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第3章★心を操る秘薬開発★
第2話☆死の監獄☆
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「まあいいや。とりあえず邪神国に行く前にニンゲンを掴まえに行こう。危ないからルージュはここにいろよ」
ルージュはリョウマの陰に隠れながらコウキに叫んだ。
「そんな狂人のところ、怖くて行けないわよ! 家に残るわ。選挙もあるし……」
リョウマはそれを聞くと、ルージュの頭に優しく手を置いた。
「ありがとう、ルージュ。俺の代わりに家を頼む」
「お兄様……必ず帰ってきて下さいね。今はお父様たち怒ってますけど、きっと落ち着いたらお兄様のことを頼るに決まってるんだから」
目に涙を溜めながらルージュが言った。リョウマはその言葉を聞いて苦笑しながら頷いた。
「ああ、まあそうだろうな。しばらく俺は家には帰らず、天界城にいるから。何かあったらこい。それと菫。お前は報告してきた橙騎士団と一緒に天界城へ戻れ。ここからは俺とコウキだけで行く」
リョウマの言葉に、コウキとルージュは目を丸くして驚いていた。
「え、俺が言うのもなんだけど、お前菫に夜伽の相手をさせるって張り切ってなかったか?」
リョウマは咳払いをしながら菫を押しのけるように肩を押した。
以前とは打って変わって優しい手つきだった。
「こんな女、俺が抱く価値もない。それに足手まといになるだけだ。この女は連れて行かない」
「えっ……あなたと行きたい、リョウマ様……」
思わず小さく呟いた菫の言葉はリョウマにだけ届いたようだった。
「……ダメです。行かせない」
「わたし邪神国で確かめたいことがあるんです」
「ダメです」
「なぜですか。危険だから?」
「いえ……そこは必ず赤騎士の名に誓って俺が守ります。ただ……死の監獄にはあなたの……」
「何コソコソしてるんだ、リョウマ?」
ふとコウキに言われ、ハッと会話を止める。そして深くため息をついたリョウマが腹の底から声を出した。
「知りませんからね……仕方ない。足手まといだが夜は役に立ちそうだ。行くぞ、コウキ、菫」
ルージュと別れた一行は、橙騎士団長幻術使いカルラを探しに町の外へと向かった。
「そういえばヒサメのお父さんたちが普通の暮らしを出来るようになったこと、ヒサメに報告しないとな」
コウキの言葉で思い出したが、そういえばヒサメは貧民街で育ったようだった。
「ああ……それならもう大丈夫だ。赤騎士団の使いを出したし、ヒサメの両親は薔薇仮面の女が置いていった当面の生活費で過ごしている」
「良かった。すごいな……薔薇のマダム」
コウキが心底安心したようにほっと息をつく。
「ああ。貧民街全員を救った。俺は考えつかなかった。貧民を救うなんて」
「そうだよな。でもさ、貴族のみんなは怒ってただろ。財源がごっそりなくなるわけだから」
コウキが難しそうな表情で腕を組んだ。確かに財源が消え、貴族の財源はなくなった。コウキは家族がいないため騎士の収入で十分だが、リョウマの家は貧民街から奴隷を買うように、仄暗い闇の部分があった。
「元々違法だ。魔界領域外にして法の目を逃れていただけだ。富裕層のやつらが逮捕されなかったことに感謝しろ。今までがおかしかったのだ。それを是正してくれただけだ」
リョウマの声に「ふうん」と頷いたコウキは、菫を見ながら言った。
「まあ、薔薇のマダムは臨時出張所を設けて、無料で受けられる医療や就職斡旋、学校、物流などを併設し貧民の脱却と自立支援も始めたらしい。これで貧民街は生活基盤をしっかりさせられる。これではリョウマの父さん、選挙で負けちゃうかもな」
「ああ。それでいい。俺だったら戦勝国の国民なんて普通救おうともしない……器が違う……」
最後は小さく呟いたため、コウキの耳には届かなかったようだ。
三人は、菫を真ん中にして歩いて行った。
朝早く出て、死の監獄が遠くに見えてきたのは日が傾きかけたときだった。
「菫、疲れてないか? 俺たちは騎士だから体力あるけど、足が疲れたんじゃないか?」
コウキの気遣いに、菫は笑いながら答える。
「大丈夫です。あと少しですもの、歩けます」
そうは言ったものの、ずっと歩き通していたので足が棒のようになっており、リョウマが菫の荷物を持ってくれてはいたが、そろそろ限界がきていた。
菫の速さに合わせてくれているようだったが、かなりゆっくりした歩調になっている。
「それは気付かなかった。確かに騎士の感覚でいるのはおかしい。菫、来い」
リョウマが大きな地声でそう言うと、菫を横に抱きかかえた。
「え!?」
菫とコウキが同時に声を出す。リョウマは荷物を持ちながら菫を抱きかかえ、歩くペースを速めた。
「リョウマ、本当にどうした? 下女を丁重に扱っているぞ?」
コウキが驚きながら言うと、リョウマは菫を抱く手に力を込めて言った。
「俺の持つ品格の価値観がこの女のせいで揺らいだ。それだけだ」
「えっ……」
コウキが混乱したようにリョウマを追いかけてくる。幼い頃からのリョウマの価値観は、コウキは良く知っていたため驚いてしまったのだ。
「菫様、コウキにも昨夜俺にやったことをするつもりですか?」
歩きながら小さな声でリョウマが言う。菫はリョウマを全裸にして青薔薇の刻印を探したことだとピンときた。
「はい、できれば。ただ、あなたのように従順なタイプでもなさそうなので、一緒に寝ながら確かめることも視野に入れております」
リョウマはギュっと力を込めて菫を抱き締める。
「それは嫌だな……」
ポツリと呟いたリョウマの声は菫に届かなかった。
「え? すみません、もう一度……」
「無理だ。コウキはお前を抱けない」
「それはどういう……」
「はい、着きました。お疲れ様、リョウマ。菫を返してくれ」
コウキが大きな声を出し、菫をリョウマから奪った。
こんなにあからさまに好意を剥き出しにしている男が、わたしを抱けない?
菫はリョウマの言葉を不思議に思いながら、コウキをじっと見つめた。
死の監獄、と呼ばれる場所は、どうやら何かの研究所のようだった。外観はドームのように丸くなっており、大きな敷地内だったが、どうやら地下に研究所があるようだった。
菫が観察していると、前方の冷たい監獄のような檻から一人の男が飛び出してきた。オレンジ色の騎士の鎧の上に白衣を着ていたが、汚れが目立った。豊かな髪が爆発したように上空に逆立っていた。
顔には煤のような汚れが付いていて、何かの実験に失敗したと思わせる風貌だった。
「おっ、来たかお二人さん。と……誰この美女」
男はジロジロと菫を興味深そうに眺めて、ヒュウと口笛を吹いた。眼鏡を掛けたその男は、眼鏡をかけなおして菫を観察している。猫背なのか、背を屈めているため、姿勢がかなり悪かった。
「カルラ、久しぶり。元気だったか? 相変わらず実験失敗しているんだな」
苦笑したコウキが、ハンカチを出してカルラの頬を拭いてあげていた。
「やあコウキ。相変わらず背が高いね。と……リョウマ。相変わらずの仏頂面。懐かしいね」
声の出し方が独特で、語尾が震えている。
「お前俺の凱旋パーティーも参加しなかったからな」
「ごめん。天満納言に言われてここで缶詰になりながら研究してたから。ヒヒっ」
(すごいキャラクターきたな。癖強そう……)
菫はそっと心の中で呟きながら微笑みを絶やさなかった。
☆続く☆
ルージュはリョウマの陰に隠れながらコウキに叫んだ。
「そんな狂人のところ、怖くて行けないわよ! 家に残るわ。選挙もあるし……」
リョウマはそれを聞くと、ルージュの頭に優しく手を置いた。
「ありがとう、ルージュ。俺の代わりに家を頼む」
「お兄様……必ず帰ってきて下さいね。今はお父様たち怒ってますけど、きっと落ち着いたらお兄様のことを頼るに決まってるんだから」
目に涙を溜めながらルージュが言った。リョウマはその言葉を聞いて苦笑しながら頷いた。
「ああ、まあそうだろうな。しばらく俺は家には帰らず、天界城にいるから。何かあったらこい。それと菫。お前は報告してきた橙騎士団と一緒に天界城へ戻れ。ここからは俺とコウキだけで行く」
リョウマの言葉に、コウキとルージュは目を丸くして驚いていた。
「え、俺が言うのもなんだけど、お前菫に夜伽の相手をさせるって張り切ってなかったか?」
リョウマは咳払いをしながら菫を押しのけるように肩を押した。
以前とは打って変わって優しい手つきだった。
「こんな女、俺が抱く価値もない。それに足手まといになるだけだ。この女は連れて行かない」
「えっ……あなたと行きたい、リョウマ様……」
思わず小さく呟いた菫の言葉はリョウマにだけ届いたようだった。
「……ダメです。行かせない」
「わたし邪神国で確かめたいことがあるんです」
「ダメです」
「なぜですか。危険だから?」
「いえ……そこは必ず赤騎士の名に誓って俺が守ります。ただ……死の監獄にはあなたの……」
「何コソコソしてるんだ、リョウマ?」
ふとコウキに言われ、ハッと会話を止める。そして深くため息をついたリョウマが腹の底から声を出した。
「知りませんからね……仕方ない。足手まといだが夜は役に立ちそうだ。行くぞ、コウキ、菫」
ルージュと別れた一行は、橙騎士団長幻術使いカルラを探しに町の外へと向かった。
「そういえばヒサメのお父さんたちが普通の暮らしを出来るようになったこと、ヒサメに報告しないとな」
コウキの言葉で思い出したが、そういえばヒサメは貧民街で育ったようだった。
「ああ……それならもう大丈夫だ。赤騎士団の使いを出したし、ヒサメの両親は薔薇仮面の女が置いていった当面の生活費で過ごしている」
「良かった。すごいな……薔薇のマダム」
コウキが心底安心したようにほっと息をつく。
「ああ。貧民街全員を救った。俺は考えつかなかった。貧民を救うなんて」
「そうだよな。でもさ、貴族のみんなは怒ってただろ。財源がごっそりなくなるわけだから」
コウキが難しそうな表情で腕を組んだ。確かに財源が消え、貴族の財源はなくなった。コウキは家族がいないため騎士の収入で十分だが、リョウマの家は貧民街から奴隷を買うように、仄暗い闇の部分があった。
「元々違法だ。魔界領域外にして法の目を逃れていただけだ。富裕層のやつらが逮捕されなかったことに感謝しろ。今までがおかしかったのだ。それを是正してくれただけだ」
リョウマの声に「ふうん」と頷いたコウキは、菫を見ながら言った。
「まあ、薔薇のマダムは臨時出張所を設けて、無料で受けられる医療や就職斡旋、学校、物流などを併設し貧民の脱却と自立支援も始めたらしい。これで貧民街は生活基盤をしっかりさせられる。これではリョウマの父さん、選挙で負けちゃうかもな」
「ああ。それでいい。俺だったら戦勝国の国民なんて普通救おうともしない……器が違う……」
最後は小さく呟いたため、コウキの耳には届かなかったようだ。
三人は、菫を真ん中にして歩いて行った。
朝早く出て、死の監獄が遠くに見えてきたのは日が傾きかけたときだった。
「菫、疲れてないか? 俺たちは騎士だから体力あるけど、足が疲れたんじゃないか?」
コウキの気遣いに、菫は笑いながら答える。
「大丈夫です。あと少しですもの、歩けます」
そうは言ったものの、ずっと歩き通していたので足が棒のようになっており、リョウマが菫の荷物を持ってくれてはいたが、そろそろ限界がきていた。
菫の速さに合わせてくれているようだったが、かなりゆっくりした歩調になっている。
「それは気付かなかった。確かに騎士の感覚でいるのはおかしい。菫、来い」
リョウマが大きな地声でそう言うと、菫を横に抱きかかえた。
「え!?」
菫とコウキが同時に声を出す。リョウマは荷物を持ちながら菫を抱きかかえ、歩くペースを速めた。
「リョウマ、本当にどうした? 下女を丁重に扱っているぞ?」
コウキが驚きながら言うと、リョウマは菫を抱く手に力を込めて言った。
「俺の持つ品格の価値観がこの女のせいで揺らいだ。それだけだ」
「えっ……」
コウキが混乱したようにリョウマを追いかけてくる。幼い頃からのリョウマの価値観は、コウキは良く知っていたため驚いてしまったのだ。
「菫様、コウキにも昨夜俺にやったことをするつもりですか?」
歩きながら小さな声でリョウマが言う。菫はリョウマを全裸にして青薔薇の刻印を探したことだとピンときた。
「はい、できれば。ただ、あなたのように従順なタイプでもなさそうなので、一緒に寝ながら確かめることも視野に入れております」
リョウマはギュっと力を込めて菫を抱き締める。
「それは嫌だな……」
ポツリと呟いたリョウマの声は菫に届かなかった。
「え? すみません、もう一度……」
「無理だ。コウキはお前を抱けない」
「それはどういう……」
「はい、着きました。お疲れ様、リョウマ。菫を返してくれ」
コウキが大きな声を出し、菫をリョウマから奪った。
こんなにあからさまに好意を剥き出しにしている男が、わたしを抱けない?
菫はリョウマの言葉を不思議に思いながら、コウキをじっと見つめた。
死の監獄、と呼ばれる場所は、どうやら何かの研究所のようだった。外観はドームのように丸くなっており、大きな敷地内だったが、どうやら地下に研究所があるようだった。
菫が観察していると、前方の冷たい監獄のような檻から一人の男が飛び出してきた。オレンジ色の騎士の鎧の上に白衣を着ていたが、汚れが目立った。豊かな髪が爆発したように上空に逆立っていた。
顔には煤のような汚れが付いていて、何かの実験に失敗したと思わせる風貌だった。
「おっ、来たかお二人さん。と……誰この美女」
男はジロジロと菫を興味深そうに眺めて、ヒュウと口笛を吹いた。眼鏡を掛けたその男は、眼鏡をかけなおして菫を観察している。猫背なのか、背を屈めているため、姿勢がかなり悪かった。
「カルラ、久しぶり。元気だったか? 相変わらず実験失敗しているんだな」
苦笑したコウキが、ハンカチを出してカルラの頬を拭いてあげていた。
「やあコウキ。相変わらず背が高いね。と……リョウマ。相変わらずの仏頂面。懐かしいね」
声の出し方が独特で、語尾が震えている。
「お前俺の凱旋パーティーも参加しなかったからな」
「ごめん。天満納言に言われてここで缶詰になりながら研究してたから。ヒヒっ」
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