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第4章★リョウマVS裕★
第7話☆月読様に愛を!☆
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女王が当然のように裕にエスコートされ入ってきたが、その違和感を誰も口にする者がいない。
恐らくこれが邪神国での日常なんだ、と3人は思った。
「異様だろう、国王がいるにも関わらず、護衛剣士……というか若い妙齢の男にエスコートさせるなんて」
「公式パーティーにしてはあり得ないよね~」
「国王はどこでしょう」
菫が見渡すと、会場の1番奥に玉座があり、そこに座っていた。かなり地味に映った。
恐らく50代くらいだろうか。
白髪だらけの髪をオールバックにして、クラウンをしていたが、どうしても女王と裕のインパクトが大きく、全く存在感がない。
「……何やってるの……裕……」
菫が呟くと、裕が女王の隣に立ち、女王は壇上で口を開いた。
「皆さま、今日は私の誕生日パーティーにきて下さってありがとう。皆さまに神界に住む月読様のご加護がありますように!」
カリスマ性のある魅力的な高い声だ。菫はじっと裕を見つめた。
「つくよみさまって……ゼンタも信仰してなかったか?」
「ああ……そうだったかもね」
二人の会話を聞きながら、菫は当然のように女王の隣に佇む裕を見て複雑な気分になった。
所在なげな王様の隣には、若い女性が座っていた。国王の娘、実月だろう。彼女は後ろから女王を睨みつけているようだった。
サギリ女王は後妻のため、実月とは血が繋がっていない。
その実月王女の隣に、堅物そうな表情の若い男が無表情で立っていた。
「皆さん、月読様に愛を!」
「月読様に愛を!」
女王の言うことを反芻している。
「なにこれ……宗教団体?」
「わたし、この場にいられないかも……バルコニーに出ます」
「俺も付き合う。カルラはどうする?」
「俺はもう少しここにいるよ。料理、美味しそうだし」
マイペースに舌なめずりをするカルラを置いて、菫とリョウマは外へと出た。
外の風は涼しく、火照った体の熱を取る。
リョウマはバルコニーの柵に寄りかかると、中の熱気を目を細めて眺めた。
「……こんな国だったか?」
「宗教色が濃いですね」
「いや、以前は……俺が結婚する前はここまでひどくはなかった。自分の信仰する宗教を選び、自由な信仰をしていたはずだ」
「月読様が唯一神のような勢いでしたね」
「いつからこうなった……」
宗教国家ではなかった国が、突然神を狂ったように信仰している。
「しかしお兄さん、あれほどまでの存在感とは、恐れ入った」
「立場を弁えない裕なんて、裕じゃないです」
菫が頬を膨らませて言った。珍しい表情に、リョウマは楽しそうに目を細めて菫を眺める。
「仲は良かったのか、お兄さんと?」
「あまり話したりはしないのですが、優しいところが大好きでした。弟は……生意気だから大好きって感じではないのですが……」
むしろケンカばかりしていたな、と昔を思い出して懐かしく思う。
リョウマは先程の裕を思い出し、ため息をつきながら上を向いた。満天の星空が見える。
「菫、星が綺麗だぞ」
「ああ……本当ですね」
菫はリョウマの隣に立つと、並んで空を見上げる。
「実月姫の護衛と聞きましたが、サギリ女王の間男も兼任しているのかしら」
菫が星を見ながら言うと、リョウマは心配そうに菫を見下ろした。
「まさか……そんなわけないだろう」
「でも、相当気に入られていますよね。わたしたちをパーティーに招待できて、女王のエスコートまでしているなんて」
「……天満納言になんと報告すればいいだろうか。裕のことを言わなければ不自然だ」
「……多分伝わっていると思います。天界国が邪神国へ間者を差し向けてないはずがない。だから、見たものはきちんと報告した方が良いと思います。あなたが天満納言に疑われてしまう」
リョウマはハッとして菫の横顔を見た。
「裕が倭国の王子ということは知らないでしょう。とにかくわたしたちは露出を避け、公に顔を出すときはお面を着けたりしていましたから。女王が気に入っている男がいる、くらいは報告した方が良いですね」
「菫様は……やはり合理主義ですね。俺だったら割り切れない」
菫はクスッと笑う。
「わたしのことより、リョウマ様は大丈夫なの? アコヤ様、パーティーに呼ばれているんじゃないですか?」
「……自分の妻なのに、行動を把握していないんですよ。夫失格ですよね。笑って下さい」
「あはは」
「……いや、本当に笑うとは思いませんでした」
困ったように笑うリョウマの頭を菫は撫でた。
「……また俺を犬扱いですか」
「わたし犬、好きですよ」
「……猿の方が好きなのでは?」
「猿?」
「耳の大きな、笑い方のおかしい挙動不審の猿です」
カルラは確かに耳が大きく、猿みたいなクリッとした目をしていたな、と思い返し、菫は笑った。
「人界の物語をご存じですか。桃太郎という」
ふとリョウマが菫の手を取って言う。菫は首を振った。
「いえ、知りません」
「鬼退治の物語です。桃から生まれた桃太郎が、犬、雉、猿を味方に付けて、鬼退治をして、宝を奪う話です」
「宝を奪う? 物騒ですね。鬼が可哀想なんですけど……桃太郎様は、ニンゲンなんですか?」
「いや、桃から生まれたニンゲンなど聞いたことがありません。恐らく神界の神が生み落とした神の眷属でしょう」
「月読様でしょうか」
「わかりません。俺が言いたいのは、菫様。あなたが桃太郎となって、鬼を退治にいけば良い。囚われの裕を救うため、俺とカルラを使って下さい。あなたの力になりますよ」
菫はおかしくなって思わず笑顔を見せた。
「雉は? 雉はいないの?」
「さあ……誰かいませんか、あなたの側に、信頼できる倭国の仲間でも」
菫は隠れ里にまだ行かず、天界国に潜入しているうるさい男を思い浮かべた。
「ああ、いますね、1人。ちょっとうるさいけど、空を飛べるとびきりの味方が」
「それはいい。サギリ女王から裕を取り戻し、倭国再建の足がかりにすればいい」
リョウマの力強い言葉に、菫は気持ちが前向きになるのを感じる。リョウマはいつもそうだ。彼の腹の底から出す力強い地声と、堂々とした態度に、いつも力をもらっている。
「ミラー様って、リョウマ様の恋人だったの?」
菫の問いに、リョウマは柵から腕を滑らせた。
「な、何故そう思いましたか」
「うん、リョウマ様が怒るときって、好きな人を侮辱されたときだから」
「す、鋭いですね、菫様……」
「そう? リョウマ様、ミラー様のことを想って、裕に怒りをぶつけていたから、そうかなって」
「俺はミラーだけのことに限らず結構怒りの沸点は低いと思いますが」
「嫌いな人が絡むと、すごく冷静だから、すぐわかりますよ」
「……良く見ていますね、菫様は。あのときは裕への怒りを抑えられなかったが、あれは本当に言い訳なんです。自分の弱さを認めたくなくて、風竜に味方をした裕に怒りの矛先を向けた」
「仕方ないです」
「裕はただ自分の祖父を守っていただけなのにな」
「わたしはダメだったんです、竜と仲良く出来なくて。おじいちゃんもわたしを特に可愛がってくれたということもなかったし。母と裕と弟は、すごく可愛がられていましたね。わたしは吸血王……父親似なんです。そういうところも、おじいちゃんがわたしをダメだったところじゃないかな……」
「フッ。お前を可愛く思わない奴がこの世にいるとはな」
「沢山いますよ、リョウマ様。わたしは生意気だって、本当に良く言われていました。特に王党派の大臣から」
「ああ、それは単なるひがみだろう。放っておけ」
「ふふ、リョウマ様だって、初めの頃はわたしを生意気だ、生意気だと連呼してたのに」
菫がおかしそうに笑うと、リョウマは一瞬体を硬直させた。その後菫の左頬にそっと触れ、菫をじっと見つめた。
「……俺が殴ったところ、痛みは大丈夫ですか。見た感じ治ったようですが」
「大丈夫ですよ、リョウマ様。それで、ミラー様とは、何で別れちゃったの?」
「グイグイきますね……この感じ、ダメですか」
「ダメです。甘い雰囲気になったら、リョウマ様何するかわからないんだもん」
「ククッ、そのときは『待て』とでも命令して下さい。忠犬なので、やめますよ」
「忠犬? ケルベロスの間違いかしら?」
「俺はケルベロスにはなりません」
「本当?」
「菫様……信じてくださいよ。ミラーは……騎士団を辞めるときに振られました。多分、俺のためを思って。引け目を感じないよう配慮してくれた」
リョウマは再び菫に近づくと、両肩を掴んだ。
「ミラー様の怪我の具合は大丈夫だったんですか?」
リョウマは菫を見てフッと笑うと、ゆっくりと肩に置いた手を外した。
「手を怪我して、もう剣が持てなくなったんですよ。それ以外は全然元気でやってるみたいです。五年前に騎士団を勇退して、地元の幼馴染みと結婚したそうです。可愛い息子が3歳になるそうで、幸せそうにやっていますよ」
「その、住所を教えてもらえますか。当時の赤騎士団の皆さんの名前と住所も。怪我の補償などをしたいです。家族が迷惑をかけたようなので、金銭面や生活のサポートをしたいです」
リョウマはそれを聞くとおかしそうに笑った。
「お前は本当に面白いな。そういうのは天界国でやっているので大丈夫だ」
「いえ、家族が迷惑をかけたので、お詫びに伺います。あと、リョウマ様に一番迷惑をかけましたよね。勘当されちゃったし、もしかしたら……」
菫も赤騎士団長の座をはく奪されるのでは、と懸念していた。双頭院と癒着していたリョウマの家族が没落したら、天界国騎士の地位に就いていることは出来ないだろうと予想していた。
「それなら、菫様から俺にキスをして下さいよ。そっちから抱き着いて、熱いのをお願いします。それで許しますよ」
試すようにじっと菫を見ながら、リョウマは思ったより真面目な低い声で囁いた。
☆続く☆
恐らくこれが邪神国での日常なんだ、と3人は思った。
「異様だろう、国王がいるにも関わらず、護衛剣士……というか若い妙齢の男にエスコートさせるなんて」
「公式パーティーにしてはあり得ないよね~」
「国王はどこでしょう」
菫が見渡すと、会場の1番奥に玉座があり、そこに座っていた。かなり地味に映った。
恐らく50代くらいだろうか。
白髪だらけの髪をオールバックにして、クラウンをしていたが、どうしても女王と裕のインパクトが大きく、全く存在感がない。
「……何やってるの……裕……」
菫が呟くと、裕が女王の隣に立ち、女王は壇上で口を開いた。
「皆さま、今日は私の誕生日パーティーにきて下さってありがとう。皆さまに神界に住む月読様のご加護がありますように!」
カリスマ性のある魅力的な高い声だ。菫はじっと裕を見つめた。
「つくよみさまって……ゼンタも信仰してなかったか?」
「ああ……そうだったかもね」
二人の会話を聞きながら、菫は当然のように女王の隣に佇む裕を見て複雑な気分になった。
所在なげな王様の隣には、若い女性が座っていた。国王の娘、実月だろう。彼女は後ろから女王を睨みつけているようだった。
サギリ女王は後妻のため、実月とは血が繋がっていない。
その実月王女の隣に、堅物そうな表情の若い男が無表情で立っていた。
「皆さん、月読様に愛を!」
「月読様に愛を!」
女王の言うことを反芻している。
「なにこれ……宗教団体?」
「わたし、この場にいられないかも……バルコニーに出ます」
「俺も付き合う。カルラはどうする?」
「俺はもう少しここにいるよ。料理、美味しそうだし」
マイペースに舌なめずりをするカルラを置いて、菫とリョウマは外へと出た。
外の風は涼しく、火照った体の熱を取る。
リョウマはバルコニーの柵に寄りかかると、中の熱気を目を細めて眺めた。
「……こんな国だったか?」
「宗教色が濃いですね」
「いや、以前は……俺が結婚する前はここまでひどくはなかった。自分の信仰する宗教を選び、自由な信仰をしていたはずだ」
「月読様が唯一神のような勢いでしたね」
「いつからこうなった……」
宗教国家ではなかった国が、突然神を狂ったように信仰している。
「しかしお兄さん、あれほどまでの存在感とは、恐れ入った」
「立場を弁えない裕なんて、裕じゃないです」
菫が頬を膨らませて言った。珍しい表情に、リョウマは楽しそうに目を細めて菫を眺める。
「仲は良かったのか、お兄さんと?」
「あまり話したりはしないのですが、優しいところが大好きでした。弟は……生意気だから大好きって感じではないのですが……」
むしろケンカばかりしていたな、と昔を思い出して懐かしく思う。
リョウマは先程の裕を思い出し、ため息をつきながら上を向いた。満天の星空が見える。
「菫、星が綺麗だぞ」
「ああ……本当ですね」
菫はリョウマの隣に立つと、並んで空を見上げる。
「実月姫の護衛と聞きましたが、サギリ女王の間男も兼任しているのかしら」
菫が星を見ながら言うと、リョウマは心配そうに菫を見下ろした。
「まさか……そんなわけないだろう」
「でも、相当気に入られていますよね。わたしたちをパーティーに招待できて、女王のエスコートまでしているなんて」
「……天満納言になんと報告すればいいだろうか。裕のことを言わなければ不自然だ」
「……多分伝わっていると思います。天界国が邪神国へ間者を差し向けてないはずがない。だから、見たものはきちんと報告した方が良いと思います。あなたが天満納言に疑われてしまう」
リョウマはハッとして菫の横顔を見た。
「裕が倭国の王子ということは知らないでしょう。とにかくわたしたちは露出を避け、公に顔を出すときはお面を着けたりしていましたから。女王が気に入っている男がいる、くらいは報告した方が良いですね」
「菫様は……やはり合理主義ですね。俺だったら割り切れない」
菫はクスッと笑う。
「わたしのことより、リョウマ様は大丈夫なの? アコヤ様、パーティーに呼ばれているんじゃないですか?」
「……自分の妻なのに、行動を把握していないんですよ。夫失格ですよね。笑って下さい」
「あはは」
「……いや、本当に笑うとは思いませんでした」
困ったように笑うリョウマの頭を菫は撫でた。
「……また俺を犬扱いですか」
「わたし犬、好きですよ」
「……猿の方が好きなのでは?」
「猿?」
「耳の大きな、笑い方のおかしい挙動不審の猿です」
カルラは確かに耳が大きく、猿みたいなクリッとした目をしていたな、と思い返し、菫は笑った。
「人界の物語をご存じですか。桃太郎という」
ふとリョウマが菫の手を取って言う。菫は首を振った。
「いえ、知りません」
「鬼退治の物語です。桃から生まれた桃太郎が、犬、雉、猿を味方に付けて、鬼退治をして、宝を奪う話です」
「宝を奪う? 物騒ですね。鬼が可哀想なんですけど……桃太郎様は、ニンゲンなんですか?」
「いや、桃から生まれたニンゲンなど聞いたことがありません。恐らく神界の神が生み落とした神の眷属でしょう」
「月読様でしょうか」
「わかりません。俺が言いたいのは、菫様。あなたが桃太郎となって、鬼を退治にいけば良い。囚われの裕を救うため、俺とカルラを使って下さい。あなたの力になりますよ」
菫はおかしくなって思わず笑顔を見せた。
「雉は? 雉はいないの?」
「さあ……誰かいませんか、あなたの側に、信頼できる倭国の仲間でも」
菫は隠れ里にまだ行かず、天界国に潜入しているうるさい男を思い浮かべた。
「ああ、いますね、1人。ちょっとうるさいけど、空を飛べるとびきりの味方が」
「それはいい。サギリ女王から裕を取り戻し、倭国再建の足がかりにすればいい」
リョウマの力強い言葉に、菫は気持ちが前向きになるのを感じる。リョウマはいつもそうだ。彼の腹の底から出す力強い地声と、堂々とした態度に、いつも力をもらっている。
「ミラー様って、リョウマ様の恋人だったの?」
菫の問いに、リョウマは柵から腕を滑らせた。
「な、何故そう思いましたか」
「うん、リョウマ様が怒るときって、好きな人を侮辱されたときだから」
「す、鋭いですね、菫様……」
「そう? リョウマ様、ミラー様のことを想って、裕に怒りをぶつけていたから、そうかなって」
「俺はミラーだけのことに限らず結構怒りの沸点は低いと思いますが」
「嫌いな人が絡むと、すごく冷静だから、すぐわかりますよ」
「……良く見ていますね、菫様は。あのときは裕への怒りを抑えられなかったが、あれは本当に言い訳なんです。自分の弱さを認めたくなくて、風竜に味方をした裕に怒りの矛先を向けた」
「仕方ないです」
「裕はただ自分の祖父を守っていただけなのにな」
「わたしはダメだったんです、竜と仲良く出来なくて。おじいちゃんもわたしを特に可愛がってくれたということもなかったし。母と裕と弟は、すごく可愛がられていましたね。わたしは吸血王……父親似なんです。そういうところも、おじいちゃんがわたしをダメだったところじゃないかな……」
「フッ。お前を可愛く思わない奴がこの世にいるとはな」
「沢山いますよ、リョウマ様。わたしは生意気だって、本当に良く言われていました。特に王党派の大臣から」
「ああ、それは単なるひがみだろう。放っておけ」
「ふふ、リョウマ様だって、初めの頃はわたしを生意気だ、生意気だと連呼してたのに」
菫がおかしそうに笑うと、リョウマは一瞬体を硬直させた。その後菫の左頬にそっと触れ、菫をじっと見つめた。
「……俺が殴ったところ、痛みは大丈夫ですか。見た感じ治ったようですが」
「大丈夫ですよ、リョウマ様。それで、ミラー様とは、何で別れちゃったの?」
「グイグイきますね……この感じ、ダメですか」
「ダメです。甘い雰囲気になったら、リョウマ様何するかわからないんだもん」
「ククッ、そのときは『待て』とでも命令して下さい。忠犬なので、やめますよ」
「忠犬? ケルベロスの間違いかしら?」
「俺はケルベロスにはなりません」
「本当?」
「菫様……信じてくださいよ。ミラーは……騎士団を辞めるときに振られました。多分、俺のためを思って。引け目を感じないよう配慮してくれた」
リョウマは再び菫に近づくと、両肩を掴んだ。
「ミラー様の怪我の具合は大丈夫だったんですか?」
リョウマは菫を見てフッと笑うと、ゆっくりと肩に置いた手を外した。
「手を怪我して、もう剣が持てなくなったんですよ。それ以外は全然元気でやってるみたいです。五年前に騎士団を勇退して、地元の幼馴染みと結婚したそうです。可愛い息子が3歳になるそうで、幸せそうにやっていますよ」
「その、住所を教えてもらえますか。当時の赤騎士団の皆さんの名前と住所も。怪我の補償などをしたいです。家族が迷惑をかけたようなので、金銭面や生活のサポートをしたいです」
リョウマはそれを聞くとおかしそうに笑った。
「お前は本当に面白いな。そういうのは天界国でやっているので大丈夫だ」
「いえ、家族が迷惑をかけたので、お詫びに伺います。あと、リョウマ様に一番迷惑をかけましたよね。勘当されちゃったし、もしかしたら……」
菫も赤騎士団長の座をはく奪されるのでは、と懸念していた。双頭院と癒着していたリョウマの家族が没落したら、天界国騎士の地位に就いていることは出来ないだろうと予想していた。
「それなら、菫様から俺にキスをして下さいよ。そっちから抱き着いて、熱いのをお願いします。それで許しますよ」
試すようにじっと菫を見ながら、リョウマは思ったより真面目な低い声で囁いた。
☆続く☆
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