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一章

【魔道具開発】

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城に帰る頃には空は暗く、馬車の窓から見る景色は街灯の明かりや家やお店の明かりがついて綺麗だった。

オレはテオにお姫様抱っこされた状態だったけどお腹がペコペコだ。
「今日のご飯はなんでしょうね?」と、向かいに座るテオに尋ねる。
「そうだな、·····確かガレイズが良い牛の肉を仕入れたと昨日言っていたからステーキじゃないか?」
「ステーキっ♪♪」
夜ご飯が待ち遠しくなる。




コン、コン、コン、、、

部屋のドアがノックされて「入れ」とテオが言う。
「失礼します」
普段ならアンナさんが持ってくる夜ご飯を今日は執事のマイロさんが運んで来た。
·····アンナさん忙しいのかな?

食事をしながら収納出来る魔道具は無いかテオに尋ねてみるが、オレが言った様な魔道具は無いらしく、無いなら作ろうという事でオレとテオで作る事に。

「ルイス、この魔道具が出来ればお前は一気に金持ちになれるぞ」とテオは笑いながら言う。
「それは嬉しいですね。テオに与えてもらってばかりなので」
「そんなのは気にしなくて良い。ルイスに使うお金は元々私がルイスに使いたくて貯めていたお金だ」
「でも、オークションで結構使いましたよね?」
確か·····二億五千万、、、
平民なら多少の贅沢をしながら一生生きていけるお金だ。
「はははっ、あれ位では私の私財は揺るがないぞ」
「······························。」
流石帝国の王というべきなのか····。
でも、そのおかげでオレは奴隷じゃなくなった、、、


ご飯を食べ終えて直ぐ「早速ですが、術式はこの攻撃術式の一部を利用すれば空間の確保は可能ではと思っています」と、オレは術式を紙に書いた。
それを見たテオは「成程·········だが、このままだと中で物がぐちゃぐちゃになりそうだな」と言う。
「ぁ···そうですね。うーん、、、好きな時に欲しい物を取り出す····物を····取る······················」

火の魔法は論外だ。
物が燃えて灰になるだけ···水はどっちかというと水害対策や水に関係あるものにしか使えないし、濡れるから紙がグシャグシャになる。土や草も一緒だ。。。
光は一番最初に考えたが、テオ曰く···物の重量を減らす事が出来ないし殺傷能力が高いからそもそも合わないと言われた。
あと残るは風──·····

オレは紙に風属性の特性と出来る事、出来そうな事を書く。


風属性は、、、
・物を浮かせることが出来る。
→重量問題はこれで解決。
・髪を乾かす魔道具がある。

《課題》取り出したい物を取り出す事。
これが出来ないと物が空間の中で行方不明になる·····。


頭を悩ませている時、自身が着用している服に目が行く。そういえば夫人は風属性の魔法が使えた。
初めて服を仕立てて貰った時アタッシュケースから器用に大量の紙や数本のペンを取り出してたっけ、、、

ん?

紙やペンを取り出す、、、、


物··········操る·························?

「あ“っ!夫人ですよ!!!夫人は風魔法で大量の紙を一気に操ります。だから風魔法の術式を加えてはどうでしょう?」
オレは先程書いた術式の途中に風魔法の術式を加える。
これなら空間の中で物が散乱しない。

「うむ。理論上では可能だが私もルイスも風魔法は使えぬ。後日夫人が来た時にでも頼んでみよう」
「はい。夫人が来るのが確か来週なのでそれまでにもっと話をつめないと、」
「うむ。それにしても··········ルイスの発想力は凄いな」と、テオがオレの頭を撫でてきた。
「いえ、オレなんて全然···魔法の術式でこんなに話が盛り上がった事が無かったので楽しいです」

家族でもこんな風に魔法について話し合った事は無く、魔法を教えてくれた師匠は十三歳になる時、大病で亡くなってしまった。
周りで魔法が使える人がいなかった事もあって、今が本当に楽しい。
オレの言葉に「そうか」とテオが目を細めていた。

ドアがノックされて「入れ」とテオが言うと「失礼します。はぁ········全く。人使いが荒いですよ」と、大量の本を持ったせいで疲れきった表情を浮かべるハドラさんが入って来た。
まさか一人で持ってこさせるとはオレも予想外で·····後でテオを注意しないと、、、、

「すまなかったな、つい買ってしまった。あ···ハドラ、今後もしかしたら物を運ぶ業務が少しマシになるかもしれないぞ」
「はぁ???何ですか·····その夢みたいな話は」と、ハドラさんは呆れながら本棚に買った本を整理して仕舞う。

「ルイスが別空間に収納出来る魔道具を考えているのだ」
「え?!テオも一緒に考えましたよね?」
「発想はルイスだからルイスだ」
「なんとっ!!··········ルイス様、それは本当ですか?」
ハドラさんから羨望の眼差しで見られ、左手を両手で包まれる様に握られる。
「はい、えっと·····まだ術式からなので完成は遠いですが、、、」
「もし·····もし、それが出来ましたら是非ッ!!是非私に一番最初に使わせてください」
日頃からコキ使われているのが伝わる程の必死なお願いをされてしまった·····。
義手と義足が使える様になったらハドラさんの手伝いをしよう、絶対。

「はい。ただ、風魔法が使える人が居なくて実験が出来ないんです」
「そうなんですね···風魔法を使える人物ですか··········、貴族に数名は居ると思いますので探してみます」
「!、本当ですかっ」
「はい。テオ様そういう事で宜しいでしょうか?」
「うむ。お前なら信用出来る貴族を連れてこれるだろう、頼んだぞ」
「畏まりました。··········それにしても、ルイス様は凄いですね。テオ様でも思い付かない事を思い付くなんて」
「いや·····そんな事ないです。少しでも役に立てるならって、、」
「ああ、ルイスは凄いぞ。なんせ私の攻撃術式もルイスが編み出した術式を取り入れているからな」

「え"?!!」
それは初耳だ···············。
って事は戦争中のあの一瞬でどれも吸収したという事になる。。。
やっぱりテオは凄い·····。

「そうなんですか!ルイス様、早く魔法が使えると良いですね。私、ルイス様の火魔法をもっと見たくなりました。あっ!·····義手・義足の件で報告があります」
「どうした?」
「今月末、技術者が来る事に決まりました」
「!」
今月末····楽しみがまた増えた。
勉強もだけど動かす練習も頑張らなければっ!
「分かった。技術者の部屋をそれ迄に準備してくれ」
「畏まりました。では私はこれで失礼します」と、ハドラさんは部屋を出る。


「··················································。」


「···································。」


「アンナ、居るのだろう。早く報告しなさい」
テオの声の後アンナさんが窓際に現れた。
たまに突然現れるから本当に驚かされる。。。

「はい。此方報告書になります」と、アンナさんはテオへ報告書を渡す。
「ああ、ご苦労」
報告書を受け取ったテオは静かにそれに目を通していくが眉間に皺を寄せたかと思うと、
「·········アンナ、バレない様に全員の首を兄上の家に飾りなさい。出来るな?」と、緩急のない声でテオは話す。
「簡単で御座います。では行って参ります」
「胴体は完全に消せ」
「畏まりました」
お辞儀すると目の前にいた筈のアンナさんが一瞬で消えた。

「ルイス新しい指輪が出来るまで今の指輪は絶対に外さないでくれ」
「はい、」
先程スデンソン様の名前と全員の首を飾れってテオは言っていた··········。
間違いなくこの件はオレが関わっていると思う。
お茶会でオレがあんな事を言ったからスデンソン様が怒っているのかもしれない、、、
でもテオに聞いても教えてくれないだろうけど。

楽しかった筈なのに今は空気が重く感じる。


「·············································。」


「そうだ··········ルイス、私の攻撃魔法を見てみるか?」
「え?」
テオの攻撃魔法?
「意見が欲しいのだ。この時間なら訓練場には誰もいないはずだ。どうだろうか?」
それは是非見てみたい。
「はい、是非っ!」
「うむ、決まりだな」

オレはテオにお姫様抱っこされて訓練場へ向かった。


◆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◆


「·························。」

椅子に座りながらテオの魔法を見ている。
以前戦った時より発動する時間が圧倒的に速い。
「どうだ?」とテオに聞かれ、
「複数術式を組む時間が速いですね·····、ダイランの時はどうやって攻撃したんですか?」と聞く。

「一回目は───···」
テオは訓練用の人形に向かってその時の再現をする。
光属性の矢が異常な程展開されて人形の背中に刺さり、次の瞬間には首の周りにも発生していた。
「奴に魔法を使わせない為に途切れないように魔法を展開し、この後はダイランの腕を剣で切って·····」
新しい術式を展開すると光の槍が勢いよく人形の脳天から地面へ突き刺さり人形は衝撃に耐えられずバラバラに砕けた。

「···············凄い·····」
複数術式の展開も速いが魔力量が異常だ。
矢なんて五十本以上はあった。。。

「次に二回目だが···」と、テオは話しつつ新しい人形へ魔法を展開する。
足を鎖で拘束し、空間からピアノ線の様な糸が出てきて人形にキツく巻き付き最後は先程と同じ様に槍で串刺しにしていた。

「串刺しに何か理由はあるのですか?」
一回目も二回目も必ず頭上から槍を地面へ突き刺している。
「········いや、特に理由は無い。確実に殺すのならこっちの方が手っ取り早いだろう」
「そうですか、、一回目でダイランの腕を切ったんですよね?」
「そうだ」
なのに·····二回目に会った時ダイランの腕があったとテオは言っている。

「···············ダイランが化物なのはハッキリしました。あと、テオの魔力量は異常です」
オレの発言にテオは笑い、
「はははっ、私も奴は化物だと思うぞ」と言う。
「攻撃魔法で今考えられるのは········矢に先程の糸を付けるのはどうでしょうか?」
「ほう、、流石はルイス。詳しく教えてくれ」

テオとオレは時間を忘れて攻撃魔法の改良に打ち込んでしまう。。。
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