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第1章 親から幸せを…

第19話 今の状況では不利

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とうとう8月も終わり、9月に突入した。にもかかわらず、外は暑く、特に何かが変わったという実感がない。そんな中、進吾は学校から帰ってくるや否や、ぐっすりと眠ってしまった。登下校だけでも疲れてしまうらしく、学校から帰ってきたらいつもこんな感じだ。

「よく神社行ったときは疲れなかったよね」

この様子を見てるとつくづくそう思う。そのまま夕方になり、旦那が帰ってきた。その頃には進吾もすっかり起きていて元気そうだった。すると突然進吾があることを言い出した。

「こうえんであるきたい」
「でもこんな時間だし危ないよ?」
「いいよ、俺ついてくから」
「ママはこないのー?」
「ごめんね、今忙しくて一緒に行けないかな」
「えー……」

明らかに不満な顔をされ、こちらを見つめられたが、今回は断ることにした。

「しょーがないよ。ほら、行くぞ」
「はーい……いってきまーす」
「車に気をつけるんだよ?」

手を振り、2人を見送った。なぜ急に公園に行きたくなったのか謎だった。


帰ってきたのは40分後だ。私の想像よりもよりもずっと早かった。汗をかいて帰ってきたため、風呂に入らせた後、夕食を食べ、ゆったりとしていた。

「そういや急に公園行きたいってどうしたの?」
「うんどう会のれんしゅー」

それを言われて納得した。退院から1週間は既に経っている。そして運動会までの時間も迫り、学校でも練習をし始めてきたからだろう。

「あと1ヵ月後かー。ドキドキするね」
「あしたともだちといっしょにあそぶんだ」
「疲れないか?大丈夫?」
「たぶんだいじょうぶ」

その"多分"が不安なんだよと思いつつ、進吾のやりたいのとでもあるため、信じてみることにした。


そして翌日、予定通り友達と公園に遊びに行ったのだ。

「暑いのにすごいなー。若いってうらやましい」

進吾の体力や熱中症を心配しつつも、順調に進吾のやりたいことが達成できている安心感が心のどこかにあった。そう思っていると玄関のドアがガチャっと開いた音がした。玄関まで行くと進吾がいた。

「ただいまー」
「おかえり。疲れたでしょ?」
「べつに。外あつかったからともだちの家であそんだ」
「結局外で遊ばなかったのね!?」

どうやら公園で遊ぶのをやめ、友達の家でゲームをしていたらしい。心配して損した気もするが、無理な運動をしなくて良かったとも思う。

「こんどは外であそぶ」
「はいはい。無理して外で遊ばないでいいから」


そしてその日の夜、旦那が真剣な顔をして私に話しかけてきた。

「昨日今日で思ったことがあるんだけど……」
「ん?どうしたの?」

言うのをためらったのか、間を置いた後、ハッキリと言った。

「今の状況で1位を取るのは難しいと思うんだけど」
「私もそれは思ったけど、やれるだけやってみないとでしょ」
「まあそうなんだけどさ……」

現状として運動会で1位を取るという課題を乗り越えられそうにないようだった。それは私も同感だ。

「走るのって50mだっけ?入院を繰り返してたわけだし、遅くもなってると思ってさ」

確かにその通りだ。落ちたのは体力だけでなく、走る速度も下がっているはずだ。そうなると他の子よりも不利になっている。

「珍しいね。いつもは励ます側なのに」
「いやずっと悩んでてさ、とりあえず話してみようかと思って」
「大事。そういうの」

その後はお互い不安を口にして、明日を迎えるため、眠りについた。
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