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第3章★閑話★

2☆二重人格VSケルベロス☆

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カルラ「菫……お金置いて出て行っちゃった……大丈夫かな……」 

リョウマ「フン! 子供ではないのだ、放っておけ!」

カルラ「あれ、コウキだ。外から手、振ってる」

リョウマ「は? なんでこんな辺境の地にいるんだ、あいつ」

コウキ「おっ、いたいた! 男2人で喫茶店? 寂しいね!」

リョウマ「うるさい。あっちへ行け!」

コウキ「ははは、まあ怒るなって。今菫が来てくれてさ、俺と一緒にデートしながら帰るから、2人は心配するなって伝言」

リョウマ「は? は?」

コウキ「いやあ、お前たち振られたな! じゃ、そういうことで。菫は俺が丁重にエスコートして、無事天界城に送り届けますので。心配するなよ」

リョウマ「おい待て! なぜコウキが菫と一緒にいる? ふざけているのか」

コウキ「フッ、まさか。菫はリョウマに対してガッカリしてた。でも大丈夫大丈夫、俺が慰めるからさ」

リョウマ「は? 俺は菫にガッカリなんだが? なぜ勝手にコウキの元に行っている?」

カルラ(多分人妻にキスされても抵抗しなかったからじゃないかな~なんて冗談言える雰囲気じゃないなこれ。俺が殺されそう……黙ってよ。触らぬ神に祟りなしっと……)

コウキ「菫、俺を頼ってくれて嬉しいよ! めちゃくちゃ可愛くて。抱きしめてくれて俺に感謝のキスしてくれてさ。あんなの好きになっちゃうよな」

リョウマ「あいつ、また誰彼構わずそんなことを……!」

カルラ(多分ミラーリョウマと違って唇じゃなくて頬か額だと思うけどな~……)

コウキ「……真面目な話、昔から天真爛漫に振る舞うからな、菫って。笑顔の仮面で本心を隠してる。あまりいじめてやるなよ、リョウマ。優しいからひとりで心を痛めて、それでも笑っているような子だぞ」

リョウマ「は? お前に言われなくてもわかっているのだが?」

コウキ「そう? あと俺、そんなに誠実じゃないからさ。弱っていたらそこにつけ込むからな。菫のことは任せてよ。カルラ、悪いけどリョウマを頼むな。じゃ」

カルラ「うん~」

カルラ(煽るな~コウキ。怖すぎてリョウマの方見られないんだけど……)

リョウマ「あの野郎……俺の機嫌を損ねにきたわけか?」

カルラ「まあ菫のことは今のところコウキに任せようよ。1人より安心だろ」

リョウマ「ふー。確かに、ミラーを侮辱するような菫様など、心配する必要はないな! ミラーは託卵するような女ではないからな!」

カルラ「……リョウマはそうかもしれないけどさ、菫や俺から見たらミラーのことは良く知らないから。ミラーは一矢のことを、リョウマの子だと言い張っているわけだろ。それで未だに剣矢と婚姻関係を続けているなら、それはもう託卵じゃん」

リョウマ「クッ……まだ剣矢の子の可能性だってある」

カルラ「菫はきっと、リョウマにつらい思いをさせたくなくて託卵のことを言ったんだと思うよ」

リョウマ「だからと言って失礼なことを言って良い理由にはならん!」

カルラ「あの菫が証拠もなしに女はどうとでも言えるなんて言うと思うか?」

リョウマ「は……?」

カルラ「多分証拠を集めたぞ。当該の髪の毛か唾液か……なんらかの細胞を採取して親子関係を調べた上での発言だと思う。リョウマは、一矢の父親疑惑が出たあとで、菫に密着されたりしなかった?」

リョウマ「……」

カルラ「思い出せ~思い出せ~」

リョウマ「うるさい黙れカルラ!」

カルラ「ハイ……スミマセン……」

リョウマ「……天満納言からかばって俺が菫を抱き寄せたことはある」

カルラ「紫苑の塔だな? なら剣矢もいただろ? 菫、剣矢にも密着しなかった?」

リョウマ「……して、いた……」

カルラ「一矢とは普通に接していたし、とりあえず3人の髪の毛を採るチャンスはあったわけだ……」

リョウマ「しかし髪を採るチャンスはあっても、調べる技術や時間がないだろう」

カルラ「ヒヒヒっ、菫には忠犬ワン公が付いてるだろ~」

リョウマ(忍者野郎か……)

リョウマ「……そういえばセージもあのとき菫に命令されて、紫苑の塔の入口で騒ぎを起こしていた。採取した髪の毛を渡す時間はあったわけか」

カルラ「そう」

リョウマ「しかし調べる技術など倭国にはないだろう……?」

カルラ「異界転移してきた天才が倭国にいるじゃん」

リョウマ「ローゼンバッハか!」

カルラ「そう、ローゼンバッハ博士に調べてもらったぞ~きっと」

リョウマ「……まさかそんな」

カルラ「菫のことだ。持ち前の人たらしで、ニンゲンの1人や2人や3人は懐柔済みだろ」

リョウマ(全て想像できるな……)

カルラ「親子関係をこっそり調べたんだよ。そしてリョウマと一矢に血縁関係がないことを証明していた……その上での、あの発言だったんじゃないか?」

リョウマ「俺の同意もないのに調べたのか?」

カルラ「だから黙っているんだろ。いざというときのために調べておいて、リョウマを救うための切り札としてカードを見せる。菫が使いそうな手だ」

リョウマ「……なぜ俺に黙っている必要がある?」

カルラ「ミラーがまだリョウマを忘れられないようだから、ミラーのことも考えて言わないんじゃないかな」

リョウマ「は?」

カルラ「裕と風竜のせいでリョウマとミラーは別れたんだろ? 自分の身内のせいで引き裂いてしまったと、菫は罪悪感を抱えているだろうな」

リョウマ「は? 菫のせいではないのだが?」

カルラ「身内のせい=自分のせいと考えて心痛める人だろ、菫は。リョウマとミラーが再び恋人になるなら、リョウマとミラーの幸せを考えて鑑定結果を言わないつもりだろ」

リョウマ「クソッ。菫様を追いかける!」

カルラ「えっ、今から?」

リョウマ「あの変態から取り戻す!」

☆☆☆☆☆

カルラ「ひぃ~、速いよリョウマ~。やっと追いついた……菫は?」

リョウマ「……あそこだ。公園のベンチに座って呑気にコウキに笑いかけている」

カルラ「あ~ほんとだ」

リョウマ「どうやら緑騎士団が撤収作業でこのマダラメ領に来ていたらしいな」

カルラ「休日出勤か~。緑騎士団お疲れ様だな~」

リョウマ「……菫、ずいぶん楽しそうだな」

カルラ「天気良いし、気候穏やかだし、お互い人当たり良いし。単純に相性良いんじゃないの」

リョウマ「……騙されている、コウキに! ヤツは八方美人なだけだ!」

カルラ「ほら、ケラケラ笑ってる~。お似合いだよ、見た目も。コウキ背が高くて優しい顔してるし、見た目バランス取れてるんだよな~」

リョウマ「カルラうるさい。黙れ」

カルラ「ぎゃっ! い、痛いんですけど……」

リョウマ「立ち上がったぞ。追いかける!」

カルラ(なんで尾行じみたことしてんだろ……忍者みたい……)

リョウマ「は? は? 観覧車に乗り込んだんだが?」

カルラ「乗り込んだね」

リョウマ「は? もう1周するらしいが?」

カルラ「もう1周するね」

リョウマ「は? ホテルに連れ込んでいるんだが!?」

カルラ「菫がね」

リョウマ「……菫に真実を聞きに行く」

カルラ「えっ! ホテルに!? コウキもいるけど……」

リョウマ「コウキが菫を襲ったら洒落にならんだろう!」

カルラ(襲うとしたら屍体愛好癖のコウキじゃなくて菫の方だろ……なんて言えない……リョウマに殺される……)

カルラ「れ、冷静にな……」

リョウマ「行こうカルラ! 決戦の地へ!」

カルラ「ラスボス倒しに行く勇者一行みたいに言うなよ~……」

☆終わり☆
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