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一章

【気持ち】

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部屋に戻りテオにはお風呂に入って貰った。
ハドラさんはテオの用事を代わりに済ませに出掛けている。


「それで白狐の手袋とショールは出来上がりそうですか?」と、向かいに座るテオに聞く。
「うむ、何とか出来上がりそうだ。新年会の日に渡す」
「そうですか、楽しみです」

「ルイス」
「はい」
「本当に·····本当にすまなかった。しかし信じて欲しい···私が愛しているのはルイスだけだと。身体の事で煩わしいと思った事は一度もない·····捨てるなど一番出来ないのだ」
「····················なら、側にいて下さい。愛しているというなら寂しかった分ちゃんと埋め合わせして」
「ああ、勿論だ」
オレの言葉を聞いたテオは側に来ると強く抱き締めてきて頭を撫でてくれるがお風呂に入って直ぐだからか石鹸の良い香りがする。

「··········凄く寂しかった···。サプライズは嬉しいけど一緒に居られないならしなくていいです。忙しくなるなら事前に教えてください·····嫌われたと思った、、」
「ああ。今後は気を付ける」
「オレ、ずっとテオに言いたかった事があるんです」
「なんだ?」
「狩猟祭のテントの時から····テオの顔をちゃんと見ようとしても見るのが恥ずかしくて見れなくて·····近くにいると心臓が五月蝿いしどうしていいか分からないし··········。以前、ハドラさんに相談したらテオに直接言えって言われて。なのに···テオに話したくても貴方に会えないし、会えても直ぐ何処かへ行ってしまうし、、」
「す·····すまなかった··········。避けていた訳ではないのだ」と、申し訳なさそうに謝るテオ。



少しして、、、

「··········その、私の顔を見れないのは今もか?」と聞かれた。
「はい、」
抱き締めていた腕が緩み、テオの顔が目に映る。
また顔が勝手に熱くなって直視出来ないし心臓が五月蝿い·····。

「ルイス·····」

「ッ、」

頬にテオの手が触れる。
余計に心臓の音が五月蝿い··········。
オレの事を抱き締めているからテオにも伝わっていそうで·····どうしよう、、、、

「私を見てくれ」
「は···はい、」
「······························。」
何とかテオの顔を見ると、あの胸をわしづかみにされた感覚に落ちる。

「·····ふっ、うむ。分かった」
テオは目を細めて嬉しそうな···泣きそうな表情をしていた。

「キスをしても良いか?」と尋ねられ、
それに対して頷いて直ぐにテオはキスをする。
テオの唇は直ぐに離れ「愛している」と言うとまた触れる。·····それを唯、繰り返す。。。

「ルイス、『好き』だと言ってくれ」
「す·····すき··········っ 」
「そうだ、もっとだ」
「すき、、好き·····ッ、好きです」
キスをされながらオレは必死に『好き』と言葉に出す。
しかし、、、
それを口にする度······貴方に対する胸の苦しさや愛しさが込み上げて来るのは何故だろう?

「···テオ·····好き、好きです     ···────ぁ、」

そう口にしてやっと理解した。
自分はテオに恋心を抱いたと···············。
唯の依存心では無かった

「やっと···やっと分かりました」
オレは左手でテオの頬に触れる。
「テオ、オレは貴方が好きです」
改めて口にすると心の中がスッキリした感じだ。
「ああ。私もお前だけを愛している」
「知ってます」

二人で笑い、軽いキスをした。


◆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◆



「結婚式はいつにしようか」
「ッぶ??!?!?!」
危うくガレイズさんが持ってきてくれたアップルティーを吹き出しそうになった。。。

「ゲホッ···ごほ··っ、、け、結婚式·····ですか?」
「うむ。晴れて恋人になったからな。籍は早めに入れておきたい」
シフォンケーキを食べながらテオは言い、
「そうですね、拗れに拗れた片想いがやっと終わって私は嬉しいです。さっきは··········本当に肝が冷えました···」と、用事を済ませて報告書を渡しに来たハドラさんが疲れきった表情で言う。

「むっ、、まあ今日は良い。気分が良いからな。一年後はどうだ?」
「い、一年後?!でも、オレ、、そのっ·····伴侶にして大丈夫なんですか?ぉ····男なので子供は産めませんし···」
言っていて恥ずかしい。
でも、大切な事だ。テオは帝国の王で世継ぎは国にとってはとても大切な事の一つだから。

「ああ、それは大丈夫だ。この数年で魔法も医学も進歩したからな。今は男でも子供は産めるのだ。··········それにしても、ルイスが私との子供の事を口にするとは意外だった」
「~~~ッ、ちがっ···」
「そこまで考えてくれて私は嬉しいぞ」と、テオは嬉しそうに笑う。

「テオ様、ルイス様の生まれた日に行うのは如何でしょう?」
「成程、それは名案だ。ルイスはいつ生まれたのだ?」
「三月です。三月九日」
「三月か·····。此処より遠い国でその時期にしか見れない美しい花があると聞く。数日後には来年になってしまうから、その次の年に式を行なおう」
「では、私はその日を今の内に空けておきます」
「頼む」
ハドラさんはお辞儀して部屋を出て行く。

「·····テオは、いつ生まれたんですか?」
「私か?私は八月二十五日だ」
「そうなんですね、良かった·····来年は一緒に祝えます」
「そうだな。私もルイスの誕生日を祝えるのが嬉しい」

さっきまで此処を去るつもりだったのに、状況が180度も変わって今はテオと結婚式の話をしている。
凄く不思議だ。

「テオ」
「どうした」
「お願いがあります」
「言ってみなさい」
「結婚式にオレの姉上を呼びたいのです。四年前に離れてから生きてるか分かりませんが·····」
あの時の侍女が姉上を無事に連れて行ってくれていると仮定しての願いだ。

「良かろう。探させよう」
「! ありがとうございます」
「よい。ルイスにとっては大切な姉君だ。元気だと良いな」
テオの言葉にオレは頷く。
本当に無事なら·····オレのあの時の行動は間違ってなかったと、、そう思えるから。
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