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第2章 子から幸せを…
第32話 黄金の破魔矢
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しばらく休憩をした後、メインの日光東照宮へ向かった。白く神々しい門をくぐり抜けると目の前にあるのは、黒色と金色で高貴なオーラを放っている建物、拝殿が待ち構えていた。
「かっこいいー!」
「凄いな……他のところとは雰囲気が違う」
外観を見た後、内部に入ることになった。中は畳や仕切り戸でいかにも和風な雰囲気だ。仕切り戸には麒麟や白沢と呼ばれる幻獣たちの絵も描かれている。そして天井を見上げると、100頭の龍の絵が飾られていた。
「彫刻も絵も迫力あるね」
「ここかっこよくてすき」
建物の構造から装飾、明かりなど、歴史的で荘厳な雰囲気に感動した。そして最後に徳川家康のお墓に参ることにした。門をくぐる際に発見した"眠り猫"が私たちを見守ってくれていた。
門の先には石でできた道と、道の左右に広がる高い杉の林という自然と調和した空間が待っていた。石の橋を渡るといよいよ見えてきたのは長い長い階段だ。登りきった先にあるのが有名な徳川家康のお墓だ。
「階段長いし段差もあるから気をつけてな」
「ゆっくり登ろうね?」
「うん!」
足を上げ、一歩一歩慎重に登っていく。その段数はなんと167段。途中で立ち止まり、端で休みつつ、ゆっくり注意しながら登る。
「進吾、あとちょっとだよ……がんばれー」
「うーん……がんばる」
先を見れば頂上が見えた。残っている力を振り絞り、進吾と共に階段を登る。
「着いたぞーお疲れ様ー」
「ながかった」
「長かったねー。頑張ったね」
進吾もこの長さの階段には疲れた様子だ。このまま道なりに進むと、家康が祀られている墓見えてくる。
「ここが徳川家康っていう武将のお墓なんだよ」
「きいたことあるかも」
日光の差し込まない静かな場所に祀られている。鶴の象の後ろに塔のような形のお墓があった。威厳のある雰囲気で堂々としている。誰も寄せつけない強さが伝わってくる。周りをぐるりと回ってゆっくりと眺めて歩く。
「鶴の彫刻綺麗だな」
「つくったひと上手」
鶴が一匹、お墓の前で立っている姿は、まるで家康を守っているように見えた。また、鶴の首の曲線がなめらかで美しい。昔の職人の技術が今でも残っているのは改めて驚きだ。
奥宮から戻り、時間を確認するととっくにお昼は過ぎ、お腹も空いていた。
「昼食の時間結構過ぎちゃってたし、お腹空いたな」
「そうだな。お昼食べようか」
そう言って向かう行き先は既に決まっていた。日光の近くにある洋食レストラン。外観も石造りでできたお洒落な洋館だ。
「ここ来てみたかったんだよな。実にエレガント」
「なにいってんのパパ」
テレビで何回も紹介されている人気なお店で、ここで食事をするのが楽しみだった。中に入ると、気品のある内装で、シャンデリアに蓄音機や暖炉など、西欧の歴史を感じるようなレストランだ。
「おしゃれだー!」
この豪華な雰囲気が気に入ったのか進吾もハイテンションだ。席に着くと、メニューを広げる。どれも魅力的でとても悩んでしまう。
「なににしよー。オムライスにしようかな」
「人気メニューだもんね。一回は食べといた方がいいって言われてるもんね」
悩みに悩んだ結果、私も惹かれてオムレツライスにすることにした。旦那はカニクリームコロッケを注文した。普段食べない種類の料理を注文していてビックリだ。
「おいしそー!」
運ばれてきたオムレツライスは黄色の卵にかかるソース、そして食欲をそそる良い匂いが漂う。
「いただきます」
みんなで手を合わせ、早速一口頂く。食べてみると人気になる理由が納得の味だった。卵がふわふわとしていてデミグラスソースとよく合っている。そしてチキンライスは濃く深い味わい。今までで食べた中で一番美味しいと確信できるほどの味だった。進吾も一口食べて目を大きくし、見つめてきた。
「おいしー!これいちばんすき!」
「だよね!どうやって作ってるんだろう」
美味しさも相まってパクパクと食べ進めていく。気がついたらお皿の上にあったはずのオムレツは消えていた。
「これすごいおいしい」
「だねー。これ食べちゃったら、これからオムレツ作れないなー……」
食後は黄金の破魔矢を買いに行くことにした。日光大猷院というところにある破魔矢。これには悪いものを祓い、願いを叶える御利益があるとのこと。さらに他の破魔矢とは違い、買い換え不要の"永遠の破魔矢"なのだ。入り口の門をくぐれば、先ほどいた日光とは違い、木やコケの多い自然豊かな落ち着きのある場所だった。
「和風って感じの場所ー!」
「これかっこいい」
進吾の視線の先にあったのは灯籠だ。道に沿ってずらっと並んでいる。少し歩くと見えたのは、高いところまで続く長い階段だ。
「まさかこの階段登るわけじゃないよね…?」
「」
「いいよー!いこいこ」
進吾が先に駆けていった。私たちも後から進吾を追いかけるように登った。
途中の門では私たちが買い求めている破魔矢を持つ像があるとのことで、休憩がてら一つ一つ持ち手を見ていった。
「あっ!もしかしてこれ?」
進吾が見つけたようだ。私たちは進吾の元へ向かい、前にある像を注意深く見てみることにした。すると確かに黄金の矢を握っている。
「これかー!」
「この人つよそう」
「人というか仏様だからね?強いと思うよ」
そのまま上に登り、破魔矢のある拝殿のところまでたどり着いた。拝殿は東照宮に負けず劣らず、高貴で重厚な空気を漂わせている。中に入ってみると、豪華な雰囲気に圧倒される。壁や床、装飾など目に写るもの全てが黄金に輝いている。
「キンピカだー」
「なるほど。だから破魔矢もキンピカなのか」
破魔矢が黄金なのも納得の内装だ。中をゆっくりと見て回り、お目当ての黄金の破魔矢を手に入れた。
「やっと買えたよ。これが欲しかったんだよ」
「あとでみたい」
「いいよ。ホテルに戻ってからね?」
「はーい」
黄金のお寺を去り、近くのお店でお土産を買って車に乗った。進吾の体調のためにも、予定より少し早くホテルに戻った。
「かっこいいー!」
「凄いな……他のところとは雰囲気が違う」
外観を見た後、内部に入ることになった。中は畳や仕切り戸でいかにも和風な雰囲気だ。仕切り戸には麒麟や白沢と呼ばれる幻獣たちの絵も描かれている。そして天井を見上げると、100頭の龍の絵が飾られていた。
「彫刻も絵も迫力あるね」
「ここかっこよくてすき」
建物の構造から装飾、明かりなど、歴史的で荘厳な雰囲気に感動した。そして最後に徳川家康のお墓に参ることにした。門をくぐる際に発見した"眠り猫"が私たちを見守ってくれていた。
門の先には石でできた道と、道の左右に広がる高い杉の林という自然と調和した空間が待っていた。石の橋を渡るといよいよ見えてきたのは長い長い階段だ。登りきった先にあるのが有名な徳川家康のお墓だ。
「階段長いし段差もあるから気をつけてな」
「ゆっくり登ろうね?」
「うん!」
足を上げ、一歩一歩慎重に登っていく。その段数はなんと167段。途中で立ち止まり、端で休みつつ、ゆっくり注意しながら登る。
「進吾、あとちょっとだよ……がんばれー」
「うーん……がんばる」
先を見れば頂上が見えた。残っている力を振り絞り、進吾と共に階段を登る。
「着いたぞーお疲れ様ー」
「ながかった」
「長かったねー。頑張ったね」
進吾もこの長さの階段には疲れた様子だ。このまま道なりに進むと、家康が祀られている墓見えてくる。
「ここが徳川家康っていう武将のお墓なんだよ」
「きいたことあるかも」
日光の差し込まない静かな場所に祀られている。鶴の象の後ろに塔のような形のお墓があった。威厳のある雰囲気で堂々としている。誰も寄せつけない強さが伝わってくる。周りをぐるりと回ってゆっくりと眺めて歩く。
「鶴の彫刻綺麗だな」
「つくったひと上手」
鶴が一匹、お墓の前で立っている姿は、まるで家康を守っているように見えた。また、鶴の首の曲線がなめらかで美しい。昔の職人の技術が今でも残っているのは改めて驚きだ。
奥宮から戻り、時間を確認するととっくにお昼は過ぎ、お腹も空いていた。
「昼食の時間結構過ぎちゃってたし、お腹空いたな」
「そうだな。お昼食べようか」
そう言って向かう行き先は既に決まっていた。日光の近くにある洋食レストラン。外観も石造りでできたお洒落な洋館だ。
「ここ来てみたかったんだよな。実にエレガント」
「なにいってんのパパ」
テレビで何回も紹介されている人気なお店で、ここで食事をするのが楽しみだった。中に入ると、気品のある内装で、シャンデリアに蓄音機や暖炉など、西欧の歴史を感じるようなレストランだ。
「おしゃれだー!」
この豪華な雰囲気が気に入ったのか進吾もハイテンションだ。席に着くと、メニューを広げる。どれも魅力的でとても悩んでしまう。
「なににしよー。オムライスにしようかな」
「人気メニューだもんね。一回は食べといた方がいいって言われてるもんね」
悩みに悩んだ結果、私も惹かれてオムレツライスにすることにした。旦那はカニクリームコロッケを注文した。普段食べない種類の料理を注文していてビックリだ。
「おいしそー!」
運ばれてきたオムレツライスは黄色の卵にかかるソース、そして食欲をそそる良い匂いが漂う。
「いただきます」
みんなで手を合わせ、早速一口頂く。食べてみると人気になる理由が納得の味だった。卵がふわふわとしていてデミグラスソースとよく合っている。そしてチキンライスは濃く深い味わい。今までで食べた中で一番美味しいと確信できるほどの味だった。進吾も一口食べて目を大きくし、見つめてきた。
「おいしー!これいちばんすき!」
「だよね!どうやって作ってるんだろう」
美味しさも相まってパクパクと食べ進めていく。気がついたらお皿の上にあったはずのオムレツは消えていた。
「これすごいおいしい」
「だねー。これ食べちゃったら、これからオムレツ作れないなー……」
食後は黄金の破魔矢を買いに行くことにした。日光大猷院というところにある破魔矢。これには悪いものを祓い、願いを叶える御利益があるとのこと。さらに他の破魔矢とは違い、買い換え不要の"永遠の破魔矢"なのだ。入り口の門をくぐれば、先ほどいた日光とは違い、木やコケの多い自然豊かな落ち着きのある場所だった。
「和風って感じの場所ー!」
「これかっこいい」
進吾の視線の先にあったのは灯籠だ。道に沿ってずらっと並んでいる。少し歩くと見えたのは、高いところまで続く長い階段だ。
「まさかこの階段登るわけじゃないよね…?」
「」
「いいよー!いこいこ」
進吾が先に駆けていった。私たちも後から進吾を追いかけるように登った。
途中の門では私たちが買い求めている破魔矢を持つ像があるとのことで、休憩がてら一つ一つ持ち手を見ていった。
「あっ!もしかしてこれ?」
進吾が見つけたようだ。私たちは進吾の元へ向かい、前にある像を注意深く見てみることにした。すると確かに黄金の矢を握っている。
「これかー!」
「この人つよそう」
「人というか仏様だからね?強いと思うよ」
そのまま上に登り、破魔矢のある拝殿のところまでたどり着いた。拝殿は東照宮に負けず劣らず、高貴で重厚な空気を漂わせている。中に入ってみると、豪華な雰囲気に圧倒される。壁や床、装飾など目に写るもの全てが黄金に輝いている。
「キンピカだー」
「なるほど。だから破魔矢もキンピカなのか」
破魔矢が黄金なのも納得の内装だ。中をゆっくりと見て回り、お目当ての黄金の破魔矢を手に入れた。
「やっと買えたよ。これが欲しかったんだよ」
「あとでみたい」
「いいよ。ホテルに戻ってからね?」
「はーい」
黄金のお寺を去り、近くのお店でお土産を買って車に乗った。進吾の体調のためにも、予定より少し早くホテルに戻った。
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