君と地獄におちたい《番外編》

埴輪

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慰問

お馬鹿な旦那様と

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 自らスカートの裾を拾い上げ、そしてゆっくりと皺にならないように折りながら腰の部分まで持ち上げる。
 代わりにエアハルトに乗っかられたせいでぐちゃぐちゃになったショールはもう諦めたのか、ゆったりと絨毯の床に落とした。
 後ろにエアハルトの興奮した息遣いを感じながら、ロゼは頬を染めて背後を振り返る。
 壮絶な流し目を送られたエアハルトはその濡れた睫毛が瞬くのを合図に自身のベルトや腰に帯びた剣を外した。
 がちゃがちゃと耳に届くベルトを外す音に、ロゼの心臓は高鳴りっぱなしである。
 何か言葉にする時間も惜しいとばかりに、耐えるように歯を食いしばり、乱暴に実用性のない儀式的な剣を取り払い、剣帯を外す。
 金属の音が煩く耳に入るたびに、ロゼは緊張で身体中が汗ばむのが分かった。
 後ろを振り向かなくとも分かるエアハルトのいつ暴発してもおかしくない逸物に溜息が零れそうになる。
 目線を下に映すとロゼのショールの上にエアハルトのマントが重なっているのが見えた。
 これからの行為を連想させる光景に羞恥でまた顔が赤くなる。

 エアハルトの痛いぐらいに膨張した欲望はもう先走りを垂れ流し、軽く擦れば簡単に暴発しそうなほどだ。
 獲物を前にしたエアハルトの目は爛々と輝き、ひたすら水蜜桃のように甘そうな妻の白い臀部に注がれている。
 一体誰が今日のロゼの下着を選んだのか分からないが、それはあまりにも危険な選択だったと言わざるを得ない。
 毎晩エアハルトに揉まれて育ったのは何も胸ばかりではないのだ。
 ロゼの沁み一つない華奢な臀部はエアハルトに毎晩揉まれて、突かれて、齧り付くようにしゃぶられたせいでなんとも妖しく瑞々しい艶っぷりを見せている。
 先ほど果てたときの余韻とこれからの行為への緊張と興奮でロゼの瑞々しい尻は薄っすらと汗ばみ、色づき、微かに震えている。
 魅惑の双丘はミルクに潰した苺の果実を煮込ませたような甘い色に染められていた。
 今だ熟しきれない青い果実のような甘やかな香りが漂って来る。
 それは甘ったるいものではなく、そよ風によって運ばれてきたような爽やかな色香だ。
 ロゼは机の上に顔を隠すように俯き、震える両手でスカートの裾を掴む。
 背後でエアハルトの息を呑む音を耳にし、死にたくなるほど恥ずかしく、そして興奮した。
 意識して、ロゼは腰を上げる。
 下着とストッキングのみをつけたいやらしい尻をまるでエアハルトに捧げるようにして全てを曝け出した。
 エアハルトは今まで何度もロゼの下着姿を見て来た。
 そのどれも一流のデザイナーの手でデザインされた上品で可憐なものばかりだ。
 どこまでも艶っぽいのに、今だまるで処女のような無垢なロゼにはよく似合っていた。
 だが、今回は注文をする工房を変えたのか、今までとはまったく違う趣の下着をロゼは身につけている。
 美しく清楚で可憐、貞節な貴夫人の鑑のようだと式典に参加した各要人に絶賛されたロゼのドレスの下がこんなにも官能的だということを、一体誰が想像できようか。

 ただでさえ魅惑的なロゼの白い尻。
 きめ細かい皮膚は齧ると果汁が溢れてしまうのではないかと錯覚するほど見る者の食欲もとい性欲を刺激する。
 その瑞々しい白い果実の奥の奥、蜜がつまった秘所を隠すのは総レースの、紫がかった黒のショーツだ。
 どう見てもサイズが少し小さめで、全体的にカバーする布の面積が狭いデザインにエアハルトは眩暈がした。
 熟し始めたばかりの、まだ幼く芯を感じさせる肉感。
 その秘部を包む華麗なレースは果たしてその意味を成しているのか怪しいと思うほど薄く小さい。
 だからこそまだ幼さが見える臀部にきゅっと食い込み、締め付けている。
 幼くも爽やかな色香を垂れ流すロゼの白い尻に食い込む黒の上品なレースのショーツ。
 その光景はとにかく背徳的だ。
 更に今日のロゼは普段屋敷内ではほとんど見ることがないガーターベルトまでしている。
 お誂え向きにそれも紫がかった黒だ。
 ぴっちりとロゼの太ももの半ば、しなやかな脚を包むストッキングも当たり前のように黒い。
 ヒールのある靴も式典への配慮として音が出にくく、社交場とは違い飾りのついていないものだ。
 長身のエアハルトのために必死に磨かれた靴の踵を上げて腰を浮かせるロゼの健気なまでの献身と、あまりにも刺激の強い光景にエアハルトは猛烈な渇きを覚えた。
 そして最後の止めとばかりにエアハルトは気づいてしまったのだ。

 黒のレースのショーツが濡れていることに。

 よく見れば太ももに何かが伝った跡も見える。
 一度エアハルトの手技で達せられたロゼのそこはきっと今ぐちゃぐちゃに濡れて、物欲しそうにしているはずだ。
 このまま凝視すれば食い込んだレースの布越しでもロゼのそこが貪欲に指以外のもっと太く長く、硬いものを求めている様が観察できるかもしれない。
 だが、生憎今のエアハルトにそんな余裕はない。

「ロゼ……」
「ぁっ……」

 擦れたエアハルトの、可哀相なぐらいに飢えて乾いた声で名を呼ばれただけでロゼは身体の奥が痺れる気がした。
 肌が粟立ち、怯えるように自然と腰が揺れる。
 まるで挑発するように目の前で尻を揺らすロゼを前にして、エアハルトはもうそれ以上何も言えなかった。
 ロゼはエアハルトの股間が痛々しいほどに張り詰め、硬い布地を押し上げている様子は恐ろしいと思う一方で、自身の未成熟な肉体に興奮し欲しがってくれているという事実が嬉しかった。
 愛する人に求められる幸福は麻薬のように依存性が高い。
 一度知ってしまえばもう後戻りできない、危険な幸福感にロゼは今だけうっとりと酔い痴れた。
 エアハルトの手の温もりが離れてしまった左手の喪失感を誤魔化すように、まるでこれからの行為を覚悟するように、期待するようにスカートの裾を握りしめる。

 そして熱く、汗ばんだエアハルトの手がロゼの腰を掴み始めた。
 犬のようにみっともなく荒い呼吸を繰り返すエアハルトは指に当たるコルセットの感触を新鮮に思う余裕もなく、血管が脈打ち腹につくほど反り返った欲望をショーツで隠されたロゼのそこに擦りつける。
 薄いレース越しでも互いの性器がもう十分すぎるほど濡れているのが分かった。

 お互いの声が震え、息も荒い。
 濡れた性器が擦れる感触が堪らなく気持ちが良くて、足りない。
 尻に当たる硬く燃えるような感触に、ロゼは覚悟を決めた。

「旦那様……」

 エアハルトの口で手袋を脱がせられた方の手が動く。
 繊細な指を震わせ、腰を掴むエアハルトの手をなぞり、そして自身の濡れたレースの中に忍び込む。
 その途中でエアハルトの熱い塊に触れてしまい、一瞬動きが止まったが、なんとかその動揺を抑えてそっと狭い布の中に人差し指と中指を入れて見せた。
 堪らなく恥ずかしく、はしたないことをしている自覚があるためか、ロゼの全身が赤く染まっている。
 エアハルトを誘惑する魅惑の果実もまた、更に美味そうに色づく。
 引き攣るように喉が震え、もう何度目かも分からない夫の興奮に満ちた吐息と唾を呑み込む音を聞きながら、ロゼはなんとも例えようのない官能的な表情を浮かべて、ちらりとエアハルトに流し目を送る。
 どこまでも色っぽい仕草と相反するように、その頬は無垢なまでに愛らしく涙で濡れ、薔薇のように赤く色づかせていた。
 その憂いに満ちた色っぽい瞳を伏せ、真っ赤に色づいた唇が音を紡ぐ。

 囁くような声色だ。
 だがその囁きは凶器としてエアハルトの頭を貫き、心臓を突き刺した。

 幼く、無防備に紡がれたロゼの許しはどこまでも甘く濡れていた。

「なかに、いれて……?」

 エアハルトが舐った指先が黒の繊細なレースをひっぱり、ずらす。
 あまりにも無防備に、産毛のように生えた陰毛がしっとりと濡れ、そして誘うようにきゅっと締まっている淫らなあそこを飢えた獣に見せつけたのだ。



* 


 実に十日ぶりの性交に、エアハルトは夢中だった。
 夢中になりすぎて執務室の机の引き出しに準備していた避妊具や香油のことをすっかり忘れてしまうほどだ。
 十日ぶりに可愛い妻を苛めて甘く鳴かせてぐったりしたところを仮眠室に連れ込んでしまおうと、非常に不埒で計画性の乏しいことを誰にも覚らせることなく進めて来た。
 行き当たりばったりな計画も、ロゼのどこまでもエアハルトのみに無防備に全てを委ねる姿勢のおかげで上手く行くことができた。
 ロゼの無垢な信頼をある意味では裏切り、騙し討ちのようなことをしている自覚がエアハルトにあるかどうか分からないが、今の彼は幸福の絶頂にいる。
 卑劣な作戦でロゼの心を懐柔し、年甲斐もなく強請り甘えてみせたことに対する恥じらいはない。
 むしろこの作戦が予想以上に効果覿面だと認識したエアハルトはつい先ほどまで冷静な頭の片隅で今後も有効に活用しようと考えていたりした。

 だが、今はそんなことももうどうでも良いと思うほどエアハルトはロゼに溺れていた。

「ふっ……ッ! んっ…… ?っ、っぁ、ん、んんっ……! ぁんっ」
「はぁ、ロゼ、ロゼっ」

ずずっじゅぷっ、ぐちゅっぐっちゅ、ぐちぐぢぐぢゅっ
パンッ、パンッ、パンパンッ

 必死に左手袋を握りしめ、噛み締めて声を抑えようとするロゼの努力を嘲うように、粘りつく液体が掻き混ぜられる音、肉と肉、皮膚と皮膚がぶつかる音が執務室に響く。
 抑えきれないロゼの嬌声やエアハルトの切羽詰まった声や荒い息。
 狭くない執務室に充満する青臭い精の匂いはとにかく強烈で容赦がない。
 涙を流し、化粧が落ちてしまうのを気にする余裕もないロゼはへばりつくように机の上に上半身を乗せ、がくがくと腰を揺さぶられる。
 必死に踵を上げ、身長差のあるエアハルトが苦しくないように腰を上げていたが、激しすぎる揺さぶりの前ではもう身体のどこもかしこも力が入らない。
 久しぶりの刺激はあまりにも強く、その場に崩れ落ちそうになるほどだ。
 ロゼは微かな痛みとそれ以上の強すぎる快感にただ喘ぎ声を抑えようと手袋を噛み締めることしかできなかった。
 そんなロゼにエアハルトは容赦しない。
 力の入らないロゼの華奢な腰を掴み、その張りのある尻を掲げるようにして腰を叩きつける。
 そのせいで何度かロゼの足は宙に浮き、その不安定さがよりロゼの頭を蕩かせた。

 元から腰が括れ、細いロゼはコルセットをきつくする必要があまりなかったが、それでも紐を縛られたときは眉を顰めてしまう程度には苦しい。
 エアハルトの激しい動きにまるで人形のように身を委ね、揺さぶられているロゼの呼吸はコルセットのせいもありどんどん苦しくなる。
 理性を失いながらも、ロゼの快感以外の苦しみに敏感なエアハルトは腰を叩きつけながらも捲られたスカートの裾から見えるコルセットの後ろ紐を口で解いた。
 相変わらず器用で手慣れたその所作に気づくこともなく、ロゼは突然呼吸が楽になったことに安堵し、無意識に膣を締め上げる。

「くっ…………!」

 挿入した時点で射精してしまうのではないかと思うほどに張り詰めていたエアハルトのペニスは簡単にその刺激で弾けた。
 力強い腕で腰を固定され、そのままぐいぐいと奥に白濁を注ぐように腰を押し付けるエアハルトにロゼは髪を乱しながら受け入れる。

 長い射精だ。
 この十日、ロゼは直接的な性交以外の手でエアハルトを慰めて来た。
 それでもエアハルトはある一線を越えると己を制御できなくなることを自覚していたため、苦しそうに耐えていたという印象が強い。
 本物の犬のように長すぎる射精と、うっとりとロゼ以外には決して見せない恍惚の笑みを浮かべながら腰を抱き寄せて項に吸い付くエアハルトにロゼは官能的な吐息を抑えるのに必死だった。
 ロゼもまたエアハルトの出した白濁に中を満たされた刺激で緩やかな絶頂を迎えたのだから。
 早すぎる二度目の絶頂に、ロゼはぴくぴくと身体を震わせる他なかった。
 エアハルトに中に出されたのはあの日の告白以来だ。
 それ以降は約束通りに避妊具をつけてくれていたエアハルトが、今は余裕なく生身でロゼの中を蹂躙している。
 それだけエアハルトも切羽詰まっているのだろう。
 一呼吸入れて休むことなく、また腰を揺さぶり始めるのだから。
 二人の足元、高級な絨毯の上にぽたぽたと垂れる粘液の卑猥さに気づくことなく、ロゼは今だ快楽の余韻が残る身体を無理矢理暴かれる快感にただただ翻弄されるのみだ。
 ひたすら順従にエアハルトのそれを締め付けるロゼに、エアハルトは尽きない欲望をぶつけていく。
 そして何度もエアハルトが閨の中で教え込んだことを破ろうとするロゼを責めるように腰を強く強く叩きつける。

「ロゼっ、声を…… 抑えるな……!」
「ッッッん……っ!? ぁ、んっ…… ひゃっ……ぁ!?」

 一度射精し、僅かながら余裕ができたのか、エアハルトは自分自身だけではなくロゼの快楽をもっと引き出そうと巧みな腰使いで追い詰めていく。
 深く挿入し、そして限界まで抜いて、槍を突き立てるようにねじ込む。
 子宮どころか腹にまで届くのではないかと錯覚してしまうほど深く深く、獲物が逃げる意思を無くすほどに残酷に突く。
 一旦抜こうとすると熱くうねる肉壁が恋しがるようにエアハルトのそれに絡みつき抜けないように締めつけてくるのが堪らない。
 あまりにも可愛らしいことをするロゼに頬が緩み、口角が代わりにつり上がるのが分かる。
 鏡で今の自分がどんな顔をしているか分からないが、きっと死ぬほど惚けているのだろう。
 抉る様にロゼの感じる箇所を攻めてやると、ぐったりとしたロゼの上半身が跳ねる。
 それに反して下半身が痙攣し、感じているのが丸わかりだ。
 ロゼが感じれば感じるほど、エアハルトは満たされる。
 誰も知らない、ロゼ自身ですら知らないロゼの身体の秘密をこの世でエアハルトのみが知っているという優越感。
 肉体の欲望だけでいえば、経験豊富の手練手管に精通した高級娼婦を相手に吐き出せばいいのかもしれない。
 だが、この世で肉体だけではなく、エアハルトの心も満たしてくれるのはロゼだけだ。
 皮膚が爛れ、互いの肉が溶け合い、骨と骨が灰となって混ざり合うように深く繋がれるのも、繋がりたいのも、一つになりたいとエアハルトが心底願う相手はロゼだけなのだ。

「ロゼ…… 声を聴かせてくれ」
「ふぁっ、っん……!?」

 背後からロゼの胸をわし掴む。
 固定されていた胸がコルセットが緩められたことによってふるふると揺れ出す。
 胸を当てるものがなくなり、エアハルトの無骨な手がまだ慎ましやかな大きさのロゼの乳をドレス越しに手の中でいじくり回す。
 形や、服の上から僅かに感じる硬い乳首の触感を確かめるようにエアハルトは掌で楽しんだ。
 そしてもう片方の手で可愛らしい嬌声を遮ろうとするロゼの左手を握りしめた。



* * 


 今度はゆっくりと、円を描くように腰を回し、そして下から突き上げるように小刻みに刺激してやるとロゼはもう唇を噛みしめることもできずにその淫らで残酷な動きに合わせて喘ぐほかなかった。

「っ、ぁあ…… んっ、んんっ、?ぁ、んっ」
「そうだ…… いいぞ、ロゼ」

 涙を流し、立ったままの状態で背後からエアハルトに犯される。
 そして屋敷ではなくエアハルトの仕事場で交わっていること。
 それらの要因も含め、十日ぶりのエアハルトとの交わりにロゼはいつも以上に乱れ、感じていた。
 エアハルトはロゼ以上に興奮し、より深く激しくロゼを乱そうと角度を変えて腰を振る。
 より深く挿いるように。

「ひぃ……!? ぅぁ…… はぁん、あん、ぁ、あっあん……!」
「はぁ…… お前の、いやらしい声がずっと、聴きたかった…… 可愛いな、本当に…… 俺のロゼ……」 

 何度も渇いた唇を舌なめずりし、エアハルトは喘ぐように思ったままの言葉を吐き出す。
 髪が解れ、汗ばむ項や首筋に美しい黒髪がはりつく。
 動くたびにロゼの臀部が揺れ、肉が付き始めた柔らかそうな尻が波打つ。
 そして尻肉が揺さぶられるたびにロゼ自身が横にずらしたレースのパンティーが食い込み、力の入らない足を包む黒のストッキングが落ちないように懸命に引っ張るガーターベルトが激しい動きに合わせて踊り、微かな音を立てる。
 太ももの半ばを覆うストッキングは程よくロゼの白い太ももを締め付け、僅かにはみ出た肉の部分が酷く厭らしい。
 華奢な少女の肉体がどんどん色づき、香りづき、そして肥えていく。
 その危うさがどれだけ危険で甘美か、間近でそれを凝視し、貪り味わう権利を持つエアハルトが一番よく知っている。
 これを至福と言わずとして何という。

 二人の快感が高まり、達しそうになるのが分かる。
 俯き、力なく下肢を犯され、胸を背後から揉まれながらロゼはただただ嬌声をあげた。
 とろとろに溶かされた肉体はただただ正直だ。
 エアハルトを喜ばせるためだけに花開き、蜜を垂れ流しにしている。

「はぁっ…… っ、出すぞ、ロゼ、しっかり、受け止めろッ」
「っぅあぁ……!? ひぃ、やん、やっ、だめぇ……!」

 エアハルトはより深く挿入しようと、ロゼの片足を持ち上げ、白濁と愛液で泡立った結合部に狂ったようにペニスを突き入れる。
 避妊具無しに中に出されることを拒んでいるのか、それとも初めての恥ずかしい体勢に嫌がっているのかロゼ自身も分からないほどに強い快楽が嵐のようにロゼを襲う。

じゅぷっじゅぷっじゅぐっっっ、ぐぢゃぐぢぐぢぐじゅるっ

 どろどろに交わる音に頭が可笑しくなりそうだとロゼは机に爪を立てながら、狂ったように嬌声を上げ続けた。

「ッ…… ロゼ、ロゼ、っはぁ、好きだ、愛してる…… 俺の可愛いロゼ……!」
「あっあんっ あぁっ、んんっっ、だ、んぁ、な、さまぁっ…… ぁあぁっ! んんっ…………!」

 エアハルトのその言葉に、ロゼの全身が喜びで震えた。



* * * 


 今日、三度目の絶頂にロゼの太ももはぶるぶると震え、まるで搾り取るようにエアハルトのペニスをはくはくと膣で締め付けてその質量と大量に注がれる精液に歓喜していた。
 エアハルトもまた、つま先立ちになった足を痙攣させながら果てた妻の痴態や離れることを嫌がる様にいじらしく絡みつく肉壁に至福と底なしの愛おしさを感じた。
 汚れた絨毯や、脱ぎ捨てられたマントやショールの上にかかった白濁や粘液。
 何よりも乱れに乱れたロゼの姿を見て何も察せない人間がいるはずもない。
 ロゼが力いっぱい握りしめたせいでドレスのスカート部もぐちゃぐちゃだ。
 誰が見ても、今のロゼは犯された直後の哀れな貴婦人、いや少女だ。

 だが、その微睡むような、どこか夢見るような瞳は恍惚とし、あまりにも幸せそうで。

「ぁっ…… だんなさまぁ…………」

 甘く、鼻にかかった吐息と共に、しっとりとしたロゼの囁きがエアハルトの耳に入る。

「どうした……?」

 エアハルトもまた、とろとろに蕩けた甘い声で返事をする。
 そしてしっとりと額にはりつく妻の乱れた前髪を優しく労わる様に無骨な指で撫でて、まるでただの恋する青少年のような無垢な笑みを浮かべて見せた。
 だが、その目はロゼの恍惚とした表情を舐めるように見ている。
 優しい仕草と相反するように、エアハルトの欲望はまだロゼの中に埋まったまま、引き抜く気配を見せない。
 強すぎる快楽にうっとりしているロゼの淫靡な表情に釘づけだったエアハルトは二度目の射精で少しは落ち着いたと思っていた下半身がまだまだ物足りないと主張し始めたことに気づいてしまったが、もうどうしようもなかった。
 自ら仕掛けた罠に愚かにも引っかかった間抜けな猟師の気分だ。
 しかもその猟師は自ら喜々として罠に飛び込んでいるのだから、まったく救いようがない。

「私も…… あいして、おります」

 自ら食べられることを望むロゼもまた、救いようがないほど愚かだ。

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