繰り返される転生劇〜喜劇こそ、笑いこそ世界を救うたった一つの手立てではないかっ!〜

清水花

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エピソード・オブ・タケル

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勇猛いさみたける前へ!」

 神の使いの言葉に俺は一歩一歩、慎重に歩を進め神の前に立つ。

「やぁ、来たね! 今度こそは……」

「もちろんだ、もう勇者なんて懲り懲りだ。勇者じゃなけりゃこの際村人でもいい。なんならモンスターでも、魚でも。勇者以外なら何でもいい」

「期待しているよ」

 他の者達と言えば皆、俺の気も知らず様々な転生後の姿に意気揚々としていた。お気楽なもんだ。

「あいつ、どうせまた《勇者》だぜ?」

「まぁ……予想するまでもなくだしな」

「もう決定事項だろ?」

「勇者しか能がないんだってアイツ」

 好き勝手言われてるな、けど見とけよ!

「ふふふ、じゃあ始めるよ?」

 少年のような容姿をした神が、にっこりと微笑んで俺に問いかける。

 俺は真っ直ぐに神を見据えてコクリと頷く。

―――――ガチャ――――

 丸いカプセルの入った箱を神が操作し出てきた青色のカプセルから白い紙を取り出し転生先を確認する。

「ぷっ……くくく……」

 何故か笑い出した神を見て俺は確信した。そして絶望した。

 神は口元を手で隠しながら笑いを押し殺し神の使いに中身を手渡し、そして。

勇猛いさみたける! 次の転生先も――!」

 記念すべき俺の100回目の転生先はやはり勇者だった。

 運命には逆らえないのだろうか……。


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