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2話【絶望】

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小崎先輩と仲良くなって季節はあっという間に過ぎ、
気付けば小崎先輩が卒業する日となった。

「怜っ!」
「あ、小崎先輩!卒業おめでとうございます」
「ありがとう」
小崎先輩は嬉しそうに微笑む。
「先輩、ボタン全部無くなってるじゃないですか~」
先輩の制服のボタンは全て無くなっており、
聞くと女子生徒の争奪戦があったらしい··········

(そっか·····先輩αだもんなぁ、、、)

αと結婚出来れば将来安泰だ。
しかも、こんなどこにでもある普通クラスの学校にαがいること自体が凄くレアなケースで、この学校には小崎先輩しかαはいなかった。
まあ、·····Ωもこの学校には今は一人だけだケド、、、

何故こんな学校に来たんですか?って、αだと知った時聞いてみたかったが俺も先輩に隠してるし·····それを言ってしまったら何故だろう?
先輩はもぅ俺と関わってくれない様な·····そんな気がして聞けなかった。


「全部取られた」
「ははは、取られたって」
「女は怖いな·····」
疲れ切った表情で先輩は言う。
「うわあ·····モテる人は言う事が違いますね」
「怜にも分けてやろうか?」
「え?嫌味ですか·····」と、俺は拗ねる。

「ごめん、ごめん。怜手出したら目瞑って」
「?」
突然の言葉に驚いたが、俺は言われた通り手を出して目を瞑る。

「見えてないな?」
「そんなセコい真似しませんよっ」

(先輩は俺の事、セコい奴とでも思ってるのか?)



少しして、何か·····固くて丸い物が手に置かれる。

(なんだろ??)

「いいよ」

先輩の「いいよ」と言う言葉で俺は目を開けて握った物を見る。
「せ、先輩っ!これボタンじゃないですか?!」
俺の手には先輩の制服のボタンが握られていた。
「あげる」
はにかみながら先輩が言う。

「あげるって、、、こんなんで俺のモテ期は来ませんよ?」
笑って俺は言うがボタン一つでモテたら本当に苦労は無いな·····と本気で思う。
「分からないよ?密かに怜のこと事想ってる奴居るかもしれない」
「ははは、ないですね、」

笑う俺に対して先輩が─────·····

「因みに、それ·····第二ボタンだから」と耳元で言ってきた。
「!、  第二ボタンって普通想い人にあげません?なんで男の·····しかもβの俺なんかに··········」
俺は話しながら先輩から距離を取る。
一応、、、αとΩだ。
自分と先輩の為にもある程度の距離は大切にしたい。

「まぁ、貰ってよ」
ボタンを握る手を先輩が握りながら話す。
「·····じゃあ、有難く頂戴します」
俺はボタンを制服の右ポケットに入れる。

「あーあ、怜と今までみたいに話せなくなるのは少し寂しくなるな」
桜の木を見ながら小崎先輩は言う。
「そうですね、、、〇××大学でしたっけ?有名な大学ですよね?」
「そうそう」
「進学しても、連絡下さいね」
「ああ!絶対する」
笑顔でそう言われて素直に嬉しかった。

この他愛の無い会話は毎日では無くなってしまう·····。
胸がチクチク痛むのは多分··········
そぅ、、、

寂しいからだ、、うん。そう·····思う。。。




そんな楽しいやり取りをしていた時、

「柊」

自分の名前を呼ばれ、身体がビクッと反応してしまう。
声がした方を見ると水泳部の先輩だった·····。
「ちょっと来い」
「···············ッ、わ···分かりました」
せっかく小崎先輩と楽しい時間を過ごしていたのに、、、

「怜?」
小崎先輩が心配そうな表情で俺を見る。
「大丈夫ですよ!俺、水泳部の先輩に呼ばれてるので行きますね」
笑顔で先輩に言う。
「·····ああ、またな」
「はいっ」

俺は小崎先輩と別れて水泳部の先輩の方へ向かうが、嫌な予感しかしない·····。





┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


誰も居ない倉庫へ連れて行かれ、中に入ると内側から鍵を掛けられた。

「?」
「最後だから、ヤリ納めしたくてなぁ~」
「そうですか·····」
やっぱりこのクソ野郎は最後まで最悪な奴だ。
でも、これで·····ほぼ毎日犯されるような事はなくなる。
孕む心配が無くなる。
それだけは本当に嬉しい事だ。


でも·····

きっとコイツは今後も俺を玩具にするに違いない。
だから、、、
俺は少し前に親にΩだとバレたので高校を転校したいとお願いした。

この世界はΩは立場がまだまだ低い·····
特に日本という国は外国に比べて考え方が古い。
授業では昔よりは暖和されたが性被害や差別は未だに根深い現状だ、と先生が話していた。


親もΩだと周囲にバレることを警戒している為直ぐに了承し、ΩでもOKしてくれる高校を探してくれた。そして·····最近やっと一校だけ許可が出た。
勿論、、、
Ωだという事は伏せてβとして日常を過ごす。
今回の事があったのでこれからは気を引き締めて気を付けようと心に誓った。

(このクソ野郎とはこれで終わりだ)


「おい、突っ立ってないでいつもみたいに全部脱げ」
「はい·····」
俺は言われた通りに服を脱いで全裸になり、
そしていつも通り先輩のモノを口に咥えると刺激を与えた。

普段ならバックから挿れられるが、今日は正常位からの挿入で倉庫にある跳び箱の上で仰向けになり両足を開いて抑える形になる。

(まぁ、俺の事なんて考えられてないから·····また痛いケド···············)

予想通り俺の身体の事など考えていないセックスが始まった。
いきなり一番深い所まで貫かれる────·····。

「~~~ぁァあ”あ”  んっ    、、んぅ”   はぁ ッ、、あ”··········ぃっ     、痛い·····た ぃ”·····   」
目からは勝手に涙が溢れ、手は跳び箱に必死にしがみつく。
俺は痛いのに、それは何度も何度も抜き差しを繰り返して、跳び箱がギイ、ギィィッ·····ギイと不規則な音を響かせる。

「1回出すからな··········ッぅ 、 」
そう言って直ぐに激しく突かれたかと思うと中に大量に出された。
「次はバックするから扉に手ついてケツこっち向けろ」

「  は···············あっ、········はァ、、ぁ·····は、、はい·····」

跳び箱から降りて冷たいドアに両手を付ける。
そして、お尻を先輩に向けると熱くて硬いものが俺の後孔に入って来た。
「 ~~~ッ、、ふっ·····ン”   ぁ·····あ”、、 」

パン  ぱんっ  パンパン  ぱんッ

荒い息と肌のぶつかる音·····グチュクチュグチュ、、、と卑猥な音が倉庫内に響く。

(早く終われ·····早く終われ────·····はやく)
俺は行為中それしか考えていない。


ジャリ   じゃり··········

「ッ!?」
(え?誰??)

外から誰かが近寄って来る音がする。
そして、その足音は倉庫前で何故か止まった。


コンコンッ

「···············怜??」

「っ?!?」
俺は一瞬で青ざめた。
何で小崎先輩が此処に?!
こんな姿·····絶対に見られたくないッ!


俺を見て水泳部の先輩は黒い笑みを浮かべたかと思うと、さらに激しく挿入を繰り返す。

「~~~ッ、んっ?!ぁアッ·····だ、、だ·····めぇ·····  ッ んっ   ぁ      あっ    やっ、やめッ········ン·· 」

じゅぷ    グチュ·····、、ぐちゅ  グチ  グチュ

「??、怜どうした?具合悪いのか?」

「ちっ、ちがっ·····ぁっ、ん”ン、、あッ、  んんっ、ふぁ   あ    」
喘ぎ声を下唇を噛んで我慢しようとする。
「ははは、どうした?お前の大好きな先輩が来た途端、いい声で鳴くようになって?アイツの事マジで好きなのかよ?」
そう言いながらも行為は続けられる。

「·····っ、んっ、、す·····きじゃなッぁ”いいぃ”  あっ   ぅ    う”   、  」

「なら、見られても良いよなぁ?」

「えっ?」

水泳部の先輩は挿入したまま、倉庫の鍵を開けた。

「まっ、まって、、やめッ·····やめてぇ··········ッ·····」
俺は鍵を掛け直そうとするが、両手を引っ張られて後ろから激しく犯され続ける。

「オイッ、開いてるから入って来ていいぜ」

(やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて·····)

先輩が開けない事を祈う。
でも──────────·····

声の後、倉庫の扉が開かれてしまった。







「··········え?····················れ、、、れい·····?」

小崎先輩が俺と水泳部の先輩の行為を見て目を見開く。

「お·····ざきッ·····せぇ、ぱぃい”、、ぁッ·····ッあ   んあ·····みなぁい”でぇえ·····ッ、ん、、あっあ····ァ”·····」

俺は泣きながら小崎先輩にお願いする。
しかし、先輩はその行為をただ呆然と見ていた。



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