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≪現在②≫
4 お風呂でフェラチオ
しおりを挟むそんなこんなで手にボディーソープをつける。
スポンジに比べると泡立ちが悪かったが、掌が滑りやすくなり、敏感なところを洗うにはいいのかもしれないと文香は思うようにした。
そもそも幼い子供の身体など洗ったことがない。
本当にこのやり方で正しいのか分からないが、相手はさくらだ。
本来はとっくに成人しているさくらが強請っているのだから、たぶん大丈夫なはずだ。
文香の精神以外は。
そっと、そっと、恐る恐るさくらの小さなそれを掬い取るようにして持ち上げた。
「んっ」
その微細な動きだけでもこそばゆいのか、文香の両肩に置いたさくらの手が強張ったのが分かる。
「ど、どうすればいい……?」
手に取ったのはいいものの、その後どこをどうやって洗ってやればいいのか分からない文香にさくらは少年とは思えないほど慈悲深い笑みを浮かべる。
「ふふ、じゃあ、僕の言う通りにして?」
「うん……」
「まずは…… ん、そっと、根本から撫でて、っ、そ、う、優しく…… もっと、掌全体で、撫でていいから…… っあ、ちょっと、指の腹で…… あん、ふみちゃんの指、きもちいい……」
「……あの、」
「ん…… なぁに?」
「……なんか、ちょっと、硬く、なってるような……?」
文香の手の動きが止まったことにさくらがこてんと首を傾げる。
猫のような大きな目がぱっちりと大きく瞬いた。
「ふみちゃんに触られてるんだもん。硬くなるよ」
何を当たり前のことを言っているのだと不思議がるような視線に文香は頬を引き攣らせた。
「僕、こんな姿だけどちゃんと勃起できるし、精液も出るよ? おちんち触られたら気持ちよくなっちゃうの、当然でしょ?」
だから気にしなくていいから、続けて。
にっこりと満面の笑みで言われた文香は頷くほかなかった。
「ふみちゃん…… ねぇ、たまたまもちゃんと洗って? ぁ、そう、指で、転がすように…… んっ、あ、もっと、そこ…… 撫でられただけで、ぼく、もう…… ぞくぞくする…… ふみちゃん、上手だ、よ」
熱い吐息が文香の耳にかかる。
さくらは文香に凭れ掛かり、文香の「洗い方」を褒めるようにその頭を小さな手で撫でた。
子猫のようにあどけなく、そして淫らな声を上げるさくらに文香は顔を真っ赤にして涙を若干浮かべながら必死に言われた通りに手を動かした。
その震えて稚拙な仕草がよりさくらの嗜虐心を煽り、もっと苛めてやりたいというサディスティックな心を刺激するとは欠片も思わず。
「ねぇ、ちゃんと皮も…… そう、ゆっくり、やさしく、むいて…… んっ、中もちゃんと、洗って…… ぁ、やっ……!」
とろとろに気持ち良さそうにしていたさくらが顔を顰めて小さな悲鳴を上げる。
思わず文香はビクつき手の動きを止めた。
「い、痛かった……?」
罪悪感で顔が青ざめる文香に、さくらは恨めしそうに涙目で睨む。
「むー…… ふみちゃんの爪が当たって痛かった……」
「ごめん……」
これが大人さくらであれば我慢しろと素っ気なく返すが、今のさくらに涙目で抗議されれば文香はただ謝る事しかできない。
「……舐めて、ふーふーしてくれたら、痛くなくなるかも」
だが、さすがにその台詞には咄嗟に同意できなかった。
「お願い、ふみちゃん」
さくらのおねだりに文香は呆然とし、思わず手が離れる。
ぷるんっとその勢いでさくらのちっちゃな性器が揺れた。
「僕のおちんち、舐めて♡」
「な、」
「だって、ふみちゃんが痛くするんだもん……」
「うっ」
うるうるうるうる……
(そんな目で見ないでよ……!)
さくらのあざとい懇願の視線がぐさぐさと文香の罪悪感を刺激する。
女である文香には先ほどのさくらの痛みが分からない。
もしかしてとてもとても痛い思いをさせたのかもしれない。
そう考えると文香は強く出れなかった。
何よりもおねだりするさくらが可愛過ぎた。
「わ…… わ、かった」
自分はなんて駄目な大人なんだろうと思いながらも、文香はぱっと笑顔を見せるさくらについつい絆されてしまう。
どんどんさくらのペースに流されていると分かっていたが、もう既に戻れないところまで来ていた。
「嬉しいなぁ~ ふみちゃんにおちんち舐めてもらうの、久しぶりだもん」
「……舐めるだけだよ?」
「うん、分かってるよ。前みたいな意地悪はしないよ~」
無邪気な笑顔を振りまき、さくらは自分で泡を流した後、文香の目の前に腰を突き出す。
膝立ちになった文香の目の前に健気に勃ち上がった少年の性器が露になる。
「僕の言う通りにすれば、大丈夫だから。……ね?」
「ん……っ」
唇に当たるふにゃっとした感触と鼻につく独特の青い匂いに、文香は思わず顔を後ろに引こうとし、さくらにそれを阻まれる。
「ほら…… ふみちゃん、あーん♡」
「ん、ぁっ……」
幼い見た目とは不釣り合いな力強さで後頭部を押さえつけられ、そして薄らピンクがかった目でうっとりと見つめられる。
文香の唇を無理矢理割り開こうとするかのようにさくらはぐいぐいと自分の性器を押し付ける。
生々しい皮の感触がダイレクトに唇に触れ、文香は涙目になりながらもそっと唇を開いた。
「ん、そう…… 歯を立てちゃ、ダメだよ?」
さくらの幼い陰茎が文香の口に侵入する。
ちゅぱっと、まるで棒付きの大きな飴玉が口に入るような感じだ。
「ほら…… 僕の言った通り、一口で入ったね。前と違って苦しくないでしょう?」
「ぅん……」
褒めるように、あやすように頭を撫でられ、文香は羞恥と背徳感と色んな感情がごっちゃ混ぜになり、訳も分からず頷くほかなかった。
その小さな動きにさくらが甘い声を上げる。
文香の口の中が気持ちいいのか、さくらは恍惚とした表情を浮かべている。
幼く無垢な見た目とは違い、煽るような視線に文香は自分が興奮し始めていることに気づいた。
いや、そもそも浴室に入ったときから、湯気と共に文香はさくらの色気、淫魔のフェロモンに当てられていたのだ。
「ふみちゃん…… ちゅぱ、ちゅぱして」
「……ん、」
ちゅ、る…… ちゅっ、ちゅく
「あっ、いい…… そう、飴みたい、にっ、んっ、ぼくの、おちんち、しゃぶって……っ」
「んん、んっ……」
ちゅぱっちゅっぱっ、ちゅっじゅるっっ
大して広くもないアパートの浴室。
文香はずり落ちそうになるバスタオルに気を遣う余裕もなく、ただ必死にさくらの柔らかな部分に歯を立てないように口を大きく開け、言われるがままに飴玉をしゃぶるように喉や口腔内全体を使った。
文香の舌がさくらの皮の表面を撫でる。
何度も教え込まれ、稚拙な仕草はまだ見られるものの、文香はだいぶ口を使うことに慣れていた。
だが、今まで文香が慣れ親しんださくらのものとも、ましてや優のものとも違う幼い陰茎に戸惑ってしまう。
特に少年特有の包茎の舌触り、感触に文香は戸惑った。
本当にこれで気持ちがいいのかとのぼせた様な頭の片隅で思ったとき、さくらが当たり前のように文香に命令する。
「っ、今度は、ゆっくり…… 舌の先で、ぁ、皺になった部分のよごれを、舐めて…… っ、そう、そうだよ……」
舌先を尖らせ、文香は言われるがままにさくらの包皮が重なり皺になった部分を丁寧に舐めた。
普段からエチケットとして綺麗に洗ってあるせいか、特に垢は溜まっていなかった。
だが、どうも先ほどの精液の残滓がまだある気がして、文香は口の中に広がる独特の青臭さにえずきそうになる。
それでも元のさくらほどその匂いは強烈ではなかった。
ただ、子供特有の青臭さと尿臭さ、ミルクの匂いだけが文香に強い違和感と罪悪感を与える。
そんな気持ちとはまた裏腹に、文香を褒めるさくらが、小さな手で頬を撫でて来るさくらが嬉しくて仕方がない。
もっと、褒めて欲しいなんて思ってしまう自分がいる。
さくらの目がどんどん赤くなっていく。
そのねっとりと、熱い視線が文香の全身に絡みつくのが分かり、思わず膝を摺り寄せてしまった。
「いい、子だ…… ふみちゃんは、ほんとうに、いい子だね」
「あ、んっ……」
思わず大きく嚥下してしまい、唾に混ざるさくらの味に文香は顔を真っ赤にした。
「ふふふっ…… 次は、舌と歯をつかって…… 優しく、丁寧に、皮を剥いて……」
頬を指先で撫でられ、文香はさくらに操られるようにして一度口を放し、そして恐る恐る舌を突き出す。
亀頭まで覆われた包皮。
蕾のように開く先端の小さな口に舌先を突っ込む。
そして、ゆっくりと皮を捲り、隙間に突っ込んだ舌先を一周し、また捲って、ゆっくりゆっくりずらしていく。
それこそ蕾を無理矢理開こうとするような。
ひどく繊細で背徳的な蛮行だった。
良心の痛みと裏腹に、文香は硬くなっていくさくらのそれに興奮していた。
そんな文香を、さくらが堪らないとばかりに息を乱しながら凝視する。
「っ、ぁ…… いいよ、ふみちゃ、ん…… 僕を、おとなに、して……!」
じゅるっと尿道から溢れて来る雫を吸いながら、文香は時に歯を使い、大事に大事にさくらの皮を剥いていく。
痛みもあるらしいが、それすらさくらには快感となるらしく、強請る声はどんどん甘さを増していく。
無意識に文香の髪を掴むさくらの余裕のなさが愛しかった。
ライチのような亀頭が漸く半分露になり、その艶々とした表面と瑞々しい色合いに文香は自然と唇を寄せ、果汁を吸い取るように、あるいは舐めとるようにして口に含んだ。
「あっ、あん……っ ぼ、く……、も、う……ッ」
風呂場に充満する甘ったるい匂いに、文香はもう冷静な判断ができなくなっていた。
じゅるっちゅるっっじゅっっ
もっと雫が溢れるように幼い亀頭に吸い付く文香に、今まで溜まった刺激がついに決壊したのか、実に呆気なくさくらは射精した。
ぴゅっと、玩具の水鉄砲が口の中で飛び出て来たような、そんな感覚を抱きながら文香は口でさくらの青々しい精液を受け止める。
「んっ…… ふぅ、」
口を放せば、水っぽい液が唇の端を垂れた。
「はっ、はぁ…… ふみちゃん…… ごっくん、して?」
じんわりと快楽に蕩けた表情で、そして幼さと不釣り合いなどこか嗜虐的な笑みを浮かべてさくらが文香の頭を撫でる。
文香は言われるがままにさくらの目の前で喉を上下させた。
「……この身体で、射精したのは初めて」
文香は自分の熱く荒っぽい息を整えようと必死だった。
さくらの手が文香の緩んだバスタオルを掴み、徐々に下ろしていくのに構う余裕がないほど。
「ふみちゃんに、僕の初めてを全部あげたいなぁ……」
さくらの眼前に汗をかき、呼吸で上下する文香の豊満な胸が広がる。
母の乳房を恋しがる無垢な少年のように、さくらはそっとその胸に顔を埋めた。
うっとりと、頬に伝わる文香の柔らかな胸の感触に、眼前の薄い色の乳首に魅せられたようにさくらは赤く色づいた目で文香を見上げる。
「……今度は、僕がふみちゃんを食べてもいい?」
さくらの赤くなった瞳で見つめられ、拒否できる人間などいなかった。
それに魅せられた文香であればなおさら。
淫魔に見初められた人間がその誘惑に抗うのは難しい。
どんな理性的な人間であれ、彼らの魅力に、与えられる快楽には逆らえないのだから。
「ん…… い、いよ…… さくらの、好きにして」
だからこそ初め文香はさくらが嫌いだった。
さくらも自分を嫌いな文香が嫌いだった。
そんな印象最悪な二人がなんだかんだあって結婚し、夫婦となったのだから人生は分からない。
「全部、さくらのものだから」
さくらのために、恥もプライドも世間体も常識も倫理も全て放棄し、震えながら脚を開く文香に。
「嬉しいよ、ふみちゃん」
さくらはぞくぞくした。
僕の奥さんはなんて素敵な人なんだろう。
心の底からさくらは自分の妻が誇らしかった。
どこまでもさくらのために尽くそうとする健気な様が、その献身的な姿が愛しくて堪らなかったのだ。
*
優は志穂との電話の後、今までずっと避けていたスマホのメモをタップした。
一番最後に編集されたメモには、いつか生まれて来る子供のための名前候補が並んである。
結局、女の子の名前は決まったものの、最後まで男の子の名前はどうしようかと決まらなかった。
男の子の名前候補と題したメモには色んな名前が乱雑に載っている。
当時の自分の迷走加減に優は無意識のうちに笑い、そして自然と笑顔が消えた。
『《優》ってつく名前なら、なんでもいいよ』
頭の中でかつての文香の言葉が蘇ったからだ。
「……」
きっと、あれが最後のチャンスだったのだ。
優が文香に懺悔し、許しを乞う最後の。
今になって、それに気が付く自分が愚かで無様で情けなくて、死ぬほど嫌悪感が湧く。
「っ、文香……」
まだ、この部屋には文香の匂いが残っている。
冷蔵庫を開けば、文香が選んだ食材がぎっしりと入っている。
優のために買ってくれたアイスも、夫婦だったときに必ず購入していた銘柄の牛乳やチーズ、プリンもあった。
文香も決して優との三年間を、それ以前の二人の思い出を消したわけではない。
ちゃんと、覚えてくれた。
むしろ、優よりもずっと、文香は優のことを考えてくれたいたことが切なく、そして嬉しかった。
だからこそ、諦めきれない。
まだ、やり直せるのではないか。
今度こそ、本当に最後のチャンスとして。
文香が優を求めてくれた、今このときが、神様が与えてくれたチャンスなのではないかと、思ってしまう。
そうでなければ優はきっと、耐えられない。
別れてから狂うほど文香を思い、ただ夢の中で求めた。
朝目覚めれば途端に虚しくなり、それでも文香を傷つけた自分が死を選ぶ権利などないのだと、戒めるように働き続けた。
苦だとは思わなかった。
むしろ、もっと優を批難し、罰を与えて欲しかった。
平穏な毎日など自分には見合わない。
文香を傷つけ、裏切った畜生の自分には、もっと重い罰が必要だった。
そうでなければ一生文香に会えない、償うことができないと、優はひたすら罰を望んでいた。
だが、文香は再び優の前に現れた。
理由は、今もはっきりとしない。
ただ、幸せになって欲しいと願っていた文香が、いざ自分以外の男と再婚したという事実が優の心を歪ませたのは確かだ。
嫉妬はどうしようもなかった。
今も、優の中で暴れ狂う醜い感情がその心臓を食い破って出て来ようとしている。
優は今自分がどうすればいいのか、どう行動すれば文香を失わずにすむのかとそればかりを考えていた。
今の優に足りないのは情報だった。
優は別れた後の文香を、その三年間を何一つ知らないのだ。
なら、何か知っている志穂から聞き出すしかない。
興信所に依頼し、結果を待つまでの時間も惜しい。
優に今だ執着している志穂を頼るのが一番手っ取り早かった。
文香を失い、そして再び希望を見出した。
だが、今日それは志穂のせいで無惨に砕け散った。
知りたくなかった事実、いつかは知るであろう真実。
それでも優は、夫婦みたいに文香と過ごせる短い逢瀬に縋り付きたかったのだ。
三年ぶりに会った志穂への罪悪感はまだきっとどこかに残っている。
それでも、今の優にとって志穂は邪魔な存在だった。
それと共に、利用する価値のある存在でもあった。
「ははっ…… 本当、最低だな」
酷いことを考えていると自覚している。
それでも、優はもう間違えたくなかった。
自分が本当に欲しいのは文香だけだ。
今も昔も。
その他は全部、捨てても構わないほど。
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