8 / 24
ワンステップ
スキンシップ大会
しおりを挟む
「ーーーーアーリィ嬢を好いてらっしゃるのかしら?」
オリバーの左肩に自身のあごを乗せたガイアン嬢は笑う。
「あー! ずるいですよー! 私もー!」
「オリバー様はあなた方のものではないんですよ!」
オルテン嬢、マシュー嬢も席を立ちオリバーの側へと駆け寄った。
「うわわわ! ちょっ、ちょっと皆! 今はお茶をーーーー」
オリバーはとても慌てた様子でいて、側に立つ御令嬢達はとても賑やかだ。
「いくらアーリィ嬢に不思議な魅力はあれど、それだけじゃあねー?」
ガイアン嬢は私を横目で見て笑う。
私はガイアン嬢の言葉を聞き、そのままオリバーに確認してみる。
「オリバー私のこと、好き?」
「もちろんだよ、アーリィ! 僕達は数ヶ月後には結婚するんだよ? そんな事は当たり前じゃないか!」
「ふふっ、良かった。私も好きよオリバーのこと」
私は紅茶をひと口飲んだ。
うん。少し冷めてはいるが美味しい。
「えー! オリバー様、マシューは? マシューのことは嫌いなんですかー?」
「オリバー様はオルテンのことが好きだとおっしゃいましたよねー?」
「えっ? いや、それは、ちょっと、ここじゃ……」
「あれー? アーリィ嬢はオリバー様のこと好きなのに、スキンシップとかやらないんだー?」
ガイアン嬢の少し大きな声が耳に届いた。
視線を送るとオリバーの顔の横にガイアン嬢の顔があって、二人の肌と肌がぴったりと触れ合っている。
まさしくスキンシップというやつだ。
そしてなぜだかガイアン嬢はまたしても私を睨みつけている。
あれ? 私、何かした?
心当たりは全くないが、きっと何かやってしまったのだろう。
しかし、スキンシップか。
ガイアン嬢もオルテン嬢もマシュー嬢も。三人揃ってオリバーに寄り添っている。
肌と肌を密着させている。
思い返してみると、私は彼女達のようにオリバーとスキンシップをしたことがない。
なぜだろう?
改めて考えてみるが分からない。
そもそもスキンシップとはなんだろう?
肌と肌を触れさせ親近感や一体感を育もうとする行為。昔読んだ本には確かそのように書いてあったはずだ。
では、なぜ私はオリバーと親近感や一体感を育もうとしない?
その理由はなんだ?
すでに親近感や一体感を育めているから?
婚約者だから必要ない?
うむむ。分からない。
私にとってオリバーは互いの両親が決めた婚約者ーーーーつまり未来の夫だ。
夫と妻はスキンシップするべきなのだろうか?
同じ道を歩む者として親近感や一体感は多くあった方がよいのではないか?
ふむ。そう考えると今までオリバーとスキンシップをとらなかったのは、私の怠慢と言える。
今必要なのはスキンシップなのだ。
そこまで考えた私はオリバーの姿を正面に捉え、彼の顔を自身の両手で包み込んだ。
オリバーの体温が手に伝わると同時に彼は驚いたような表情を浮かべた。
「ア、アーリィ?」
「待って。じっとしていて。スキンシップをとっているのだから」
私はオリバーにそう伝え何となく両手を小刻みに揺すってみた。
「く、くすぐったいよ、アーリィ」
「我慢して。スキンシップの為よ。私達は夫婦になるのだから親近感や一体感を多く育むべきなのよ」
「う、う……ん?」
そのまま一分間ほどスキンシップをとったところで、私はオリバーの顔から手を離した。
「ふう、もう大丈夫でしょう。今後は定期的にこうやってスキンシップをとりましょうね、オリバー」
「う、うん……」
「ありがとうございます、ガイアン嬢。大切な事を教えていただいて。とても勉強になりました」
「…………」
ガイアン嬢は何も答えてくれず、オルテン嬢とマシューと三人揃って私を睨みつけていた。
だから、なぜ私を睨むの。
オリバーの左肩に自身のあごを乗せたガイアン嬢は笑う。
「あー! ずるいですよー! 私もー!」
「オリバー様はあなた方のものではないんですよ!」
オルテン嬢、マシュー嬢も席を立ちオリバーの側へと駆け寄った。
「うわわわ! ちょっ、ちょっと皆! 今はお茶をーーーー」
オリバーはとても慌てた様子でいて、側に立つ御令嬢達はとても賑やかだ。
「いくらアーリィ嬢に不思議な魅力はあれど、それだけじゃあねー?」
ガイアン嬢は私を横目で見て笑う。
私はガイアン嬢の言葉を聞き、そのままオリバーに確認してみる。
「オリバー私のこと、好き?」
「もちろんだよ、アーリィ! 僕達は数ヶ月後には結婚するんだよ? そんな事は当たり前じゃないか!」
「ふふっ、良かった。私も好きよオリバーのこと」
私は紅茶をひと口飲んだ。
うん。少し冷めてはいるが美味しい。
「えー! オリバー様、マシューは? マシューのことは嫌いなんですかー?」
「オリバー様はオルテンのことが好きだとおっしゃいましたよねー?」
「えっ? いや、それは、ちょっと、ここじゃ……」
「あれー? アーリィ嬢はオリバー様のこと好きなのに、スキンシップとかやらないんだー?」
ガイアン嬢の少し大きな声が耳に届いた。
視線を送るとオリバーの顔の横にガイアン嬢の顔があって、二人の肌と肌がぴったりと触れ合っている。
まさしくスキンシップというやつだ。
そしてなぜだかガイアン嬢はまたしても私を睨みつけている。
あれ? 私、何かした?
心当たりは全くないが、きっと何かやってしまったのだろう。
しかし、スキンシップか。
ガイアン嬢もオルテン嬢もマシュー嬢も。三人揃ってオリバーに寄り添っている。
肌と肌を密着させている。
思い返してみると、私は彼女達のようにオリバーとスキンシップをしたことがない。
なぜだろう?
改めて考えてみるが分からない。
そもそもスキンシップとはなんだろう?
肌と肌を触れさせ親近感や一体感を育もうとする行為。昔読んだ本には確かそのように書いてあったはずだ。
では、なぜ私はオリバーと親近感や一体感を育もうとしない?
その理由はなんだ?
すでに親近感や一体感を育めているから?
婚約者だから必要ない?
うむむ。分からない。
私にとってオリバーは互いの両親が決めた婚約者ーーーーつまり未来の夫だ。
夫と妻はスキンシップするべきなのだろうか?
同じ道を歩む者として親近感や一体感は多くあった方がよいのではないか?
ふむ。そう考えると今までオリバーとスキンシップをとらなかったのは、私の怠慢と言える。
今必要なのはスキンシップなのだ。
そこまで考えた私はオリバーの姿を正面に捉え、彼の顔を自身の両手で包み込んだ。
オリバーの体温が手に伝わると同時に彼は驚いたような表情を浮かべた。
「ア、アーリィ?」
「待って。じっとしていて。スキンシップをとっているのだから」
私はオリバーにそう伝え何となく両手を小刻みに揺すってみた。
「く、くすぐったいよ、アーリィ」
「我慢して。スキンシップの為よ。私達は夫婦になるのだから親近感や一体感を多く育むべきなのよ」
「う、う……ん?」
そのまま一分間ほどスキンシップをとったところで、私はオリバーの顔から手を離した。
「ふう、もう大丈夫でしょう。今後は定期的にこうやってスキンシップをとりましょうね、オリバー」
「う、うん……」
「ありがとうございます、ガイアン嬢。大切な事を教えていただいて。とても勉強になりました」
「…………」
ガイアン嬢は何も答えてくれず、オルテン嬢とマシューと三人揃って私を睨みつけていた。
だから、なぜ私を睨むの。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

今夜で忘れる。
豆狸
恋愛
「……今夜で忘れます」
そう言って、私はジョアキン殿下を見つめました。
黄金の髪に緑色の瞳、鼻筋の通った端正な顔を持つ、我がソアレス王国の第二王子。大陸最大の図書館がそびえる学術都市として名高いソアレスの王都にある大学を卒業するまでは、侯爵令嬢の私の婚約者だった方です。
今はお互いに別の方と婚約しています。
「忘れると誓います。ですから、幼いころからの想いに決着をつけるため、どうか私にジョアキン殿下との一夜をくださいませ」
なろう様でも公開中です。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──


断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

望まれない結婚〜相手は前妻を忘れられない初恋の人でした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【忘れるな、憎い君と結婚するのは亡き妻の遺言だということを】
男爵家令嬢、ジェニファーは薄幸な少女だった。両親を早くに亡くし、意地悪な叔母と叔父に育てられた彼女には忘れられない初恋があった。それは少女時代、病弱な従姉妹の話し相手として滞在した避暑地で偶然出会った少年。年が近かった2人は頻繁に会っては楽しい日々を過ごしているうちに、ジェニファーは少年に好意を抱くようになっていった。
少年に恋したジェニファーは今の生活が長く続くことを祈った。
けれど従姉妹の体調が悪化し、遠くの病院に入院することになり、ジェニファーの役目は終わった。
少年に別れを告げる事もできずに、元の生活に戻ることになってしまったのだ。
それから十数年の時が流れ、音信不通になっていた従姉妹が自分の初恋の男性と結婚したことを知る。その事実にショックを受けたものの、ジェニファーは2人の結婚を心から祝うことにした。
その2年後、従姉妹は病で亡くなってしまう。それから1年の歳月が流れ、突然彼から求婚状が届けられた。ずっと彼のことが忘れられなかったジェニファーは、喜んで後妻に入ることにしたのだが……。
そこには残酷な現実が待っていた――
*他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる