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第1章 親から幸せを…
第14話 写真撮影
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「ん……しゅじゅつは……?」
「もう手術終わったよ。お疲れ様、頑張ったね」
手術で眠っていた進吾が目を覚ました。寝ている間に治療を済ませたため、受けた実感はないだろう。
「ふーん、ぜんぜんだいじょうぶじゃん」
ニコッと笑った。その反応に少し違和感を覚えた。今までと違う反応だと気づいたのだ。どこか大人びているような、私たちを安心させるような対応をしている気がする。
「そういえばいつたいいんできるの?」
「あー、2週間後だな。つまり最初の予定と変わってないな」
「そっか……まあ、のびてないならいいや」
「入院してから今日でちょうど1週間だって。早いようで長いねー」
「えー、ながいしひま」
病院のベッドの上で3週間生活するというのは確かに酷だ。自由に身体を動かすこともできず、好きな場所にも行けない、友達とも遊べない。しかも入院を2ヶ月前にも経験しているため尚更退屈だろう。
「暇だったらお友達呼んでみる?」
「でもじゅみょうとかびょうきのこととかどうするの?」
「病気とか余命とかを友達に隠しておきたい?」
「うん。なにかいわれるかもしれない」
「何も言わせないし、もし変なこと言ったら、私が本気で怒るから」
小学生だと持病によるいじめやいじり、嫌がらせでトラウマを覚えてしまう子も少なくない。特に小学2年生なら相手の気持ちを考えられる子と考えられない子で別れやすい。進吾にはそうなって欲しくない。
「呼んで欲しかったらいつでも言ってね?連絡してみるから」
「うん。かんがえとくー」
進吾はハッと何かを思い出したかのように、あるものを取り出した。
「そういえばこれやりたい」
見せてきたのは例のやりたいことノートだ。内容が新たに追加されていた。指で指してるところを見た。
やりたいこと
・しゅじゅつする
・かぞくみんなでしゃしんをとる
"かぞくみんなでしゃしんをとる"に指を置いていた。
「いつもカメラとってるときはパパかママのどっちかしかうつってないじゃん」
「おー、そういやみんなで撮ってなかったな。せっかくだし、手術頑張った記念で撮っとくか」
「セットするよー、ポーズ考えといてねー?」
カメラを台に置き、時間差で撮れるように設定をする。真ん中にはベッドの上にいる進吾、左右に私と旦那がいるような画角にした。
「よし、撮るよー?」
撮影ボタンを押し、カウントダウンの音が鳴り始めた。私は押してすぐにササッと進吾の左隣に移動した。段々音が鳴る間隔が早くなり、カシャッとシャッターを切った音がした。
「どれどれー?」
撮れた写真を確認してみる、旦那の目が半開きになっていたことぐらいで、他は笑顔で上手く撮れていた。
「タイミング悪すぎだろー」
「これはこれで面白くていいじゃん」
「これすきー」
「そーかなー…もう1枚撮ろ、ね?」
そう言われて撮り直したが……
「私どこ向いてんのよー、もっかい」
この後旦那と私の気が済むまで何枚も撮り直した。一方進吾はノリノリで色んなポーズをとって楽しんでいた。
翌日、机の上にあった旦那のキーホルダーを見ると昨日撮った写真が飾られていた。しかも例の半開きの写真だ。
「案外気に入ってるんだ、この写真」
その横にはやりたいことノートが広げられていた。だが、その時妙な違和感を感じた。数ページめくると、切り離された跡を見つけた。しかも3ページ分程だ。
「最近絵書いてるし、そのために切ったのかな?」
不思議に思いながらもそこまで気に留めなかった。開いていたノートを閉じると、裏表紙には昨日撮った写真を貼っていた。旦那とは違い、全員の表情が綺麗なものだった。
「相当嬉しかったんだね。旦那と本当に似てるわー」
父親似を感じながら、そっとノートを表に返し、その場を去った。
「もう手術終わったよ。お疲れ様、頑張ったね」
手術で眠っていた進吾が目を覚ました。寝ている間に治療を済ませたため、受けた実感はないだろう。
「ふーん、ぜんぜんだいじょうぶじゃん」
ニコッと笑った。その反応に少し違和感を覚えた。今までと違う反応だと気づいたのだ。どこか大人びているような、私たちを安心させるような対応をしている気がする。
「そういえばいつたいいんできるの?」
「あー、2週間後だな。つまり最初の予定と変わってないな」
「そっか……まあ、のびてないならいいや」
「入院してから今日でちょうど1週間だって。早いようで長いねー」
「えー、ながいしひま」
病院のベッドの上で3週間生活するというのは確かに酷だ。自由に身体を動かすこともできず、好きな場所にも行けない、友達とも遊べない。しかも入院を2ヶ月前にも経験しているため尚更退屈だろう。
「暇だったらお友達呼んでみる?」
「でもじゅみょうとかびょうきのこととかどうするの?」
「病気とか余命とかを友達に隠しておきたい?」
「うん。なにかいわれるかもしれない」
「何も言わせないし、もし変なこと言ったら、私が本気で怒るから」
小学生だと持病によるいじめやいじり、嫌がらせでトラウマを覚えてしまう子も少なくない。特に小学2年生なら相手の気持ちを考えられる子と考えられない子で別れやすい。進吾にはそうなって欲しくない。
「呼んで欲しかったらいつでも言ってね?連絡してみるから」
「うん。かんがえとくー」
進吾はハッと何かを思い出したかのように、あるものを取り出した。
「そういえばこれやりたい」
見せてきたのは例のやりたいことノートだ。内容が新たに追加されていた。指で指してるところを見た。
やりたいこと
・しゅじゅつする
・かぞくみんなでしゃしんをとる
"かぞくみんなでしゃしんをとる"に指を置いていた。
「いつもカメラとってるときはパパかママのどっちかしかうつってないじゃん」
「おー、そういやみんなで撮ってなかったな。せっかくだし、手術頑張った記念で撮っとくか」
「セットするよー、ポーズ考えといてねー?」
カメラを台に置き、時間差で撮れるように設定をする。真ん中にはベッドの上にいる進吾、左右に私と旦那がいるような画角にした。
「よし、撮るよー?」
撮影ボタンを押し、カウントダウンの音が鳴り始めた。私は押してすぐにササッと進吾の左隣に移動した。段々音が鳴る間隔が早くなり、カシャッとシャッターを切った音がした。
「どれどれー?」
撮れた写真を確認してみる、旦那の目が半開きになっていたことぐらいで、他は笑顔で上手く撮れていた。
「タイミング悪すぎだろー」
「これはこれで面白くていいじゃん」
「これすきー」
「そーかなー…もう1枚撮ろ、ね?」
そう言われて撮り直したが……
「私どこ向いてんのよー、もっかい」
この後旦那と私の気が済むまで何枚も撮り直した。一方進吾はノリノリで色んなポーズをとって楽しんでいた。
翌日、机の上にあった旦那のキーホルダーを見ると昨日撮った写真が飾られていた。しかも例の半開きの写真だ。
「案外気に入ってるんだ、この写真」
その横にはやりたいことノートが広げられていた。だが、その時妙な違和感を感じた。数ページめくると、切り離された跡を見つけた。しかも3ページ分程だ。
「最近絵書いてるし、そのために切ったのかな?」
不思議に思いながらもそこまで気に留めなかった。開いていたノートを閉じると、裏表紙には昨日撮った写真を貼っていた。旦那とは違い、全員の表情が綺麗なものだった。
「相当嬉しかったんだね。旦那と本当に似てるわー」
父親似を感じながら、そっとノートを表に返し、その場を去った。
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