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3章 同性愛と崩壊する心
30 一日の終わりに
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あれから、ジェシカ様がお帰りになられてポーンドット家はようやくいつもの静けさを取り戻しました。
自室へと戻った私は襲いかかる眠気をどうにか抑え込んでお勉強を再開し、ふと気が付けば辺りはすっかりと闇に包まれていました。
夕食後、まだ小一時間くらいしか経っていない筈なのですが窓の外は薄暗い闇が広がり始めており、肌を撫でる風も昼間とは違ってずいぶん冷たくなってしまいました。
最近、夜の訪れが早くなってきましたね。寒い寒い冬はもうすぐそこまでやってきているのかも知れません。
私は椅子に座ったまま両手を天井に向かって大きく突き出し伸びをします。
「……んんー!」
今日は本当に嵐のような忙しい一日でした。
ほぼ初対面であるアレク様の突然のプロポーズから始まり、王国一の美男子と称されるベオウルフ様の突然のご訪問、てんやわんやしているところに更なる追い打ちといった風に王国一の美女と称されるジェシカ様のご訪問。
ついさっき、私は今日という日を嵐のような一日と比喩しましたが少し訂正します。
ポーンドット家の今日一日はーー
宇宙誕生のきっかけとなったビックバンクラスの大荒れ模様でした!
そうですよ、そうなんですよ。
アレク様のプロポーズも、ベオウルフ様のご訪問も、ジェシカ様のご訪問も、過去一度として無かった一大事なんですよ。それくらいに現実離れした出来事が今日という日に起きてしまったんです。
四人目の来訪者を期待していなかったと言えば嘘になりますが、三人目で終わって本当に良かったと思います。
ジェシカ様とベオウルフ様。あの方々以上にすごいお方となると、もはや王族の方くらいしか思いつきません。
それこそ、王太子であらせられるキングス・ウィンチェスター様が『遊びに来たよ!』なんて突然現れたら私はいったいどうなっていたでしょう。
考えただけで恐ろしくなります。
しかし、当然私はキングス様を知っていますがそれとは逆にキングス様は私の事など知るはずもないので、そんな事を考えるのは全くの無駄なんですけれどね。
それにしても今まで、少なくとも昨日まではいつもと変わらない日々だったと思うのですがいったいどうしてしまったのでしょう?
私の知らないところで何かが作用しているような気がします。
そのせいで私の近辺がこうも慌ただしくなっているような……そんな気が……。
そこまで考えたところで、どこからか小さな物音がしている事に気付きました。
すぐさま辺りを見回し物音が聞こえてくる窓ガラスに視線を送ると、どうやら窓ガラスに何かが当たって物音が発生しているようでした。
不思議に思い、窓の側まで歩み寄り夜の闇を覗き込みます。
すると、またしても窓ガラスが小さく揺れて物音がします。
そっと、窓を開けてみると冷たい夜風が顔を撫で私は咄嗟に眉根を寄せます。
闇にのまれた広大なジャガイモ畑を一望し、音の正体も掴めぬまま窓を閉じようとした際、眼下に広がる闇がほんの僅かですが蠢いている事に気が付きました。
「…………?」
ここから数メートル下、つまりは地面辺りの闇に向かって目を凝らします。
しばらく眺め続け、ようやく目が慣れてきたところで私の両の目は闇に溶け込んだ人影をぼんやりと捉えました。
「……誰か、いる?」
次第に辺り一面に広がる夜の闇と人影の境界線がはっきりと区別できるようになり、着ている衣服も朧げですが確認できるようになってきました。
「ーーーーっ!」
私は言葉を失います。
それは闇の中で蠢くものの正体が、四人目の来訪者だったからです。
私の両眼が捉えた四人目の来訪者。
それは、
「アシュトレイ……様……」
自室へと戻った私は襲いかかる眠気をどうにか抑え込んでお勉強を再開し、ふと気が付けば辺りはすっかりと闇に包まれていました。
夕食後、まだ小一時間くらいしか経っていない筈なのですが窓の外は薄暗い闇が広がり始めており、肌を撫でる風も昼間とは違ってずいぶん冷たくなってしまいました。
最近、夜の訪れが早くなってきましたね。寒い寒い冬はもうすぐそこまでやってきているのかも知れません。
私は椅子に座ったまま両手を天井に向かって大きく突き出し伸びをします。
「……んんー!」
今日は本当に嵐のような忙しい一日でした。
ほぼ初対面であるアレク様の突然のプロポーズから始まり、王国一の美男子と称されるベオウルフ様の突然のご訪問、てんやわんやしているところに更なる追い打ちといった風に王国一の美女と称されるジェシカ様のご訪問。
ついさっき、私は今日という日を嵐のような一日と比喩しましたが少し訂正します。
ポーンドット家の今日一日はーー
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そうですよ、そうなんですよ。
アレク様のプロポーズも、ベオウルフ様のご訪問も、ジェシカ様のご訪問も、過去一度として無かった一大事なんですよ。それくらいに現実離れした出来事が今日という日に起きてしまったんです。
四人目の来訪者を期待していなかったと言えば嘘になりますが、三人目で終わって本当に良かったと思います。
ジェシカ様とベオウルフ様。あの方々以上にすごいお方となると、もはや王族の方くらいしか思いつきません。
それこそ、王太子であらせられるキングス・ウィンチェスター様が『遊びに来たよ!』なんて突然現れたら私はいったいどうなっていたでしょう。
考えただけで恐ろしくなります。
しかし、当然私はキングス様を知っていますがそれとは逆にキングス様は私の事など知るはずもないので、そんな事を考えるのは全くの無駄なんですけれどね。
それにしても今まで、少なくとも昨日まではいつもと変わらない日々だったと思うのですがいったいどうしてしまったのでしょう?
私の知らないところで何かが作用しているような気がします。
そのせいで私の近辺がこうも慌ただしくなっているような……そんな気が……。
そこまで考えたところで、どこからか小さな物音がしている事に気付きました。
すぐさま辺りを見回し物音が聞こえてくる窓ガラスに視線を送ると、どうやら窓ガラスに何かが当たって物音が発生しているようでした。
不思議に思い、窓の側まで歩み寄り夜の闇を覗き込みます。
すると、またしても窓ガラスが小さく揺れて物音がします。
そっと、窓を開けてみると冷たい夜風が顔を撫で私は咄嗟に眉根を寄せます。
闇にのまれた広大なジャガイモ畑を一望し、音の正体も掴めぬまま窓を閉じようとした際、眼下に広がる闇がほんの僅かですが蠢いている事に気が付きました。
「…………?」
ここから数メートル下、つまりは地面辺りの闇に向かって目を凝らします。
しばらく眺め続け、ようやく目が慣れてきたところで私の両の目は闇に溶け込んだ人影をぼんやりと捉えました。
「……誰か、いる?」
次第に辺り一面に広がる夜の闇と人影の境界線がはっきりと区別できるようになり、着ている衣服も朧げですが確認できるようになってきました。
「ーーーーっ!」
私は言葉を失います。
それは闇の中で蠢くものの正体が、四人目の来訪者だったからです。
私の両眼が捉えた四人目の来訪者。
それは、
「アシュトレイ……様……」
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