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1章 婚約破棄
3 私、混乱中
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私はいったいどうしてしまったのでしょう……何を言い出してしまったのでしょう……。
色々あって混乱していたとは言え、初めてあった男性に突然あんな事を言うだなんて、はしたないです。
「僕と?」
彼はやや驚いたような、そして不思議そうな顔をして私を見つめています。
当然ですね。
「……は、はい。お……お話を……しませんかっ?」
話題も何も思い付かないのに、口から言葉がどんどん滑り出てきます。
やはり普通じゃないですね、私。
私は話題を考えるでもなく階段を数段降りて、彼と同じ横並びの位置に移動するとそのまま階段へと腰を下ろしました。
一応、と言うか当たり前なのですけれど座った際の足は男性のように豪快に開かず、くの字に折りたたんでせめてもの品格を漂わせます。スカートがあるので外からは全く見えない筈ですが、果たして効果はあるのでしょうか?
なんて。そんな悠長な事を考えている場合ではないです!
言葉に続いて、行動まで私はいったいどうしてしまったんですかっ⁉︎
せっかくお父様が買ってくださった大切なドレスなのに、こんな所に座ってしまったらドレスが汚れてしまうではないですかっ! 大切なドレスが台無しになってしまうではありませんかっ!
彼もさすがに予想だに出来なかったのでしょう、私の行動を見て目をまん丸にして驚いています。
私は急ぎその場に立ち上がろうとしました。
しかし、
「じゃあーーーーどんな話をしましょうか?」
言って、彼は優しく微笑みながら私のすぐ隣に腰を下ろしたので、私は浮かしかけていた腰を静かに下ろしました。
遅かった……こんな所をお父様に見られたら、いったい何時間お説教される事か……。
お説教とドレスの事は心配ですが、それでも不幸中の幸いとでも言うべきか今日はお母様の形見のドレスではないので、今の状況も何とか耐えられます。もちろんお父様のドレスも大切なのですが、大切さが違うと言うか何と言うか……。
「えっと……その……」
当然の事ながら話題なんて全く思い浮かびません。
いえ、全くではありませんね。一瞬、私の屋敷で働いてくれているアンナの身に起こった今朝の出来事をお話をしようかと思ったのですが、話した後とてもではないですが笑いが巻き起こる訳でもなく、どころか何とも言えない気不味い空気が漂ってしまいそうだったので、すんでのところで思い留まりました。
何より、突然知らない人の話をされても誰だよそれって、思っちゃいますよね。きっと。
さて、繰り返しになりますがお話をしようと誘ったのに話題がありません。さながらそれは友人をお茶会のため自宅に招いておいて、お茶の葉がない時のような気まずさに似ています。
でも、今回は友人ではなく今あったばかりの人ですから、気まずさは友人の時とは比べ物になりませんね。
「…………」
「…………」
私の視界の端に彼がちらつきます。
何となくですけど、こちらをちらちら見ているような視線を感じます。
そんな彼にセリフを付けるとするなら……『え? あれ? 話そうって言ったのに、何でこの子はずっと空を見てるのかなぁ? もしかして、僕が話し掛けてくるの待ってる? そうなの? 僕が話し掛けるべきなの?』とかでしょうか?
「ふふふっ」
そんな想像をしていると、ついついニヤけちゃいました。
あぁ、いえ。
そんな事をやっている場合ではありませんでした。
本当、私ったらバカみたい。今の私はどうしようもなくバカですね。
現実逃避なのか、ただのおバカなお遊びなのかに心を奪われていると、
「ふふっ、何がそんなに可笑しいの?」
と、彼に声を掛けられました。
色々あって混乱していたとは言え、初めてあった男性に突然あんな事を言うだなんて、はしたないです。
「僕と?」
彼はやや驚いたような、そして不思議そうな顔をして私を見つめています。
当然ですね。
「……は、はい。お……お話を……しませんかっ?」
話題も何も思い付かないのに、口から言葉がどんどん滑り出てきます。
やはり普通じゃないですね、私。
私は話題を考えるでもなく階段を数段降りて、彼と同じ横並びの位置に移動するとそのまま階段へと腰を下ろしました。
一応、と言うか当たり前なのですけれど座った際の足は男性のように豪快に開かず、くの字に折りたたんでせめてもの品格を漂わせます。スカートがあるので外からは全く見えない筈ですが、果たして効果はあるのでしょうか?
なんて。そんな悠長な事を考えている場合ではないです!
言葉に続いて、行動まで私はいったいどうしてしまったんですかっ⁉︎
せっかくお父様が買ってくださった大切なドレスなのに、こんな所に座ってしまったらドレスが汚れてしまうではないですかっ! 大切なドレスが台無しになってしまうではありませんかっ!
彼もさすがに予想だに出来なかったのでしょう、私の行動を見て目をまん丸にして驚いています。
私は急ぎその場に立ち上がろうとしました。
しかし、
「じゃあーーーーどんな話をしましょうか?」
言って、彼は優しく微笑みながら私のすぐ隣に腰を下ろしたので、私は浮かしかけていた腰を静かに下ろしました。
遅かった……こんな所をお父様に見られたら、いったい何時間お説教される事か……。
お説教とドレスの事は心配ですが、それでも不幸中の幸いとでも言うべきか今日はお母様の形見のドレスではないので、今の状況も何とか耐えられます。もちろんお父様のドレスも大切なのですが、大切さが違うと言うか何と言うか……。
「えっと……その……」
当然の事ながら話題なんて全く思い浮かびません。
いえ、全くではありませんね。一瞬、私の屋敷で働いてくれているアンナの身に起こった今朝の出来事をお話をしようかと思ったのですが、話した後とてもではないですが笑いが巻き起こる訳でもなく、どころか何とも言えない気不味い空気が漂ってしまいそうだったので、すんでのところで思い留まりました。
何より、突然知らない人の話をされても誰だよそれって、思っちゃいますよね。きっと。
さて、繰り返しになりますがお話をしようと誘ったのに話題がありません。さながらそれは友人をお茶会のため自宅に招いておいて、お茶の葉がない時のような気まずさに似ています。
でも、今回は友人ではなく今あったばかりの人ですから、気まずさは友人の時とは比べ物になりませんね。
「…………」
「…………」
私の視界の端に彼がちらつきます。
何となくですけど、こちらをちらちら見ているような視線を感じます。
そんな彼にセリフを付けるとするなら……『え? あれ? 話そうって言ったのに、何でこの子はずっと空を見てるのかなぁ? もしかして、僕が話し掛けてくるの待ってる? そうなの? 僕が話し掛けるべきなの?』とかでしょうか?
「ふふふっ」
そんな想像をしていると、ついついニヤけちゃいました。
あぁ、いえ。
そんな事をやっている場合ではありませんでした。
本当、私ったらバカみたい。今の私はどうしようもなくバカですね。
現実逃避なのか、ただのおバカなお遊びなのかに心を奪われていると、
「ふふっ、何がそんなに可笑しいの?」
と、彼に声を掛けられました。
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