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並列世界大戦――陽炎記――

missio 05 alarm 3

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 ――悠希が危ない――

 自分の話を聞く耳持たない様子だった悠希に、アデライトの焦燥が募った。ブリーフィングルームにあるロリータメイドのヒューマノイドを部屋の外へ移動させつつ、本体のレガトゥスは格納庫内にあるアデライトはコノカに繋いだ。





〈昨日、基地内で営業するカフェの一つが出張サービスを行って、第一連隊の第三大隊で祝勝会が開かれたの。アイギスを撃破したから。撃破したのは他の連隊の悠希なのに、きっと騒ぐのが好きな隊長さんなのね。今はその撤去中〉

 コノカが見繕った大部屋とそこにいるヒューマノイドは、まさに条件にぴったりだった。
 澪は悠希の手を蹴ってヒューマノイドの肩へ飛び乗った。皮肉を悠希は、澪へと送る。

「信用ないな、澪。アデライトもコノカも、澪をまるで信用していない」
「無理もない」

 苦笑する気配が、澪の口調から伝わった。ハッキングを開始したようで、会場の後片付けをしていたヒューマノイドは、鍋を持ち上げた姿勢で動きをピタリと止めた。現実世界リアルワールドへの帰還を望む思念体を電脳世界サイバーワールドから脱出させることができれば、悠希の望みがアデライトの望みに歩み寄る余地が生まれる。これまでは、互いの行き先がそうすることを邪魔していたから。

 ――これでようやく、僕は小隊の一員としての役目だけじゃなくて、目的もアデライトに近づけられる。あの理想家のアデライトと、手を取り合うこともできる筈――

 希望の火が悠希に灯ったとき、年若い女性のよく通る可愛い声がヒューマノイドから発せられる。

「ご苦労さん、悠希」
 澪にハッキングされたらしいヒューマノイドは、振り向いた。悠希は、急くように促す。
「いや。じゃあ、宿舎の僕の部屋へ行って話そう」
「その必要はないよ」

 くるりと踊るように軽やかな動作で回転すると、ヒューマノイドは腕を振り回し拳の甲を悠希に叩き込んだ。まともに喰らった悠希は、身体を壁に打ち付けた。鍋が床に落ちる音が響き渡る。コノカの〈悠希!〉と悲鳴のような声が頭に響く中、悠希は何が起きたのか咄嗟に理解できなかった。嘲るような笑い声が、頭上から降りかかる。

「あはははははは」

 ウェイトレス姿のヒューマノイドは、その佳麗な容貌に似合わぬ大口を開け下品に腹を押さえ身を折るようにげらげらと笑っていた。口の端を吊り上げ美しい面を獰猛に歪ませると、醜悪な笑みを刻み可愛い声に子供のような口調で下卑た響きを帯びさせる。

「だーまさーれたー」

 パンプスを鳴らし歩み寄ると澪はヒューマノイドに両手を腰に当てさせ、屈み込むように悠希を覗き込む。
「信じちゃった? 僕の話」
「最初から裏切るつもりだったのか? 現実世界リアルワールドへの帰還を望む思念体の話は、嘘なのか?」

 怒りと悔しさに心をかき乱されながら睨み付ける悠希に、澪は益々愉しげだ。

「いや、それはホント。いるんだよ。そんな不良品が。進化した世界から離れて、退化したいなんて馬鹿げたことを考える奴らが。アデライトの他にもさ」

 その言葉に灼熱した感情のまま悠希は立ち上がり腰のホルスターから拳銃を引き抜くが、人間とヒューマノイドではパワー・スピード共に違いすぎる。さっと動いた澪操るそれは悠希の胸ぐらを掴むと、乱暴に床へと叩き付けた。その衝撃で悠希は拳銃を取り落とし、シャツから出ていた鎖がちぎれ乾いた音を立てペンダントが床を滑った。漏れる悠希の呻きは苦しげだ。

「く――この……」

 床に仰向けに横たわる悠希は、身体を震わせ身を起こした。床に転がった拳銃を拾い上げながら、澪は声のトーンを落とし語り出す。

「屈辱だった。アデライトが使用した策を用いそれに僕と子機の強力な攻撃力も加わった、必勝を期した奇襲による包囲戦が失敗したことは。まるで、僕がアデライトに劣るみたいじゃないか。負ける筈なんてなかったのに。その原因を作ったのは、まずはアデライト。そして、彼女と連携した悠希だ。アデライトと悠希は、後悔に打ち拉がせて殺してやろうと誓った。だから、この前の戦いでわざとあんな間抜けを演じて、要塞都市東京に潜入したのさ。けど、アデライトは手強い。何しろ、電脳世界サイバーワールドでの僕を知っているからね。そして、機械兵マキナミレスが本体だ。けど、間抜けな悠希なら。ほら、こうして引っかかった。なぶり殺しにしてあげるよ」
「澪っ!」

 愉快そうに手を振り向ける澪に、悠希は悔しげな叫びを上げた。

 ――僕は、何て馬鹿だったんだ。あの小動物のアンドロイド姿に騙されて、すっかり非力な存在に成り下がったって思い込んで。始めから罠だったんだ――

 後悔の念に染まる悠希に、ヒューマノイドの脚が弄ぶようにゆっくりと持ち上げられた。澪の言葉どおり、殺される。悠希の端正な面が青ざめた。そのとき広大な何かと一体となるのを悠希は感じた。コノカが強制的に、ブレイン・エクスパンスシステムのサポートを開始したのだ。コノカのアルトが、告げる。

〈映画で見たカンフーよ。ロボット相手に戦っているのがあったでしょう〉
「フィクションの世界の話だろう」
〈今向かってるから、持ちこたえて〉
「グラディエーターで? 機械兵マキナミレスなんかで移動したら、基地が壊れ――」

 熾烈に振り下ろされたウェイトレスの脚を、悠希はそれまで知り得なかった見事な身のこなしで躱し、自身驚きつつそのまま連続したユーモラスな無駄のない動きで立ち上がった。発せられた澪の声が、呆然とする。

「な、何だ今のは? 変な動きをして」

 ちょっと相手に対して身構えるだけで未知の近接格闘術CQC――カンフーの体術を身体に馴染んでいるように悠希は理解できた。気迫を悠希は、声に乗せる。

「僕の番だ。澪!」

 静かに前に出ていた足を水平に後ろに戻すと、自然にもう一方の足が素早く出て床に触れる寸前で抜きもう一方の足を出した。前傾姿勢で進み悠希は、さっと澪との距離を詰めた。縮地だ。武術の歩法を、悠希は全く意識することなく行ったのだ。呆気にとられている澪の反応が遅れた。拳を突き出すが、さすがに汎用人工知能AGIの反応をもって腕でガードし躱した。が、同時に連続した悠希が振り上げた蹴りは、躱せなかった。まともに喰らった。思わず快哉を悠希は上げそうになったが、凍ったような怒りを冷厳な声に乗せる澪に押し黙る。

「で? これが何?」

 ウェイトレス姿のヒューマノイドは、何ごともなかったように平然としていた。よろめきはしたものの、ダメージはない。

 ――当然か。相手は、ヒューマノイド。痛覚なんて存在しないし、頑丈さは人間の比じゃない。けど、コノカのアイデアは悪くない。勝てはしなくても、これなら……――

 距離をさっと取り、両腕を肩の上でぐるりと回しいかにも映画に出てくるカンフーらしい構えを悠希が取ると、澪が動いた。何の芸もなく短距離走の選手のような走りで突っ込んでくるだけだが、そのスピードは恐ろしく速い。呆気にとられてしまいそうになるほど。ブレイン・エクスパンスシステムのサポートで、カンフーの技が身についていなければこれであっさり悠希はやられていただろう。すれ違い様伸ばされたヒューマノイドの腕を、悠希はリンボーダンスのような動きで躱した。

 勢い余って、澪は鍋などが並ぶテーブルに激突し派手な音を立て床を滑った。すぐさま立ち上がり、床を蹴り抜きヒューマノイドのパワーでもって一気に悠希の元まで跳躍した。文字通り飛んでくるそれに悠希はぎょっとしつつ、身体が勝手に回避するに任せ腕立て伏せのよう姿勢で床に倒れ込み回避。壁に激突する音が響き渡り、甲高い女性の声で怨嗟の声が響き渡る。

「はーるーきー! さっきからふざけた動きで、僕の攻撃を躱して。分かってる? 命の危機なんだよ。真面目にやんなきゃ、駄ー目ーじゃないかー!」

 狂った旋律を奏でつつ澪は、立ち上がった。が、もう既に悠希は動いていた。縮地特有の前傾姿勢でもって、間合いに入り込んだ。さすがに澪の反応速度は速く、拳を叩き込んできた。突き入れられた右腕を悠希は左手で掴むと、右手の平の裏をウェイトレスの顔面に叩き込み流れるような動きで肘打ちから腹への掌底を叩き込んだ。カンフーのカウンター技だ。そのまま右腕をウェイトレスの首へと持って行き、倒そうとした。が――、

「だから、悠希。そんなの僕に、全然効かないんだって」

 人間ならダメージを喰らうと共に昏倒或いは混乱し床に倒されるだろう攻撃に、ウェイトレス姿のヒューマノイドはびくともしていなかった。首に当てられた悠希の腕を澪はヒューマノイドに掴ませ、握る手に力を込めさせた。悠希の口から、苦痛の呻きが漏れ出る。

「う、わぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 女性のウェイトレスの見た目からは想像もつかぬ怪力で、骨が折れるのではとういう激痛に悠希の意識は飛びそうになった。

 ――駄目だ、悠希。今このとき、この窮地を脱しなければ僕の命はない――

 咄嗟に膝蹴りを喰らわすが、ヒューマノイドの人工皮膚の奥が金属であるという感触を味わっただけだ。悠希の腕を吊り上げつつ、澪は声を愉快げにする。

「悪あがきだよ、悠希。もう、逃げられない」
「くっ!」

 怪力でつま先立ちになった悠希は、悔しげな声を発した。ヒューマノイドのもう一方の拳銃を握る手が持ち上げられ、銃口が悠希の眉間に向けられる。

 ――やられる――

 絶望に染め上げられたそのとき、ややハスキーな声が響き渡る。

「させない!」

 猛スピードで走り来る首元を黒いリボンで結んだ白シャツの上に黒のベストを羽織り黒ズボンを履いた女性のバーテンダースタイルのヒューマノイドが、ウェイトレスのヒューマノイドにタックルを喰らわせた。人間の悠希の攻撃ではびくともしなかった澪操るそれが吹っ飛ばされ、悠希は投げ出された。ハスキーボイスが問いかける。

「悠希、平気?」
「コノカか? 後で大問題になる。ヒューマノイドを無断で汎用人工知能AGIがハッキングしただなんて。四原則に問題はないのか?」
「お礼より、お説教が先?」

 コノカ操るバーテンダーのヒューマノイドは、ブレイン・エクスパンスシステムのサポート時に取得したらしく、悠希同様カンフーで澪に対した。縮地から拳と蹴りの連続攻撃。打拳を腕で受け止めたものの蹴りを食らった澪操るヒューマノイドは、吹き飛ばされ壁に激突した。憤怒に満ちた声を、澪は叩き付ける。

「人形風情が、邪魔をするな!」

 鳴り響く発砲音。
 バーテンダースタイルのコノカ操るヒューマノイドが、歪なダンスを踊るようにボディを跳ねさせた。膝が折れて、床にぺたりと座り込んだ。澪が撃った銃弾は、正確にヒューマノイドの間接部を打ち抜いたのだ。力が入らないようで、両腕で支え立ち上がろうとするが失敗を繰り返している。尻餅をついた姿勢で、悠希は叫ぶ。

「コノカ! 大丈夫か?」
「馬鹿か? 悠希。人間ではないんだぞ。いくら銃弾を喰らおうと、その人工知能AIは痛みなど感じる筈もない。こうしても」

 鈍い音が響いた。膝蹴りを、澪がコノカに喰らわせたのだ。吹き飛ぶように、バーテンダーのヒューマノイドは床を滑った。愛らしい声に、澪は冷厳とした響きを帯びさせる。

「役立たずだったな。結局悠希を守れなかった」

 銃口が、悠希を向いた。今度こそ、終わりだ。苦しげな声が、悠希から漏れる。

「……ここまでか……」
「まだよ。させないわ」

 バーテンダーのヒューマノイドが床を這って近づくが、間に合わない。と、そのとき足音が響き、悠希の知るクールさを感じさせる不思議な甘い声音が凜と響く。

「悠希!」
「気をつけろ、アデライト、銃を奪われた」

 警告を悠希が発すると共に、発砲音。ハーフツインテールにしたくすんだ金髪を靡かせ駆けてくるメイド姿のロリータヒューマノイドは、ステップを踏みつつ銃弾を躱した。強化樹脂の床に、弾痕が生じた。苛立たしさを、澪は可愛らしいヒューマノイドの声に乗せる。

「邪魔をするな、アデライト! こ、この、悠希。放せっ!」

 続けて撃とうとする腕に悠希がしがみつき、澪の挙動が遅れた。その間に接近したアデライトは、メイド姿のヒューマノイドにスカートを閃かせ中の白いペチコートを覗かせながら高々と跳躍させると、回し蹴りを澪操るウェイトレスのヒューマノイドに炸裂させた。金属質な音が響き、首がへし折れ頭があり得ない角度に傾いた。機能を停止したヒューマノイドは、突っ立ったままの姿勢で床に硬質な音を立て倒れ込んだ。ほっとした声を、悠希は上げる。

「助かった。ありがとう、コノカ、アデライト。アデライトは、どうしてここが?」
「コノカと繋いでたのよ。全く。悠希は、わたしの忠告を聞かないから。まんまと、澪を信用して騙されて」
〈本当よ。よほどの馬鹿でなければ引っかからないわ〉

 腰に手を当てアデライトが、インプラント量子通信でコノカが、それぞれ悠希を窘めた。苦笑しようとして失敗した悠希は、ほろ苦い気持ちだった。ほっとした空気が漂う中、神秘的な響きを保つボーイソプラノが、近くのモニタパネルから響き渡る。

「悠希だけでも殺せるかと思ってたのに、残念だよ。アデライト、余計な邪魔を……」

 モニタパネルに映し出されたのは、脱色したミディアムの髪と人形めいた秀麗な顔立ちをした、子供。容貌は少しばかり変わっても、悠希が見間違う筈もない。

「……澪……」
「この前の戦い、わざとね。個人的な復讐のために敵地に一人乗り込んでくるなんて、自信過剰よ。自惚れてるわ」

 口調を厳しくし難詰するアデライトに、澪は氷雪のような瞳を愉しげにし声を弾ませる。

「ははははは。僕が、ただ悠希や君に復讐したくて乗り込んできただけだと? 方面軍参謀たる僕の鼎の軽重を問われかねないな。馬鹿にしてるのかい」
「チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ――」

 映し出されていた映像が変わり、一〇匹はいるだろうアンドロイドのネズミが蠢く巨大なシステムが設置された広大なルームが映し出された。アルトにコノカは、焦燥を滲ませる。

〈南方軍基地のセントラルコンピュータールーム! そこに潜入してたのね〉
「何だって?」
「狙いはそれだったの? 何てことなの!」

 警戒を悠希が憤りをアデライトが口調に滲ませ、再びモニタパネルの映像が切り替わり映し出された澪は唇の端を吊り上げ薄らと笑む。

「さあ、第三幕だ」

 同時に轟き渡る破壊音。続いて振動。鳴り響く警報アラート。南方軍基地が攻撃を受けているのだ。愉しげに、澪の声が響き渡る。

「南方軍基地が管轄する、要塞都市南方のセンサと防衛システムはダウンした。それが、どういうことか分かるだろう? 敵を見張る目がなく、防衛兵器は使えない。待機させていた五軍団が今要塞都市東京南方に侵入している。同時に、北方、西方、東方にも侵攻させ、東京は南方ばかりに戦力を割けない状況だ」

 半ば呆然と悠希は澪の言葉を聞きつつ、先程澪に攻撃を受け床に転がりひしゃげて中の写真が覗くペンダントを見詰めた。そこに映る家族を。また、あの悲劇が繰り返されようというのだろうか? この惨劇を招いてしまったのは、悠希の甘さなのだろうか?

 ――僕は、馬鹿だ。大馬鹿野郎だ。僕は、敵に心を許して。かつての幼馴染みに対するように。澪は、そんなつもりなんてさらさらなかったっていうのに――

 神の裁きでも告げるような神秘的なボーイソプラノが、降り注ぐ。

「どんな心境かな、悠希? 無様に哀れに命乞いをして電脳世界サイバーワールドの不良品を渡してやろうって僕の話をまんまと信じて、騙された心境は? 間抜けだよね。アデライトは仲間だっておめでたいことを言っていたけど、残念、アデライトは僕と同類なんだよ。君たち旧人類より遙かに進化した、電脳世界サイバーワールド人――思念体だ。それは変えようがない。だから僕は、アデライトを余興で仕留めず悠希を狙った。僕の話を信じた悠希を、アデライトは信用しなかっただろう。悠希を信頼なんてしていないんだよ。それを仲間だなんて、思い上がりだよ」

 打ちのめしてくる澪の言葉になすすべがなかった悠希だったが、胸の内に強い反発が湧き上がり消えかけた闘志に燻りつつも再び火が灯る。

「違う。確かに、僕たちじゃ無理なことを、アデライトはできる。けど、ただ単にそれは能力だ。おまえのように同胞を不良品なんて呼んだりしない。アデライトは、僕たちと同じ心を持った人間だ。思念体であろうと。だから、僕はアデライトを信じてる」
「――っ、悠希……」

 息を飲むアデライトは、何かが啓かれたような表情を可憐な面に浮かべた。悠希は、アデライトに頷き澪に挑むように告げる。

「だから、澪。アデライトは、おまえとは違うんだ。おめでたいと思うほどの理想を語れるほど、人間らしい心を持っているんだ」

 倒れたウェイトレスのヒューマノイドが纏うエプロンのポケットからアンドロイドのネズミが走り出てくると、どこからともなく現れた一〇匹はいるネズミのアンドロイドに合流した。激震が悠希たちの足場を揺らし、壁を破壊して瓦礫を降らした。近くに着弾したのだ。アンドロイドのネズミの群が、一つの生命体のように同時に告げる。

「つまらない、古くさいヒューマニズムだ。それで、この現実にどう抗える? 要塞都市東京が滅びる様を、悔しがりながら指をくわえて眺めているがいい」

 破壊され崩れた壁から、スチールグレー色をした細身のシャープなデザインの参謀機アイギスが姿を見せた。腹部の小さなハッチが開き、ネズミたちが乗り移ると、アイギスが離れていった。その様を見送る悠希は、強く唇を噛みしめた。危機は、暴風吹き荒れる空を機械兵マキナミレスの雲霞に染め風雲急を告げ迫っていた。
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