獅子王は敗戦国の羊を寵愛する

十雲 暁@関係性自論6:r18c_う3

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一章

【部屋】

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だだっ広い部屋に獅子王と二人·····。
何故か落ち着かない、、、、

「さてと、ルイスお風呂に入ろうか」
「!」
『テオとオレで?』
「?、当たり前だ。ルイス一人なんて心配だからな」
『確かにそうですね』
執事を呼んでくれると思ってたから獅子王の発言には驚いた。


獅子王はオレをお姫様抱っこして部屋に隣接する浴室へ向かうとオレの服を全て脱がし、次は自身の服を脱がしていく。
「·························。」
オレは·····筋肉が無くなり、栄養が足りていない貧相な体つき。
獅子王は無駄な脂肪が無く、綺麗に引き締まった身体をしている。

二人で戦っていた頃、本気で戦っていないと思っていたが既に体格に差があり過ぎる。
そもそも勝負になどならなかったのだろう·····。
獅子王が本気なら···オレはあの時、初めて会った時に死んでいた。。。

「ルイス、入ろうか」
浴室も大きいかと思ったが一人が入るのに少し余裕がある程の浴槽で意外だった。
最初は頭と角、耳を洗われる。しかし、めっちゃくちゃ気持ちいい♪
マッサージを受けている様な気分になる。

「どうだ気持ち良いか?」
「♪」
オレは獅子王の問いに頷く。
「そうかそうか、良かった」

頭を洗い終わり次は身体を洗われるが石鹸からは花の匂いがした。
薔薇じゃなさそうだし、何の花だろう?
獅子王の手で首や肩、胸板·····お腹、背中を洗われるが何故か手が止まる。
「?」
「ルイス·····その、、、身体は支えるから下半身は自分で洗うか?」
「~~~~~~~~~!?」
獅子王が顔を真っ赤にしながら言うから、オレもつられて顔が凄く熱いッ。


「·························。」


身体を支えられながら左手で下半身を洗っていく。
「今後もこんな感じで良いか?」と、獅子王に聞かれてオレは頷いた。

髪と身体を洗い終わるとオレは浴槽に入れられるが、有難いことに左側に手摺があったのでそれを掴む。
これでバランスを崩しても簡単には溺れて死なずに済みそうだ。

獅子王は此方を気にしながら自身の髪や身体を洗う。
オールバックしか見た事がなかった髪が今は流れる様に落ち、ウェーブがかったミディアムヘアに変わっている。
確かに年上だがオールバックの時はもっと年上って感じがしていて·····今は年より少し幼く見え、なんというか色っぽいというか艶っぽい?

「どうしたルイス?私の顔を見て」
「!?」
確かに見過ぎていた、、、、
オレは慌てて首を左右に振り視線を変える。

「···································。」

少しして、獅子王も向かい合う様な形で浴槽の中に入って来た。
「ふぅ·····やはりお風呂は良いな」と話し掛けられてオレは頷く。
しかし、獅子王の身体には気になる跡があり手摺を持っていた手を離して獅子王に近付く。
「ルイス?動いたら危ないぞ」
不思議そうにする獅子王に支えられてもオレは気にせずに左手で獅子王の右肩の傷に触れた。


···············間違いない。

これはオレが付けてしまった痕だ。
「····─────」
ごめんなさい、と心の底から謝る。
傷付けた相手なのに何故、獅子王はオレを気に入ったのだろう?こんなに良くしてくれるのだろう、、、

「もしかして···私に謝ったのか?」
「······························。」
まさにその通りだったので頷く。
すると「気にするでない。それにな、この傷は良いのだ」と、上機嫌に言われてしまった。
「?」
傷が残ったのに良いと言う獅子王が理解出来ない·····。


お風呂から出ると、短パンと少しブカブカなシャツを着せられた。シャツはボタンが一つも無く、胸元から鎖骨にかけて紐が交互に続き、獅子王によってリボン結びをされる。
「うむ、調度良いな」
オレの着替えが終わると獅子王も着替え始めた。
下は長ズボンを履き、上は同じ様なシャツを着ているが紐は結んでいない。

「さて、ベッドに向かうぞ」
オレをベッドに座らせて獅子王は手に小石を持つ。
何故、石なんだろ?
用途が分からない·····。
疑問に思っていると突然温かい風が首の辺りに吹いてきた。
「!?!」
オレは驚いて風は何処から?っと風が来ている方を見るとあの石から出ている。

「はははっ、これも魔道具だ。髪が乾かせて便利だろう♪」と、オレの行動に獅子王は笑う。
奴隷になっている間に色々変化していて全然分からない事だらけだ。。。
オレの髪を乾かし終えると次は獅子王が髪を乾かし始める。

『テオは髪はおろされないのですか?』
「おろした方が良いと思うか?」
獅子王に尋ねられて首を縦に振る。オレは髪をおろした方の獅子王の方がよく似合っていると思う。
「そうか。ではそうしよう」
そう言うと前髪を七・三で分けて乾かしていく、、、
乾く頃には印象が変わって驚いた。

「似合うか?」
『はい、髪を上げてるのも似合いますが、おろしている方がオレは好きです』
「すっ·····、、いや、似合うなら良いのだ」と、頬が赤く染まる。
「?」
「きょ、今日は遅いからな。歯を磨いて寝よう」
『はい』



◆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◆


「·························。」

大きいベッドの筈なのに、獅子王はオレを向かい合う様に抱き締めながら寝ている。
それに、異常な程の防壁魔法を施してある。
此処は獅子王の城で自分の部屋なのに·····。

「··········寝れぬのか?」
「?!」
声がして上を向くと獅子王と目が合う。
「寝れないのなら明日の予定の話でもしようか」と言われオレは頷いた。

「明日は仕立屋が来る。勿論ルイスの服を仕立てて貰うのだ。その間、私は議会があるからハドラに居てもらう。終わったら城を案内しよう。庭師が頑張って手入れしている中庭があるのだが、私は─────·····」
獅子王は楽しそうに話していて、聞いているオレも想像するだけで明日が楽しみになる。
仕立てに散歩、診断結果にご飯、ティータイムの時に食べる物·····明日が早く来ないかなと思えた。


「ルイス」
「?」
「何があっても指輪は外さないでくれ。例えそれが誰かを人質にされたり脅されたとしても、だ」
真面目な表情で獅子王は言う。
「───」
はい·····と、オレは獅子王の目を見て頷いた。
「本当に良い子だな。私の一番のお願いをきいてくれるとは」
真面目な表情が優しい表情に変わる。

「、」

·········まさか獅子王にとっての一番のお願いが、オレに対しての事なんて思いもしない。
だって、指輪には獅子王の魔法が幾つも施してあると言っていた。
きっとそれはオレを守る為のものだ。


大事にしてくれようとする獅子王の事を知る度·····なんか胸の辺りがムズムズする、、、、
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