アゲアゲ淑女のティータイム〜さあ、あなたのお話を聞かせてちょうだい

「もう……死のう」

 誰にも聞こえない声でそうぽつりと呟く男性がいた。

 己が人生に絶望した彼のその一言は、恐らく彼が生きて放つ最期の言葉であったが、彼のそんな最期の言葉でさえ誰の耳にも届く事なく儚くも消えていった。

 だが、

「ーーーー早くお座りになって、あなたのお話を聞かせてちょうだい」

 誰の耳にも届く事なく空の彼方に消え失せたと思われた彼の最期の一言は、奇跡的にとある淑女の耳に届いていた。

 彼は半ば遺言のつもりで見ず知らずのその女性に、自分自身の身にいったい何か起こったのか、その災難の詳細を洗いざらい語り尽くす事にする。

 彼の人生が一変する不思議で優雅なティータイムが今、始まる。

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