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一章

【帰路】

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馬車の中はお菓子だらけになってしまった。。。
調度、ハロウィン?と言う行事が近い事もあり、お菓子が沢山売られていたそうだ。
ハドラさんは買いきったと嬉しそうに話し、
獅子王は見た事もないお菓子を見て目が輝いている。
この二人·····オレより年上の筈なのに、、、

「このお菓子を食べてみないか?」
「いいですね」
お昼を食べて今はお茶の時間。
獅子王が手に持つのはナッツ類がチョコにコーティングされたお菓子らしく、女の子にオススメされて買っちゃいました♪、とハドラさんが話す。

「ルイス、口を開けなさい」
獅子王に言われてオレは口を開ける。すると·····一粒口に入れられ、それを噛んでみた所あまりの美味しさに、
「────···」
美味しいッと感動してしまった。
ハドラさんと女の子に感謝っ!!!!

「むっ、これは美味しいな」
獅子王も美味しそうに食べ、
「ハドラこのお菓子は我が国にあるか?」とハドラさんへ尋ねる。
「··········無かったと思いますが、城に戻りましたら調べます」
「頼む。無ければ作っている者に定期的に仕入れが出来るか聞いてみてくれ」
「畏まりました」
「ほら、ルイス」
再び口を開くと一粒入れられた。
·····なんか親鳥と雛鳥みたいだ。。。

外は街中から森の中に景色が変わり、こんなに穏やかな日が久しぶりで心が和む。
「·························。」
「眠いなら寝なさい、先はまだまだ長いからな」と、獅子王に言われオレは頷くと目を閉じた。


「······························ 、」


「────────····  !」

気が付くと景色が横に変わっていて外も暗い。
向かいに座るハドラさんは両腕を組んで寝ており、
オレの頭を誰かが優しく撫でてくれて嬉しい。


··········温かい手で好きだなぁ



ん?  
待って 、、、
ハドラさんがいるという事は─────·····
違うッ!
誰かじゃない!!!

オレは慌ててハドラさんの方を向いていた身体を捻って上を向く。
「あぁ、ルイス起きたのか」
獅子王が目を細めてオレに話しかける。
「──···」
テオ···
帝国の王に膝枕をさせている元奴隷のオレ·····。
これ、軽く首が飛ぶだろう。。。

直ぐに上体を起こそうとする「よい。大人しくしていなさい。私がしたいのだ」と獅子王に言われてしまう。
「······························。」
状態を起こすのをやめて獅子王を見る。
「ん?どうしたルイス」
「────────?」
『テオは寝なくて大丈夫なの?』
「すまぬな、読唇術は出来ないのだ。!、そうだ·····私の手に書きなさい」
オレは頷くと身体を獅子王の方へ向きを変えて獅子王の手のひらに文字を書く。

馬車が揺れるのでお互い書く方も読む方も大変だ。
何度も書き、獅子王はこれだな!と聞かれるけど違って、また初めから書く。
それを唯繰り返す。
·····でも、オレはそれを楽しいと思ってしまった。
人とこんなに触れ合ったのは久しぶりだ。

「?、むー···、、!   ルイスやっと分かったぞ」
「!」
「私は大丈夫だ。寝ない事などよくあるからな。·····合っているか?」
オレはその質問に頷く。
すると獅子王も嬉しそうに笑い、後ろの尻尾も揺れる。

「何やってるんですか?お二人共」

寝ていたハドラさんがいつの間にか起きていて、オレ達の行動を不思議そうに見ていた。
「あぁ、ハドラ。実はペンと紙がないから手に書いて貰っていたのだ」
「成程、そういうことですね」
「ハドラもやってみるか?なかなか難しいぞ」と、獅子王は悪戯を考えている子供の様だ。

「折角ですしやってみます」
「♪」
ハドラさんの言葉に獅子王から向きを変え、向かいに座るハドラさんの手に文字を書く。
逆さに読む事になるので獅子王の時より難易度が高い。
『よく眠れましたか?』と、書いている。

「ふふっ、なかなか手が擽ったく感じますね」
ハドラさんは手を見ながら小さく笑うが同じ言葉を三回位書いた時、
「はい、よく眠れました」と返された。
「!!」
まさか三回目で分かって貰えると思わずオレは驚き、獅子王も「本当にあっているのか?」と驚く。
「えっへん♪私は王をサポートしなければならない身ですからね、これ位出来ますよ」
改めてハドラさんは凄い人なのだと実感した。

「テオ様そろそろ門を通過します」
「うむ」
門·····という事は、ライルド帝国の中心街に着いたという事だ。
オレは外の景色が気になり獅子王の膝から状態を起こそうと動く。しかし、突然の揺れでバランスを崩してしまい席から落ちた。
「ルイスッ!」
気付くと獅子王の胸の中に抱き寄せられ、
「大丈夫か?!」と、獅子王が血相を変えていた。
オレは頷いたが申し訳ない気持ちになる。
「はぁ、、、良かった·····。お前が無事なら良いのだ」
安堵した溜め息をついて獅子王はオレを自身の膝の上に座らせる。

「???」

何故隣りの席ではなく、オレは獅子王の上に座っているんだろうか?
「─、───?────?!?!」
な、何故?何故オレはテオの膝に?!?!
は·····恥ずかしいッ

「危ないからな。城に着くまでこのままだ」
「~~~~~~  、 」
そんなっ!!
どうにかして貰おうとハドラさんを見ると我関せずといった感じで外を見ていた。



「おかえりなさいませ」

門番の一人が声を掛けてくる。
ハドラさんは「ご苦労様です」と、その門番に言うが門番の視線は此方を見ている·····。
オレは恥ずかしくて門番がいない窓の方へ顔を背けて逃げた。

「ああ、気になさらないで下さい」
「は、はあ、、」
門番の指示で巨大な門が開く。
「!」
門の向こうは家が建ち並び、夜だというのに多くの人で賑わっていたが、この馬車に気付くと、
「王様~!」
「テオ様ーっ!!」
と、獅子王を一目見ようと大勢の人だかりが出来上がる。


獅子王は民から凄く愛されているのがこれだけで十分過ぎる位伝わった。
馬車はゆっくりと城へ進み、その間にも民の王への忠誠心は凄く、とても夜だとは思えない。
「五月蝿くてすまない」と、獅子王は少し困った様に笑っていた。
オレはそんな事は無いと首を左右に振る。
知徳を兼ね備えた王だと以前は理解出来なかったが、なるほど·····今なら納得だ。

その歓声の中に、
「ムフロンだっ!」
「あれってまさか·····」
「これでこの国は安泰だーッ!!」
と、オレを見て騒ぐ人達もいる。

「????」

ムフロンは珍しい種族では無い。
まあ·····王の膝に座るムフロンはオレ位なのは分かる。
でも、何故か歓迎されてる?と思うのは不思議だ。
後でハドラさんか獅子王に聞いてみよう。。。
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