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第1章 親から幸せを…

第10話 発覚

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再び入院してから2日が経過した。入院が決まった時から進吾はずっと気が沈んでいる。それもそのはず楽しみにしていた花火も見れない。さらには夏休みもずっと病室にいることになってしまう。落ち込んでしまうのも無理はない。入院中は進吾の好きなゲームを持ってきて一緒にしたり、日中側にいるようにした。

「進吾おはよ、体調はどう?」
「だいじょうぶ…」

進吾はずっと絵を描いていた。チラッと見てみるとゾウやライオンを描いた。

「上手じゃん進吾。絵こんなに上手くなったんだね」
「うん」

素っ気ない返事だった。それ以上は何も話そうとしてこなかった。

「そう、とりあえず体調は元気そうで良かったよ…」

スマホに1通の通知がきた。旦那からだった。今日は病院で会うことになっていた。

「ちょっとパパと話してくるからね。途中で看護師さんが様子を見に来るみたいだから良い子にしてなよ?」
「うん」

手を振っても返してこないため、入院が相当ショックなのだろう。私は旦那と2階にあるコミュニティルームで落ち合うことにした。旦那とは進吾の余命について話すことになっている。

「すまん、遅れた」
「仕事お疲れ様。仕事の方は大丈夫なの?」
「部長も融通を利かせてくれてるから問題ないよ」
「それなら良かった」

近くにあった席に座り、旦那は真剣な表情で口を開いた。

「本題に入るけど、進吾にそろそろ知らせてあげないか?」
「でも知ったら余計悲しむよ?今だってすっごい気が沈んでて__」
「でもな?今言った方が進吾にとっても理解しやすい状況なんじゃないか?」
「運動会終わってからは?せめて運動会は楽しんでほしいんだけど」
「運動会って10月だろ?その頃にはいつも通りになってるんじゃないか?」

しばらく話していると、どうしても私は気が荒ぶり、ヒートアップしてきてしまった。

「だってまだあなた今日の進吾の様子も見てないでしょ?返事も素っ気ないし、元気も明るくもないんだよ?そんな状況で言えって言うの?」

いつもより大きく強く言ってしまった。旦那は一瞬ビクッとしたが、私の目を見て、眉をひそめた。

「愛美、最近寝れてないだろ?」
「うるさいなぁ、もう……」

旦那の言う通り、不安で夜も寝つけなかった。そのせいか気が荒ぶり、冷静になれないのかもしれない。しかしその時はこんなことも考えられなかった。

「とりあえず、進吾にはまだ言わない方がいい。いつかまた伝えればいいって」
「いや、進吾にもそろそろ怪しまれてきているぞ。隠し続けるのは良くないと思う」
「だからって今言う必要は__」
「もちろん今すぐには言わない。だけど、いつかは言わなきゃいけないことだ。それにまだ4ヶ月ぐらいある。理解には時間がかかるだろうけど、ギリギリに言われるよりは断然良いと思う」
「……ちょっと頭冷やしてくる」

私はそう言ってその場を立ち去った。病院内の薄暗い場所に自販機があった。そこでお茶を買い、一口飲んだ。

「はぁ…どうすれば良いの…」

私は余命のことを伝えた時の進吾の表情、気持ち、反応を見るのが怖いのだ。見ている側も辛くなる、それにもっと辛いのは息子の方だ。それを考えるだけでも気弱になってしまう。

けれど少し時間が経って、旦那の意見は正しいと認識してきた。私は前々から「いつか伝える」、それだけを言ってきていた。そろそろ伝える時を明確にしなければならなかった。

「進吾も病気と闘って頑張ってるんだし、私も頑張らなきゃ」

自分を鼓舞し、旦那の元へ行くことにした。

「さっきはごめん。私も進吾にはそろそろ言うべきだと思う」
「俺も言い方が悪かった、すまん。とりあえずいつ言うか決めようか」

2人で穏やかに長い時間話し合った。いつ言うのか、どう伝えるか……

「よし、退院してからゆっくり言うことにしようか。進吾にはまだ秘密で」
「そうしましょ」

話し終えた後、旦那と病室に戻ってきた。その時、事件は起こった。進吾は涙ぐんでいた。私たちを見ると大きく声をあげて泣いてしまった。

「どうしたの?またどこか体調悪い?」

しかし、進吾から言われたことは衝撃的なものだった。

「ねぇ、ぼくってしんじゃうの?」
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