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第2章★閑話★

2☆ルウ王子の闇市(菫媚薬編1)☆

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リョウマ「菫様、ルウ王子見ませんでしたか!」

菫「いえ……何かあったのですか?」

リョウマ「あのろくでなし王子、闇市から媚薬を仕入れて、城内でいたずらしまわっているんです! 菫様も飲み物はしばらく飲まず、自室で自分が作った飲み物だけ飲んで下さい!」

菫「はい」

菫(大変だな、騎士団長は……王族のおもりで……)

リョウマ「……その、菫様。今日も綺麗です。まとめ上げた豊かな髪が薔薇の花びらのように美しい。あとで、一輪の薔薇をあなたの部屋に届けに行きます」

菫「リョウマ様……媚薬飲まされたの?」

リョウマ「飲んでいませんよ! 俺はあなたにしかこんなこと言いません! では、またあとで!」

菫「お気をつけて」


***


リョウマ「菫様、失礼します」

菫「リョウマ様! 媚薬の件は大丈夫でしたか?」

リョウマ「ああ、ようやく城内に仕掛けられた媚薬を全て回収し、ルウ王子が天満納言に厳重注意をされたところで、騎士団長が解散となった」

菫「お疲れさま……大変でしたね、こんな時間まで」

リョウマ「ようやく菫に薔薇の花を渡すことができる。受け取って下さい、俺の女神」

菫「ありがとう……綺麗……」

リョウマ「あなたの美しさには負けますがね」

菫「甘い香り……生けますね。リョウマ様に頂いたお花、毎日飾っているのよ」

リョウマ「嬉しいです」

菫「座って下さい、疲れたでしょう」

リョウマ「ああ。ありがとう」

菫「はい、今お茶を淹れますね」

リョウマ「お茶か……ルウ王子の破天荒ぶりは目に余ります。来客のお茶に媚薬を入れ、大変なことになったり……」

菫「えっ、どうなったの?」

リョウマ「今日国王護衛をしていたコウキに惚れ込んで、コウキが逃げ回り、来客女性が追いかけ、大変でした」

菫「わあ……」

リョウマ「初めて聞いた者はみんな菫のような声をあげる」

菫「国王からルウ王子に注意してもらえないの?」

リョウマ「国王は自分の子供に甘いからな」

菫「そうなの……うちとは違うのね……」

リョウマ「厳しかったのか、吸血王は?」

菫「まあ……そうですね……」

リョウマ「……しかし、自分の子は大切にしていただろう。敵国騎士に子の幸せを願うような国王だ」

菫「……リョウマ様、それよりわたしマッサージして差し上げますよ。疲れたときはマッサージ。ベッドに横になって下さい」

リョウマ「! なに、言ってるんだ。ダメだ。男をむやみに自分のベッドに誘うなど、軽率だぞ」

菫「あら、むやみじゃないわ。リョウマ様だからですよ」

リョウマ「!」

菫「だいたいわたしの部屋にくるの、リョウマ様くらいしかいないし」

リョウマ「え……」

菫(ワタルは除外)

菫「ね、お願い」

リョウマ「だ、抱きつくな。俺は女神に忠誠を誓ってから紫苑の塔には通っていない」

菫「?」

リョウマ「そんな中で女神に抱きつかれたら……わかるだろう?」

菫「え……」

リョウマ「俺をその辺にいる大多数の男に成り下がらせないでくれ。俺はもうあなたを傷つけない。護るために存在している」

菫「カッコいい……ストイック……」

リョウマ「菫様、聞いていましたか? 抱きつくな……」

菫「だって、素敵なんだもん……」

リョウマ「わかったから離れろ……」

菫「いや。あなたに抱かれるの」

リョウマ「……ん?」

菫「マッサージもしたいの。リョウマ様の裸が忘れられないの」

リョウマ「……カルラが泣きますよ」

菫「復讐されたとき以外抱かれてないもん」

菫(実月姫の部屋はカルラ様に意志はなかったしね……)

リョウマ「それは……菫を大切に思っているからだ」

菫「実月姫みたいなふわふわした女性が好みなんだもん。実月姫のことは大事にしてたもん」

リョウマ「……菫?」

菫「あなたが女神に忠誠を誓うなら、とんだ思い違いよ。あなたの目の前にいるのは崇高な存在じゃないわ。ただの何もできない魔女よ」

リョウマ「……目が、とろんとしているぞ……」

菫「リョウマ様、魅力的だから。ね、マッサージ」

リョウマ「……菫、今日は部屋でしか飲み物を飲んでいないな?」

菫「もちろんです」

リョウマ「菫、今気分はどうだ? ふわふわしていないか?」

菫「なによ、リョウマ様までふわふわふわふわって。そんなにみんな実月姫がいいのね」

リョウマ「待て、何の話だ……」

菫「リョウマ様はダメ」

リョウマ「お、おい……押し倒すな!」

菫「……わたしの可愛いワンちゃん……」

リョウマ「……俺は菫だけのものだ。どこにも行かない」

菫「じゃあ抱いて下さい」

リョウマ(……どこで飲んだ?)

リョウマ「あなたの精神状態が正常なときにそう思ってくれるなら、喜んで」

菫「じゃあ問題ないじゃない。わたしは今正常です。あなたの腕に抱かれたいの。リョウマ様がいいの」

リョウマ(まて……これはまずいぞ……待て、待て、待て、俺は忠犬だろ!)

リョウマ「菫様……待てと……言って下さい」

菫「ダメよ、ワンちゃん。命令に従うつもりでしょ。忠犬ならわたしの全身くまなく舐めなさいよ」

リョウマ「なんてことを言うんですか!」

菫「ほら。伏せ」

リョウマ「わん…………じゃなくて!」

リョウマ(つい条件反射で伏せてしまった……なんだ、これ、何ていうんだ……人界の書物で読んだ……)

菫「ふふ、まるでパブロフの犬ね」

リョウマ(それだ……ここでも犬なのか……俺よ……)

菫「可愛い、リョウマ様。よしよし、いいこいいこ」

リョウマ「…………わん」

リョウマ(完全に菫に踊らされている……)

リョウマ「……お茶か? いや、俺も飲んだしな……」

菫「お茶? おかわりですか? はい、どうぞ」

リョウマ「は? なんだ、どうした、俺にまたがって……」

菫「ん」

リョウマ(口移しか!)

リョウマ「ダメです!」

菫「ひゃあ!」

リョウマ「す、すみません!思わず肩を掴んでしまいました!」

菫「……お茶はきだしちゃった……」

リョウマ「わー! 服、濡れてしまいましたね! タオルタオル……」

菫「濡れて胸が透けてるわよ。綺麗に拭いてね、あなたの舌で」

リョウマ「ちょっと! 無理やりそっち方向に持っていこうとしないで下さいよ! 冗談言ってないで、拭きますよ!」

菫「あん、もっと……」

リョウマ「!」

菫「手、止めないで下さい」

リョウマ「……自分で拭け」

菫「ふふ。意気地なし」

リョウマ「何とでもどうぞ」

菫「紫苑の塔に行ってないくせに
。確かにわたし胸、小さいですけど。百戦錬磨のあなたには物足りないかもしれないですけど」

リョウマ「拗ねるな」

菫「いいもん。白騎士様に慰めてもらうもん。じゃあね、リョウマ様」

リョウマ「ちょっと……待て、菫様! おい……おい…………」

☆続く☆
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