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クッって言ってないで、早くイッて改宗(ころび)なさい

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 一人のダークエルフ♂が、両手を縛られ、仰向けに転がされていた。その横に、外套がいとうを着たダークエルフ♀が立っていて、身動きのできない♂を見下ろしながら喋りだした。



「アナタやっぱり、従魔契約のようね」



 従魔契約とは、恩恵を受ける主を持つ従魔、その従魔と契約することで、間接的に従魔の主の恩恵を受け力を得ることである。



「っと言うことわよ、普通のダークエルフ堕ちよりも、簡単に主を変えられる。」



 ♂の反抗的な目は変わらない。



「だからなんだ?オレの了承が無くば、どの道、再契約など出来ようはずもない。」



 ♀は微笑んだ。



「アナタの直接の主、ノルン=オルガーノはサキュバス…おそらく、アナタと性交で契約している。」



 無言に目を逸らす。



「その原始的な契約法は、オルガズムが、深層の肯定に分類されることに起因している。」



 やおら顔を近付け囁く。



「つまり、私でイッたら再契約できる。」



「痛ッツ…」



 一瞬♂の耳を噛む、瞳と口元が、サディスティックさを帯びてくる。



「大サービスにお礼を言わないなんて、あの女、大した調教も出来てないのね…」



 主をそしられれば、普通はイラつきもする。



「ッッ……」



 しかし、なぜか言葉はでなかった。



「何も言わないなんて、期待しているかしら」



 外套を脱ぐと、全身が見たことのない黒い光沢の、腰の括れたレオタード、イヤもっと布面積は少く、必要最低限しか隠れていない。



 見惚れていた。同種族の美女ということもあるが、見たことのない衣装、言動、立ち振る舞い。今まで自分の生きた世界で、感じたことのない感覚に、脳が見惚れていた。



「まずは、どうしようかしら」



 肘や膝が隠れる長い手袋にブーツ、しかし、その手先のしなやかさを感じるほど薄く、ピッタリと密着した装着感を想像させる。



 唐突の取り出したナイフで服の前を割かれた。



「あらあら…」



 服の下、胸元に薄っすらとかすり傷が出来た。



 ♂はその傷を意にも介していないようだったが…



「はぁ…私が!傷をつけてあげたんだから…ありがとうございますは?」



 馬の尻を叩く鞭をその手にし、ピュンピュンと音を立てている。



「じゃあまずは、白ブタだった時のことから話してもらおうかしら?」



 拷問がご褒美に変わるまで、そんなに時間はかからなかった。



 そして最終的には、イカせてくださいませと、卑しい顔で♂は懇願した。



 再契約完了後、記録水晶の映像を確認するクロエに、クロエルは話しかけた。



「今回は上手くいったけど、私一人でやるのは無理がない?」



 部屋の端っこで、いい顔して気絶する♂を見て呆れ顔のクロエルに、映像から目を離すことなく答える。



「私でも、クーオ様の配下にできるです。」



「え?人間のなのに?」



 映像を止め、ゆっくりと向き合う。



「ハイです。一度全身が腐りかけたこの体は、細胞の大半が、クーオ様の魔力で再構成されたのもです。自己再生で今の細胞が入れ替わるのは、約7年後なので、今の時期なら理論上は可能です。」



「イヤイヤ、それでも穴足りないでしょ~?」



「イザとなれば、魔法でクロエル一人で百人斬りです。」



「いやよッ!絶対マンコ痛いじゃん!」



「大丈夫です。ちゃんとアナルも使って分散しますですw」



「絶対痔になるじゃん!!ダークエルフが痔もちなんて格好つかんじゃん!!」



「回復魔法があるから大丈夫ですし、どの道、魔王城攻略より時間がかかるです。なので、まず、私達がするべきなのわ…」



 クロエの真剣な眼差しに、クロエルもつられて真剣になる。



「ノルン=オルガーノの居場所の特定ね?」



「………この映像の編集で~~~すです♪」



 クロエにも呆れ顔を見せるクロエルを、レフ板を持った勇者ツヴァイがなだめていた。



 同じ日の朝、オークたん・聖女マリア・狂夜御剣きょうやみつるぎ・アルマ=ツゲーネは、直径10メートル以上はある、巨大な鉄球の上に乗って、剛速球で魔王城に向かっていた。



「なあ、神器って、こういう使い方するものなのか?」



 オークたんは、前回は聞かなかった疑問を投げかけた。すると、アルマがそれに答えた。



「過去には、戦術として乗った例もありますが、この長距離移動に使う例は、初めてのはずです。」



 魔王城に向う約百キロの道のりを、メテオスターで強引にぶち抜いて進むという、ロコック発案のこの方法は、前前回、小一時間で魔王城に到達できる画期的な方法だったが、出発前にロコックに強化魔法を掛け、数分で到達できるまでになった。



「ちょっとタン!」

 

 聖女マリアは、前回のように、移動の威力に、自分達が粉々にならないように、風魔法で防御していた。



「なんだマリア?」



 話が聞きやすいよう近づくと、耳をかせのゼスチャーをしてきた。



「元々アンタが、最初の罠で『クッ』って言いながら殺されたせいなんだからねッ!わかってんの!?」



「別にオレだって別に死にたくなかったわ!」



 そう実は、この二人だけは、三度目の鉄球旅行であった。
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