81 / 84
【IF番外編√】★天界国白騎士団長・竜使いワタル★
1★ワタル→菫★【狂気の愛】
しおりを挟む
ワタル「あー暇」
菫「……」
ワタル「あーー暇」
菫「ワタルうるさい。今わたし本読んでるの。邪魔しないでよ」
ワタル「眠れないんだよ。少し構え」
菫「リョウマ様に借りた本、早く読まなきゃいけないの」
ワタル「なんだよ、それ。早く返すために早く読む本なんて、内容が入ってこないだろ」
菫「面白いから先が早く知りたいの。人界の珍しい本なんですから。リョウマ様、人界の貴重な本を集めていて、大好きなんですって」
ワタル「へー」
菫「何よ、生返事。ワタル昔は読書好きだったでしょ」
ワタル「ああ、お前より全然読んでたな。お前はオテンバで、木登りしたり虫わしづかみにしてケラケラ笑ったりしてたから、今の姿のほうがびっくりだよ」
菫「虫わしづかみなんて、してました?」
ワタル「してたよ。ははは、何だよ、これ。今読んでるのも『芋虫』って題名じゃん。どんだけ虫好きなんだよ」
菫「この本に芋虫は出てきていませんけどね」
ワタル「ははは、変な題名」
ワタル(芥川かよ……)
菫「戦争後、四肢や視力を失って生き残った者がどう生きるかの葛藤や、彼の妻の愛情と苦悩が書かれていますね」
ワタル「どんなの読んでんだよ……」
菫「明日、リョウマ様に返して新しい本を借りるの」
ワタル「リョウマ、1年間の謹慎だろ。まだ城下町の家にいるのか? カラムの町に実家があったろ」
菫「うん……リョウマ様、わたしのせいで勘当されちゃったから……」
ワタル「ああ、それでリョウマを気にかけてるのか。カルラといい、大変だな」
菫「え?」
ワタル「カルラは復讐の件で引け目があるんだろうし、リョウマも自分のせいで勘当されたと思ってる。だから感情移入してるだけだろ」
菫「そんなことは……」
ワタル「まーいいや。明日待ち合わせなの?」
菫「え? ああ、リョウマ様とランチの約束しています」
ワタル「じゃあ、明日の午前中はのんびりできるんだな。おれも今日はここで寝ようかな」
菫「珍しいね、何かあったの?」
ワタル「え?」
菫「眠れなくてわたしの部屋にきたんでしょ? 昔みたいに一緒に寝ようか?」
ワタル「えっ……そこまでは求めてねーや。もう子供じゃねーし」
菫「明日、お休みでしょ?」
ワタル「まあな」
菫「じゃあ、一緒に寝ようよ。はい、どうぞ。こっちにおいで」
ワタル「えっ、いいよ。ベッドで読書してたんだろ。おれは適当に過ごしてるから、読んじゃえよ。明日リョウマに返すんだろ」
菫「わたしもなかなか寝付けないから。ワタルがいてくれたら嬉しいよ」
ワタル「そう? じゃあ、久しぶりに一緒に寝るか」
菫「うん」
ワタル「……あれ、お前背伸びた? 抱きしめたときの感覚がなんか違う」
菫「そう? 167センチですけど」
ワタル「げっ……伸びてる……」
菫「ワタルと最後に別れたのいつでしたっけ」
ワタル「15歳のときだ。そのときは164センチって言ってたぜ」
菫「ワタルは……あまり伸びてないかな」
ワタル「……伸びてねーよ、悪かったな」
菫「ひゃっ! な、なに?」
ワタル「わき腹、まだ弱いんだ? そこは変わってねーんだな。ははは」
菫「もう……ワタルは背中の腰辺りが弱いのよね」
ワタル「あはは、やめろ、くすぐったい」
菫「ねえ、抱きしめた感覚が違うっていうのは、背じゃなくて胸が大きくなった可能性はないかな?」
ワタル「なに、確かめていいの?」
菫「うん。もう1度ぎゅってしてみて」
ワタル「は? お子様の発想してんじゃねーよ。直接触って確かめてやるよ」
菫「えっ本気?」
ワタル「うん、もちろん」
菫「目が本気なんですけど……」
ワタル「本気だからな。それともカルラに確かめてもらうか? ああ、カルラは昔の菫を知らないから、今触っても無駄だよな。おれだけが比べられるわけか。ははは、ざまあみろ」
菫「待って、直接触ったことなんてないでしょ? ワタルだって比べられるわけないじゃない」
ワタル「風呂には良く一緒に入ってたからな。見ればすぐにわかるぜ。一緒に入る?」
菫「ど、どうしたのワタル……もう18ですよ。子供じゃないんですから……」
ワタル「…バカ、冗談だよ。そんな怯えた目、するな。おれだけには甘えられるような存在になりたいんだから」
菫「びっくりした……」
ワタル「悪かったな。悪ノリしすぎた。ほら、ぎゅってしてやるから、警戒するなよ」
菫「うん……」
ワタル「大丈夫、お前がどんな体型だろうが、カルラは絶対に菫のことが大好きだと思うぜ。あんなカルラを見せられたら、もう完敗だよ、弟なんて」
菫「……カルラ様がどうこうじゃなくて、ワタルが……」
ワタル「おれが?」
菫「ワタルが知らない人みたいで……」
ワタル「うん、悪かった。もう怖がらせるようなことはしない」
菫「……血を分けていなければ、良かったな……」
ワタル「え?」
菫「いつもわたしの味方してくれてるのは、あなただけだから……」
ワタル「……月読教、解体したから……来世で……」
菫「え?」
ワタル「なんでもねーよ。くだらねーこと言ってないで、もう寝ようぜ。ほら、ぎゅってしろよ」
菫「うん」
ワタル(月読教解体したんだから、来世では今度こそ結ばれるようにしろよな……月読様よー……)
☆終わり☆
菫「……」
ワタル「あーー暇」
菫「ワタルうるさい。今わたし本読んでるの。邪魔しないでよ」
ワタル「眠れないんだよ。少し構え」
菫「リョウマ様に借りた本、早く読まなきゃいけないの」
ワタル「なんだよ、それ。早く返すために早く読む本なんて、内容が入ってこないだろ」
菫「面白いから先が早く知りたいの。人界の珍しい本なんですから。リョウマ様、人界の貴重な本を集めていて、大好きなんですって」
ワタル「へー」
菫「何よ、生返事。ワタル昔は読書好きだったでしょ」
ワタル「ああ、お前より全然読んでたな。お前はオテンバで、木登りしたり虫わしづかみにしてケラケラ笑ったりしてたから、今の姿のほうがびっくりだよ」
菫「虫わしづかみなんて、してました?」
ワタル「してたよ。ははは、何だよ、これ。今読んでるのも『芋虫』って題名じゃん。どんだけ虫好きなんだよ」
菫「この本に芋虫は出てきていませんけどね」
ワタル「ははは、変な題名」
ワタル(芥川かよ……)
菫「戦争後、四肢や視力を失って生き残った者がどう生きるかの葛藤や、彼の妻の愛情と苦悩が書かれていますね」
ワタル「どんなの読んでんだよ……」
菫「明日、リョウマ様に返して新しい本を借りるの」
ワタル「リョウマ、1年間の謹慎だろ。まだ城下町の家にいるのか? カラムの町に実家があったろ」
菫「うん……リョウマ様、わたしのせいで勘当されちゃったから……」
ワタル「ああ、それでリョウマを気にかけてるのか。カルラといい、大変だな」
菫「え?」
ワタル「カルラは復讐の件で引け目があるんだろうし、リョウマも自分のせいで勘当されたと思ってる。だから感情移入してるだけだろ」
菫「そんなことは……」
ワタル「まーいいや。明日待ち合わせなの?」
菫「え? ああ、リョウマ様とランチの約束しています」
ワタル「じゃあ、明日の午前中はのんびりできるんだな。おれも今日はここで寝ようかな」
菫「珍しいね、何かあったの?」
ワタル「え?」
菫「眠れなくてわたしの部屋にきたんでしょ? 昔みたいに一緒に寝ようか?」
ワタル「えっ……そこまでは求めてねーや。もう子供じゃねーし」
菫「明日、お休みでしょ?」
ワタル「まあな」
菫「じゃあ、一緒に寝ようよ。はい、どうぞ。こっちにおいで」
ワタル「えっ、いいよ。ベッドで読書してたんだろ。おれは適当に過ごしてるから、読んじゃえよ。明日リョウマに返すんだろ」
菫「わたしもなかなか寝付けないから。ワタルがいてくれたら嬉しいよ」
ワタル「そう? じゃあ、久しぶりに一緒に寝るか」
菫「うん」
ワタル「……あれ、お前背伸びた? 抱きしめたときの感覚がなんか違う」
菫「そう? 167センチですけど」
ワタル「げっ……伸びてる……」
菫「ワタルと最後に別れたのいつでしたっけ」
ワタル「15歳のときだ。そのときは164センチって言ってたぜ」
菫「ワタルは……あまり伸びてないかな」
ワタル「……伸びてねーよ、悪かったな」
菫「ひゃっ! な、なに?」
ワタル「わき腹、まだ弱いんだ? そこは変わってねーんだな。ははは」
菫「もう……ワタルは背中の腰辺りが弱いのよね」
ワタル「あはは、やめろ、くすぐったい」
菫「ねえ、抱きしめた感覚が違うっていうのは、背じゃなくて胸が大きくなった可能性はないかな?」
ワタル「なに、確かめていいの?」
菫「うん。もう1度ぎゅってしてみて」
ワタル「は? お子様の発想してんじゃねーよ。直接触って確かめてやるよ」
菫「えっ本気?」
ワタル「うん、もちろん」
菫「目が本気なんですけど……」
ワタル「本気だからな。それともカルラに確かめてもらうか? ああ、カルラは昔の菫を知らないから、今触っても無駄だよな。おれだけが比べられるわけか。ははは、ざまあみろ」
菫「待って、直接触ったことなんてないでしょ? ワタルだって比べられるわけないじゃない」
ワタル「風呂には良く一緒に入ってたからな。見ればすぐにわかるぜ。一緒に入る?」
菫「ど、どうしたのワタル……もう18ですよ。子供じゃないんですから……」
ワタル「…バカ、冗談だよ。そんな怯えた目、するな。おれだけには甘えられるような存在になりたいんだから」
菫「びっくりした……」
ワタル「悪かったな。悪ノリしすぎた。ほら、ぎゅってしてやるから、警戒するなよ」
菫「うん……」
ワタル「大丈夫、お前がどんな体型だろうが、カルラは絶対に菫のことが大好きだと思うぜ。あんなカルラを見せられたら、もう完敗だよ、弟なんて」
菫「……カルラ様がどうこうじゃなくて、ワタルが……」
ワタル「おれが?」
菫「ワタルが知らない人みたいで……」
ワタル「うん、悪かった。もう怖がらせるようなことはしない」
菫「……血を分けていなければ、良かったな……」
ワタル「え?」
菫「いつもわたしの味方してくれてるのは、あなただけだから……」
ワタル「……月読教、解体したから……来世で……」
菫「え?」
ワタル「なんでもねーよ。くだらねーこと言ってないで、もう寝ようぜ。ほら、ぎゅってしろよ」
菫「うん」
ワタル(月読教解体したんだから、来世では今度こそ結ばれるようにしろよな……月読様よー……)
☆終わり☆
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
2.戦災の魔界姫は正体を隠し敵国騎士の愛人候補になる2 ★陰陽師当主編★
喧騒の花婿
恋愛
【戦災の魔界姫は正体を隠し敵国騎士の
愛人候補になる1 ★月読教改革編★】
の続きの物語です。
★2.陰陽師当主編★は6章で終わります。
★3.空中楼閣籠城編★に続きます。
天倭戦争で逝去した倭国王室陰陽師長
稲田 八雲の跡取り問題が表面化しつつあった。
本妻、マユラとの間に子供ができず
愛人を複数抱えていた八雲。
愛人の子供、太一は
果たして本家に認められ
次期当主として稲田家に君臨する
ことができるだろうか。
★R15です。苦手な方は気をつけて下さい。
該当の話にはタイトルに※が付いています。
★閑話は、時系列順不同です。
★IF番外編√は
本筋以外の魔人と恋愛したら
という、もしも√を書いています。
本編とは異なる設定ですので、
ご了承下さる方はお気を付けて
読んで下さると幸いです。
3.戦災の魔界姫は正体を隠し敵国騎士の愛人候補になる3★空中楼閣籠城編★
喧騒の花婿
恋愛
2.戦災の魔界姫は正体を隠し敵国騎士の愛人候補になる2 ★陰陽師当主編★
の続きの物語です。
天界国青騎士団長ヒサメと、
異世界から神隠しに遭ったニンゲンが
かどわかされ
倭国の人質となってしまった。
倭国側の要望は、天界国に幽閉されている
竜神女王とヒサメの人質交換と、和平交渉。
天界国はヒサメを無事取り戻し、
倭国との和平交渉を有利に進めることが
できるだろうか。
★R15です。苦手な方は気をつけて下さい。
該当の話にはタイトルに※が付いています。
★設定上、魔界は14歳が成人であり、アルコールを飲める年齢になります。
★閑話は、時系列順不同です。
二度目の人生は異世界で溺愛されています
ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。
ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。
加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。
おまけに女性が少ない世界のため
夫をたくさん持つことになりー……
周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
お金目的で王子様に近づいたら、いつの間にか外堀埋められて逃げられなくなっていた……
木野ダック
恋愛
いよいよ食卓が茹でジャガイモ一色で飾られることになった日の朝。貧乏伯爵令嬢ミラ・オーフェルは、決意する。
恋人を作ろう!と。
そして、お金を恵んでもらおう!と。
ターゲットは、おあつらえむきに中庭で読書を楽しむ王子様。
捨て身になった私は、無謀にも無縁の王子様に告白する。勿論、ダメ元。無理だろうなぁって思ったその返事は、まさかの快諾で……?
聞けば、王子にも事情があるみたい!
それならWINWINな関係で丁度良いよね……って思ってたはずなのに!
まさかの狙いは私だった⁉︎
ちょっと浅薄な貧乏令嬢と、狂愛一途な完璧王子の追いかけっこ恋愛譚。
※王子がストーカー気質なので、苦手な方はご注意いただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる