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「剣技、天照ーーーー大日霊!」
横薙ぎに振るわれた剣が鈍色の光の筋を引き一瞬のうちに空を切って、その切っ先に孕んだ煌めきを注ぎ込むように大魔王の急所を捉える。
「ーーーーぐぬっ」
攻撃が命中した大魔王の右肩から血液とはとても思えない色の液体が噴き出す。
「今だ! 勇者様へ続け! ガイアクラッシャー!」
「特大火炎呪文」
「皆さん慎重に! 上級癒し呪文」
戦士アーダン、黒魔道士リュッカ、白魔道士エーテルの三人が俺の攻撃に合わせてサポートに入る。
連続攻撃をまともに食らった大魔王は、痛みに苦しむ表情を浮かべて片膝をついた。
しかし大魔王は決して怯まずに、どころか魔界の深淵から噴き出す負のオーラのようなものを全身から噴き出し立ち上がってみせると、右手を大きく開き体内の魔力を凝縮しこちらに向けて悪の波動を放ってきた。
「混沌の波動弾」
赤く、黒く、恐怖と怨念が混ざり合ったような禍々しい球体が膨張と収縮を繰り返しながら、こちらに向かってとびかかってくる。
「魔力障壁呪文!」
エーテルの唱えた障壁呪文が俺とアーダンの身体を白く輝く鎧のようにすっぽりと包み込んだ。
俺とアーダンはすぐさま、前衛に出てリュッカとエーテルの盾として大魔王の攻撃を受け止めるべく剣と大斧を前へと突き出し、大魔王の攻撃に耐える。
大魔王の攻撃を受け止める俺の剣がキキキンッと甲高い悲鳴をあげた。
更に俺達を守る障壁呪文は、大魔王の放ったその圧倒的な威力を誇る攻撃の前にたまらず微細な光の破片となって崩れ落ちる。
「ーーーーぐっ」
「…………さすがにエーテルの障壁呪文があっても効きますね……」
「二人共! すぐに回復します! 上級癒し呪文!」
エーテルがそう口にすると俺とアーダンの頭上に光の輪が現れ、輪から降り注ぐ癒しの光が俺とアーダンの身体の中にゆっくりと染み渡り、傷付いた身体を癒していく。
「勇者様っ! 私が隙を作りますので勇者様は大魔王に最後の一撃を!」
「ーーーー頼むっ!」
「これ使って! 付与型火炎魔法」
「お願いします! 速度向上呪文」
リュッカの補助魔法が武器を包み込み、刀身が炎獣を宿したように燃え上がる。
エーテルの補助魔法が脚部を包み込み、まるで足に羽根でも生えたかのように身体が軽く、素早い動きが可能になった。
「いよっしゃぁぁぁ! 燃える大斧、ガイアフレイムーーーークラッシャー!」
アーダンの渾身の一撃が大魔王の胸を斬り裂き、勢いそのままに地面を抉った。
直撃を受けた大魔王の胸から怪しげな液体が飛び散り地面に落ちるやいなや、漆黒の霧状になり消えていく。更にアーダンが斬りつけた胸の傷口が激しく燃え上がり大魔王の頭部を炎が包んだ。
「ーーーーぐぁっ」
深く抉られた胸と、頭部を焼く剛炎に大魔王はたまらず数歩後ずさりながらよろめいた。
「勇者様っ! 今ですっ!」
「「いっけぇぇぇ! タケルー!」」
「剣技、素戔男ーーーー櫛名田大蛇!」
大魔王を見事に打ち倒し世界に平和を取り戻した。
俺達は大魔王の城を後にして、各々の帰るべき場所へと帰り、今回の大冒険が静かに終わった。
俺は小高い丘の上で一人、大魔王のいなくなった世界の美しい景色を眺めため息をひとつ漏らして、足元に広がる花畑に仰向けで寝そべりそっと眼を閉じた。
今回も無事に役目を果たしたのだ。
横薙ぎに振るわれた剣が鈍色の光の筋を引き一瞬のうちに空を切って、その切っ先に孕んだ煌めきを注ぎ込むように大魔王の急所を捉える。
「ーーーーぐぬっ」
攻撃が命中した大魔王の右肩から血液とはとても思えない色の液体が噴き出す。
「今だ! 勇者様へ続け! ガイアクラッシャー!」
「特大火炎呪文」
「皆さん慎重に! 上級癒し呪文」
戦士アーダン、黒魔道士リュッカ、白魔道士エーテルの三人が俺の攻撃に合わせてサポートに入る。
連続攻撃をまともに食らった大魔王は、痛みに苦しむ表情を浮かべて片膝をついた。
しかし大魔王は決して怯まずに、どころか魔界の深淵から噴き出す負のオーラのようなものを全身から噴き出し立ち上がってみせると、右手を大きく開き体内の魔力を凝縮しこちらに向けて悪の波動を放ってきた。
「混沌の波動弾」
赤く、黒く、恐怖と怨念が混ざり合ったような禍々しい球体が膨張と収縮を繰り返しながら、こちらに向かってとびかかってくる。
「魔力障壁呪文!」
エーテルの唱えた障壁呪文が俺とアーダンの身体を白く輝く鎧のようにすっぽりと包み込んだ。
俺とアーダンはすぐさま、前衛に出てリュッカとエーテルの盾として大魔王の攻撃を受け止めるべく剣と大斧を前へと突き出し、大魔王の攻撃に耐える。
大魔王の攻撃を受け止める俺の剣がキキキンッと甲高い悲鳴をあげた。
更に俺達を守る障壁呪文は、大魔王の放ったその圧倒的な威力を誇る攻撃の前にたまらず微細な光の破片となって崩れ落ちる。
「ーーーーぐっ」
「…………さすがにエーテルの障壁呪文があっても効きますね……」
「二人共! すぐに回復します! 上級癒し呪文!」
エーテルがそう口にすると俺とアーダンの頭上に光の輪が現れ、輪から降り注ぐ癒しの光が俺とアーダンの身体の中にゆっくりと染み渡り、傷付いた身体を癒していく。
「勇者様っ! 私が隙を作りますので勇者様は大魔王に最後の一撃を!」
「ーーーー頼むっ!」
「これ使って! 付与型火炎魔法」
「お願いします! 速度向上呪文」
リュッカの補助魔法が武器を包み込み、刀身が炎獣を宿したように燃え上がる。
エーテルの補助魔法が脚部を包み込み、まるで足に羽根でも生えたかのように身体が軽く、素早い動きが可能になった。
「いよっしゃぁぁぁ! 燃える大斧、ガイアフレイムーーーークラッシャー!」
アーダンの渾身の一撃が大魔王の胸を斬り裂き、勢いそのままに地面を抉った。
直撃を受けた大魔王の胸から怪しげな液体が飛び散り地面に落ちるやいなや、漆黒の霧状になり消えていく。更にアーダンが斬りつけた胸の傷口が激しく燃え上がり大魔王の頭部を炎が包んだ。
「ーーーーぐぁっ」
深く抉られた胸と、頭部を焼く剛炎に大魔王はたまらず数歩後ずさりながらよろめいた。
「勇者様っ! 今ですっ!」
「「いっけぇぇぇ! タケルー!」」
「剣技、素戔男ーーーー櫛名田大蛇!」
大魔王を見事に打ち倒し世界に平和を取り戻した。
俺達は大魔王の城を後にして、各々の帰るべき場所へと帰り、今回の大冒険が静かに終わった。
俺は小高い丘の上で一人、大魔王のいなくなった世界の美しい景色を眺めため息をひとつ漏らして、足元に広がる花畑に仰向けで寝そべりそっと眼を閉じた。
今回も無事に役目を果たしたのだ。
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