女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

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【34】仲直りのチュウ 〜これが必要だった〜

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鼻腔をくすぐるイランイランと柑橘類の混ざった香り。

ダニエルの好きな……サニーの匂い。


間をおかず、柔らかな温もりが唇を覆う。

その匂いと温もりを感じると、恋しくて切なくてたまらなくなる。


サニーは唇だけでなく、瞼や頬にもキスをしていく。

きもちいい……。

その心地よさに、ダニエルはうっとりした。

本当に魔法でも使ってるんじゃないかと思うほど、不思議と刺々しい気持ちが落ち着いていく。


「仲直りのチュウ」

「んっ、サニー……くすぐったい」


サニーはチュッ、チュッと首筋や鎖骨にも唇をはわせる。

そのまま押し倒されそうな雰囲気を感じ、ダニエルは男の胸を押しやった。


「だめ、サニー……いま、なの……」

「……アレ?」


「女性の……お月様の日……」

「あぁ!アレねぇ……大丈夫?しんどくない?」

再びダニエルを抱きかかえ直し、サニーはダニエルのお腹を温めるように手をあてた。


「女の子はアレがあるから大変だよなぁ……かわいそうに」

労わる態度にダニエルは目を丸くする。


「……いいの?」

「え?なにが?」


「今週えっちできないでしょ……だからあたしに優しくする理由ないじゃん」

「えぇ”っ!そんなこと考えてたの!?ってか、俺ってそんな冷たいヤツに見える!?まるでエッチにしか興味ないみてーじゃん」

……その通りでしょ。


「う”、そんな目で見ないでくだサイ。はぁぁ、日頃の行いが悪いんッすね」

サニーはバツが悪そうに、ボリボリ頭を掻いた。



「それじゃあお詫びもかねて、今日は俺がディディの執事になってあげましょ」

「……きゃっ!」

サニーはダニエルを抱き上げ、のしのし歩き始める。


「お嬢様、ベッドに行きましょう。お食事もアーンしてあげるヨ」

「あたしのベッドじゃなくて、サニーのベッドでしょ!それよりサニー、仕事はいいの?」

「んー、ディディが体調悪い時くらいサボってもいいでしょ。お嬢様、痛いところはありませんか?」


サニーは彼のベッドにダニエルを寝かせ、ふかふかの毛布でくるんだ。

そして一緒になって横になり、お腹をさすってくれる。


温もりが肌に溶け込んでくるみたいに、きもちがいい。

ここ数日、二人の間に流れていた険悪な雰囲気は消え去り、穏やかな時間が流れる。


ーーこれが必要だったんだわ

ダニエルの目尻から涙が溢れた。


「どうしたの、ディディ……本当にどっか痛む?」

心配でオロオロするサニーに、ダニエルは笑みをこぼした。


「違う、逆よ。人肌ってきもちがいいのね。お腹を撫でてもらったのなんか初めてで……ジーンときちゃった。母上にもされたことがないのよ」

「……そうか。ディディは長女だもんな。厳しく育てられたの?」


「そうね。厳しかった気もするし、放任だった気もするわ」

「厳しく縛るくせに、寂しい思いをさせられてきたんだな。我慢ばかりで、甘えることもできず……かわいそうに。でもそうか、だからディディは爆発したんだな」
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