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第6章★赤騎士団長・炎のリョウマ★
第4話☆牢獄☆
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「リョウマさん、無事でしたか!」
部屋でうろうろしていたゼンタが、リョウマを見た途端パッと笑顔になって走り寄ってきた。
「ゼンタ、心配かけた」
「えっ、どうしたんですかリョウマさん。いつもの俺を見下したような口調はどこにいったんですか」
「ふざけるな。俺はそんなことはしていない!」
「ほらやっぱり! 俺のこと虫けらみたいに見るじゃないですか!」
まるで兄弟のようなやりとりに、菫はほっとため息をついた。
「ほっとしたらお腹空きましたね。ゼンタ様、リョウマ様をお願いします。リョウマ様、全然寝てないし食べていないみたいなの。とりあえず寝かせて差しあげて下さいませんか? わたしは食べ物を調達してきます」
「カルラとワタルはどこにいるのだ?」
リョウマが聞くと、ゼンタが口を開こうとしたため、菫はリョウマから見えない場所で自分の唇に人差し指を当てた。
ゼンタはそれに気付くと口を閉ざし、少し間を置いてから口を開いた。
「あの2人はまだ偵察ですよ。そうだろ、お前」
「そうですね。カルラ様も記憶喪失が治って、偵察に行っています。とりあえず2人が戻るまでゆっくりしましょ」
菫の笑顔に、リョウマは頷いた。
リョウマをベッドに寝かせると、すぐに寝落ちたように眠りについた。
部屋の隅で菫とゼンタが小さな声で話し始める。
「リョウマさん、記憶喪失の薬飲んでいないのか?」
「はい。すごい精神力ですね。最後まで飲まなかったそうです」
「それであんなに疲れ切って……拷問されたんだろうな。自慢の長い髪も短くされて」
「そうね……」
「これからどうする?」
「リョウマ様を見ていて欲しいです。わたしはもう1度教会に戻ります」
「何故だ? また御剣たちが戻ってきたら今度はお前が捕まるぞ」
「忘れ物を取りに行くだけですよ。リョウマ様を早く回復させるためにも、ゼンタ様はリョウマ様を見ていて下さい。お願いします」
「……わかった。気をつけろよ。すぐ戻るんだぞ」
「はい、ありがとうございます」
菫は再び地下牢へ戻ると、見えないところに隠れて待つことにした。
目の沢山ある化け物は、元は魔人だということをリョウマから聞くと、とても気の毒に感じてくる。しかしここでは何もできないため、ひたすら隠れて待った。
やがて上部から隠し扉が開く音が響いた。きた、と菫は構える。
「リョウマ? リョウマがいないわ、御剣様!」
「逃げたのか? どうやって……」
御剣とアコヤが走りながらリョウマのいた牢屋へと入っていく。
入ったことを確認した菫は、そっと牢屋の鍵を掛けた。それに気付いた2人だったが、鍵を閉められてしまったので、牢に閉じ込められる。
「だ、誰だ?」
「何で閉めてるの? 開けて、出してよ!」
「うふふ、飛んで火にいる夏の虫、ね」
御剣に向かってウインクをすると、御剣が憤慨したように眉を吊り上げた。
「貴様、誰なんだ! 邪神城の女中か?」
「リョウマをどうしたの? 裸だったはずよ。外に出したの?」
「えっ、そんな心配しているんですか、お姉さん?」
「どういうこと?」
「裸で泣いていたから、わたしの庇護欲を掻き立ててね、美味しく頂きました。弱っている強い男って、ゾクゾクするよね」
クスッと挑発的に笑うと、菫はアコヤを見据えた。
「リョウマは私の夫よ! 不倫の罪で訴えるわよ」
「えっ、そうだったの? じゃあ、あのカッコいいお兄さんと、お姉さんが夫婦だとしたら、隣にいる怖いお兄さんは誰? お姉さんこそ、不倫してるの?」
「っ……この人は、うちの庭師よ」
「へー。この前あなたたち2人がパーティーでいちゃいちゃしてるところ、見ちゃったんですよね、わたし」
アコヤはそれを聞くと顔を青ざめた。
その後アコヤは菫を大きな目で見つめて震えだす。
「だって、私は……人質だから。天界国に嫁いであげるんだから、ある程度好きにしたっていいでしょ」
「結婚に向き合おうとしていた誠実なリョウマ様の心はご存知でしたか?」
「誰なんだお前は! リョウマ様を知っているのか?」
イライラしたような大きな声が聞こえる。御剣がすごい剣幕で鉄格子を動かし、け破ろうとしたが、鍵がないのでびくともしなかった。
「人質で他国に嫁ぐことはとても大変だったと思います。自分の意思に反して、違う国に行くことは、文化も生活も違うでしょうし、大変でしたね」
菫の言葉に、アコヤは怪訝そうな顔をする。
「でも、リョウマ様の心はズタズタになったはずです。あなたたちがリョウマ様の家の敷地内で愛し合うことを咎めなかったのは何故だと思いますか?」
「……私に、興味がないから?」
アコヤの答えに、菫は悲しくなって思わず笑ってしまった。
「奥さんの心を少しでも軽くしたかったからよ。人質でつらい思いをしているのはリョウマ様もわかっていたから、少しでもお姉さんの心が癒されるように、あなたが好きな人と一緒にいられるように、配慮していたからよ。自分が我慢してでもね」
「リョウマ……」
アコヤは衝撃を受けたように菫の言葉を聞いていた。
「リョウマ様は、そういう人でしょ。それに彼はお手伝いさんに、いつでも暇を出せる地位にいるんですよ。でも御剣様にそれをしなかったのが証拠でしょう」
「だって、リョウマ何も言わないんだもの……私が御剣と愛しているときも、横目で見て通り過ぎるだけで……私に興味がないと思うでしょ?」
「アコヤ様……」
「私だって、リョウマと結婚できて嬉しかった。でも他国だから、不安もあったわ。御剣がついてきてくれて、不安なときに支えてくれたから……」
「そっか。わたしも不安だから、リョウマ様に慰めてもらおっと」
「やめて…リョウマはやめて。あなた綺麗なんだから、リョウマじゃなくてもいいじゃない…」
「向き合って下さい、アコヤ様。リョウマ様と話して下さい。鉱石集めが趣味だったり、満天の星を見るのが好きだったり、人界の物語を読むのが好きなことは、知っていますか? 寂しがり屋なリョウマ様を、1人にしないで差し上げて下さい」
「寂しがり屋……?」
アコヤが目に涙を溜めている。菫はそんなアコヤの目を見て頷いた。
「リョウマ様は1人で孤独を耐える人です。彼の孤独を、奥さんが感じ取って、抱きしめて下さい。抱きしめるだけで彼は強くなれるから」
アコヤが涙を流していた。そんなアコヤを見て御剣がチッと舌打ちをする。
「余計なことを吹き込むんじゃねえよ、このクズが」
「あら、本性が出ていますよ、御剣様」
「生意気な女め……」
「女性が黙ってあなたに従うとは思わない方が良いですよ」
「何言ってんだ……」
菫は御剣を見てフッと笑う。
「あなたの目的は、月読教の布教じゃない。邪神国乗っ取りでしょう」
「えっ?」
菫の言葉に、アコヤが驚いたように御剣を見た。
「サギリ様の顔を整形で変えさせ、先代女王とそっくりにさせた。医者を探し出したら証言しました」
書類をヒラヒラと御剣の前に出し、菫はニヤリと笑った。
「どうやって探し出したんだ……? わからない場所に追いやったはずなのに」
「うふふ、わたしには優秀な隠密部隊がついているの。調べてもらえばすぐにわかるのよ」
満面の笑みを浮かべた菫は、御剣に向かってウインクをする。再び御剣はチッと舌打ちをした。
「どういうこと、御剣様? 月読教の信者がたくさんお金を献上するよう、お姉ちゃんが教祖になって女王になったのよね?」
「うるさい、アコヤ! 黙ってろ!」
御剣が突然アコヤを突き飛ばした。悲鳴を上げてアコヤは地面に倒れ込む。
「乱暴なことはやめて下さい。アコヤ様、大丈夫?」
「え、ええ……」
「サギリ女王に自分との子供を産ませて、国王とサギリ女王の子として育てさせるつもりね」
菫の声に、ハッと牢屋にいる2人が息を呑んだのがわかった。
☆続く☆
部屋でうろうろしていたゼンタが、リョウマを見た途端パッと笑顔になって走り寄ってきた。
「ゼンタ、心配かけた」
「えっ、どうしたんですかリョウマさん。いつもの俺を見下したような口調はどこにいったんですか」
「ふざけるな。俺はそんなことはしていない!」
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まるで兄弟のようなやりとりに、菫はほっとため息をついた。
「ほっとしたらお腹空きましたね。ゼンタ様、リョウマ様をお願いします。リョウマ様、全然寝てないし食べていないみたいなの。とりあえず寝かせて差しあげて下さいませんか? わたしは食べ物を調達してきます」
「カルラとワタルはどこにいるのだ?」
リョウマが聞くと、ゼンタが口を開こうとしたため、菫はリョウマから見えない場所で自分の唇に人差し指を当てた。
ゼンタはそれに気付くと口を閉ざし、少し間を置いてから口を開いた。
「あの2人はまだ偵察ですよ。そうだろ、お前」
「そうですね。カルラ様も記憶喪失が治って、偵察に行っています。とりあえず2人が戻るまでゆっくりしましょ」
菫の笑顔に、リョウマは頷いた。
リョウマをベッドに寝かせると、すぐに寝落ちたように眠りについた。
部屋の隅で菫とゼンタが小さな声で話し始める。
「リョウマさん、記憶喪失の薬飲んでいないのか?」
「はい。すごい精神力ですね。最後まで飲まなかったそうです」
「それであんなに疲れ切って……拷問されたんだろうな。自慢の長い髪も短くされて」
「そうね……」
「これからどうする?」
「リョウマ様を見ていて欲しいです。わたしはもう1度教会に戻ります」
「何故だ? また御剣たちが戻ってきたら今度はお前が捕まるぞ」
「忘れ物を取りに行くだけですよ。リョウマ様を早く回復させるためにも、ゼンタ様はリョウマ様を見ていて下さい。お願いします」
「……わかった。気をつけろよ。すぐ戻るんだぞ」
「はい、ありがとうございます」
菫は再び地下牢へ戻ると、見えないところに隠れて待つことにした。
目の沢山ある化け物は、元は魔人だということをリョウマから聞くと、とても気の毒に感じてくる。しかしここでは何もできないため、ひたすら隠れて待った。
やがて上部から隠し扉が開く音が響いた。きた、と菫は構える。
「リョウマ? リョウマがいないわ、御剣様!」
「逃げたのか? どうやって……」
御剣とアコヤが走りながらリョウマのいた牢屋へと入っていく。
入ったことを確認した菫は、そっと牢屋の鍵を掛けた。それに気付いた2人だったが、鍵を閉められてしまったので、牢に閉じ込められる。
「だ、誰だ?」
「何で閉めてるの? 開けて、出してよ!」
「うふふ、飛んで火にいる夏の虫、ね」
御剣に向かってウインクをすると、御剣が憤慨したように眉を吊り上げた。
「貴様、誰なんだ! 邪神城の女中か?」
「リョウマをどうしたの? 裸だったはずよ。外に出したの?」
「えっ、そんな心配しているんですか、お姉さん?」
「どういうこと?」
「裸で泣いていたから、わたしの庇護欲を掻き立ててね、美味しく頂きました。弱っている強い男って、ゾクゾクするよね」
クスッと挑発的に笑うと、菫はアコヤを見据えた。
「リョウマは私の夫よ! 不倫の罪で訴えるわよ」
「えっ、そうだったの? じゃあ、あのカッコいいお兄さんと、お姉さんが夫婦だとしたら、隣にいる怖いお兄さんは誰? お姉さんこそ、不倫してるの?」
「っ……この人は、うちの庭師よ」
「へー。この前あなたたち2人がパーティーでいちゃいちゃしてるところ、見ちゃったんですよね、わたし」
アコヤはそれを聞くと顔を青ざめた。
その後アコヤは菫を大きな目で見つめて震えだす。
「だって、私は……人質だから。天界国に嫁いであげるんだから、ある程度好きにしたっていいでしょ」
「結婚に向き合おうとしていた誠実なリョウマ様の心はご存知でしたか?」
「誰なんだお前は! リョウマ様を知っているのか?」
イライラしたような大きな声が聞こえる。御剣がすごい剣幕で鉄格子を動かし、け破ろうとしたが、鍵がないのでびくともしなかった。
「人質で他国に嫁ぐことはとても大変だったと思います。自分の意思に反して、違う国に行くことは、文化も生活も違うでしょうし、大変でしたね」
菫の言葉に、アコヤは怪訝そうな顔をする。
「でも、リョウマ様の心はズタズタになったはずです。あなたたちがリョウマ様の家の敷地内で愛し合うことを咎めなかったのは何故だと思いますか?」
「……私に、興味がないから?」
アコヤの答えに、菫は悲しくなって思わず笑ってしまった。
「奥さんの心を少しでも軽くしたかったからよ。人質でつらい思いをしているのはリョウマ様もわかっていたから、少しでもお姉さんの心が癒されるように、あなたが好きな人と一緒にいられるように、配慮していたからよ。自分が我慢してでもね」
「リョウマ……」
アコヤは衝撃を受けたように菫の言葉を聞いていた。
「リョウマ様は、そういう人でしょ。それに彼はお手伝いさんに、いつでも暇を出せる地位にいるんですよ。でも御剣様にそれをしなかったのが証拠でしょう」
「だって、リョウマ何も言わないんだもの……私が御剣と愛しているときも、横目で見て通り過ぎるだけで……私に興味がないと思うでしょ?」
「アコヤ様……」
「私だって、リョウマと結婚できて嬉しかった。でも他国だから、不安もあったわ。御剣がついてきてくれて、不安なときに支えてくれたから……」
「そっか。わたしも不安だから、リョウマ様に慰めてもらおっと」
「やめて…リョウマはやめて。あなた綺麗なんだから、リョウマじゃなくてもいいじゃない…」
「向き合って下さい、アコヤ様。リョウマ様と話して下さい。鉱石集めが趣味だったり、満天の星を見るのが好きだったり、人界の物語を読むのが好きなことは、知っていますか? 寂しがり屋なリョウマ様を、1人にしないで差し上げて下さい」
「寂しがり屋……?」
アコヤが目に涙を溜めている。菫はそんなアコヤの目を見て頷いた。
「リョウマ様は1人で孤独を耐える人です。彼の孤独を、奥さんが感じ取って、抱きしめて下さい。抱きしめるだけで彼は強くなれるから」
アコヤが涙を流していた。そんなアコヤを見て御剣がチッと舌打ちをする。
「余計なことを吹き込むんじゃねえよ、このクズが」
「あら、本性が出ていますよ、御剣様」
「生意気な女め……」
「女性が黙ってあなたに従うとは思わない方が良いですよ」
「何言ってんだ……」
菫は御剣を見てフッと笑う。
「あなたの目的は、月読教の布教じゃない。邪神国乗っ取りでしょう」
「えっ?」
菫の言葉に、アコヤが驚いたように御剣を見た。
「サギリ様の顔を整形で変えさせ、先代女王とそっくりにさせた。医者を探し出したら証言しました」
書類をヒラヒラと御剣の前に出し、菫はニヤリと笑った。
「どうやって探し出したんだ……? わからない場所に追いやったはずなのに」
「うふふ、わたしには優秀な隠密部隊がついているの。調べてもらえばすぐにわかるのよ」
満面の笑みを浮かべた菫は、御剣に向かってウインクをする。再び御剣はチッと舌打ちをした。
「どういうこと、御剣様? 月読教の信者がたくさんお金を献上するよう、お姉ちゃんが教祖になって女王になったのよね?」
「うるさい、アコヤ! 黙ってろ!」
御剣が突然アコヤを突き飛ばした。悲鳴を上げてアコヤは地面に倒れ込む。
「乱暴なことはやめて下さい。アコヤ様、大丈夫?」
「え、ええ……」
「サギリ女王に自分との子供を産ませて、国王とサギリ女王の子として育てさせるつもりね」
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