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≪現在①≫
4 ビジネスホテルでセックス 後
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初めて文香を抱いたときよりも、今の優は余裕がないかもしれない。
優は文香と触れ合う内に昔どうやって文香を抱いていたのか自然と体が思い出したらしく、時間が経つごとにやることなすことが大胆に情熱的になっていく。
文香は逆に心と体が上手く付いて行かないのか、優にもっとと強請り、感じている割にはどこか初心な印象を与える。
かつて、文香がこんなにも優の手練手管に感じたことがあっただろうか。
文香は潔癖なところがあり、正直優とのセックスを心の底から楽しいと思ったことが無いのかもしれない。
文香が優とのセックスで絶頂を迎えたことは、まだないはずだ。
演技が出来るほど、文香のサービス精神は良くない。
それに不器用だ。
(今なら、もしかしたら……)
もしかしたら、文香がイくところを、初めて見ることができるかもしれない。
自覚もないまま、優はこの時間を、文香との行為を愉しむようになっていた。
キスをしている内に自然と攻守は逆転していた。
今度は優が文香をベッドに押し倒す形となったのだ。
優は体重をかけて、文香の唇を貪り味わった。
じゅっ、じゅるじゅっ
唾液が零れるのも構わず、優は顔の角度を変えながらより深く文香にキスしようとする。
素直に口を開け、優の舌を受け入れる文香。
だが、積極的な態度と違い、文香の身体は細々と震え、舌の動きも拙いものだった。
「ふぁ、んっ、んん」
「はぁ……」
文香の腕の重みを首に感じながら、優は夢中になって文香の唾液を啜る。
そして名残惜し気に文香の唇を解放し、そのままほっそりとした首筋を辿り、鎖骨当りの薄い皮膚を強めに吸い込んでキスマークをつけた。
「っ、あんっ」
擽ったそうに身を捩りながら、文香は腰を揺らす。
そうすると、優の露になったままの性器を擦ることになる。
その刺激に呻きながら、優は片手で文香のスカートを捲り上げた。
そして、優の視界は白一色になったのだ。
「ッ……!?」
自分が暴いたくせに、優は眼下の光景に眩暈がしそうだった。
清楚なワンピースの下には予想以上に大胆な下着が隠されていた。
色は白だった。
美しいシルクのレースの。
「あ、あまり、見ないでよ……」
優の強い視線を感じたせいか、散々人を煽り誘っておきながら、ぎゅっと恥ずかしそうに目を瞑って顔を背ける文香の耳は真っ赤になっていた。
やはり、文香の真意が掴めない。
どういうつもりで、今日この下着を穿いて来たのだろうか。
「…………紐パン、か」
思わず、上擦った声が出る。
文香に睨みつけられても顔が真っ赤ではまったく効果がない。
むしろ、こっちが恥ずかしいと優は思った。
決して嫌ではない。
文香の謎めいた言動を抜きにすれば、正直めちゃくちゃ嬉しい。
上品なレースを彩る両サイドの蝶々結びが大変可憐な面積の小さいパンティー(俗にいう紐パン)に優がとてつもなく興奮していることは確かだ。
半ばパニックになりながらも、優は唾を呑み込んでから恐々とパンティー越しの文香の恥部をなぞる。
「こんな…… こんなの、穿くんだな…… ふみか、も」
「んっ、あっ、あん……っ!」
パンティー越しにぐちゅっ、と湿っているのが分かる。
白のシルクに薄っすらと沁みが出来ていた。
人差し指の腹で強弱をつけてぐりぐりとクロッチの部分を何度もなぞる。
鼻息を荒くしながら、優は文香が恥ずかしがっている紐パンに注目するべきか、それとも羞恥と快感に喘ぐ色っぽい表情を見るべきかと半ば真剣に悩んだ。
「そんなに俺と…… したかったの、か?」
「ぁ、あんっ…… んっ!」
「俺とするために、こんな下着を穿いてきたのか……?」
「あんっ、したいから、もっ、と…… っぁ、さわってぇ、んっ……!」
恥ずかしがるくせに、やっぱり文香はありえないほど大胆に優を誘う。
もう、優の下半身はいつ暴発しても可笑しくなかった。
間抜けにも勃起し、汁を垂れ流しにしている素直な自身の性器を慰めながら、優はもう一方の手でひたすら文香を濡らしてやる。
「すごいな、ここ、もうこんなに湿ってる……」
「ぁ、だってぇ……」
ぐちゅっ……!
パンティー越しの恥部を指で弄るたびに漏れ出る粘液の音、湿った感触に優は本当に感嘆した。
文香が優のシャツのボタンを外すとき、その指はとても覚束なかったが、今の優よりはマシかもしれない。
優の指が小刻みに震えながら文香のパンティーのサイドの紐を引っ張る。
その瞬間の感動は相当なものだ。
花びらが散る様に文香の秘められたそこが露になる。
薄い陰毛がしどけなく濡れていた。
マジマジと、記憶にある形を確かめるように凝視する優に文香は泣きそうになりながらも、もう我慢ができないとばかりに陰部の近くにある優の頭を叩く。
「ばかっ、そんなとこばっか見てないで、早く挿れちゃってよっ」
涙混じりの声でそんな罵倒をされた優は覚悟を決めた。
もうここまで来て引き返すことはできない。
しようとも、もう思っていない。
「……わかった」
優の手がサイドテーブルに準備されたスキンに伸ばされるのを見て、文香はほっとしたようにため息を零した。
* * * *
三年ぶりの挿入に、優は快楽を感じるよりもまず最初にその狭さに脂汗をかいた。
ひどく濡れているとはいえ、締め付けが強すぎるあまり、このまま強引に中に入れたら文香が激痛を感じてしまうと思ったからだ。
「ひっ、っぁ、あ……っ!」
「ッ、文香、大丈夫か……?」
息を乱しながら、文香の乱れた前髪をかきあげる。
汗で白い頬に張り付く髪の毛がまた色っぽく、痛みなのか快楽なのか分からない涙を流す文香に胸が痛むとともに確かな喜びが優の胸に沸く。
優の愛撫に文香が感じれば感じるほど複雑な気持ちになっていた。
その感度の良さに、必然的に苦いものが脳裏を過ぎってしまう。
どうしても、邪推をしてしまう自分がいる。
三年前の文香はこんなにも濡れやすく感じやすい身体をしていなかったからだ。
一体誰が、文香の身体をこうな風に、こんな風に男を誘う様な女へと変えたのか。
そのことを考えるだけで正気でいられなくなる。
嫉妬で狂いそうだ。
だから、文香の痛いぐらいの膣の締め付けに、あんなにも濡れていたそこが今は硬く閉ざされている現状に優は驚いた。
「こんな、きついなんて……」
つい、理性が無いまま正気とは思えない質問をしてしまう。
「……最後に、抱かれたのは、いつだ?」
「っん、はぁ……ッ」
「誰に…… 最後に、誰に、抱かれた?」
当の文香はそのデリカシーのない問いにまともに付き合っていられる余裕などなく、打算も駆け引きもなく痛みに呻くように吐き捨てた。
「っぁ、んっ、そん、なの、ゆう、しか……っ」
文香はこの三年間一度もまともにセックスといえる行為をしていなかった。
最後に文香を抱いたのは優だ。
もっといえば、文香の身体はまだ優以外の男を知らない。
その発言に、優はしばらく呆然となった。
途切れ途切れながらも聞いた言葉の断片を、熱に浮かされた頭でなんとか整理し、その意味を理解した途端、優はもう我慢できないとばかりに強引に根元まで文香の中に入った。
「あっ、あんっ……!? っ、んっ、んん……!」
「はぁっ……! っ、文香、ふみかっ」
優は無我夢中でその唇を貪り、腰を律動させる。
ギシギシと派手にスプリングが軋む音が部屋に響き、なんとかギリギリ抑えようとしていた文香の嬌声が優との口づけの合間に零れ落ちた。
いつ、隣室の客が気づくかも分からないぐらい生々しく派手な音が部屋中に響く。
文香の中に欲望を叩きつけるようにして腰を動かしながら、優は快楽と途方もない歓喜に支配されていた。
「あっ、ぁあっ、あんっ んん、んっ、っぁ、ひっ……っっ!?」
「わ、るい…… ごめん、本当に、ごめん、文香」
汗が滴る。
繋がった部分が、文香の腕が絡まった首が、文香の太ももを逃がさないとばかりに掴む自身の両手が熱くて仕方がない。
文香に謝りながら、優の腰は止まらない。
文香が自分しか知らないことが、目の前のこの痴態を知る者が自分以外この世にいないという事実に頭が可笑しくなるほど優は喜んだ。
肌と肌がぶつかる音、粘液が絡まる音、文香の泣くような嬌声の全てが優の脳みそを揺さぶり、まるで現実感がなかった。
情事中特有の下品な音がカーテンが閉められたホテルの一室に響く。
外を走る車の音や人々の騒めきが時折優の耳に入ったが、気にかけるほどの余裕はなかった。
薄壁越しの外の気配を確かに感じているのに、まるで世界に二人しかいないような錯覚を覚える。
喫茶店での沈黙のときにも似た感覚だ。
カーテンの隙間から差し込む陽の光が絡み合った二人の足を照らすのみで、ここはまるで別世界だと優は思った。
自分の下で白い肌を薄桃色に染めている文香だけが鮮烈なまでに優の意識を捉える。
「っ、文香、ふみか……ッ」
涙を流し、息もままならず、苦しそうに喘ぐ文香を可哀相だと思いながら優の腰は止まらない。
どくどくと、ねっとりとした精液が吐き出されるまで優はずっと文香に許しを乞う様に謝り続けた。
「あっ、きて、はぁんっ あん、ゆう、ゆう……っ」
小刻みに震える優の腰の動きに、文香は顔を隠すように強くその首を引いてしがみついた。
燃えるように熱い優の体温に、スキン越しに感じる欲情に文香は細長い嬌声をあげて快楽を受け入れた。
このとき初めて文香は優の手で、優とのセックスで果てたのだ。
「ふみか……」
優の大きな手が文香の髪を撫でるのを、文香はまるで猫のようにして目を細めて微笑んだ。
薄い壁の向こうにもこの生々しいやりとりが聞こえたかもしれないが、優と文香はクレームが入らないのをいいことに、そのまま夜を過ごした。
二人とも、これが三年ぶりのセックスだった。
優は文香と触れ合う内に昔どうやって文香を抱いていたのか自然と体が思い出したらしく、時間が経つごとにやることなすことが大胆に情熱的になっていく。
文香は逆に心と体が上手く付いて行かないのか、優にもっとと強請り、感じている割にはどこか初心な印象を与える。
かつて、文香がこんなにも優の手練手管に感じたことがあっただろうか。
文香は潔癖なところがあり、正直優とのセックスを心の底から楽しいと思ったことが無いのかもしれない。
文香が優とのセックスで絶頂を迎えたことは、まだないはずだ。
演技が出来るほど、文香のサービス精神は良くない。
それに不器用だ。
(今なら、もしかしたら……)
もしかしたら、文香がイくところを、初めて見ることができるかもしれない。
自覚もないまま、優はこの時間を、文香との行為を愉しむようになっていた。
キスをしている内に自然と攻守は逆転していた。
今度は優が文香をベッドに押し倒す形となったのだ。
優は体重をかけて、文香の唇を貪り味わった。
じゅっ、じゅるじゅっ
唾液が零れるのも構わず、優は顔の角度を変えながらより深く文香にキスしようとする。
素直に口を開け、優の舌を受け入れる文香。
だが、積極的な態度と違い、文香の身体は細々と震え、舌の動きも拙いものだった。
「ふぁ、んっ、んん」
「はぁ……」
文香の腕の重みを首に感じながら、優は夢中になって文香の唾液を啜る。
そして名残惜し気に文香の唇を解放し、そのままほっそりとした首筋を辿り、鎖骨当りの薄い皮膚を強めに吸い込んでキスマークをつけた。
「っ、あんっ」
擽ったそうに身を捩りながら、文香は腰を揺らす。
そうすると、優の露になったままの性器を擦ることになる。
その刺激に呻きながら、優は片手で文香のスカートを捲り上げた。
そして、優の視界は白一色になったのだ。
「ッ……!?」
自分が暴いたくせに、優は眼下の光景に眩暈がしそうだった。
清楚なワンピースの下には予想以上に大胆な下着が隠されていた。
色は白だった。
美しいシルクのレースの。
「あ、あまり、見ないでよ……」
優の強い視線を感じたせいか、散々人を煽り誘っておきながら、ぎゅっと恥ずかしそうに目を瞑って顔を背ける文香の耳は真っ赤になっていた。
やはり、文香の真意が掴めない。
どういうつもりで、今日この下着を穿いて来たのだろうか。
「…………紐パン、か」
思わず、上擦った声が出る。
文香に睨みつけられても顔が真っ赤ではまったく効果がない。
むしろ、こっちが恥ずかしいと優は思った。
決して嫌ではない。
文香の謎めいた言動を抜きにすれば、正直めちゃくちゃ嬉しい。
上品なレースを彩る両サイドの蝶々結びが大変可憐な面積の小さいパンティー(俗にいう紐パン)に優がとてつもなく興奮していることは確かだ。
半ばパニックになりながらも、優は唾を呑み込んでから恐々とパンティー越しの文香の恥部をなぞる。
「こんな…… こんなの、穿くんだな…… ふみか、も」
「んっ、あっ、あん……っ!」
パンティー越しにぐちゅっ、と湿っているのが分かる。
白のシルクに薄っすらと沁みが出来ていた。
人差し指の腹で強弱をつけてぐりぐりとクロッチの部分を何度もなぞる。
鼻息を荒くしながら、優は文香が恥ずかしがっている紐パンに注目するべきか、それとも羞恥と快感に喘ぐ色っぽい表情を見るべきかと半ば真剣に悩んだ。
「そんなに俺と…… したかったの、か?」
「ぁ、あんっ…… んっ!」
「俺とするために、こんな下着を穿いてきたのか……?」
「あんっ、したいから、もっ、と…… っぁ、さわってぇ、んっ……!」
恥ずかしがるくせに、やっぱり文香はありえないほど大胆に優を誘う。
もう、優の下半身はいつ暴発しても可笑しくなかった。
間抜けにも勃起し、汁を垂れ流しにしている素直な自身の性器を慰めながら、優はもう一方の手でひたすら文香を濡らしてやる。
「すごいな、ここ、もうこんなに湿ってる……」
「ぁ、だってぇ……」
ぐちゅっ……!
パンティー越しの恥部を指で弄るたびに漏れ出る粘液の音、湿った感触に優は本当に感嘆した。
文香が優のシャツのボタンを外すとき、その指はとても覚束なかったが、今の優よりはマシかもしれない。
優の指が小刻みに震えながら文香のパンティーのサイドの紐を引っ張る。
その瞬間の感動は相当なものだ。
花びらが散る様に文香の秘められたそこが露になる。
薄い陰毛がしどけなく濡れていた。
マジマジと、記憶にある形を確かめるように凝視する優に文香は泣きそうになりながらも、もう我慢ができないとばかりに陰部の近くにある優の頭を叩く。
「ばかっ、そんなとこばっか見てないで、早く挿れちゃってよっ」
涙混じりの声でそんな罵倒をされた優は覚悟を決めた。
もうここまで来て引き返すことはできない。
しようとも、もう思っていない。
「……わかった」
優の手がサイドテーブルに準備されたスキンに伸ばされるのを見て、文香はほっとしたようにため息を零した。
* * * *
三年ぶりの挿入に、優は快楽を感じるよりもまず最初にその狭さに脂汗をかいた。
ひどく濡れているとはいえ、締め付けが強すぎるあまり、このまま強引に中に入れたら文香が激痛を感じてしまうと思ったからだ。
「ひっ、っぁ、あ……っ!」
「ッ、文香、大丈夫か……?」
息を乱しながら、文香の乱れた前髪をかきあげる。
汗で白い頬に張り付く髪の毛がまた色っぽく、痛みなのか快楽なのか分からない涙を流す文香に胸が痛むとともに確かな喜びが優の胸に沸く。
優の愛撫に文香が感じれば感じるほど複雑な気持ちになっていた。
その感度の良さに、必然的に苦いものが脳裏を過ぎってしまう。
どうしても、邪推をしてしまう自分がいる。
三年前の文香はこんなにも濡れやすく感じやすい身体をしていなかったからだ。
一体誰が、文香の身体をこうな風に、こんな風に男を誘う様な女へと変えたのか。
そのことを考えるだけで正気でいられなくなる。
嫉妬で狂いそうだ。
だから、文香の痛いぐらいの膣の締め付けに、あんなにも濡れていたそこが今は硬く閉ざされている現状に優は驚いた。
「こんな、きついなんて……」
つい、理性が無いまま正気とは思えない質問をしてしまう。
「……最後に、抱かれたのは、いつだ?」
「っん、はぁ……ッ」
「誰に…… 最後に、誰に、抱かれた?」
当の文香はそのデリカシーのない問いにまともに付き合っていられる余裕などなく、打算も駆け引きもなく痛みに呻くように吐き捨てた。
「っぁ、んっ、そん、なの、ゆう、しか……っ」
文香はこの三年間一度もまともにセックスといえる行為をしていなかった。
最後に文香を抱いたのは優だ。
もっといえば、文香の身体はまだ優以外の男を知らない。
その発言に、優はしばらく呆然となった。
途切れ途切れながらも聞いた言葉の断片を、熱に浮かされた頭でなんとか整理し、その意味を理解した途端、優はもう我慢できないとばかりに強引に根元まで文香の中に入った。
「あっ、あんっ……!? っ、んっ、んん……!」
「はぁっ……! っ、文香、ふみかっ」
優は無我夢中でその唇を貪り、腰を律動させる。
ギシギシと派手にスプリングが軋む音が部屋に響き、なんとかギリギリ抑えようとしていた文香の嬌声が優との口づけの合間に零れ落ちた。
いつ、隣室の客が気づくかも分からないぐらい生々しく派手な音が部屋中に響く。
文香の中に欲望を叩きつけるようにして腰を動かしながら、優は快楽と途方もない歓喜に支配されていた。
「あっ、ぁあっ、あんっ んん、んっ、っぁ、ひっ……っっ!?」
「わ、るい…… ごめん、本当に、ごめん、文香」
汗が滴る。
繋がった部分が、文香の腕が絡まった首が、文香の太ももを逃がさないとばかりに掴む自身の両手が熱くて仕方がない。
文香に謝りながら、優の腰は止まらない。
文香が自分しか知らないことが、目の前のこの痴態を知る者が自分以外この世にいないという事実に頭が可笑しくなるほど優は喜んだ。
肌と肌がぶつかる音、粘液が絡まる音、文香の泣くような嬌声の全てが優の脳みそを揺さぶり、まるで現実感がなかった。
情事中特有の下品な音がカーテンが閉められたホテルの一室に響く。
外を走る車の音や人々の騒めきが時折優の耳に入ったが、気にかけるほどの余裕はなかった。
薄壁越しの外の気配を確かに感じているのに、まるで世界に二人しかいないような錯覚を覚える。
喫茶店での沈黙のときにも似た感覚だ。
カーテンの隙間から差し込む陽の光が絡み合った二人の足を照らすのみで、ここはまるで別世界だと優は思った。
自分の下で白い肌を薄桃色に染めている文香だけが鮮烈なまでに優の意識を捉える。
「っ、文香、ふみか……ッ」
涙を流し、息もままならず、苦しそうに喘ぐ文香を可哀相だと思いながら優の腰は止まらない。
どくどくと、ねっとりとした精液が吐き出されるまで優はずっと文香に許しを乞う様に謝り続けた。
「あっ、きて、はぁんっ あん、ゆう、ゆう……っ」
小刻みに震える優の腰の動きに、文香は顔を隠すように強くその首を引いてしがみついた。
燃えるように熱い優の体温に、スキン越しに感じる欲情に文香は細長い嬌声をあげて快楽を受け入れた。
このとき初めて文香は優の手で、優とのセックスで果てたのだ。
「ふみか……」
優の大きな手が文香の髪を撫でるのを、文香はまるで猫のようにして目を細めて微笑んだ。
薄い壁の向こうにもこの生々しいやりとりが聞こえたかもしれないが、優と文香はクレームが入らないのをいいことに、そのまま夜を過ごした。
二人とも、これが三年ぶりのセックスだった。
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