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一章
【花束】
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それからもテオはオレをお姫様抱っこした状態で案内をしてくれていた。
「彼処が厨房だ」
「⎯⎯⎯⎯ !」
近付くと凄く良い匂いが鼻を刺激し、中では十人ものシェフが仕込みをしている。
夜ご飯の準備をしているのだろうか?
「! そうだ 」
テオが何か閃いた様だけど·····でも、何故か嫌な予感がする。。。
「ガレイズ」
「?!、テオ様!それに·····ルイス様まで」
シェフの中で一番偉い人にテオが話し掛け、いきなり王が現れた事に周りのシェフの動きも止まる。
「どうされやした?昼食で何か不備でも?」
「いや、今日の昼食も実に見事だった。皆にはいつも感謝している」
テオの言葉にガレイズさんは安心した様な表情に変わった。
「実はお願いがあってな、」
「?、お願いで御座いますか」
「ティータイムに食べるお菓子をお願いしたいのだ。··········クッキーは難しいだろうか?」
「ははははははっ、そんな事お易い御用です」
「ありがとう。どれ位掛かる?」
「一時間で」
「分かった、宜しく頼む。後で取りに来るから紅茶もつけてくれると嬉しい」
用件を伝え、テオはまた術式を展開し発動する。
「?!?!?テオ様は?」
「テオ様が消えた·····」
周りのシェフは突然テオとオレが消えた事に驚いていた。
しかし、、、
「喋る暇はねえぞッ!さっさと作業に取り掛かれ」
ガレイズさんが怒鳴り、周りのシェフも作業に戻った。
「ガレイズは腕の良いシェフだが口が悪い。あと女ったらしだ」とテオが笑いながら話す。
プレーリーハタネズミの獣人であるガレイズさんは沢山の恋人がいるらしく、外見もがっしりしていて顔も整っている·····しかも料理が作れるから甘い言葉に乗ってしまう人が多いらしい。
「後は·····ルイスは絶対に近寄っては駄目な所を案内しよう」
「?」
オレが近寄っては駄目な場所?
厨房から離れ、廊下を歩いていくと薄暗く人通りが少なくなり奥に一つ扉があった。
テオはその扉からだいぶ離れた所で足を止めると、
「この先は兄上の執務室がある。そこだけは絶対に近付くな」と真剣な表情で言う。
「い、かな ぃ」
か細い声で返しつつ頷く。
「うむ。良い子だな」
そんな話をしている時、テオの兄であるスデンソン様の執務室から激しい音と女性の甘ったるい声が聴こえてきた。
「!」
····················これ·····絶対してる声だろ、、、
事務室なのに何故?
「はぁ、、、兄上はこんな時間からお盛んなことだな。··········あの人はガレイズとは違い、手当り次第に食い散らかす悪食だ。だからルイスには特に気を付けて欲しい」と呆れながらテオは言うと、
「嫌なものを聞いたから城の外にでも行こうか」と歩みを進める。
「 ────·····ぁ、」
外に出ると小鳥がさえずり風で木々が揺れた時になる音が耳に入ってきた。
城門からこの城に続く道は勿論、広大な敷地は綺麗に管理されている。
「驚いたか?来た時は暗かったから分からなかっただろう」
テオに言われてオレは頷く。
いつか·····街にも行ってみたい。
城の庭でさえこんなに綺麗なのだから、きっと素敵な街並みに違いない。
◆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◆
一通りの案内が終わりオレとテオは中庭のガゼボにいた。
ユートさんはオレを見ると慌てた様子で此方に来て、身体の心配をしてくれたのでお礼を伝える。
すると、薔薇以外にも色んな花を集めた花束をわざわざ用意してくれて本当に心優しい方なんだと思った。
「良かったなルイス」
ガゼボでテオは嬉しそうに言い、それに対して頷く。
「さてと、私はティータイムに相応しい食べ物を貰ってくる。指輪は外していないな?」
テオの言葉にオレは左手の指輪を見せた。
それを見たテオは目を細め、
「うむ、良い子だな。すぐ戻る」と言って、オレの額にキスをするとテオはガゼボから出て行く。
「······························。」
薔薇は、赤や白、クリームにピンクやアプリコット···それに黄色にオレンジ、グリーンや紫、ブルーに黒と茶·····と色んな種類が咲き乱れている。
ユートさんにまた会ったら凄いと伝えたいし、お花のお礼を伝えたい、、、
花は好きだ。
皆を···母国を思い出すから···············。
「おや」
「!」
聞き覚えのある声がしてオレは声がした方を見る。
確かこの声は··········テオの兄であるスデンソン様だ。
それに、今はご令嬢二人と一緒にいる。
先程は事務室でみだらな行為をしていた筈なのに·····。
オレは三人に対して深くお辞儀した。
「お前はえっと·····弟と一緒に来たルイスといったか?·····ほう、綺麗な顔をしている」
本来ならスデンソン様の言葉に対して返答を返さないといけないが、テオから声を出しては駄目だと言っていたのでオレは頷く事だけにする。
「·························。」
初めてテオの兄であるスデンソン様を見たが·····髪の色はくすんだオレンジが混じった金色で、顔は整ってはいるがテオの方が美男子の印象を受ける。
それに、色んな女性に手を出す方より一途なテオの方がオレは好印象を持てる。
「口で言いなさい。スデンソン様が聞いているじゃない」
一人の貴族令嬢が扇で口元を隠しながら言い、
「テオ様が寵愛してるからって付け上がっているのかしらぁ」と、もう一人の令嬢も同じ様に言ってくる。
「·························。」
「まー、まー良いじゃないか」と、二人の令嬢を宥めているスデンソン様。
「ルイス、弟が見えないが君は何故中庭にいる?」
「·························。」
「この中庭は王族同伴で無ければ立ち入り禁止だが知らないのか?」
「·························。」
「何故、フェイスベールを外さない?マナー違反だろう」
「·························。」
全部·····全部···オレが『話せない』と分かっていて話している。
何処からか情報が漏れてるのかもしれない。。。
オレはスデンソン様から目を離さず平然とした態度でテオを待つ。
「これだけスデンソン様が聞いて下さっているのに答えないなんてなんと無礼なっ!」
そう言うと一人の令嬢がガゼボの中に入って来て、ユートさんがくれた花束を掴もうとする。
「!?」
オレは急いで花束を掴もうとするが間に合わず、花束を取られてしまった·····。
返して、と言いたいがテオに話すなと言われている。
「······························。」
令嬢を睨んでいると、
「なあに?文句があるならちゃんと言いなさいよ!」と、令嬢は嗤いながら花束を思いっきり地面に叩き付け、ヒールの靴で踏み躙り·····花は踏まれたせいで地面に散っている。
「······························、」
声を出すな··········出すな出すな出すな出すな
出すな出すな出すな出すな出すなッ!!!!
自分に言い聞かせながら奥歯を強く噛み締め怒りに耐える。
「·························。」
「ほら、もう行こう」
スデンソン様の声に令嬢はオレを馬鹿にした様に嗤い三人は去って行った。
「····················く しょぅ“·····っ」
オレは花弁がバラバラに散ってしまった花束を拾おうと椅子から少しずつ身体をずらし、
勢いよく椅子から落ちるが、構わず身体を引きずって花束に向かう。
「·····ぅ“··· ⎯⎯⎯⎯ッ ち く しょ····ッ ッ 」
服は泥だらけになったが何とか花束まで辿り着き左手で持つ。
花は殆ど散っていた。
「ッ、」
悔しいッ
言い返す事も止める事も出来なかった。
自分が·····左腕一本しか無いせいでッ!!!
「ルイス?」
「!」
聞き覚えのある声の方に顔を上げるとテオがいた。
「て ぉ ?」
テオは慌てて此方に来る。
「何があった??それに泥だらけではないかッ」
此方に来たテオはオレを起こすがオレは自分自身に対しての不甲斐なさとあの三人の事が悔しくて上手く話せない。
「! 足から血が···········。直ぐに身体を洗い手当てしよう」そう言うと「アンナ」と、いない筈のアンナさんの名前を呼ぶ。
しかし、次の瞬間テオの目の前にアンナさんが音も無く現れた。
「お呼びでしょうか」
「ルイスを運ぶ。お前はこのお茶とカゴを持って部屋へ戻れ。但し誰にも見られるな」
「畏まりました」
テオは花弁が殆ど散った花束を抱えた状態のオレをお姫様抱っこする。
「···············ユートさ に あ···たぃ···」
花束の事を謝りたい。。。
「そんな事は後でいいッ!」
「だめ···ッ お··が·····テぉ··· 願い 」
「ッ、、分かった」
テオはユートさんが居る場所にオレを連れて行ってくれた。
ユートさんはオレの姿にかなりショックを受け、
「まさかスデンソン様達が?」と慌てて口にする。
でも、そんな事よりオレは謝りたい。
「·····ユー ト···さ ⎯⎯⎯ ····· っ ご なさ···い·····はなたば嬉しか···ッに···ゲホッ·····ゴホッゴホッ」
話していて咳が酷くなる。
「!!?、ルイス!もういいっ!話すな」
血相を変えてテオが言う。
オレも喉の限界が分かり話すのをやめて頷く。
「ユートすまない、部屋に戻る。先程の事だがアンナに詳細を述べよ」
「はい·····ルイス様ご無理なさらないでください」
オレとテオは中庭を後にした。
「彼処が厨房だ」
「⎯⎯⎯⎯ !」
近付くと凄く良い匂いが鼻を刺激し、中では十人ものシェフが仕込みをしている。
夜ご飯の準備をしているのだろうか?
「! そうだ 」
テオが何か閃いた様だけど·····でも、何故か嫌な予感がする。。。
「ガレイズ」
「?!、テオ様!それに·····ルイス様まで」
シェフの中で一番偉い人にテオが話し掛け、いきなり王が現れた事に周りのシェフの動きも止まる。
「どうされやした?昼食で何か不備でも?」
「いや、今日の昼食も実に見事だった。皆にはいつも感謝している」
テオの言葉にガレイズさんは安心した様な表情に変わった。
「実はお願いがあってな、」
「?、お願いで御座いますか」
「ティータイムに食べるお菓子をお願いしたいのだ。··········クッキーは難しいだろうか?」
「ははははははっ、そんな事お易い御用です」
「ありがとう。どれ位掛かる?」
「一時間で」
「分かった、宜しく頼む。後で取りに来るから紅茶もつけてくれると嬉しい」
用件を伝え、テオはまた術式を展開し発動する。
「?!?!?テオ様は?」
「テオ様が消えた·····」
周りのシェフは突然テオとオレが消えた事に驚いていた。
しかし、、、
「喋る暇はねえぞッ!さっさと作業に取り掛かれ」
ガレイズさんが怒鳴り、周りのシェフも作業に戻った。
「ガレイズは腕の良いシェフだが口が悪い。あと女ったらしだ」とテオが笑いながら話す。
プレーリーハタネズミの獣人であるガレイズさんは沢山の恋人がいるらしく、外見もがっしりしていて顔も整っている·····しかも料理が作れるから甘い言葉に乗ってしまう人が多いらしい。
「後は·····ルイスは絶対に近寄っては駄目な所を案内しよう」
「?」
オレが近寄っては駄目な場所?
厨房から離れ、廊下を歩いていくと薄暗く人通りが少なくなり奥に一つ扉があった。
テオはその扉からだいぶ離れた所で足を止めると、
「この先は兄上の執務室がある。そこだけは絶対に近付くな」と真剣な表情で言う。
「い、かな ぃ」
か細い声で返しつつ頷く。
「うむ。良い子だな」
そんな話をしている時、テオの兄であるスデンソン様の執務室から激しい音と女性の甘ったるい声が聴こえてきた。
「!」
····················これ·····絶対してる声だろ、、、
事務室なのに何故?
「はぁ、、、兄上はこんな時間からお盛んなことだな。··········あの人はガレイズとは違い、手当り次第に食い散らかす悪食だ。だからルイスには特に気を付けて欲しい」と呆れながらテオは言うと、
「嫌なものを聞いたから城の外にでも行こうか」と歩みを進める。
「 ────·····ぁ、」
外に出ると小鳥がさえずり風で木々が揺れた時になる音が耳に入ってきた。
城門からこの城に続く道は勿論、広大な敷地は綺麗に管理されている。
「驚いたか?来た時は暗かったから分からなかっただろう」
テオに言われてオレは頷く。
いつか·····街にも行ってみたい。
城の庭でさえこんなに綺麗なのだから、きっと素敵な街並みに違いない。
◆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◆
一通りの案内が終わりオレとテオは中庭のガゼボにいた。
ユートさんはオレを見ると慌てた様子で此方に来て、身体の心配をしてくれたのでお礼を伝える。
すると、薔薇以外にも色んな花を集めた花束をわざわざ用意してくれて本当に心優しい方なんだと思った。
「良かったなルイス」
ガゼボでテオは嬉しそうに言い、それに対して頷く。
「さてと、私はティータイムに相応しい食べ物を貰ってくる。指輪は外していないな?」
テオの言葉にオレは左手の指輪を見せた。
それを見たテオは目を細め、
「うむ、良い子だな。すぐ戻る」と言って、オレの額にキスをするとテオはガゼボから出て行く。
「······························。」
薔薇は、赤や白、クリームにピンクやアプリコット···それに黄色にオレンジ、グリーンや紫、ブルーに黒と茶·····と色んな種類が咲き乱れている。
ユートさんにまた会ったら凄いと伝えたいし、お花のお礼を伝えたい、、、
花は好きだ。
皆を···母国を思い出すから···············。
「おや」
「!」
聞き覚えのある声がしてオレは声がした方を見る。
確かこの声は··········テオの兄であるスデンソン様だ。
それに、今はご令嬢二人と一緒にいる。
先程は事務室でみだらな行為をしていた筈なのに·····。
オレは三人に対して深くお辞儀した。
「お前はえっと·····弟と一緒に来たルイスといったか?·····ほう、綺麗な顔をしている」
本来ならスデンソン様の言葉に対して返答を返さないといけないが、テオから声を出しては駄目だと言っていたのでオレは頷く事だけにする。
「·························。」
初めてテオの兄であるスデンソン様を見たが·····髪の色はくすんだオレンジが混じった金色で、顔は整ってはいるがテオの方が美男子の印象を受ける。
それに、色んな女性に手を出す方より一途なテオの方がオレは好印象を持てる。
「口で言いなさい。スデンソン様が聞いているじゃない」
一人の貴族令嬢が扇で口元を隠しながら言い、
「テオ様が寵愛してるからって付け上がっているのかしらぁ」と、もう一人の令嬢も同じ様に言ってくる。
「·························。」
「まー、まー良いじゃないか」と、二人の令嬢を宥めているスデンソン様。
「ルイス、弟が見えないが君は何故中庭にいる?」
「·························。」
「この中庭は王族同伴で無ければ立ち入り禁止だが知らないのか?」
「·························。」
「何故、フェイスベールを外さない?マナー違反だろう」
「·························。」
全部·····全部···オレが『話せない』と分かっていて話している。
何処からか情報が漏れてるのかもしれない。。。
オレはスデンソン様から目を離さず平然とした態度でテオを待つ。
「これだけスデンソン様が聞いて下さっているのに答えないなんてなんと無礼なっ!」
そう言うと一人の令嬢がガゼボの中に入って来て、ユートさんがくれた花束を掴もうとする。
「!?」
オレは急いで花束を掴もうとするが間に合わず、花束を取られてしまった·····。
返して、と言いたいがテオに話すなと言われている。
「······························。」
令嬢を睨んでいると、
「なあに?文句があるならちゃんと言いなさいよ!」と、令嬢は嗤いながら花束を思いっきり地面に叩き付け、ヒールの靴で踏み躙り·····花は踏まれたせいで地面に散っている。
「······························、」
声を出すな··········出すな出すな出すな出すな
出すな出すな出すな出すな出すなッ!!!!
自分に言い聞かせながら奥歯を強く噛み締め怒りに耐える。
「·························。」
「ほら、もう行こう」
スデンソン様の声に令嬢はオレを馬鹿にした様に嗤い三人は去って行った。
「····················く しょぅ“·····っ」
オレは花弁がバラバラに散ってしまった花束を拾おうと椅子から少しずつ身体をずらし、
勢いよく椅子から落ちるが、構わず身体を引きずって花束に向かう。
「·····ぅ“··· ⎯⎯⎯⎯ッ ち く しょ····ッ ッ 」
服は泥だらけになったが何とか花束まで辿り着き左手で持つ。
花は殆ど散っていた。
「ッ、」
悔しいッ
言い返す事も止める事も出来なかった。
自分が·····左腕一本しか無いせいでッ!!!
「ルイス?」
「!」
聞き覚えのある声の方に顔を上げるとテオがいた。
「て ぉ ?」
テオは慌てて此方に来る。
「何があった??それに泥だらけではないかッ」
此方に来たテオはオレを起こすがオレは自分自身に対しての不甲斐なさとあの三人の事が悔しくて上手く話せない。
「! 足から血が···········。直ぐに身体を洗い手当てしよう」そう言うと「アンナ」と、いない筈のアンナさんの名前を呼ぶ。
しかし、次の瞬間テオの目の前にアンナさんが音も無く現れた。
「お呼びでしょうか」
「ルイスを運ぶ。お前はこのお茶とカゴを持って部屋へ戻れ。但し誰にも見られるな」
「畏まりました」
テオは花弁が殆ど散った花束を抱えた状態のオレをお姫様抱っこする。
「···············ユートさ に あ···たぃ···」
花束の事を謝りたい。。。
「そんな事は後でいいッ!」
「だめ···ッ お··が·····テぉ··· 願い 」
「ッ、、分かった」
テオはユートさんが居る場所にオレを連れて行ってくれた。
ユートさんはオレの姿にかなりショックを受け、
「まさかスデンソン様達が?」と慌てて口にする。
でも、そんな事よりオレは謝りたい。
「·····ユー ト···さ ⎯⎯⎯ ····· っ ご なさ···い·····はなたば嬉しか···ッに···ゲホッ·····ゴホッゴホッ」
話していて咳が酷くなる。
「!!?、ルイス!もういいっ!話すな」
血相を変えてテオが言う。
オレも喉の限界が分かり話すのをやめて頷く。
「ユートすまない、部屋に戻る。先程の事だがアンナに詳細を述べよ」
「はい·····ルイス様ご無理なさらないでください」
オレとテオは中庭を後にした。
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