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刻の唄――ゼロ・クロニクル―― 第一部
第三章 犠牲の軍隊後編 23
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「外部への回線を遮断し殲滅の光弾砲台無力化を阻止した敵が、勢いづいたか」
「AIが敵となり奪われた基地を奪還しようと、躍起のようですな。全く、さすがはミラトのコヨーテ共。盗人猛々しい」
制御ルームの外、活発な動きを見せ始めた敵に広々としたタワーの北側半分に巡らされた回廊へ制御ルーム内に数人を残し外へ出たエレノアは、廊下の左右を固める大盾のバリケードを眺めやり呟いた言葉に、兵団群に属する男性キャバリアーが応じた。
一つ頷きエレノアは、背後を振り向き外骨格スーツで身を固めた部下を視界に収める。
「そのようだ。騎士甲冑のセンサと空間把握は、あの大盾に遮られた先に連なる幾つもの兵団を捉えている。基地奪還兵団は制御ルーム入り口を固め、守備に専念せよ」
少しも経たぬうちに廊下を閉鎖する大盾のバリケードが撤去され、その背後に控えたヴァニラ色の外骨格スーツで身を固めた兵団がホバリングで突進を開始した。
下ろしたバイザーに隠れたエレノアの薄紅色の唇が、そっと呟きを乗せる。
「頼んだぞ、ヴァレリー。惑星フォトーに残留するボルニア帝国軍の命運は、おまえにかかっている。時間をかけすぎれば、零たちが保たない」
所々金色のインナー装甲が覗く紅のスリムな騎士甲冑が、残像を連ねるように横に広がると分身が二十以上出現した。
「AIが敵となり奪われた基地を奪還しようと、躍起のようですな。全く、さすがはミラトのコヨーテ共。盗人猛々しい」
制御ルームの外、活発な動きを見せ始めた敵に広々としたタワーの北側半分に巡らされた回廊へ制御ルーム内に数人を残し外へ出たエレノアは、廊下の左右を固める大盾のバリケードを眺めやり呟いた言葉に、兵団群に属する男性キャバリアーが応じた。
一つ頷きエレノアは、背後を振り向き外骨格スーツで身を固めた部下を視界に収める。
「そのようだ。騎士甲冑のセンサと空間把握は、あの大盾に遮られた先に連なる幾つもの兵団を捉えている。基地奪還兵団は制御ルーム入り口を固め、守備に専念せよ」
少しも経たぬうちに廊下を閉鎖する大盾のバリケードが撤去され、その背後に控えたヴァニラ色の外骨格スーツで身を固めた兵団がホバリングで突進を開始した。
下ろしたバイザーに隠れたエレノアの薄紅色の唇が、そっと呟きを乗せる。
「頼んだぞ、ヴァレリー。惑星フォトーに残留するボルニア帝国軍の命運は、おまえにかかっている。時間をかけすぎれば、零たちが保たない」
所々金色のインナー装甲が覗く紅のスリムな騎士甲冑が、残像を連ねるように横に広がると分身が二十以上出現した。
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