奥様はとても献身的

埴輪

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≪現在③≫

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 呆然とする文香の前で優が下半身を曝け出す。
 強引な仕草で、文香の頭を掴み、噛みつくようなキスをしながら。

「ふっ、ん、ん……っ」

 文香の両手はまだ優の片手に捕まっている。
 生々しい感触が掌に伝わり、自然と逃げ出そうとする文香を優は簡単に拘束する。
 逃げたくとも、逃げる隙などない。

「はぁ、ふ、みか…… ふみかぁ」

 擦れた声が、まるで笑うよう震えている。
 優の声。
 でも、まるで別人のようだ。
 これはきっと文香の知る優ではない。
 呼吸を奪われ、互いの唾液が口の端から垂れる。
 上手く息継ぎできない中、文香はそんなことを思った。
 そもそも、文香の知る優とは一体どんな男だったのか。
 それすら思い出せない。

(違う……)

 思い出せないのではない。
 きっと、もう分からないのだ。
 ずっと、三年前のあの頃から。

「っぁ、ゆ、う……」

 あのときの優はこんな風に乱暴に文香を扱わなかった。
 ずっと、もっと大事に。
 壊れ物のように、優しく抱いてくれた。
 快楽など、知らなかった。
 ただ触れ合う肌の感触が気持ちよくて、恥ずかしくて、温かくて。
 心の底からほっとするような、安息と愛情に満ちていた。
 快楽など知らなかった。
 知らなくても十分に心は通じ合い、幸せだと思っていた。

「……文香」

 抱きしめ合うだけで、汗ばみながら、息継ぎも上手く出来ないベッドの中で。
 手を繋ぎ、指を絡ませるだけで満足だったあの頃。
 もう思い出せない。
 夫婦として共に夜を過ごした寝室の空気も色も違う。
 裸で睦み合ったベッドの上で、今文香は優にキスされながら、優を見ることができない。

「ふみちゃん」

 優の腕の中に囚われ、両掌でその熱い昂りを慰めながら、噛みつかれるような熱いキスをされながら。
 優の愛を痛いほど感じ、受け止めながら。

「手伝ってあげるよ」

 軽薄と言ってもいい意地悪な声で文香を誘惑するさくらに、ドキドキしている。

「そいつとのキスに、夢中みたいだから」

 拒否することはできない。
 文香の両手は優の手の中にある。
 優の拘束が更に強く深まったのはきっと気のせいではない。
 さくらの手の動きを気にする文香を咎めるように、優は文香の手を掴んだまま自身のペニスを扱く。

「っ、ぁ、」
「文香……っ」

ぐちゅ……

 粘液が擦れる音に、文香の手が震える。
 掌から伝わる熱が全身を駆け抜けていく。
 けど、唇を放した優が息もまだまともに整えられない文香の顔を覗き込み、うっとりと笑いかけるから。

 何故か、文香はゾッとした。

「……ふみちゃん。ほら、お尻上げて」

 それはもしかしたら、背後から文香の肩に顎を載せながら、含んで笑うさくらのせいかもしれない。
 気のせいだろうか。
 愉快気に笑いながら、一瞬だけさくらの声がとても冷たく聞こえたのは。
 
 けど、さくらの言う通りに腰を上げたくとも、下半身は力が抜けたように上手く動かない。
 手をついて起き上がりたくとも、両手は優のものを慰めている。
 手を放してとは、何故か言い出せない。
 ままならない。
 優とセックスすることを覚悟したばかりなのに。
 何度も、したのに。
 
 どうして、今更こんなにも身体が震え。怯えてしまうのか。
 さくらの視線が、優の視線が。
 二人の視線が今文香の全身を、欲情を隠しもせずに見ている。
 それがこんなにも恥ずかしい。

「仕方ないなぁ」
「っ!? やっ、さくら……?」

 恥ずかしい。
 恥ずかしくて、堪らない。
 文香の気持ちをさくらはきっと知っている。
 羞恥に苦しむ文香を知りながら、さくらはわざとらしく我儘な文香を窘めるように子供扱いする。
 力の入らない文香の下半身を無理矢理膝立ちにし、腹に手を回す。
 文香の上半身を優が、下半身をさくらが。
 二人が緩く、一切の隙もなく文香を拘束していた。

「もう、腰砕けになって……」

 優の手が意味あり気に文香の汗ばむ背中を撫で、腰をさくらが引っ掻く。

「キス、そんなに気持ち良かった?」

 咄嗟に否定したいのに、正面から文香を拘束する優がまるでさくらにだけ視線を向ける文香を咎めるように再びペニスを扱きだす。

「文香っ」

 切羽詰まったような優の声に、文香の口から小さな悲鳴が上がりそうになった。
 粘液に濡れた手が、熱に翻弄された手に感じる優のそれがもう限界に近いことに文香は素直に驚いた。
 だって、まだそんなに触れていない。
 文香は優とセックスしようと、いつものように口で昂らせようとしていたのに。
 優は歯を食いしばりながら文香の顔をじっと見つめていた。

「文香、文香っ…… ぁ、っ」
「っ……」
「ふみかぁ…… はぁ、なまえ…… なぁ、頼む…… な、まえ……っ はぁっ、ぁ、よんで、くれ……ッ」
「ゆ、ゆう……?」
「ぁっ……!」

 文香はただ言われた通りに優の名前を呼んだ。
 戸惑いを多大に含んだその声に、しかし優はぎゅっと絞り出すように自身のペニスをその瞬間力強く掴む。
 もちろん、文香の手ごと。

「早漏め」

 さくらの色を含んだ声が、文香越しに優を突き刺す。
 文香を見つめたまま、その手を使って自慰し、射精した男を、さくらは呆れたように嘲笑う。

 文香、文香と。

 必死に文香の名前を切なげに呼び続ける男の恍惚とした笑みをさくらは美しい顔を歪ませながら、心底面白くて仕方がないように嗤う。

「あまり無駄に出すなよ。せっかくのお愉しみなんだから」

 文香の首筋に舌を這わせながら、さくらは文香のショーツに手を忍び込ませる。
 射精したばかりで息も絶え絶えな優は顔を真っ赤にし、泣きそうな情けない顔でじっと文香を見つめていた。
 射精するその瞬間まで、一瞬とも文香から目を離さなかった。
 もったいなかった。
 一瞬でも文香を視界から見失うことが勿体ないと優は思っているのだ
 そんな優の切なげな視線と、その中に見える狂気を含んだ色に文香は違和感を抱いた。
 しかし、それはすぐにさくらの愛撫によって頭の中から散って行く。

「せいぜい愉しめよ」

 文香の耳に吹きかけるように囁きながら、さくらのその台詞は明らかに優に向けられていた。
 さくらはずっと文香を後ろから抱きしめる。
 だから、文香はさくらの表情を伺うことができなかった。
 その真意も。

「ふみちゃんも、ね」

 さくらも優も。
 二人ともまるで知らない男のように文香を翻弄しようとする。



* 


 初めてさくらとセックスしたときと同じように、舌で丁寧に丹念にねっとりと蛇のような舌で吸いつく。
 さくらのあの綺麗な顔が文香の尻に埋まっている。
 そのことを考えただけで、泣きそうになる。
 けど、文香に泣いている暇はない。

「んっ、んん……っ、ふっ」
「っ、ふみか」

 あのときとは違う。
 さくらは文香の下半身を、そして文香はさくらの下半身を互いに愛撫していたときとは違う。
 今、文香はさくらに愛撫されながら、必死に優のペニスをしゃぶっている。
 
 一度射精した優のペニスはべとべとで、亀頭から陰毛まで青臭く、独特の精液の味がした。
 文香の手の中に吐き出された優の精液。
 それを潤滑剤にしなくとも、優のペニスはすぐに勃ち上がり、我慢汁をとろとろに溢れさせていく。
 だから文香の口の中は優の味でいっぱいだ。
 喉の奥まで、ねばりつくような男の欲望の味に染まっている。
 口の中で頬張る優のペニス。
 フェラは何度もした。
 どこをどうすれば優が感じるのかも分かっているし、味も形も質感も嫌になるほど身体に残っている。
 けど、今はこんなにも苦しい。
 文香を宥めるように髪や耳を撫でる優の手つき。
 耳を覆いたくなるほどの粘液が擦れる音。
 文香の下半身から響く厭らしい音を優が聞いて、そして見ている。
 
ぢゅっぽ、ぢゅるっ

 さくらの愛撫に感じる文香を。

「んっ、ふ、っ……!」

 まともにフェラなど出来ない。
 容赦のないさくらの舌技に、繊細な指使いに腰が震え、一度知ってしまったあの熱の塊を求めるように切なく蠢いている。
 我慢できずに悶えるように揺れる腰。
 まるでさくらに催促しているような。

「ふみちゃん、やらしー」

 ちゅっと、臀部を吸われ、文香はただただ必死に優のものを噛まないようにシーツに爪を立てた。
 
「ほら、もっとそっちに集中しないと。彼が可哀相だろ?」

 くすくすと揶揄うさくらに、文香は恐る恐る上目遣いで優を見上げる。
 さくらの愛撫は絶妙で文香が果てそうになると途端に動きを止め、焦らすように息を吹きかけたり、臀部を指先で撫でたりと、意地悪をするのだ。
 何度も何度も意地悪された文香はそのたびに優のそれを強く握ったり、歯を軽く立ててしまった。
 けど、その度に優は文香を責めるどころか、慰めるように撫でて来る。

「ふみちゃんが焦らすから……」

 さくらの性的な香りのする手つきとは違う。
 今も文香の背中に覆いかぶさり、後ろから乳房を揉み、乳首を摘まんで来るさくらとは。

「ふふふ。そんなに、僕のクンニが気持ちいいの?」
「んっ……!?」

 さくらの指が文香の陰部を弄る。
 さんざん舌で弄ったクリトリスをくにくにと人差し指の腹で潰し、焦らしに焦らした膣の入り口を器用にも中指と薬指で広げていく。
 先ほどの愛撫など、所詮さくらにとってのお遊びに過ぎない。
 子猫がミルクを舐めるような無邪気なものだ。

「ほら、しっかり咥えないとまた口から落ちちゃうだろ?」

 文香の表情を、優のものを咥えたままの文香を間近で観察し、涙に濡れた頬を舌で舐めながらうっとりと責めるさくらの意地の悪さに比べれば可愛いものだ。

「僕が教えた通りに、僕にしていたように。彼も、気持ち良くさせなきゃ」

 ぐっと、文香の後頭部を抑え込み、優のペニスがより深くたくさん文香の口に入る様にするさくらの瞳は赤い欲情に濡れていた。
 
「やめろよ…… っ、はぁ、文香が、く、るしんでる……」
「だったら、さっさとイケよ」

 優のそれはもう限界なのだろう。
 吐きそうなほどに文香の口の中で大きく硬くなったペニスは射精寸前だ。
 舌に感じるぴくぴくとした血管や、喉の奥で溢れ出る汁の量、味。
 ぽたぽたとシーツを汚すのは優の我慢汁と文香の唾液の両方だろう。
 文香の下半身を濡らす淫液は全てさくらが舐めとった。

「ほら。もう我慢できないってさ」

 口の中が、喉の奥が苦しくて。
 鼻に触れる優の陰毛や、背中に覆いかぶさって来るさくらの重み。
 いやらしい水音が止まらない下半身。
 今すぐにでもさくらに縋り、泣いて許しを乞い、強請りたくなってしまう焦れるような切ない快感に。
 
「……早く。僕も、我慢できない」

 臀部に擦りつけられる、さくらの昂ったペニスに。
 カチカチと目の前が点滅するような、そんな感覚の気配に文香は必死に優のそれをしゃぶり、扱いた。
 
「っぁ、文香……っ」
 
 焦るような優の声に構う余裕はない。

じゅるじゅく、ぢゅるじゅるるっっ

 文香は早く優に射精して欲しかった。
 この苦しみから早く解放されたい。
 思い切り、さくらの愛撫に抗議し、喘ぎたい。
 さくらの昂ったものをしゃぶり、中に欲しい。
 理性が切れているのは男二人だけではない。
 文香とてこの異常な状況、濃厚な性の匂いに満ちた空間に酔っている。

「俺、もう……ッ」

 さくらの見ている前で。
 さくらの昂ったものを感じながら。
 さくらの愛撫に悶えながら。
 文香は優の射精を口の中で受け止めた。

「飲んで」

 咄嗟に吐き出そうとした文香は、久しぶりに聞いたさくらの高圧的な命令になんの疑問もなく優の精液を苦しみながらゆっくりと少しずつ飲み干す。
 一気に飲むのは無理だ。
 だって、こんなにも濃くて、ねっとりしている。
 喉の奥に絡みつき、舌にへばりつく白濁。

「……ずるいなぁ」

 優と、文香の呼吸が熱っぽく部屋に響く。
 
 そんな中、さくらは唇だけではなく顔を全体をべたべたに汚された文香を詰る。
 その手を焦点の合わない文香に見せつけた。
 指でどろっとした粘液の糸を伸ばし、文香と、そして優の見ている前で舐めとる。

「自分達だけで愉しむなんて」



* * 

 

 ベッドのスプリングが軋む。
 
 息もまだ整えられない文香はそのままさくらに背後から抱きかかえられ、ベッドの端の方に移動させられた。
 文香の前でシーツに膝つく優がいる。
 そのペニスは射精したばかりなのに、もう硬さを取り戻し、緩く持ち上がっていた。

 優の顔は赤くなり、息も荒い。

「文香……」

 興奮に目を潤ませる優の視線は文香の肌を焦がす。
 目を逸らし、そんな優の視線から逃れようとする文香をさくらはニヤニヤしながら見ている。
 そんな気がした。

 優の精液が垂れた口元を拭こうとする文香を制し、さくらが噛みつくようにキスする。

「ふっ、んっ……!?」

 どろどろと口の中に残っている精液ごとさくらは舌で絡めとり、飲み干していく。

ちゅっぢゅるっ

 信じられないと目を見開く文香を笑いながら、さくらは文香の口の中を蹂躙する。
 刺すような優の視線にさくらは文香に気づかれないように嗤った。

「僕以外の男の味がする」

 さくらの揶揄う声に放心したように、文香は目を潤ませた。
 縋り付く文香の手をやんわりと握り返すさくらはそんな文香を愛し気に見つめている。
 
「ふみちゃんは頑張り屋さんだから……」 
「あ、」
 
ちゅっ

 首筋に一瞬の痛みが走る。
 今度は文香のその細い首筋をちろちろ舐めながらさくらが囁く。

「……頑張った子にはご褒美をあげないと、ね?」

 文香の熱い吐息と、無意識に漏れる優の耐えるような呼吸音のみが目立つ寝室にさくらの情欲に染まった声はやけに大きく響いた。

「今度は君が奉仕される番だよ」

 その言葉の意味を文香は上手く把握できなかったらしい。
 必死に息を整えようとする文香をじっと見つめたまま、優はさくらの意図を察した。

「はぁ…… はっ、」

 優が這うように文香に近づく。
 まるで犬のように荒い息遣いが文香のとろとろに濡れた陰部にかかる。
 
「ぁ……」
「文香……」

 それだけで感じてしまうほど、文香もまた限界だった。

 さくらの昂ったものが文香の尻の間を擦る。
 仕込まれたアナルが収縮し、欲しているのが分かった。

(やだ……)

 言うことを聞かずにどんどん濡れていく下半身。
 優の視線だけで溢れていく淫液に文香は涙を浮かべ、首を振る。

「……すごい、こんなに、」

 優の手が強張る文香の太ももを更に大胆に開き、身体を割り込ませる。
 そうするともう文香にはどうすることもできない。
 足を閉じることも、胸を隠すこともできない。
 全てをさくらと優に曝け出している。

「いや、」

 恥ずかしいところを全部。

「見ないで……」

 ぐずぐずに鼻を啜る文香にさくらが宥めるようにキスをする。

「可愛い」

 目尻の涙を舐めとり、ちゅっと音を立てる。
 それに釣られるように、優は喉を嚥下し、そして文香の陰部に舌を忍ばせた。

「っぁ……!」

じゅっ……

 さくらの手で十分に濡れたそこは、まだ絶頂の余韻で痺れている。
 いつもよりずっと敏感で、空気に曝されているだけで震えてしまうほど。
 そこに優の肉厚の舌が入って来る。

「ふぁっ、ん、んんっ…… っぁ、」

 唇を噛みしめて声を耐えようとしても無理だ。

「駄目だよ、ふみちゃん」

 さくらの咎める声に、散々調教された文香の身体から力が抜く。

じゅっ、じゅ、じゅるっ

「ぁっ、あんっ んっ、」

 舌だけではない。
 優の唇がかぶりつくように文香のあそこを愛撫する。

じゅる、ちゅくぢゅっっ

「やっ、だ、めぇ…… っん、あ、あんっ」

 咄嗟に股を閉じようとすれば必然的に太ももで優の頭を挟む形になる。
 それがより優を興奮させ、大胆にすることを文香は気づいていない。

じゅるじゅるじゅるるっっ

 淫靡な水音が寝室に響く。
 自身の嬌声にすら文香は感じていた。

 耳に届く音。
 鼻につく匂い。
 熱くて痺れる下半身に、更に忍び寄るさくらの手。

「んっ!? ふぅ……っ」

 さくらが文香のクリトリスに指を這わせる。
 優は一瞬だけ邪魔な手を睨んだが、すぐにその舌をもっと下の方、放置されて寂しそうに蠢くアナルに這わせた。
 さくらと優の行為に抗議しようにも、文香は顎をさくらに固定され、そのまま舌を絡めとられている。
 
「ふっ、んんっ、」

 さくらの指が巧みな動きで、先ほどの続きと言わんばかりに文香のそこを愛撫する。
 そして、優の舌が文香の開発され敏感になったアナルの皺の一つ一つを丹念に解かし、更に奥までねじ込む。

「うっ…… ん、んっ」

 さくらの手や舌は一層冷徹なほど器用に、熱く蠢き、優の舌は理性のない獣のように今は文香の尻ごと舐めてしゃぶりついている。
 とろとろと溢れて来る文香の淫液は尻を伝い、優はそれを甘露とばかりに喜んで舐めとるのだ。

ちゅるぢゅくじゅくっっじゅぅぅっ

「はっ、あんっ…… ふぅっ」

 後頭部を掴まれ、より深くなるさくらとのキス。
 どちらとも分からない唾液に溺れ、さくらと優に一番敏感な下半身を愛撫される。
 解放された両手で必死にさくらの胸を叩き、優の頭をどかそうと抵抗しても、もう遅い。
 目の裏がカチカチするような、覚えのある感覚がすぐそこまで来てる。
 ぴくぴくと痙攣し、腰が揺れる。
 溢れ出て来る淫液に、恥じらいもなく蠢く肉壁に、さくらも優も、もう気づいているだろう。

 だから、より一層激しくなる。

ぢゅっぢゅくぢゅくじゅうっっッッッ

「んんっ、ふっ、う……っ」

 飲み切れない唾液が零れ、ゆっくりと胸の谷間に流れていく。
 
「はあっ、ふ、みか……」

 太ももに手の跡がつきそうなほど強く、縋り付くように優は文香のアナルに何度も何度も舌を挿入し、ちゅるちゅるっと吸い付く。
 さくらの指が止めと言わんばかりに、文香のクリトリスを痛いほど摘まみ、赤く充血した敏感な肉の芽が一瞬破裂してしまったのではないかと錯覚するほどの快感が一気に全身に押し寄せた。

 電流が尾てい骨を、背骨を駆け登り、文香の頭を真っ白にさせる。
 
「っ……!?」

 叫びに似た嬌声はさくらの口に塞がれ、飛び出ることはなかった。
 しかし、だからこそ、抑え込まれた快感は出口を求め、しつこく文香の中で暴れまわる。

 痛いほどの快感に、意識すら飛びそうになるのに。

 その気が狂いそうな絶頂の波は一瞬ではなくじわじわとまだ文香の身体の中で暴れまわっている。

「っぁ、はぁ、はぁ、ん……」

 涙のせいだけではない。
 世界が歪む。

 あまりの気持ち良さにパニックになりそうなほど。

「……狡いなぁ」

 さくらの胸に凭れるながら、文香はただただ荒い息をつくことしかできなかった。
 優もまたそれは同じだ。
 ただ、優の方は文香と違い、より一層興奮し、その先を欲しがっている。

 それはさくらも同じである。

「また、君達だけでイクなんて」

 胸に凭れる文香を愛し気に撫でながら、さくらは文香をイカせた片手の一本一本を口に含む。
 文香の尻にむしゃぶりついていた優をちらりと一瞥して。

「欲張りだなぁ」

 さくらは三度目の射精をした優を嘲う。
 優のペニスは、それでも物足りなさそうに芯を保っていた。

 
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