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第1章 旅立ち編 〜冒険者になろう〜
ギルドに行こう
しおりを挟む
「それではお嬢様、私共は失礼します」
「ここまで案内助かりました。気をつけて帰宅を」
「勿体無いお言葉ありがとうございます、それではご武勇を」
アルノーたちと別れた私は、シャルモンの街の入り口を目指した。
辺境伯の馬車なら素通りであるが、今の私は一介の冒険者。
お兄様の話にもあったように、身分をひけらかすものではないと思う。
入り口には人だかりがあり、これが街に入場する列だと気づいた私はその列に並んだ。
何事もなく街に入ることができた私は、最初に何をすべきかを考える。
そう言えば、お兄様から冒険者のイロハを教わったような気が‥‥完全に忘れていた。
大通りの道だと危ないと思ったので、少しだけ避けて頭に手を当てながら考える。
‥‥最初に言っていたのは、「ギルドに行く、宿を探す」だった気がする。
ギルドに行けば、身分証明書を発行してくれると聞いた。
これがあれば、すんなりと街にも入れるってお兄様が言っていたのを思い出す。
宿は満室になる可能性もあるから、一部屋は取るべきだという話もあった。
あとは宿はギルドがオススメするところが良い、とも言っていた気がする‥‥
「先にギルドに行くべきね」
そう当たりをつけて私はギルドに向かおうとした。
そして残念ながらギルドを見つけたのは、その15分後だった‥‥
お兄様のお言葉、迷ったら人に道を聞く‥‥本当に大切だ。
門から2、3分程歩くと大きめの建物がある。それがギルドだった。
ギルドに入ると、閑散としていた。
見回してみると、ギルド職員はいるが冒険者は数える程しかいない。
こんなものかなぁ?と思いつつも、私は受付の看板を見つけたので、そこに向かった。
受付には赤い髪を三つ編みにした、そばかすが特徴的な女性が座っている。
「あの、冒険者登録をしたいのですが」
「はい、新人さんでございます‥‥‥」
最初は明るく元気な声だったが、私の顔をみるや否や、口を半開きにして目を見開いていた。
そんなに私の顔に何か付いているかしら‥‥と思いつつも声をかける。
「あの、何か顔に付いてますか?」
「はっ‥‥すみません!ぼ、冒険者登録ですね!少々お待ちくださいませ!」
パタパタと後ろに向かったと思えば、ああと、ええと、と言いながら一枚の紙を渡してきた。
「こちらに名前と年齢と職業をご記入ください。あああ、すみません。自己紹介がまだでした!私はマリオンと申します!このギルドで受付等を担当しています!何かあれば私にお声掛けください!」
何故慌てているのかはわからないけれども、自己紹介されたので私もしておくべきかと考える。
お兄様に、挨拶と返事はしっかりするようにと念を押して言われていたのを思い出した。
「ご丁寧にありがとうございます。私はセリーと申します」
「あ‥‥は、はい」
流石に令嬢がやるカーテシーをしてしまうと辺境伯の娘だと分かってしまうだろうと、軽い礼をとる。
序でにセリーと名乗ったのは、お兄様やお父様、お母様にも何度も言われたからである。
そして丁度礼を取る前に書き終えていた紙を手渡した。
「あ、ありがとうございます。確認致しますので、少々お待ちください」
と言って彼女はまた席を立って何処かに行く。
ちなみに私は紙に
名前:セリー
年齢:15
職業:魔導士
と記載した。
魔導士は杖(魔法)を武器として専門に扱う者のことを言い、冒険者であげた実績によって呼ばれ方が変わるらしいことをお兄様から聞いた。
だから多くの人々は冒険者登録をして、依頼を受けているらしい。
ギルドで貰う冒険者カード、という物にも職業が書かれているが、依頼を受けることによっていつの間にか職業の名前が変わっていることがあるそうだ。
ちなみに魔法を専門に使う冒険者は
見習い:魔導士 一人前:魔導師 師匠クラス:大魔導の順番に呼び名が変わる。
そして、様々な功績を積んだ者が大魔導師と言われているそうだ。
兄曰く、「セリーヌなら大魔導でも良いんじゃない?」と笑われて言われたけれど、私ができる事などそんなにないと思うから見習いの魔導士だ。
しばらく待っていると焦って戻ってきたマリオンさんから手渡されたのは、一枚のカードだった。
これがお兄様の教えてくれた冒険者カードなる物だろうか。
疑問に思っていると、息を整えた彼女が色々と教えてくれた。
「これは冒険者カードと言います。今は何も書かれていませんが、この後情報の記載を行いますので、少々お待ちください。では、ギルドの基本事項をお伝えしますので、紙を見ながらご確認お願いします」
話を聞いて簡潔に纏めると
1、このカードが証明書となるので、無くさない・肌身離さず持っておく事
2、依頼を受けたいときや依頼を終えたときは、カードの提示を必ずする事
3、書面に書かれている規則違反をした場合、カードの没収・永久に冒険者登録はできない事
まず大事なのはこの3つであろう。
他にも色々教えてもらったり、記載があったが、後からもう一度確認することにした。
そしてその後、マリオンさんに案内されてある部屋に入ることとなった。
「ここまで案内助かりました。気をつけて帰宅を」
「勿体無いお言葉ありがとうございます、それではご武勇を」
アルノーたちと別れた私は、シャルモンの街の入り口を目指した。
辺境伯の馬車なら素通りであるが、今の私は一介の冒険者。
お兄様の話にもあったように、身分をひけらかすものではないと思う。
入り口には人だかりがあり、これが街に入場する列だと気づいた私はその列に並んだ。
何事もなく街に入ることができた私は、最初に何をすべきかを考える。
そう言えば、お兄様から冒険者のイロハを教わったような気が‥‥完全に忘れていた。
大通りの道だと危ないと思ったので、少しだけ避けて頭に手を当てながら考える。
‥‥最初に言っていたのは、「ギルドに行く、宿を探す」だった気がする。
ギルドに行けば、身分証明書を発行してくれると聞いた。
これがあれば、すんなりと街にも入れるってお兄様が言っていたのを思い出す。
宿は満室になる可能性もあるから、一部屋は取るべきだという話もあった。
あとは宿はギルドがオススメするところが良い、とも言っていた気がする‥‥
「先にギルドに行くべきね」
そう当たりをつけて私はギルドに向かおうとした。
そして残念ながらギルドを見つけたのは、その15分後だった‥‥
お兄様のお言葉、迷ったら人に道を聞く‥‥本当に大切だ。
門から2、3分程歩くと大きめの建物がある。それがギルドだった。
ギルドに入ると、閑散としていた。
見回してみると、ギルド職員はいるが冒険者は数える程しかいない。
こんなものかなぁ?と思いつつも、私は受付の看板を見つけたので、そこに向かった。
受付には赤い髪を三つ編みにした、そばかすが特徴的な女性が座っている。
「あの、冒険者登録をしたいのですが」
「はい、新人さんでございます‥‥‥」
最初は明るく元気な声だったが、私の顔をみるや否や、口を半開きにして目を見開いていた。
そんなに私の顔に何か付いているかしら‥‥と思いつつも声をかける。
「あの、何か顔に付いてますか?」
「はっ‥‥すみません!ぼ、冒険者登録ですね!少々お待ちくださいませ!」
パタパタと後ろに向かったと思えば、ああと、ええと、と言いながら一枚の紙を渡してきた。
「こちらに名前と年齢と職業をご記入ください。あああ、すみません。自己紹介がまだでした!私はマリオンと申します!このギルドで受付等を担当しています!何かあれば私にお声掛けください!」
何故慌てているのかはわからないけれども、自己紹介されたので私もしておくべきかと考える。
お兄様に、挨拶と返事はしっかりするようにと念を押して言われていたのを思い出した。
「ご丁寧にありがとうございます。私はセリーと申します」
「あ‥‥は、はい」
流石に令嬢がやるカーテシーをしてしまうと辺境伯の娘だと分かってしまうだろうと、軽い礼をとる。
序でにセリーと名乗ったのは、お兄様やお父様、お母様にも何度も言われたからである。
そして丁度礼を取る前に書き終えていた紙を手渡した。
「あ、ありがとうございます。確認致しますので、少々お待ちください」
と言って彼女はまた席を立って何処かに行く。
ちなみに私は紙に
名前:セリー
年齢:15
職業:魔導士
と記載した。
魔導士は杖(魔法)を武器として専門に扱う者のことを言い、冒険者であげた実績によって呼ばれ方が変わるらしいことをお兄様から聞いた。
だから多くの人々は冒険者登録をして、依頼を受けているらしい。
ギルドで貰う冒険者カード、という物にも職業が書かれているが、依頼を受けることによっていつの間にか職業の名前が変わっていることがあるそうだ。
ちなみに魔法を専門に使う冒険者は
見習い:魔導士 一人前:魔導師 師匠クラス:大魔導の順番に呼び名が変わる。
そして、様々な功績を積んだ者が大魔導師と言われているそうだ。
兄曰く、「セリーヌなら大魔導でも良いんじゃない?」と笑われて言われたけれど、私ができる事などそんなにないと思うから見習いの魔導士だ。
しばらく待っていると焦って戻ってきたマリオンさんから手渡されたのは、一枚のカードだった。
これがお兄様の教えてくれた冒険者カードなる物だろうか。
疑問に思っていると、息を整えた彼女が色々と教えてくれた。
「これは冒険者カードと言います。今は何も書かれていませんが、この後情報の記載を行いますので、少々お待ちください。では、ギルドの基本事項をお伝えしますので、紙を見ながらご確認お願いします」
話を聞いて簡潔に纏めると
1、このカードが証明書となるので、無くさない・肌身離さず持っておく事
2、依頼を受けたいときや依頼を終えたときは、カードの提示を必ずする事
3、書面に書かれている規則違反をした場合、カードの没収・永久に冒険者登録はできない事
まず大事なのはこの3つであろう。
他にも色々教えてもらったり、記載があったが、後からもう一度確認することにした。
そしてその後、マリオンさんに案内されてある部屋に入ることとなった。
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