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エピソード6
糸口
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アヒルタイガー
エピソード6
糸口
「よ、よせ!やめるんだ!」
リュウキが叫ぶが翔ら4人はジリジリと近づいてくる。
「さあ、変身するのだ!お前たち!タイフーンバラスに!」
ジョージ・ボーノが両手を広げるとどこからともなくつむじ風が巻き起こった。
それは竜巻のように天まで舞い上がった。やがて砂嵐となり前が見えなくなるほどになった。
「くっ!」リュウキはあまりの砂風に目を片手でかばう。
砂嵐が落ち着くとそこには砂の鎧をまとった翔たち4人がいた。
「アヒルタイガーよ、これが私の傑作、タイフーンバラスだ。さあ、お前たち!思う存分に暴れるがいい!」
すると翔たち4人のタイフーンバラスはリュウキの周りをぐるぐると走り始めた。やがて竜巻が起こりリュウキの身体が宙に浮き出す。
「うわっつ!」
吹き飛ばされ、倉庫の壁にぶち当たるリュウキ。
どんっ!鈍い音が響く。
次の瞬間、竜巻の中で光が輝いた。
「ファイヤー!アヒルタイガー!」
アヒルタイガーに変身したものの竜巻に巻き込まれたまま浮き上がり壁に激突する。
「うはっ!」
うずくまるアヒルタイガー。
「どうだ、アヒルタイガー。貴様もこれで終わりだ。私の実力を思い知ったか。はっはっはっは!」ボーノが満足げに笑った。
ふとアヒルタイガーは、足元に7メートルほどの鉄パイプがあるのに気づいた。両手でしっかりと握り締める。
「さあ、ラストダンスだアヒルタイガー!」ボーノが叫ぶ。
翔たちタイフーンバラスが再び周りはじめ竜巻が起こる。
アヒルタイガーが回転するとともに握り締めた鉄パイプも大きな円を描きだした。
ドン、バン!ゴッ!と鎧を砕く音がした。弱まる竜巻。
「ど、どうしたのだ、お前たち!」
砂の鎧を打ち砕かれた翔たちが倒れこんでいる。
逃げ出すボーノ。
アヒルタイガーの背中の翼が開き、あっという間にボーノの前に降り立った。
「ひっ、ひー!」
後ずさるボーノ。
「タイガーフック!」
アヒルタイガーの右フックがボーノの顔を打ち抜く。
吹っ飛ぶボーノ。そのまま夜の海へ音を立てて消えていった。
「おい、しっかりしろよ。」
明が声をかけるとリュウキが目を開けた。リュウキはボーノを倒したあと、しばらく気を失っていた。
「悪かったな、俺たち操られたとはいえ、お前をこんなめにあわせてしまって。意識はなんとなくあったんだ。夢遊病っていうのかな、あんな感じで身体が勝手に動きやがるんだ。」明は申し訳なさそうに言った。
「お互い様だよ、みんな痛そうだよ。」
アヒルタイガーが振った鉄パイプで、明たちも少なからず怪我をし、痛そうにしている。
「お前がアヒルタイガーだったなんてな。」翔が笑う。
「びっくりだよ。」と道彦。
「イテー、手加減してくれよ。」裕也が太ももをさすりながらレイナを連れてきた。
「あなたがアヒルタイガーだったの?」
「・・・・そうみたい。」
とリュウキが言うとみんなが笑い始めた。
明のカフェ「ハッピネス」―
カウンター越しに向かい合いコーヒーを飲んでいる道彦とカップを拭く明。
「そのトロフィー、何?」道彦が明に聞く。
「ああ、リトルリーグで準優勝したんだよ、オレ。」
「あれ?お前、野球してたの?」
「中学までな。肩壊してさ。練習しすぎたんだよ。」
「初めて聞いたよ、そんな話。」
「やっとさ、現実を最近受け入れられるようになったんだ。ははッ。大人になれたんだなー、オレ。で、トロフィーでも飾ろうと思いました。」
トロフィーの横にはチームの集合写真が飾られている。
道彦のスマホが鳴る―
「もしもし?あ、先輩。え、オズワイルドの居場所がわかったって?え?日本?日本にいるんですか?は、はい。わかりました。じゃーあとでメールに入れてください。どうもありがとうございました。」スマホをオフにする。
「日本にいるのかよ、オズのヤロー。」
「うん、オズワイルドが昔の研究者仲間に時々研究成果とか知らせる手紙を送っているらしいんだ。その中の手紙に住所が書いてあるものがあったらしいんだよ。メールで住所を送るってさ。」
道彦のスマホが短く鳴った―
「あ、来たきた。」スマホのアプリを開く道彦。
「あれ?この住所ここから結構近いじゃん。岬の方だよ。リュウキに知らせなきゃ。」
道彦がリュウキに電話する。
「あ、リュウキ?オズワイルドの居場所がわかったよ!日本にいるんだよ。びっくりだろ?
それもこの町から結構近いんだよ。住所言うよ・・・。」
リュウキに住所を言うと道彦は電話をきった。
「リュウキ一人で行くと危ないんじゃないか?」明が口をとがらす。
道彦のスマホが再び鳴る―
「はい。あ、先輩。どうしたんですか?え、ええ。わかりました。どうも、わざわざすいません。じゃあ。」スマホを閉じた。
「また、アメリカで研究している先輩か?」
「う、うん・・・。」
「どうしたんだよ。浮かない顔して。」
しばらく考えこむ道彦。
「うわっつ!」道彦が叫びながら飛び上がる。
「な、なんだよ。びっくりするだろー!」明もびっくりして飛び上がった。
店を飛び出す道彦。
「お、おい!」道彦が行った先に手を伸ばす明。
「なんだよ、わけわかんねーな。」明がふてくされる。
しばらくして、
カラカラーン!戻ってきた道彦が扉から顔を出す。
「わりぃ、車乗せてくんない?」財布を開いてタクシーに乗る金がないアピールをする道彦。
「わけわかんねーな。」明がもう一度ふてくされた。
エピソード6
糸口
「よ、よせ!やめるんだ!」
リュウキが叫ぶが翔ら4人はジリジリと近づいてくる。
「さあ、変身するのだ!お前たち!タイフーンバラスに!」
ジョージ・ボーノが両手を広げるとどこからともなくつむじ風が巻き起こった。
それは竜巻のように天まで舞い上がった。やがて砂嵐となり前が見えなくなるほどになった。
「くっ!」リュウキはあまりの砂風に目を片手でかばう。
砂嵐が落ち着くとそこには砂の鎧をまとった翔たち4人がいた。
「アヒルタイガーよ、これが私の傑作、タイフーンバラスだ。さあ、お前たち!思う存分に暴れるがいい!」
すると翔たち4人のタイフーンバラスはリュウキの周りをぐるぐると走り始めた。やがて竜巻が起こりリュウキの身体が宙に浮き出す。
「うわっつ!」
吹き飛ばされ、倉庫の壁にぶち当たるリュウキ。
どんっ!鈍い音が響く。
次の瞬間、竜巻の中で光が輝いた。
「ファイヤー!アヒルタイガー!」
アヒルタイガーに変身したものの竜巻に巻き込まれたまま浮き上がり壁に激突する。
「うはっ!」
うずくまるアヒルタイガー。
「どうだ、アヒルタイガー。貴様もこれで終わりだ。私の実力を思い知ったか。はっはっはっは!」ボーノが満足げに笑った。
ふとアヒルタイガーは、足元に7メートルほどの鉄パイプがあるのに気づいた。両手でしっかりと握り締める。
「さあ、ラストダンスだアヒルタイガー!」ボーノが叫ぶ。
翔たちタイフーンバラスが再び周りはじめ竜巻が起こる。
アヒルタイガーが回転するとともに握り締めた鉄パイプも大きな円を描きだした。
ドン、バン!ゴッ!と鎧を砕く音がした。弱まる竜巻。
「ど、どうしたのだ、お前たち!」
砂の鎧を打ち砕かれた翔たちが倒れこんでいる。
逃げ出すボーノ。
アヒルタイガーの背中の翼が開き、あっという間にボーノの前に降り立った。
「ひっ、ひー!」
後ずさるボーノ。
「タイガーフック!」
アヒルタイガーの右フックがボーノの顔を打ち抜く。
吹っ飛ぶボーノ。そのまま夜の海へ音を立てて消えていった。
「おい、しっかりしろよ。」
明が声をかけるとリュウキが目を開けた。リュウキはボーノを倒したあと、しばらく気を失っていた。
「悪かったな、俺たち操られたとはいえ、お前をこんなめにあわせてしまって。意識はなんとなくあったんだ。夢遊病っていうのかな、あんな感じで身体が勝手に動きやがるんだ。」明は申し訳なさそうに言った。
「お互い様だよ、みんな痛そうだよ。」
アヒルタイガーが振った鉄パイプで、明たちも少なからず怪我をし、痛そうにしている。
「お前がアヒルタイガーだったなんてな。」翔が笑う。
「びっくりだよ。」と道彦。
「イテー、手加減してくれよ。」裕也が太ももをさすりながらレイナを連れてきた。
「あなたがアヒルタイガーだったの?」
「・・・・そうみたい。」
とリュウキが言うとみんなが笑い始めた。
明のカフェ「ハッピネス」―
カウンター越しに向かい合いコーヒーを飲んでいる道彦とカップを拭く明。
「そのトロフィー、何?」道彦が明に聞く。
「ああ、リトルリーグで準優勝したんだよ、オレ。」
「あれ?お前、野球してたの?」
「中学までな。肩壊してさ。練習しすぎたんだよ。」
「初めて聞いたよ、そんな話。」
「やっとさ、現実を最近受け入れられるようになったんだ。ははッ。大人になれたんだなー、オレ。で、トロフィーでも飾ろうと思いました。」
トロフィーの横にはチームの集合写真が飾られている。
道彦のスマホが鳴る―
「もしもし?あ、先輩。え、オズワイルドの居場所がわかったって?え?日本?日本にいるんですか?は、はい。わかりました。じゃーあとでメールに入れてください。どうもありがとうございました。」スマホをオフにする。
「日本にいるのかよ、オズのヤロー。」
「うん、オズワイルドが昔の研究者仲間に時々研究成果とか知らせる手紙を送っているらしいんだ。その中の手紙に住所が書いてあるものがあったらしいんだよ。メールで住所を送るってさ。」
道彦のスマホが短く鳴った―
「あ、来たきた。」スマホのアプリを開く道彦。
「あれ?この住所ここから結構近いじゃん。岬の方だよ。リュウキに知らせなきゃ。」
道彦がリュウキに電話する。
「あ、リュウキ?オズワイルドの居場所がわかったよ!日本にいるんだよ。びっくりだろ?
それもこの町から結構近いんだよ。住所言うよ・・・。」
リュウキに住所を言うと道彦は電話をきった。
「リュウキ一人で行くと危ないんじゃないか?」明が口をとがらす。
道彦のスマホが再び鳴る―
「はい。あ、先輩。どうしたんですか?え、ええ。わかりました。どうも、わざわざすいません。じゃあ。」スマホを閉じた。
「また、アメリカで研究している先輩か?」
「う、うん・・・。」
「どうしたんだよ。浮かない顔して。」
しばらく考えこむ道彦。
「うわっつ!」道彦が叫びながら飛び上がる。
「な、なんだよ。びっくりするだろー!」明もびっくりして飛び上がった。
店を飛び出す道彦。
「お、おい!」道彦が行った先に手を伸ばす明。
「なんだよ、わけわかんねーな。」明がふてくされる。
しばらくして、
カラカラーン!戻ってきた道彦が扉から顔を出す。
「わりぃ、車乗せてくんない?」財布を開いてタクシーに乗る金がないアピールをする道彦。
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