アゲアゲ淑女のティータイム〜さあ、あなたのお話を聞かせてちょうだい

清水花

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富を根こそぎ失った男

第十一話

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「あの……これ、お願いします」

 彼はおずおずとした様子で女性にくじ券を手渡した。

「はい。確認させてーーーーえっ!」

 女性はくじ券を一瞥するなり全身を強張らせ固まってしまった。

「えっ!? あの……」

 彼は心配そうにすっかり固まってしまった女性を見つめる。

 時間にして数秒後。石のように固まっていた女性は大きく息を吸い込むと、我に返った様子で彼の方へと視線を投げた。女性の口から震える声でぽつりと言葉が漏れた。

「当選しています……」

 当選という言葉に彼の表情がみるみる明るくなる。

「これ、何等になるんですか?」

 子供のように嬉々とした調子で彼は尋ねた。

 対する彼女はなぜかひどく怯えたような表情でいて、やがてうわずった声で言った。

「特賞ーーーー大金貨十億枚、です」

 彼の世界は真っ白に染まった。























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