36 / 42
第2章 子から幸せを…
第36話 自由か命か
しおりを挟む「よいかクェーサー、わらわがガスを撒いたら攻撃するぞよ」
「分かりました」
電脳世界に入ったサヨリヒメは、クェーサーと共にオンラインゲームに興じていた。
3人一組になって戦うバトルロイヤルゲームだ。サヨリヒメが放ったガスにより敵の動きが遅くなる。その隙にクェーサーが突撃し、敵を一掃した。
漁夫られないよう、クェーサーのキャラでシールドを張って警戒しつつ安全圏へ。激しいバトロワをクェーサーの活躍により順調に生き残っていた。
「凄いのぉクェーサー! キル率高すぎ君じゃ!」
「これでよいのですか」
「良き良き! おっと次の敵が来たぞ、撃つのじゃあ!」
他のプレイヤーと違い、2人はVRで遊んでいるようなものだ。臨場感は相当なものである。ちなみに姿はゲーム内のスキンになっていた。
しかしクェーサーは随分と当てている、初心者だと言うのに異常なキル率だ。
『おっと来たよあんた! さっきのやり合いで削れてるけどイケる!? 私が先行くからカバーよろしく!』
聞き覚えのある声のVCと繋がった、白瀬の声だ。
どうやら夫と共に遊んでいるようだ、ネットの世界は狭い物である。
「身内同士のぶつかり合いとは奇遇じゃのぉ、返り討ちに……なんでVCが聞こえるんじゃ?」
「ハッキングしました。相手の声が聞こえれば戦略も取りやすいので」
クェーサーの意味深な発言の後、まるで見えているかのような速度で白瀬達を発見し、百発百中のエイムで撃ちぬいた。
なんか嫌な予感がするサヨリヒメであった。
「のぅクェーサー……おぬし、オートエイムって知っとるか?」
「ウォールハックと共に搭載しました」
『こいつら……チーターじゃんか!? おい通報だ通報! 動画取ってる? 運営に知らせろぉ!』
「切断じゃ! 逃げるぞクェーサー!」
「なぜですか」
「チートは違反行為なのじゃあ!」
AIだから正々堂々なんて言葉を知らないようだ。きちんとチートはダメだと教えてから、サヨリヒメはホラーゲームの世界へ連れて行った。
そこでは、包丁を振り回す殺人鬼に追いかけまわされる羽目になっていた。
「ぬおお!? こやつ手鏡かぁ!? ネコか恵みを付けとくべきじゃった!」
「私達の位置を把握しています。ウォールハックは違反です、通報しましょう」
「これアドオンの効果じゃから、ちゃんとルールにのっとった効果じゃから。ひょええ先回りされた!?」
サヨリヒメが切り付けられそうになった時、クェーサーが身代わりになった。
クェーサーは常にサヨリヒメを守るように立ち回り、結果2人は無事に試合に勝利していた。
「ふぃ~……あのアドオンはジャンルが変わるのぉ。しかしクェーサー、あんなにわらわを守らんでもよかったのじゃぞ?」
「サヨリヒメが傷つくのを、見たくなかったのです。ゲームの世界であろうと、私が貴女を守ります」
「むむ……は、恥ずかしい事を言うのぉ……」
「なぜ恥ずかしがるのですか」
「う、うららかな乙女心と言うやつじゃ。なんだってこんな男らしゅう育ちおったのじゃ……不覚にも恰好いいと思ってしもうたわ……」
「それより、先ほどの対戦相手。また白瀬でしたね」
「ぬお? 確かにIDが同じじゃの」
『gg♡ matayarouze!』
今度は白瀬から称えられた。クェーサーは喜びを感じ、手を握りしめた。
「チート無しで勝つと、気持ちがいいですね」
「分かってくれたか。殺伐としたゲームが続いたの、ちょいと骨休めするぞ」
サヨリヒメが連れて来たのは、アメリカが舞台のゲームだ。
タンデムバイクに乗って、湾岸沿いを思いっきり走っている。クェーサーの背にしがみつき、サヨリヒメはバイクデートを楽しんでいた。
クェーサーはヒロイックな外見をしているから、まるで特撮のヒロインにでもなったかのようだ。サヨリヒメは、運転するクェーサーに額を押し付けた。
バイクデートは、サヨリヒメの憧れていたシチュエーションだ。思わぬ形で夢が叶い、サヨリヒメは幸せそうな顔をした。
「のう、クェーサー」
「なんでしょうか」
「名を呼んだだけじゃ」
胸をどきどきさせながら、サヨリヒメはクェーサーを抱きしめた。
「分かりました」
電脳世界に入ったサヨリヒメは、クェーサーと共にオンラインゲームに興じていた。
3人一組になって戦うバトルロイヤルゲームだ。サヨリヒメが放ったガスにより敵の動きが遅くなる。その隙にクェーサーが突撃し、敵を一掃した。
漁夫られないよう、クェーサーのキャラでシールドを張って警戒しつつ安全圏へ。激しいバトロワをクェーサーの活躍により順調に生き残っていた。
「凄いのぉクェーサー! キル率高すぎ君じゃ!」
「これでよいのですか」
「良き良き! おっと次の敵が来たぞ、撃つのじゃあ!」
他のプレイヤーと違い、2人はVRで遊んでいるようなものだ。臨場感は相当なものである。ちなみに姿はゲーム内のスキンになっていた。
しかしクェーサーは随分と当てている、初心者だと言うのに異常なキル率だ。
『おっと来たよあんた! さっきのやり合いで削れてるけどイケる!? 私が先行くからカバーよろしく!』
聞き覚えのある声のVCと繋がった、白瀬の声だ。
どうやら夫と共に遊んでいるようだ、ネットの世界は狭い物である。
「身内同士のぶつかり合いとは奇遇じゃのぉ、返り討ちに……なんでVCが聞こえるんじゃ?」
「ハッキングしました。相手の声が聞こえれば戦略も取りやすいので」
クェーサーの意味深な発言の後、まるで見えているかのような速度で白瀬達を発見し、百発百中のエイムで撃ちぬいた。
なんか嫌な予感がするサヨリヒメであった。
「のぅクェーサー……おぬし、オートエイムって知っとるか?」
「ウォールハックと共に搭載しました」
『こいつら……チーターじゃんか!? おい通報だ通報! 動画取ってる? 運営に知らせろぉ!』
「切断じゃ! 逃げるぞクェーサー!」
「なぜですか」
「チートは違反行為なのじゃあ!」
AIだから正々堂々なんて言葉を知らないようだ。きちんとチートはダメだと教えてから、サヨリヒメはホラーゲームの世界へ連れて行った。
そこでは、包丁を振り回す殺人鬼に追いかけまわされる羽目になっていた。
「ぬおお!? こやつ手鏡かぁ!? ネコか恵みを付けとくべきじゃった!」
「私達の位置を把握しています。ウォールハックは違反です、通報しましょう」
「これアドオンの効果じゃから、ちゃんとルールにのっとった効果じゃから。ひょええ先回りされた!?」
サヨリヒメが切り付けられそうになった時、クェーサーが身代わりになった。
クェーサーは常にサヨリヒメを守るように立ち回り、結果2人は無事に試合に勝利していた。
「ふぃ~……あのアドオンはジャンルが変わるのぉ。しかしクェーサー、あんなにわらわを守らんでもよかったのじゃぞ?」
「サヨリヒメが傷つくのを、見たくなかったのです。ゲームの世界であろうと、私が貴女を守ります」
「むむ……は、恥ずかしい事を言うのぉ……」
「なぜ恥ずかしがるのですか」
「う、うららかな乙女心と言うやつじゃ。なんだってこんな男らしゅう育ちおったのじゃ……不覚にも恰好いいと思ってしもうたわ……」
「それより、先ほどの対戦相手。また白瀬でしたね」
「ぬお? 確かにIDが同じじゃの」
『gg♡ matayarouze!』
今度は白瀬から称えられた。クェーサーは喜びを感じ、手を握りしめた。
「チート無しで勝つと、気持ちがいいですね」
「分かってくれたか。殺伐としたゲームが続いたの、ちょいと骨休めするぞ」
サヨリヒメが連れて来たのは、アメリカが舞台のゲームだ。
タンデムバイクに乗って、湾岸沿いを思いっきり走っている。クェーサーの背にしがみつき、サヨリヒメはバイクデートを楽しんでいた。
クェーサーはヒロイックな外見をしているから、まるで特撮のヒロインにでもなったかのようだ。サヨリヒメは、運転するクェーサーに額を押し付けた。
バイクデートは、サヨリヒメの憧れていたシチュエーションだ。思わぬ形で夢が叶い、サヨリヒメは幸せそうな顔をした。
「のう、クェーサー」
「なんでしょうか」
「名を呼んだだけじゃ」
胸をどきどきさせながら、サヨリヒメはクェーサーを抱きしめた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ぼくたちは異世界に行った
板倉恭司
ファンタジー
偶然、同じバスに乗り合わせた男たち──最強のチンピラ、最凶のヤクザ、最狂のビジネスマン、最弱のニート──は突然、異世界へと転移させられる。彼らは元の世界に帰るため、怪物の蠢く残酷な世界で旅をしていく。
この世界は優しくない。剥き出しの残酷さが、容赦なく少年の心を蝕んでいく……。
「もし、お前が善人と呼ばれる弱者を救いたいと願うなら……いっそ、お前が悪人になれ。それも、悪人の頂点にな。そして、得た力で弱者を救ってやれ」
この世界は、ぼくたちに何をさせようとしているんだ?
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
【短編集2】恋のかけらたち
美和優希
恋愛
魔法のiらんどの企画で書いた恋愛小説の短編集です。
甘々から切ない恋まで
いろんなテーマで書いています。
【収録作品】
1.百年後の未来に、きみと(2020.04.24)
→誕生日に、彼女からどこにでも行ける魔法のチケットをもらって──!?
魔法のiらんど企画「#つながる魔法で続きをつくろう」 で書いたSSです。
2.優しい鈴の音と鼓動(2020.11.08)
→幼なじみの凪くんは最近機嫌が悪そうで意地悪で冷たい。嫌われてしまったのかと思っていたけれど──。
3.歌声の魔法(2020.11.15)
→地味で冴えない女子の静江は、いつも麗奈をはじめとしたクラスメイトにいいように使われていた。そんなある日、イケメンで不真面目な男子として知られる城野に静江の歌と麗奈への愚痴を聞かれてしまい、麗奈をギャフンと言わせる作戦に参加させられることになって──!?
4.もしも突然、地球最後の日が訪れたとしたら……。(2020.11.23)
→“もしも”なんて来てほしくないけれど、地球消滅の危機に直面した二人が最後に見せたものは──。
5.不器用なサプライズ(2021.01.08)
→今日は彼女と付き合い始めて一周年の記念日。それなのに肝心のサプライズの切り出し方に失敗してしまって……。
*()内は初回公開・完結日です。
*いずれも「魔法のiらんど」で公開していた作品になります。サービス終了に伴い、ページ分けは当時のままの状態で公開しています。
*現在は全てアルファポリスのみの公開です。
アルファポリスでの公開日*2025.02.11
表紙画像は、イラストAC(がらくった様)の画像に文字入れをして使わせていただいてます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる