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火傷
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しおりを挟むディエゴの姿を見て硬直する二人と、いつの間にかディエゴの後ろで跪いている女官。
ディエゴの憎しみと怒りによって歪んだ悪鬼の表情は松明の光で照らされ、より怖ろしく不気味にメリッサの目に映った。
メリッサの名を叫んだときに身を貫くようなディエゴの憎悪と怒りと殺意に、側に控えていた女官ですら怯えて身体を震わせている。
下を向く女官の顔は確認できないが、メリッサは逆に冷静に罠に嵌められたのだと理解していた。
どこからが嘘でどこまで真実なのかは分からないが、女官がメリッサとカイルを陥れたいのは分かった。
その証拠に城を離れていると言っていたディエゴが荒々しく牢獄に入って来る。
激情に身を震わせ、カイルに抱き着いたまま動けないメリッサの髪を引っ張った。
何も出来ないカイルの目の前で、メリッサはディエゴに頬を張られ、そのまま石畳の上に倒れる。
猿轡を噛ませられたまま必死に何をかを叫ぼうとして暴れるカイルを横目にし、ディエゴはメリッサの顎を掴み視線を合わせた。
苦痛に呻くメリッサの唇から一筋の血が流れながらもメリッサはディエゴの怖ろしい視線を受け止めた。
身を震わす恐怖に耐えながら、ひどく真っ直ぐにディエゴを睨むメリッサはもうこの時死を覚悟していたのだ。
その気丈ともいえるメリッサの姿が余計にディエゴを苛立たせる。
全身を掻きむしりたくなる衝動に耐え、ディエゴはメリッサを罵倒する。
口汚く、ディエゴは思いつくかぎりの罵声をメリッサに浴びせ、興奮のままその髪の毛を強く掴み、メリッサの苦痛に歪む顔に唾を吐いた。
鎖が激しく音を立て、カイルが必死にメリッサを救おうと足掻くのが更にディエゴの感情を逆撫でする。
女官が勝手にメリッサを連れてカイルの元へ行ったことを、ディエゴは神殿の使用人から報告と手紙を渡されたことで知った。
そして、ずっと女官がメリッサを排除することを主張していたのと同じ内容が記された手紙にはメリッサが本当にディエゴに仕え、過去の愚行を償う意思があるかディエゴのために確かめると最後に書かれていた。
今この時にもメリッサを連れてカイルのもとへ向かっているという一文にディエゴは頭が真っ白になった。
何に自分がそれほど慌てるのか分からないまま、ディエゴは甘える王妃を無視して血相を変えて地下の牢獄に行った。
そこで待っていたのは神妙な顔の女官と、傷だらけの負け犬に縋り付くメリッサの姿だ。
自ら焼印を入れた傷跡をメリッサの白い手が撫で、そして呆然と見ていたディエゴの前でメリッサは醜いその焼け跡に口づけ、目の前でかつてディエゴが欲していた言葉を躊躇いもなくカイルに捧げたのだ。
*
ディエゴは血走った眼で苦しむメリッサを凝視するカイルに嫉妬していた。
胸の内で燃え盛るのは紛れもない嫉妬である。
何故、ディエゴが大事にし、愛していた者は皆カイルを愛するのか。
その不条理とディエゴを裏切ったメリッサへの失望と絶望がディエゴを狂気に走らせる。
ディエゴはメリッサの髪を掴み、力ないその身体を無理やり跪かせる。
苦痛に歪むメリッサの顔をカイルに見せつけ、残忍な笑みを浮かべた。
「そんなに、この男が大切か? メリッサ」
メリッサはディエゴの心が分からないまま、目の前で懇願するように首を振るカイルを見た。
カイルはきっとメリッサに否定することを望んでいる。
だが、今の野生の獣のように鋭くメリッサを睨みつけるディエゴに偽りを言っても意味はないと思った。
女官の企みに唆され、我慢できずにカイルに会いに来た時点で、メリッサはとんでもない過ちを犯したのだ。
ディエゴはきっとどんな言い訳をしても決してメリッサを許さない。
むしろ言い訳をすればするほどその怒りは深く燃え上がるだろう。
何よりも、メリッサはもう自分を偽りたくなかった。
カイルの痛々しい姿を見て、より強くその愛を自覚した今だからこそ嘘でも否定したくなかったのだ。
満身創痍で何の魅力もないはずの、焼印を刻まれた哀れな男をメリッサは今も変わらず愛している。
だが、安易にそのことを口にすればカイルがどんな目に遭うのか分からない。
しばしディエゴの答えに何も返せないメリッサをディエゴは嘲う。
答えなど、メリッサがいくら黙っても、もうディエゴには分かっているのだ。
「好きなのだろう? 俺に、プライドを捨てて、そいつの命乞いをするほど、な」
カイルはディエゴの言葉に衝撃を受けた。
ディエゴはどうすればこの二人を傷つけ、二度と修復できないほど滅茶苦茶にできるかとそればかりを考えていた。
互いを思い合う二人に現実を思い知らせたかった。
どんなにお互いを愛しても、二人の運命はディエゴの手の中だということを。
「誓いの神殿で、ずっと俺に抱かれていたことを、教えてやったらどうだ?」
「……っ!?」
「メリッサ…… お前が初めて俺に抱かれた日を覚えているか? 忘れもしない、お前はそのとき純白の花嫁衣裳を着ていた。初めて男に抱かれたお前の股から鮮血が流れていたのも覚えている。無能な護衛が気絶している横で、お前は泣きながらそいつの命乞いをし、最後には健気に腰を振っていたことを」
「ゃぁ……」
メリッサのか細い否定に意味などなかった。
ディエゴの下劣な言葉はカイルに向けられていた。
信じられないと訴えるカイルの視線に、メリッサは恐怖し、顔を青褪めた。
カイルにだけは知られたくなかった。
誰が、自分の愛した男に、他の男にずっと股を開いていた事実を知られたいと思うのだ。
カイルに軽蔑され、拒絶され、その愛を失うかもしれないことにメリッサは心底恐怖していた。
ディエゴへの仕打ちがメリッサに返って来た瞬間だ。
ディエゴはカイルの虚ろな目を見て内心で嘲る。
薄々気づいていたはずだ。
カイルを生かすためにメリッサが何を差し出したのか。
だが、ディエゴもまた苦しんでいた。
メリッサの怯える表情がディエゴを苦しめるのだ。
カイルに軽蔑されることがそんなに嫌なのか、と。
嫌がるメリッサを背後から抱きしめ、ディエゴは残酷に命じた。
この苦しみはメリッサでしか晴れないのだ。
「メリッサ…… お前の献身がどれほどのものか、ここで証明しろ」
カイルの目の前でディエゴに奉仕すれば許してやると、その命令の残忍さにメリッサは震えながらも頷く他無かった。
驚愕に見開くカイルの視線から目を逸らし、メリッサはディエゴに恐る恐る跪いたままディエゴのズボンに手をかける。
布の上からディエゴの陰茎を撫で、硬くなっていくのを確認し、震えながらその怒張を取り出そうとする。
カイルの荒い鼻息とディエゴの興奮した吐息や喉から絞り出したような嘲いがメリッサの耳に届く。
怒りのせいか、芯の硬さはあるものの今だ大人しいディエゴのそれを手に取って扱いて、血に濡れた唇を舐めてからそれを口に含む。
メリッサのその慣れた仕草にカイルは目を逸らすことができず、血走った眼でメリッサを凝視する。
牢獄に興奮に満ちた息遣いと粘液を啜る音が充満し、メリッサは苦悶に満ちた表情でひたすらディエゴの性欲を高めようとした。
勃起し始めたそれにほっとする間もなく、メリッサは髪を引っ張られ顔を上げさせられた。
軽蔑と憎悪と欲に満ちたディエゴが服を脱ぐように命じる。
逆らうこともなく、メリッサは久方ぶりに身に纏った衣服をゆっくり脱ぎ始める。
暖がない牢獄は冷たく、寒さに身体が震えた。
王女として今までは着替えも全て侍女にしてもらっていたメリッサは自力で服を脱ぐという動作に寒さや動揺もあり、ひどくのろのろとしていた。
靴も全て脱ぐよう言われた。
カイルが鎖を引き千切ろうと暴れる音を無視し、メリッサはその場の視線を一身に集めて裸体を披露した。
少し痩せてしまったが、それでもメリッサの豊かな乳房と優雅な曲線を描く腰から尻の流線は美しく、暗い牢獄で白い肌は真珠のように輝き、こんな状況にありながら清楚で艶やかな美しがあった。
メリッサの裸体に動揺するカイルに、ディエゴは裸になったメリッサをカイルに近づける。
カイルによく見えるように。
揺れる乳房の先の淡い花びらのような乳首や薄い陰毛がカイルの眼前に晒され、目を逸らすことができない。
メリッサが羞恥で顔を真っ赤にし、唇を噛む。
カイルにだけは見られたくなかったことが分かる。
それでも、ずっと恋い焦がれ、いずれカイルのものとなるはずだったメリッサの瑞々しい肉体をカイルはメリッサの願いに反して目を逸らすことができず釘付けとなっていた。
カイルの生理的な変化に気づいたディエゴは嫉妬と優越感を抱きながら、メリッサの乳房を乱暴に背後から掴み、声を我慢しないよう命じた。
メリッサは逆らうことなく、そしてなるべくディエゴがメリッサにのみ意識を向けるようにと甘く媚びるような声を上げた。
それが如何にメリッサとカイル双方の心を殺す行為であっても、メリッサにはそれ以外の選択がないのだ。
尻にディエゴの勃起したものが当たり、その硬さと熱量に怯えながら、メリッサは後ろ手でそれを掴み扱いた。
ディエゴが後ろから口づけを望むのを察し、抵抗することなく舌先を突きつけ、互いの唾液を交換しながら激しく舌を絡め合った。
暗い牢獄で透明な唾液は輝いていた。
ディエゴが口づけの合間にメリッサに自分で濡らすよう命じ、戸惑うメリッサの片手を手に取り、メリッサの陰部に導いた。
理解したメリッサはひたすら従順に、片手はディエゴのものを扱き、もう片手は言われた通りに自身の繁みをかき分け、ディエゴがすぐに挿れれるように指で中を掻き回した。
メリッサの自慰する様子に興奮したディエゴは更に荒々しくメリッサに口づけ、顎を掴んだまま激しい粘液の音を響かせて貪った。
横目でカイルを見ると、激しい怒りと憎悪と嫉妬でディエゴを睨んでいる。
だが、それだけではないことをディエゴはもう気づいていた。
見せつけるように覚束ない手つきで必死に自分の陰部を濡らそうとするメリッサの手の上に自分の手を重ね、ディエゴはそのままメリッサの指を使って激しく抜き差しし、メリッサの感じる小さな突起を襞ごとぎゅっと絞る。
痛みと強烈な快感に堪らずメリッサは嬌声を上げて腰を揺らす。
ディエゴの硬いものを柔らかい尻が擦り、ディエゴは頃合いとばかりにメリッサの腰を掴んで、立ったまま愛液で濡れたメリッサの中に挿入した。
メリッサは前に倒れそうになったが、必死に足を踏ん張って耐えた。
メリッサの前にはカイルがいるのだ。
だが、ディエゴは容赦なくメリッサを激しく後ろから突き、そのまま腰を掴み、中腰で前に進もうとする。
ディエゴの意図が分からず、口の端から涎を垂らしながらメリッサは混乱した。
そしてすぐ目の前にカイルがいる状況に絶望しながら、メリッサは突然ディエゴに抱えられ、まるで子供を抱えて小水をさせるような体勢を強いられた。
悲鳴と嬌声を上げたメリッサをディエゴは抱えたまま下から突き、カイルにその粘液が絡まった結合部がよく見えるようにメリッサの脚を大きく開脚させる。
その残酷な体勢にメリッサは喘ぎながら必死に許しを乞うた。
「いやっ、いやぁっ! や、んっ! ああんっ……! 許してぇ! おにいさまぁっ」
「ほら、しっかりこいつにも見せてやれ。お前の卑猥な口が俺のをしっかり銜える様を。もう、既にお前の膣も子宮も俺の形になっているのを、見せてやれッ!」
淫らな音を響かせながらディエゴはあえてメリッサの尻を持ち上げ、カイルにディエゴの赤黒い巨根がメリッサの大事な部分に入る様をゆっくりと見せつけた。
それに涙を流してメリッサが手で隠そうとするが、それがより卑猥さを引き立て、カイルは眼前の淫らな行為が信じられず、そして自身の変化に愕然とした。
そんなカイルに気づいていたディエゴは厭らしい笑みを浮かべ、突然メリッサの身体を磔にされたカイルに押し付けた。
突然のことで混乱する二人に、ディエゴはそのまま不意に接触したカイルの強張った身体に戸惑うメリッサの耳に囁く。
「見ろ、メリッサ。この男は俺に犯されているお前を見て興奮し、あそこを勃たせているぞ?」
その言葉の通り、カイルは勃起していた。
メリッサの涙で濡れた目にも、ズボン越しに昂ったカイルのそれが映る。
凍ったように強張るカイルの身体は、布越しでも酷く熱く、鼻息が荒くメリッサの顔にかかった。
ディエゴに犯された状態で自身の胸に押し付けられるメリッサの火照た肉体と自分のために身を穢す姿を見て興奮している己の下劣さにカイルは項垂れた。
苦悶に満ちた、罪悪感でいっぱいのカイルの紅潮した顔を間近でメリッサは信じられない思いで見つめ、更にそのままカイルの身体に密着したままのメリッサをディエゴは容赦なく背後から犯している。
メリッサは止まらない喘ぎと共にどんどん自身の身体が熱く、いつになく興奮している状況に狂いそうだった。
メリッサの豊かな胸が押し付けられ、しかもディエゴと繋がっている部分がカイルの膨張したそこを擦る。
間近で聞くメリッサの途方もなく甘い喘ぎ声と蕩けた表情に、興奮して魅入ってしまう自分をどうすることもできないカイル。
不安定な体勢で、目の前のカイルの身体に縋り付き、そしてその鼓動と熱に理性が蕩け、あまりの気持ち良さにディエゴのそれを搾り取るように膣の襞を絡ませるメリッサ。
メリッサがカイルに縋り付きながらいつにもなく自身のそれを締め付けることに、荒れ狂う心のまま乱暴に腰を揺さぶるディエゴ。
快楽と欲に支配され、理性を無くした獣達がそこにいた。
女官にとってはまったくの予想外の光景であり、その異様さに恐れ、思わず彼女はその場を逃げ出してしまった。
女官がいなくなったことを気にする余裕などなく、ディエゴは鼻が曲がりそうな腐った匂いを発するカイルを睨みつける。
ディエゴが犯しているはずのメリッサはまるでカイルに抱かれているかのようにその汚れた身体にしがみ付き、恍惚の眼差しでカイルの顔を見つめている。
焼印を刻まれ、整った顔を無惨に歪ませた男が汗を滴らせながら、メリッサを食い入るように見つめている。
メリッサを今犯し、支配しているのは自分だとディエゴは内心で叫ぶ。
ディエゴは嫉妬に身を焦がしながらも、今までにないほど絡みつくメリッサの膣に絞られ、ついには欲を吐き出した。
甲高い嬌声を響かせ、メリッサはうっとりカイルを見つめながら果て、そしてカイルもまた性欲の溜まった状態で見たメリッサの痴態に射精した。
罪深い三人の息遣いだけが牢獄に満ちていた。
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