女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

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【48】ヤキモチ 〜美的感覚バグってる〜

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「マイトナー伍長は生意気そうだが、いい目をしていますよね」

写真の中の若者は自信に溢れ、野心や夢を抱き、社会に自身の力を見せつけてやると挑む目つきをしている。


「どこが!それはイヤな目って言うんだ」

わかりやすくヤキモチを焼くサニーに、ユージンもカイルも呆れるやら微笑ましいやらで、口元を綻ばせる。


いつも泰然自若たいぜんじじゃくとし、物事の成り行きを愉快に楽しんでる人。

誰にでも友好的で、悪口はあまり言わないの御方。

それなのに会ってもない間からこんなに嫌うなんて、ヤキモチ以外のなにものでない。



「いい体格してますね、身長体重は?」

「一八八センチ、九十キロです」


「ほぅ、将来有望ですね」

「えぇ、成績も良いです」

ユージンは手元の報告書を読み上げる。


「武術、砲撃術、射撃の腕は海軍でも上位。今年から仕事の合間に医学部にも通う秀才です」

「上位って言っても、俺よりは下だろ」


「射撃は殿下が上、武術もわずかに殿下が上、砲撃は殿下が下です」

「……んな、バカなっ」

サニーはユージンに食ってかかり、報告書を奪い取った。


「俺のほうが砲撃値上じゃないか!なんで俺が劣ってることになるんだ」

「殿下は陸上砲撃しかしたことないでしょう。海上砲撃は彼のほうが上ですよ」


「…………っ、確かに!!」

サニーは拳を震わせ悔しがった。

どうして海上砲撃を学ばなかったのかと、悔やむ。



そんなサニーの気を落ち着けようと、カイルは「お美しさは殿下のほうが上です」とたしなめた。

「だから張り合わなくても……」

するとサニーはジト目になって、首を振る。


「それが何の役に立つ?」

「はっ?、……しかし」


「ディディはマイトナーが好きなんだぞ?つまり俺より彼に男の魅力を感じている」

「マッキニー准尉の美的感覚は変わってますよね」


「そう!それなんだよ!!!」

急に大声になったので、カイルは目を丸くした。


「ディディの美的感覚はバグってるんだ!つまり彼女にとって俺はイケメンじゃないんだっ!」

「あ…………」

「好みはひとそれぞれですよ、殿下。マッキニー准尉はハルボーン中佐みたいな男くさい男性がタイプなんでしょう」


「俺は男くさいですか」

カイルはチェッと唇を尖らせた。


「えぇ。岩っぽいでしょう。マイトナー伍長もゴツゴツ岩っぽいですし。殿下は花や星系ですから」

「いや!殿下は太陽ですよ」

曇りなき眼でカイルはサニーを褒め称える。


「……ってことで、今後カイルはダニエルに接近禁止。二人きりにならないように」

「な……俺が准尉に手を出すとでも?」

「”太陽”とまで褒めてくれた人に、狭小ですね」

「うるせー、俺も必死なんだ…………はっ!!!」


サニーは驚愕の事実に気づいた。

「そういえば……髭男が好きなのかもしれない」

アリャーリャ村で髭剃った時、ダニエルはちょっと悲しそうだったし。


「よぉーしっ!」

サニーは決意した、彼女のタイプに近づくため今度髭を剃らないと。


何かを企む主人に、ユージンは嫌な予感がした。

どうせ碌な考えじゃないだろう。
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