに圧縮されており、人には出せない速さで一直線に突き進む。
お父様曰く、指から光が出ているみたいだね、凄いよセリーヌ!なんて言われたことがある。
今回のゴブリンも、私が魔法を使用した1秒後に頭に穴が空き、その場に倒れた。
周りに誰もいない事を確認し、ロランと二人でゴブリンの元に向かう。
ゴブリンは完全に死亡。こめかみにある1cmほどの火球による穴は私の予想通り貫通している。
もう少し上を狙ったのだが、少し狙いが外れてしまった。精進しなければ。
そんな私の決意を知らないロランは、なんとも間抜けそうな顔で私の顔を見る。
「おいおい、マジかよ‥‥」
彼のそのつぶやきは、精進しなければ!という決意を固めていた私の耳には届いていなかったのだった。
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