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一章

【鮮血の王】

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変な感じでテオとキスをしたけど、その後は何もされず抱き締められている。でも、前より強く抱き寄せられていてテオの心臓の音が聴こえてくる。

自分から挑発してファーストキスをテオに捧げてしまった·····。
でも、嫌じゃなかった、、、、
男同士なのに嫌じゃないからこそ···それが問題な気がする。

「·····てぉ」
「喋るでない。悪化してまた話せなくなったらどうする」
「···オレ···とって、キス···ごほッ、初 め“  は·····貴方···で···ゲホ··っ」
それだけは伝えたかった。
テオにとっては初めてじゃないかもしれないけど·············。

「···そうか···············私もだ」
「、」
お互い初めてだった·····。
俺より慣れているように感じたから余計に、、、
なんか···恥ずかしい。

「ルイス、愛している·····どうしようも無い程お前を愛しているのだ」
オレはテオの告白に対して頷く。
勿論·····分かってます、伝わってます、という意味で。

四年間··········貴方はどんな気持ちで毎日を過ごしていたのだろうか?
オレが死んだと思った一年、生きているか分からなかった三年·····。
テオがどれだけオレの事を好きなのか本人で無いから分からない。
だからオレも···唯の依存では無く、テオだから好きだとそう思える様になりたい。
貴方をもっと沢山知りたい。

「······························。」

それからテオはベッドの中で額や瞼、鼻や頬にキスをしては「好きだ」「愛している」と沢山言ってくる。
愛情表現が凄く甘く、この二週間·····カトルの事もあって言うのを我慢していたのかもしれない。。。





「ルイス、何もしない一日というのは良いな」と、突然言われオレは話す代わりに頷いた。
確かに·····テオがこの時間でもオレを抱き締めて寝ているのは初めての事だ。

コン、コン、コン

「入れ」
「失礼します」と、アンナさんがワゴンカートで昼食を持って来てくれた。

「テオ様、ルイス様大丈夫ですか~?♡」
「騒ぐな。大丈夫だ」
「もぉ~♡テオ様ってば相変わらず厳しいっ」
「厳しいなら既にお前達の首は飛んでいるぞ」

「······························。」

·····ごもっとも···············。


抱き締めていた手が解かれ、テオは直ぐに起き上がるとオレをお姫様抱っこして普段ご飯を食べる机と椅子へ向かう。

「そ~いえば侍女内では二人の話ばっかりですよ♡」
「そうか」
「ルイス様は傾国の羊や寵愛の羊、溺愛の羊とも呼ばれています♡」
「皆言わなくても分かっているな」
「?!」
「兄上達の方はどうだ?」
「えー····今は様子見って感じですねぇ」
今まで生き生きと話していたアンナさんが一気にテンションガタ落ちで話す。
テオのお兄さんが苦手そうだ。

「下がる時ハドラを呼んでくれ」
「畏まりました♡」
そう言ってアンナさんは昼食の用意が終わると部屋を出て行く。


「ルイス、当分話せる事は私とハドラ、テリーの秘密だ」
「··········。」
テオに何か考えがあるんだろうと思い返事の代わりに頷いた。
「ルイス」
「?」
次はなんだ?と、思う。
「キスがしたい·····駄目か?」
「!?」
もうすぐハドラさんが来るのに···でも、そんな切なそうな表情で言われると駄目だと言えない、、、

オレは·····首を縦に頷き、それを合図にテオは椅子から立ち上がってオレの方へ来ると、
「愛している」と言ってキスをしてきた。
「··はぁ  ·····っ···   、·····んん" 、はっ ぁ····· 」
キスと聞いて唇が軽く触れるだけだと思ってたのに舌が口の中に入ってる、、、
「  て   ぉ···     ッ   ん 、」
「ルイス·····ッ」

そんな中、ドアをノックする音がしてテオは直ぐにキスをやめて椅子に戻ると「入れ」と平然とした態度で言う。

「失礼します」

ハドラさんが入って来たが、オレは恥ずかしくて咄嗟に近くの窓から外の景色を見る。しかし、自身の心臓の音が凄い·····。

「どうされましたか?」
何も知らないハドラさんはテオに用件を聞く。
「兄上とその周辺を見張れ」
「畏まりました。他は何か御座いますか?」
「いや、今日は休む」
「畏まりました。では失礼します」

お辞儀してハドラさんは部屋から出て行った。


「·····うむ、意外にバレないものだな」
「~~~~~~~っ、!」
「良いではないか。これで今日はルイスは私だけのものだ。そうだ、中庭に二人だけで行かないか?」
「!」
安静とは????
オレの知っている安静とテオの安静は違うのか?

「昨日はあの様な事があったからな、、今日は何も考えずのんびり中庭で過ごそう。おお、天気も良さそうだ」
「······························。」
今の貴方は、隈も出来ていて髪だってボサボサ··········凄く疲労が溜まっているのは誰が見ても分かりきっているのに、、、部屋ばかりだと息を詰まらせてしまうとオレの事を気遣って言ってくれているんだろう。

··········貴方は優しすぎる、、、、

「······は ぃ 」
オレが返事をしつつ頷くと、
テオは「よし。では昼食を食べたら向かおうか」と嬉しそうに笑う。


◆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◆


昼食を食べた後、テオはオレにフェイスベールを付けてお姫様抱っこした。

「今からする事はハドラには内緒だぞ」
そう言うと、見た事もない術式を展開する。
「?!」
「認識阻害だ、たまたま見付けてな。他の者には我々は認識されない。さあ、行こうか」
説明しながらテオは扉を開けて二人で廊下に出た。

「·························。」

「テオ様は傾国の羊に夢中らしいわよ♪」
「ねっ!素敵~ッ。フェイスベールもプレゼントしたらしいわっ」
「ステキッ♡余程他の人に見せたくないのね」
「しかも、フェイスベールはあの夫人が作ったそうよ」
「え?!そーなの?」

目の前にいるのに侍女達は廊下を掃除しながら楽しそうに話している。
本当に気付かれていない·····。

「面白いだろう?」
「?!」
耳元でテオが囁いてきた。
面白いかどうかは置いておいて、この魔法は凄いと思う。

「そうだ、ついでに城を案内しよう」
それから色んな場所をテオは案内してくれたが、すれ違う人達はやはり此方に気付かず、オレとテオの話が八割を占めていた。

「さて、此処は図書室だ。一般解放しているから国民から貴族まで自由に出入り出来る」
「·····す  ごい 」
図書室は沢山の本が並び色んな人が本を読んでいた。
「ルイスは変なのに絡まれたら大変だから、此処に来る時だけは私と一緒だ」
テオの言葉にオレは頷く。


「我が王は例の亡国のムフロンにご執心だな」
「!」
誰かがまたオレ達の事を話している·····。
「そーそー、一人の為にあのヴォーガ国を攻めたんだもんなあ、しかも二回も」
「その時付いた名が『鮮血の王』」
「敵の返り血で全身真っ赤だったらしいぞ、聞くだけで恐ろしい」
「あのムフロンには何もしない方が良いと皆言っている」

『鮮血の王』?獅子王ではなく?
しかも·····ヴォーガ国に二回も攻めた?
テオが???


「···今のは気にするな。図書室はまた今度来よう」
「····················。」
そう話すテオは····何を考えているんだろうか、、、
貴方はオレの為にダイランに戦いを挑んだの?
その時、怪我はしなかったの?
全身真っ赤に染まるなんて·····貴方は一体どんな気持ちでその時戦っていたんだろう?

「····················。」

オレは左手でテオの右頬に触れる。
「そんな悲しそうな顔をするな。私なら大丈夫だ、本当だ」と、貴方は平気とばかりに笑う。

大丈夫·····な筈ない、、、
絶対に大丈夫なんて嘘だ。
貴方は気付いていない···その話題の時、眉間に皺を寄せて辛そうな表情をしていたのに。



この人は···············

一人で何でも無理をして、『大丈夫、平気』だと言ってしまう人だと、オレはテオの事をまた一つ知った。

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