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エピソード3
光る石
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「ねえ、大丈夫なの?また、怪人が現れてるって・・・。」
リュウキの恋人?春野レイナが顔をリュウキに近づけて聞いた。
「ハッピネス」ではなくスターバックスのようなスタイルのカフェでテーブルを挟んで向かい合って座っている。
「うん・・・。大丈夫かどうかって言われたら、大丈夫じゃないよ。でも・・・僕がやるしか無いっていうか。」
「あなたは別に普通の人だもんね。普通の郵便局の配達員。格闘家でもないし。」
「あ、でもちょっとは鍛えてるよ。腕立て伏せくらいは・・・。」
「はい、はい。その見た目でどれくらい頑張ってるか判るわよ。薄ーい胸板でね。」
そう、イマイチ正義のヒーローの自覚がないのである。
「ね、また誰かに実験台にされてるって事なの?」
「わかんないよ、そんなの。」
「怪我とかしてない?」
「してるよ。フツーに。前、戦ったのゴリラの怪人だよ。ヤバイって。」
「そうよね。人間が相手しないわよね。フツーは。」
レイナがパクパクとイチゴパフェを食べながらうんうん頷いた。
「あ、スマホのトップニュースでエジプト考古学博物館が怪人に襲われたって出てるわよ!」
何気に開いたスマホにトップニュースとして上がっていた。
リュウキにスマホの画面を見せるレイナ。
「何だって?えー、エジプトのカルナック神殿で発見された不思議な光を放つ石がエジプト考古学博物館から強奪された。犯人はバッタのような形をしていた・・・。」
「不思議な石?」
「なんだろう?でも一連の事件と関係ありそうだね。」
「バッタ?昆虫の?」
レイナは目を丸くして驚きながらイチゴパフェをパクパクしている。
「なんで?そんな石を盗むのよ。」
「なんでも最近発掘されたばかりで詳しいことはわかってないらしい。ただ・・・。」
「ただ・・・何?」
「地球上に存在していない物質の可能性があると言われているんだって。記事にそう書いてる。」
「ふーん。」
テーブルの上のパフェが空になっていた。リュウキは真冬によくこんな冷たいものよく食べるよな・・・と感心しながらしばらく眺めていた。
鹿原の研究室ー
「アヒルタイガーが強いのは何故なのか。簡単に敵の攻撃で分離して人に戻ったりしない。突然変異している間、遺伝子の結合が安定してるからだと思うんだ。」
鹿原の声だ。
「ジャック・オズワイルド博士が残した論文、実験結果などいろいろ読んだわ。彼なら世の中を驚かせるような発明をしているかもしれないわね。彼は犯罪者として死んでしまったとか。でも、私には彼が悪人だったとは思えないのよね。」
白衣の女が答えた。長い黒髪で端正な顔立ちをしている。
「ジャック・オズワイルドは死んだはず。なのにまた怪人が現れて事件を起こしてるっていったいどういうことなんだろ?」
鹿原も負けず劣らず茶髪で小麦色の肌をしている。科学者とは思う人は少ないだろう。
「私は大きな黒幕がいるんじゃないかと思うわ。ジャック・オズワイルドが死んでもアヒルタイガーを狙うのは、何か目的があるんじゃない?」
白衣の女はコキコキと首を鳴らし、
「ちょっと疲れたわ、鹿原くん。少し休ませてねー。」そう言って部屋を出て行った。
翌日ー
「あー、もう嫌だ~!年末の郵便局の忙しさは永久に不滅です!」
「ちょっと何叫んでんのよ!」
「って言うあなたも相当イライラしてないっすかー?」
「ガーッ!」
唐島翔とレイナが郵便局内の食堂でケンカしている。
年末の郵便局は戦場である。間違いない。
紙コップの自動販売機でコーヒーを買うのに小銭を入れながら、
「ねえ、エジプトの考古学博物館がバッタの怪人に襲われたニュース見た?」
と、レイナが聞いた。
「ああ、知ってる。オレ考古学好きなんだよね。ピラミッドとかツタンカーメンとか。」
「アナタらしいわ・・・。」
「で、あの発掘された石なんだけどさ、最近、ルクソールのドゥラ・アブル・ナガ墓群で3500年前の墓が見つかったんだ。それを発掘してる時に紫に光る石が発見されたんだって。これが不思議な石でね。太陽と同じ波長の紫外線を発しているらしいんだ。」
「光ってるの?」
「詳しくは知らないけど、そんな石、他にないんだって。」
「それを怪人が奪ったのよね。」
「らしいね。日本だけじゃないんだね。怪人の事件て。」
「くらーっ!いつまでサボってやがんだー!」上司の東尾が怒鳴り込んできた。
「はい、はーい!」二人は急いで職場へと戻った。
リュウキの恋人?春野レイナが顔をリュウキに近づけて聞いた。
「ハッピネス」ではなくスターバックスのようなスタイルのカフェでテーブルを挟んで向かい合って座っている。
「うん・・・。大丈夫かどうかって言われたら、大丈夫じゃないよ。でも・・・僕がやるしか無いっていうか。」
「あなたは別に普通の人だもんね。普通の郵便局の配達員。格闘家でもないし。」
「あ、でもちょっとは鍛えてるよ。腕立て伏せくらいは・・・。」
「はい、はい。その見た目でどれくらい頑張ってるか判るわよ。薄ーい胸板でね。」
そう、イマイチ正義のヒーローの自覚がないのである。
「ね、また誰かに実験台にされてるって事なの?」
「わかんないよ、そんなの。」
「怪我とかしてない?」
「してるよ。フツーに。前、戦ったのゴリラの怪人だよ。ヤバイって。」
「そうよね。人間が相手しないわよね。フツーは。」
レイナがパクパクとイチゴパフェを食べながらうんうん頷いた。
「あ、スマホのトップニュースでエジプト考古学博物館が怪人に襲われたって出てるわよ!」
何気に開いたスマホにトップニュースとして上がっていた。
リュウキにスマホの画面を見せるレイナ。
「何だって?えー、エジプトのカルナック神殿で発見された不思議な光を放つ石がエジプト考古学博物館から強奪された。犯人はバッタのような形をしていた・・・。」
「不思議な石?」
「なんだろう?でも一連の事件と関係ありそうだね。」
「バッタ?昆虫の?」
レイナは目を丸くして驚きながらイチゴパフェをパクパクしている。
「なんで?そんな石を盗むのよ。」
「なんでも最近発掘されたばかりで詳しいことはわかってないらしい。ただ・・・。」
「ただ・・・何?」
「地球上に存在していない物質の可能性があると言われているんだって。記事にそう書いてる。」
「ふーん。」
テーブルの上のパフェが空になっていた。リュウキは真冬によくこんな冷たいものよく食べるよな・・・と感心しながらしばらく眺めていた。
鹿原の研究室ー
「アヒルタイガーが強いのは何故なのか。簡単に敵の攻撃で分離して人に戻ったりしない。突然変異している間、遺伝子の結合が安定してるからだと思うんだ。」
鹿原の声だ。
「ジャック・オズワイルド博士が残した論文、実験結果などいろいろ読んだわ。彼なら世の中を驚かせるような発明をしているかもしれないわね。彼は犯罪者として死んでしまったとか。でも、私には彼が悪人だったとは思えないのよね。」
白衣の女が答えた。長い黒髪で端正な顔立ちをしている。
「ジャック・オズワイルドは死んだはず。なのにまた怪人が現れて事件を起こしてるっていったいどういうことなんだろ?」
鹿原も負けず劣らず茶髪で小麦色の肌をしている。科学者とは思う人は少ないだろう。
「私は大きな黒幕がいるんじゃないかと思うわ。ジャック・オズワイルドが死んでもアヒルタイガーを狙うのは、何か目的があるんじゃない?」
白衣の女はコキコキと首を鳴らし、
「ちょっと疲れたわ、鹿原くん。少し休ませてねー。」そう言って部屋を出て行った。
翌日ー
「あー、もう嫌だ~!年末の郵便局の忙しさは永久に不滅です!」
「ちょっと何叫んでんのよ!」
「って言うあなたも相当イライラしてないっすかー?」
「ガーッ!」
唐島翔とレイナが郵便局内の食堂でケンカしている。
年末の郵便局は戦場である。間違いない。
紙コップの自動販売機でコーヒーを買うのに小銭を入れながら、
「ねえ、エジプトの考古学博物館がバッタの怪人に襲われたニュース見た?」
と、レイナが聞いた。
「ああ、知ってる。オレ考古学好きなんだよね。ピラミッドとかツタンカーメンとか。」
「アナタらしいわ・・・。」
「で、あの発掘された石なんだけどさ、最近、ルクソールのドゥラ・アブル・ナガ墓群で3500年前の墓が見つかったんだ。それを発掘してる時に紫に光る石が発見されたんだって。これが不思議な石でね。太陽と同じ波長の紫外線を発しているらしいんだ。」
「光ってるの?」
「詳しくは知らないけど、そんな石、他にないんだって。」
「それを怪人が奪ったのよね。」
「らしいね。日本だけじゃないんだね。怪人の事件て。」
「くらーっ!いつまでサボってやがんだー!」上司の東尾が怒鳴り込んできた。
「はい、はーい!」二人は急いで職場へと戻った。
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