鉄女である私を怒り狂わせた、あの男のスリーステップ

清水花

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スリーステップ

私の不安

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 時が経つのは早いものでつい先日産まれたばかりだと思っていたアリシアがいつの間にか一歳になった。

 毎日こんなに近くにいるのにそんなことにも気が付かないなんて、私が見ている景色はかなり狭まってしまっているのだろう。

 今、改めて考えてみると確かに毎日は、あっという間に過ぎているように感じる。

 日の出と共に一日が始まりアリシアと顔を合わせ、抱きしめ、話しかけ、笑いあう。そんな事をやっているうちにもうすぐに夜がやってくるのだ。

 朝はあれほど騒がしかった邸の中も静まりかえり、私がアリシアのベッドの脇でアリシアの頭を撫でながら明日は何して遊ぼうか、なんて話しをしていたら太陽が顔を覗かせるのだ。

 一日一日がとても早く感じる。

 そうこうしている間にアリシアはどんどん大きくなって、あっという間に大人になってしまうのではないだろうか。

 子供の成長は親としてもちろん嬉しいのだが、反面、少し寂しくもある。

 大きく立派に成長して欲しいのだが、それは非常にゆっくりと、ゆっくりとで良い。

 長い長い時間を共に過ごして楽しい思い出をたくさん作りたい。

 あなたと手を繋いで可愛らしい小さな歩幅で、一生懸命力強く歩きたい。

 そうやってゆっくりと共に成長していきたい。

 だから、今という貴重な時間を大切に生きなければいけない。

 私は窓の外の朝日を見つめながら、改めてどんなことがあってもアリシアを守る決意をする。

 そこでふと最近、気になっていたとある事が意識に引っかかった。

 それはもちろんアリシアの事である。アリシアの最近の様子が少し変わったように思うのだ。

 気のせいかもしれないが、何となく今までよりぼんやりとしているような気がするのだ。

 例えば、宙の一点を見つめたままじっとしていたり。私の呼びかけに反応しない時があったり。何かが気になるのか真剣な表情のまま辺りを見回してみたり。

 何となく不思議な感じがするそれらの行動を最近多くとるようになった気がするのだ。

 ミレニアさん曰く幼い子供にはよくある事と言っていたけれど、私としては何となく心配にはなってしまう。

 幸い、今日は一歳児健診でお医者様が邸にいらっしゃるので、その時に詳しく調べてもらおう。

 それでお医者様が全くの健康体だよ、と言ってくれれば私のこの不安もすっかり消え去るだろう。

 私は椅子から腰を上げベッドで眠るアリシアの頬を撫でる。

「おはようアリシア、起きて、朝よ」

「……ウター!」

 いつも通り元気な声を上げるアリシアを見て少し心配しすぎかな、と自分に言い聞かせ朝の支度に取り掛かる私であった。


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