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第2章★新・白騎士団長審査会開始!★
第6話☆魔物退治!☆
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次の日は魔物退治だった。
女中には魔物退治の審査はさすがに無理だろうと、リョウマたちの猛抗議を受け、天満納言も少し考えたようだった。
そのため、森の入口から1番近い場所に菫が配置されることになった。
「魔物の森に潜む魔物を殺し、証拠として頭部を持って帰ること。期限は日没までだ。騎士団長たちは候補者が、強い魔物を倒せなかったときのため、討伐者として随所にいる。では開始!」
魔物の森は薄暗く、足元も大きな石や岩がゴロゴロしていた。
菫は森からすぐ出口で、魔物も弱く臆病な物しかいないからと天満納言から教えられた。
このあたりの魔物を倒す者は腕に自信がない候補者だけらしい。
それでも何の素質もなく、能力もない菫としては少し不安だった。何かあれば入口に待機している天満納言が助けに来てくれるそうだが少し怖かった。
ふとコロン、と何かが足元に転がってきて、その後すぐに甘い香りが周囲に立ち込めた。
何だろうと思っていると、後ろからグルグルと喉を鳴らす獣の声が響く。
声の方を見ると、菫よりも5倍は大きな鳥のような魔物が、菫を見て目の色を変えていた。餌だと思っているのだろう。
菫は静かに後ずさりをして入口の方へジリジリと向かう。
しかしそれに反応した大きな鳥は、菫に向かって飛び、鋭いくちばしを開けて襲いかかってきた。
「わっ!」
菫は急いで背中を向け、入口に向かって走り出した。
あんなに大きな魔物、こんな入口まで来るものだろうか、と考えながら走る。
魔物の雄叫びが近くで響く。捕まると思った瞬間、菫の体が何かに引っ張られ、勢い良く宙に舞った。
「えっ?」
視界が逆転し、高く飛んでいる。近くでは紙の音がパタパタと聞こえ、下を見ると鳥の魔物が菫を見上げて雄叫びを上げているのが小さく見えた。
高所恐怖症だということを言っていられない状況だが、思わず目を瞑る。
菫を助けてくれたのは2体の紙人形だ。
紙人形は菫の体に絡まりながら大切に抱え、空を舞い、やがて湖の側に降りた。
「菫……!」
カルラがグッタリと荒く息をはき、ふらふらになりながら菫の元に走って来て、倒れ込むように抱きしめた。
「大……丈夫?」
「カルラ様!」
菫も思わずカルラの背中に手を回し、強く抱きしめる。カルラが紙人形を飛ばして助けてくれたのだ。
「ケガは? 痛いところはないか?」
カルラが菫の頬に優しく手を当ててケガがないか確かめた。
「大丈夫カルラ様……ありがとう」
カルラは心底ホッとしたように力を抜いた。
「情けね~……もっとカッコよく……助けたかった……陰陽術、俺……弱すぎて……」
肩を大きく動かして呼吸をしていたカルラが、フッと気を失って菫の肩に倒れ込んだ。
「カルラ様!」
湖の側に倒れ込んだカルラに、菫は自分のローブを脱いでカルラにかける。
ふと一瞬ピクッと動いたカルラが呟く。
「……太一なら……もっと迅速に……助けられる……」
その後気を失ったカルラの頭を膝枕をし、ジッとカルラを見つめた。
お互いコンプレックスがありそうだ。
入口にいる鳥の魔物の雄叫びがまだ聞こえる。誰かが討伐しに行っているだろうか。
5分くらい経っただろうか、カルラがゆっくりと目を覚ました。
「……あれ……夢……?」
「うん、夢です。これは夢よ、カルラ様」
「うん……だよな……都合のいい夢だ……」
まだ夢うつつなのだろう。菫はカルラの眼鏡を外して、隣に置いていたため、裸眼のカルラを久しぶりに見た。
「カルラ様、いつも助けて下さってありがとう……わたし、カルラ様のこと愛しているわ」
「……うん」
「太一様はこの状況を知らないから、あなたより迅速に助けられないです。カルラ様がいつもわたしを気にして下さっているから、わたしをすぐに見つけて、あの魔物から救い出してくれたの」
カルラはまた気を失ったのか、静かになった。このまま置いていくわけにもいかず、周りを見渡してみると、リョウマが入口方面に必死の形相で走っているのが見えた。
「リョウマ様!」
「菫!」
リョウマは菫を確認すると、勢い良くこちらに走ってきて菫を抱きしめた。
「良かった、無事だったのか……入口方面でランクAの魔物の声が聞こえてきて……菫の持ち場だったと思い……慌てて……」
心底安堵したようにリョウマが体重を菫にかけてくる。
「カルラ様が陰陽術で助けて下さったの」
「そうか……」
気を失っているカルラを見つけ、リョウマは無事を確認するとホッと息をつく。
「さすがだ、カルラ……」
「リョウマ様、ランクAの魔物って?」
「ああ……天界国は、魔物が出たらまず偵察班が名と強さランクを付ける。あの鳥の魔物……ヒスイ始祖鳥はAランクなんだ。そこそこ強い」
「そうなのですか」
「しかし何故Aランクの魔物が入口付近にいるのだろうか。普通は俺が担当している最深部にいるような魔物なのだが。入口にいるのはせいぜいランクJやKくらいなのに……」
リョウマは気を失っているカルラを心配そうに眺めながら言った。
「わたしを狙ってきたかもしれません。あの魔物が来る前に、甘い香りがしました」
「……何故菫が狙われる? 誰に狙われるのだ」
「倭国絡みでしょうか……それか……」
剣矢の不倫のことを調べるなという警告かもしれない……
ミラー絡みの事件なので、リョウマには言いづらかった。
「菫様、俺は一応ヒスイ始祖鳥の方へ行きます。菫様はカルラが起きるまで安全なところにいて下さい」
リョウマの声に菫は頷くと、リョウマは風のような速さで入口へと走って行った。
それから少し経ち、候補者たちの戦う声が聞こえてきた。森で魔物を討伐しているのだろう。
「よっしゃ、討伐した! 入口に戻ろう」
「俺も倒した……小さい魔物だけど、大丈夫かな……」
菫は声のする方を眺めていると、後ろからポンと肩を叩かれて飛び上がるほど驚いた。
「あはは、そんなに驚かなくても」
人懐っこく笑っていたのは、小さな獲物を抱えた狂法師だった。
「狂法師様! びっくりしました……」
「菫さんこそ、どうしたんですか、こんなところに座り込んで。あれ、その男の人は……?」
狂法師はカルラを見下ろして首を傾げた。菫はカルラから離れると笑顔を見せる。
「橙騎士団長様です。わたしが魔物に襲われているところを助けて下さったの」
「そうなんですか……菫さんは大丈夫でしたか?」
心配そうに覗き込んでくる狂法師に、菫は笑顔を見せる。
「はい、わたしはケガもなく、平気です。橙騎士団長様が目を覚ましたら、入口に向かいます。でも今入口には強い魔物がいるようなので、少し経ってから向かった方が良いですよ。赤騎士団長様が討伐を終えてから……」
狂法師は大きなどんぐり眼をさらに大きくした。
「そうでしたか。大変でしたね……強い魔物なんて、騎士団長くらいしか倒せないかもしれませんね。僕なんてすぐ突かれて死んでしまいそうです。せいぜいこの小さな魔物くらいです、倒せるのは」
狂法師が小さな白い魔物を持ち上げて菫に見せた。
「赤騎士団長様はまた特別かもしれません。彼、とても強いから」
「はい、先日の筆記試験のとき、僕の試験官でした。地の声が大きく、教室がピリピリした雰囲気でしたよ。僕も緊張しました」
2人は顔を見合わせて笑う。
「橙騎士団長様は大丈夫でしょうか?」
「そうですね……もう15分くらい眠っているでしょうか……無理に起こすのも……と思って」
「僕、入口まで背負って運びましょうか? 割と背、あるんで。橙騎士団長も背、高そうだけど僕より小さいからいけそうですよ」
菫は笑いながら首を振った。
「ありがとう、でも大丈夫ですよ。試験中ですし、ご迷惑になっちゃう。狂法師様は自分のことをなさって下さい」
狂法師もそれを聞いてニコッと笑った。
「橙騎士団長も心配だけど、菫さんのことを心配しているんですよ、僕は」
え、と思った瞬間、獲物を地面に置いた狂法師に、菫は突然抱きしめられた。
☆続く☆
女中には魔物退治の審査はさすがに無理だろうと、リョウマたちの猛抗議を受け、天満納言も少し考えたようだった。
そのため、森の入口から1番近い場所に菫が配置されることになった。
「魔物の森に潜む魔物を殺し、証拠として頭部を持って帰ること。期限は日没までだ。騎士団長たちは候補者が、強い魔物を倒せなかったときのため、討伐者として随所にいる。では開始!」
魔物の森は薄暗く、足元も大きな石や岩がゴロゴロしていた。
菫は森からすぐ出口で、魔物も弱く臆病な物しかいないからと天満納言から教えられた。
このあたりの魔物を倒す者は腕に自信がない候補者だけらしい。
それでも何の素質もなく、能力もない菫としては少し不安だった。何かあれば入口に待機している天満納言が助けに来てくれるそうだが少し怖かった。
ふとコロン、と何かが足元に転がってきて、その後すぐに甘い香りが周囲に立ち込めた。
何だろうと思っていると、後ろからグルグルと喉を鳴らす獣の声が響く。
声の方を見ると、菫よりも5倍は大きな鳥のような魔物が、菫を見て目の色を変えていた。餌だと思っているのだろう。
菫は静かに後ずさりをして入口の方へジリジリと向かう。
しかしそれに反応した大きな鳥は、菫に向かって飛び、鋭いくちばしを開けて襲いかかってきた。
「わっ!」
菫は急いで背中を向け、入口に向かって走り出した。
あんなに大きな魔物、こんな入口まで来るものだろうか、と考えながら走る。
魔物の雄叫びが近くで響く。捕まると思った瞬間、菫の体が何かに引っ張られ、勢い良く宙に舞った。
「えっ?」
視界が逆転し、高く飛んでいる。近くでは紙の音がパタパタと聞こえ、下を見ると鳥の魔物が菫を見上げて雄叫びを上げているのが小さく見えた。
高所恐怖症だということを言っていられない状況だが、思わず目を瞑る。
菫を助けてくれたのは2体の紙人形だ。
紙人形は菫の体に絡まりながら大切に抱え、空を舞い、やがて湖の側に降りた。
「菫……!」
カルラがグッタリと荒く息をはき、ふらふらになりながら菫の元に走って来て、倒れ込むように抱きしめた。
「大……丈夫?」
「カルラ様!」
菫も思わずカルラの背中に手を回し、強く抱きしめる。カルラが紙人形を飛ばして助けてくれたのだ。
「ケガは? 痛いところはないか?」
カルラが菫の頬に優しく手を当ててケガがないか確かめた。
「大丈夫カルラ様……ありがとう」
カルラは心底ホッとしたように力を抜いた。
「情けね~……もっとカッコよく……助けたかった……陰陽術、俺……弱すぎて……」
肩を大きく動かして呼吸をしていたカルラが、フッと気を失って菫の肩に倒れ込んだ。
「カルラ様!」
湖の側に倒れ込んだカルラに、菫は自分のローブを脱いでカルラにかける。
ふと一瞬ピクッと動いたカルラが呟く。
「……太一なら……もっと迅速に……助けられる……」
その後気を失ったカルラの頭を膝枕をし、ジッとカルラを見つめた。
お互いコンプレックスがありそうだ。
入口にいる鳥の魔物の雄叫びがまだ聞こえる。誰かが討伐しに行っているだろうか。
5分くらい経っただろうか、カルラがゆっくりと目を覚ました。
「……あれ……夢……?」
「うん、夢です。これは夢よ、カルラ様」
「うん……だよな……都合のいい夢だ……」
まだ夢うつつなのだろう。菫はカルラの眼鏡を外して、隣に置いていたため、裸眼のカルラを久しぶりに見た。
「カルラ様、いつも助けて下さってありがとう……わたし、カルラ様のこと愛しているわ」
「……うん」
「太一様はこの状況を知らないから、あなたより迅速に助けられないです。カルラ様がいつもわたしを気にして下さっているから、わたしをすぐに見つけて、あの魔物から救い出してくれたの」
カルラはまた気を失ったのか、静かになった。このまま置いていくわけにもいかず、周りを見渡してみると、リョウマが入口方面に必死の形相で走っているのが見えた。
「リョウマ様!」
「菫!」
リョウマは菫を確認すると、勢い良くこちらに走ってきて菫を抱きしめた。
「良かった、無事だったのか……入口方面でランクAの魔物の声が聞こえてきて……菫の持ち場だったと思い……慌てて……」
心底安堵したようにリョウマが体重を菫にかけてくる。
「カルラ様が陰陽術で助けて下さったの」
「そうか……」
気を失っているカルラを見つけ、リョウマは無事を確認するとホッと息をつく。
「さすがだ、カルラ……」
「リョウマ様、ランクAの魔物って?」
「ああ……天界国は、魔物が出たらまず偵察班が名と強さランクを付ける。あの鳥の魔物……ヒスイ始祖鳥はAランクなんだ。そこそこ強い」
「そうなのですか」
「しかし何故Aランクの魔物が入口付近にいるのだろうか。普通は俺が担当している最深部にいるような魔物なのだが。入口にいるのはせいぜいランクJやKくらいなのに……」
リョウマは気を失っているカルラを心配そうに眺めながら言った。
「わたしを狙ってきたかもしれません。あの魔物が来る前に、甘い香りがしました」
「……何故菫が狙われる? 誰に狙われるのだ」
「倭国絡みでしょうか……それか……」
剣矢の不倫のことを調べるなという警告かもしれない……
ミラー絡みの事件なので、リョウマには言いづらかった。
「菫様、俺は一応ヒスイ始祖鳥の方へ行きます。菫様はカルラが起きるまで安全なところにいて下さい」
リョウマの声に菫は頷くと、リョウマは風のような速さで入口へと走って行った。
それから少し経ち、候補者たちの戦う声が聞こえてきた。森で魔物を討伐しているのだろう。
「よっしゃ、討伐した! 入口に戻ろう」
「俺も倒した……小さい魔物だけど、大丈夫かな……」
菫は声のする方を眺めていると、後ろからポンと肩を叩かれて飛び上がるほど驚いた。
「あはは、そんなに驚かなくても」
人懐っこく笑っていたのは、小さな獲物を抱えた狂法師だった。
「狂法師様! びっくりしました……」
「菫さんこそ、どうしたんですか、こんなところに座り込んで。あれ、その男の人は……?」
狂法師はカルラを見下ろして首を傾げた。菫はカルラから離れると笑顔を見せる。
「橙騎士団長様です。わたしが魔物に襲われているところを助けて下さったの」
「そうなんですか……菫さんは大丈夫でしたか?」
心配そうに覗き込んでくる狂法師に、菫は笑顔を見せる。
「はい、わたしはケガもなく、平気です。橙騎士団長様が目を覚ましたら、入口に向かいます。でも今入口には強い魔物がいるようなので、少し経ってから向かった方が良いですよ。赤騎士団長様が討伐を終えてから……」
狂法師は大きなどんぐり眼をさらに大きくした。
「そうでしたか。大変でしたね……強い魔物なんて、騎士団長くらいしか倒せないかもしれませんね。僕なんてすぐ突かれて死んでしまいそうです。せいぜいこの小さな魔物くらいです、倒せるのは」
狂法師が小さな白い魔物を持ち上げて菫に見せた。
「赤騎士団長様はまた特別かもしれません。彼、とても強いから」
「はい、先日の筆記試験のとき、僕の試験官でした。地の声が大きく、教室がピリピリした雰囲気でしたよ。僕も緊張しました」
2人は顔を見合わせて笑う。
「橙騎士団長様は大丈夫でしょうか?」
「そうですね……もう15分くらい眠っているでしょうか……無理に起こすのも……と思って」
「僕、入口まで背負って運びましょうか? 割と背、あるんで。橙騎士団長も背、高そうだけど僕より小さいからいけそうですよ」
菫は笑いながら首を振った。
「ありがとう、でも大丈夫ですよ。試験中ですし、ご迷惑になっちゃう。狂法師様は自分のことをなさって下さい」
狂法師もそれを聞いてニコッと笑った。
「橙騎士団長も心配だけど、菫さんのことを心配しているんですよ、僕は」
え、と思った瞬間、獲物を地面に置いた狂法師に、菫は突然抱きしめられた。
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