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呪われの旅仕度編
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そうだ。
そうだった。
彼にお願いしてあったんだ。武器。
色々と寄り道をしていたせいで完全に失念してしまっていた。
じゃあ、二人が武器をチョイスしていない今の状況は、むしろお誂え向きという事か。
「パティ。ちょっと……」
「ん? 何? どうしたの?」
俺はパティから装備品を一種類受け取ると、商品に付いている値札を探す。
こういう新しい系のお店って結構高い物が多いからな、事前に値札を確認しておかないと支払いの際、大恥をかく事になったりする。
現に何回か前の転生の際に、新しいデザインの格好いい鎧一式を見つけたので買おうとしたら合計で2000000Gと破格のお値段だったので、店員さんに『なーんちゃって』と一声掛けて静かにお店から出たのは記憶にまだ新しい。
これか……。札を確認する。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
水龍騎士の胸当て
サイズ M
打防御 200
魔防御 200
素早さ 100
値段 25000G
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「へっ……へぇー……最近の装備品って値段の他に、能力値まで書いてあるんだねー」
親切と言うか、なんと言うか、すごいんだね。
新しい物事に多少驚き感動してしまった。
だがまあ、値段の方もそこそこ高めではあるけれど、その分能力値が高いのでこの商品は買いだろう。
その後も一応全ての商品の値札……と言うのか能力札? を見てみたが、だいたい同じくらいの値段だったので二人が選んだ商品全てを購入することにした。
「おっほっほっほー!」
変な鳴き声が聞こえてきて、ちらり視線を送るとガラスケースの上にはじろうがいて、薄いピンク色の何か高級そうなツヤのある布を咥えていた。
「ん? これは?」
じろうの咥えていた布を受け取ると値札がたらりとぶら下がっている事に気付き、視線を落とす。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ペット用高級スカーフ
打防御 999
魔防御 999
手触り 999
値段 12000G
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「…………」
きっと、ジョーク商品なのである。
そうに違いないのである。
「これが……欲しいのかい? じろうとしては?」
「っほっほっほっほ! しゅー!」
と、どうやら欲しいそうなので、購入する事にした。ここでじろうだけ買わなかったら、また泣いちゃうだろうし。
それはあまりにも可哀想なのである。
じろうは普通に笑顔のままパティの頭の上、いつものポジション、特等席に着くと鼻息を小さく小刻みに漏らした。
皆、満足したようなので支払いのためレジに向かう。とそこでパティが、
「あれ? アニキの装備品は?」
「本当。タケルさんは買わなくていいんですか?」
「ああ、俺は大丈夫だよ」
「もしかして村長さんの装備品買ったらお金無くなっちゃうから、とか?」
「タケルさん! 私のお金使ってください! お金はまた貯めればいいだけの事なので」
「違う違う! 君達、いったい何を言っておるのかね。お金はホラッ! まだまだたくさんある。俺が装備品を買わない理由はこの後、ものすごく強くて格好いい装備品が宝箱から無料で手に入るからだよ」
「えー! じゃあ、僕もそっちがいい!」
「残念。あれは勇者専用の装備品なのだ。パティ君には装備ができない」
「じゃあ、僕、今日から勇者になる!」
「それはやめなさい……」
なんやかんや成り立たなくなる。
「とまあ、そういう訳だから俺の事は気にしなくていいんだよ」
「本当……ですか?」
上目遣いで、やや怪訝な表情を浮かべるアリシアの頭をガシガシと撫でる。父ドイルさんがやったように。
「本当だよ」
言いながら踵を返し、レジに進む。
「すみませーん! 支払いお願いしまーす!」
「はいはーい! お待たせしました、ありがとうございます!」
他のお客さんの相手をしていた、俺より少し年上の綺麗なお姉さんが床をぴょんぴょん跳ねながらやってきた。
確か、モニカさんと言ったか?
そうだった。
彼にお願いしてあったんだ。武器。
色々と寄り道をしていたせいで完全に失念してしまっていた。
じゃあ、二人が武器をチョイスしていない今の状況は、むしろお誂え向きという事か。
「パティ。ちょっと……」
「ん? 何? どうしたの?」
俺はパティから装備品を一種類受け取ると、商品に付いている値札を探す。
こういう新しい系のお店って結構高い物が多いからな、事前に値札を確認しておかないと支払いの際、大恥をかく事になったりする。
現に何回か前の転生の際に、新しいデザインの格好いい鎧一式を見つけたので買おうとしたら合計で2000000Gと破格のお値段だったので、店員さんに『なーんちゃって』と一声掛けて静かにお店から出たのは記憶にまだ新しい。
これか……。札を確認する。
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水龍騎士の胸当て
サイズ M
打防御 200
魔防御 200
素早さ 100
値段 25000G
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「へっ……へぇー……最近の装備品って値段の他に、能力値まで書いてあるんだねー」
親切と言うか、なんと言うか、すごいんだね。
新しい物事に多少驚き感動してしまった。
だがまあ、値段の方もそこそこ高めではあるけれど、その分能力値が高いのでこの商品は買いだろう。
その後も一応全ての商品の値札……と言うのか能力札? を見てみたが、だいたい同じくらいの値段だったので二人が選んだ商品全てを購入することにした。
「おっほっほっほー!」
変な鳴き声が聞こえてきて、ちらり視線を送るとガラスケースの上にはじろうがいて、薄いピンク色の何か高級そうなツヤのある布を咥えていた。
「ん? これは?」
じろうの咥えていた布を受け取ると値札がたらりとぶら下がっている事に気付き、視線を落とす。
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ペット用高級スカーフ
打防御 999
魔防御 999
手触り 999
値段 12000G
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「…………」
きっと、ジョーク商品なのである。
そうに違いないのである。
「これが……欲しいのかい? じろうとしては?」
「っほっほっほっほ! しゅー!」
と、どうやら欲しいそうなので、購入する事にした。ここでじろうだけ買わなかったら、また泣いちゃうだろうし。
それはあまりにも可哀想なのである。
じろうは普通に笑顔のままパティの頭の上、いつものポジション、特等席に着くと鼻息を小さく小刻みに漏らした。
皆、満足したようなので支払いのためレジに向かう。とそこでパティが、
「あれ? アニキの装備品は?」
「本当。タケルさんは買わなくていいんですか?」
「ああ、俺は大丈夫だよ」
「もしかして村長さんの装備品買ったらお金無くなっちゃうから、とか?」
「タケルさん! 私のお金使ってください! お金はまた貯めればいいだけの事なので」
「違う違う! 君達、いったい何を言っておるのかね。お金はホラッ! まだまだたくさんある。俺が装備品を買わない理由はこの後、ものすごく強くて格好いい装備品が宝箱から無料で手に入るからだよ」
「えー! じゃあ、僕もそっちがいい!」
「残念。あれは勇者専用の装備品なのだ。パティ君には装備ができない」
「じゃあ、僕、今日から勇者になる!」
「それはやめなさい……」
なんやかんや成り立たなくなる。
「とまあ、そういう訳だから俺の事は気にしなくていいんだよ」
「本当……ですか?」
上目遣いで、やや怪訝な表情を浮かべるアリシアの頭をガシガシと撫でる。父ドイルさんがやったように。
「本当だよ」
言いながら踵を返し、レジに進む。
「すみませーん! 支払いお願いしまーす!」
「はいはーい! お待たせしました、ありがとうございます!」
他のお客さんの相手をしていた、俺より少し年上の綺麗なお姉さんが床をぴょんぴょん跳ねながらやってきた。
確か、モニカさんと言ったか?
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