68 / 81
【68】ポーラの勘 〜テレーザの馴染み〜
しおりを挟む
「へぇ、君もいけるクチか」
エドはニヤリと笑う。
娼館話が嫌いな男などいない、娯楽がすくないので下ネタは最高に面白い話しのネタだ。
「馴染みは?」
「馴染みってほどじゃありませんが、【ムーラン・ルージュ】のテレーザ嬢には…………可愛がってもらいました」
テレーザの名前を出した瞬間、ユージンが僅かに息を飲んだ気がした。
……なんだ?クライン執務官もテレーザ嬢を知っているのか?
ポーラは思考を巡らせた。
サバサバした性格の彼なら隠すことなく、「私も彼女の客ですよ」と言ってきそうなものだが。
「さすがテレーザ嬢、都で一番と謳われるだけのことはありますね」
「まいったなぁ、クライン執務官と穴兄弟ですかぁ、アハハ」
なんて身も蓋もない、けれど楽しい会話できそうなのに。
……それとも言えない理由があるとか。
もしかして殿下がテレーザの馴染み?
ボロンゴ領に来る前、テレーザ嬢に金を無心に行った時。
彼女の使用人から、テレーザは本命にフラれたと教えてもらった事を思い出した。
ポーラの勘がピンときた。
ユージンの隣に腰掛けるサニーは全く表情を変えないが、間違いない。
テレーザの本命の彼は殿下に違いない。
男の自分からみても、サニーは背が高くマッチョで顔がいいと三拍子揃ってる。
おまけに財力もあり、公表はしていないが第三王子というアメージングでアンビリーバブルな肩書きつき。
それ故、女性も選り取り見取り。
あのテレーザほどの女性が本気になり、袖にされるのも頷ける。
ポーラは深く納得した。
ダニエルが殿下の目に留まったと聞いた時は素直に嬉しかったが、姉が彼に泣かされる未来は見たくない。
自然と彼女が彼にのめり込まないよう願い、互いに割り切った関係であることを望んだ。
ダニエルが彼に夢中になることはないと予想できても、やはり心配である。
とはいえ彼女が誰とも真剣に交際しないのを良く思ってるわけではない。
過去に囚われずっと一人で生きていくつもりか、そろそろ姉さんも前を向くべきだ。
そう思っていた矢先に現れた王子様。
彼は姉の真の王子様か、それとも彼女をボロボロにする悪魔か。
どっちなのか、まだポーラにはわからない。
けれど彼が姉に入れ込むのは話が別、大歓迎だ。
今回の内偵調査のように殿下の恩恵に預かれるし、爵位を変換し領地を失っても、彼の寵愛があれば食いっぱぐれないだろう。
テレーザの件を姉に口止めする代わりに、仕事や金銭援助を引き出す。
ポーラは内心ほくそ笑んだ。
おっと!そのためにも今は善いフォローをしなければ。
「でも姉さんは生真面目で誠実な面があるんですよ。約束は守るし」
「確かに」
サニーがウンウン頷いた。
「だからこそ、姉さんが残ると納得したことに驚きです。守れない約束はしない女性だから」
「へぇ、弟の貴方が言うならきっと間違いない。少しは安心できました」
ユージンは棘を引っ込め、ポーラのフォローは成功した。
エドはニヤリと笑う。
娼館話が嫌いな男などいない、娯楽がすくないので下ネタは最高に面白い話しのネタだ。
「馴染みは?」
「馴染みってほどじゃありませんが、【ムーラン・ルージュ】のテレーザ嬢には…………可愛がってもらいました」
テレーザの名前を出した瞬間、ユージンが僅かに息を飲んだ気がした。
……なんだ?クライン執務官もテレーザ嬢を知っているのか?
ポーラは思考を巡らせた。
サバサバした性格の彼なら隠すことなく、「私も彼女の客ですよ」と言ってきそうなものだが。
「さすがテレーザ嬢、都で一番と謳われるだけのことはありますね」
「まいったなぁ、クライン執務官と穴兄弟ですかぁ、アハハ」
なんて身も蓋もない、けれど楽しい会話できそうなのに。
……それとも言えない理由があるとか。
もしかして殿下がテレーザの馴染み?
ボロンゴ領に来る前、テレーザ嬢に金を無心に行った時。
彼女の使用人から、テレーザは本命にフラれたと教えてもらった事を思い出した。
ポーラの勘がピンときた。
ユージンの隣に腰掛けるサニーは全く表情を変えないが、間違いない。
テレーザの本命の彼は殿下に違いない。
男の自分からみても、サニーは背が高くマッチョで顔がいいと三拍子揃ってる。
おまけに財力もあり、公表はしていないが第三王子というアメージングでアンビリーバブルな肩書きつき。
それ故、女性も選り取り見取り。
あのテレーザほどの女性が本気になり、袖にされるのも頷ける。
ポーラは深く納得した。
ダニエルが殿下の目に留まったと聞いた時は素直に嬉しかったが、姉が彼に泣かされる未来は見たくない。
自然と彼女が彼にのめり込まないよう願い、互いに割り切った関係であることを望んだ。
ダニエルが彼に夢中になることはないと予想できても、やはり心配である。
とはいえ彼女が誰とも真剣に交際しないのを良く思ってるわけではない。
過去に囚われずっと一人で生きていくつもりか、そろそろ姉さんも前を向くべきだ。
そう思っていた矢先に現れた王子様。
彼は姉の真の王子様か、それとも彼女をボロボロにする悪魔か。
どっちなのか、まだポーラにはわからない。
けれど彼が姉に入れ込むのは話が別、大歓迎だ。
今回の内偵調査のように殿下の恩恵に預かれるし、爵位を変換し領地を失っても、彼の寵愛があれば食いっぱぐれないだろう。
テレーザの件を姉に口止めする代わりに、仕事や金銭援助を引き出す。
ポーラは内心ほくそ笑んだ。
おっと!そのためにも今は善いフォローをしなければ。
「でも姉さんは生真面目で誠実な面があるんですよ。約束は守るし」
「確かに」
サニーがウンウン頷いた。
「だからこそ、姉さんが残ると納得したことに驚きです。守れない約束はしない女性だから」
「へぇ、弟の貴方が言うならきっと間違いない。少しは安心できました」
ユージンは棘を引っ込め、ポーラのフォローは成功した。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない
たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。
何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪
奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」
「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」
AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。
そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。
でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ!
全員美味しくいただいちゃいまーす。
獅子の最愛〜獣人団長の執着〜
水無月瑠璃
恋愛
獅子の獣人ライアンは領地の森で魔物に襲われそうになっている女を助ける。助けた女は気を失ってしまい、邸へと連れて帰ることに。
目を覚ました彼女…リリは人化した獣人の男を前にすると様子がおかしくなるも顔が獅子のライアンは平気なようで抱きついて来る。
女嫌いなライアンだが何故かリリには抱きつかれても平気。
素性を明かさないリリを保護することにしたライアン。
謎の多いリリと初めての感情に戸惑うライアン、2人の行く末は…
ヒーローはずっとライオンの姿で人化はしません。
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる